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人類のための幸福な住みかを備えるあなたを幸福にする良いたより
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7章
人類のための幸福な住みかを備える
1 エホバは何を住みかとして人間にお与えになりましたか。私たちはそれをどのように評価すべきでしょうか。(ヘブライ 3:4)
もしだれかがあなたのために,すばらしい環境の中に気持ちの良い家を設計して建てて,無償の贈り物としてそれをあなたに贈ったなら,あなたはその人に感謝なさらないでしょうか。無論,感謝なさるでしょう! では,惑星であるこの地球の偉大な設計者で建設者であられる方に,本当に感謝すべきではありませんか。「エホバ……天と地の造り主」は地を「人の子らに」お与えになったと聖書は語っているからです。(詩篇 115:15,16,新)何と情け深い贈り物でしょう。それに,エホバ神がこの地球を人間の居住地として備えてくださったいきさつをよく調べてみると,神聖な造物主また最高の建設者として神が発揮された知恵と力に実際驚嘆しないわけにはゆきません。
「初めに」
2 どんなものが,神による創造の壮大さを証言していますか。(詩篇 8:3,4)
2 聖書巻頭の最初の言葉を調べてみると,「初めに神は天と地を創造された」と書かれています。(創世記 1:1,新)神がその驚異的な創造の活動をなさったのは,疑いもなく何十億年も昔のことでした。それがどのようにして起きたかに関して一部の科学者の理論は相反するにもかかわらず,輝かしい天とすばらしい地球は,神による創造の壮大さを証言し続けています。
3 神は地球に水を豊富に供給したとき,どのように知恵を示されましたか。(詩篇 104:1,5,6)
3 エホバは宇宙の種々の物質を一緒にする際,何という知恵と先見の明を示されたのでしょう。例えば,水がありますが,これはこの地球上に大変豊富にある有用なものです。水はほかの液体とは違って,その温度が下がって氷点に近づくにつれ軽くなるという特異な性質を持っているので,その際に冷たい方の水は上昇して湖面や海面で保護に役立つ氷層を作ります。もしも氷が水より重かったなら,この地球は生命の存続し得ない“冷凍状態”に久しく陥っていたことでしょう。今日,水は地を潤す溶剤として,また電気エネルギー源として役立っていますし,それに何と,人間の体さえも三分の二は水でできているのです。わたしたちは水なしでは生きてゆけません。賢明な創造者は「水の深み」をもって地を覆ったとき,このすべてを予見しておられたのです。―創世記 1:2,新。
4 太陽や月との関係で定められている地球の位置は,神の知恵の偉大さをどのように示していますか。(ヨブ記 26:7,14)
4 神によるこの創造の点では,地球と天との関係もまた,実に興味深いものがあります。神は地軸をその軌道の水平面に対して23度半の角度で傾斜させたので,各々の半球には春夏秋冬が連綿と続いています。太陽から地球までの距離も,生命を維持するのに丁度適しています。もしも,もっと近かったら,地球は生物にとって熱過ぎたでしょうし,もっと遠かったなら,永遠に凍結したままだったでしょう。月はその引力の作用で潮の穏やかな干満を起こし,地球上の海岸を海水で洗わせるような位置に置かれました。このような事を思い巡らすと,確かに私たちは,「ヤハ[エホバ]を……その強大な御業のゆえに……賛美」したいと願わずにはおれません!―詩篇 150:1,2,新。
創造の「日」
5,6 『創造の日』の長さについてはどのように推論できますか。(ヘブライ 4:3-5)
5 計り知れない程の長年月の間,地球は闇に包まれたままで,生物の存在しない所でした。しかし,「神の活動力が水の表面をあちらこちらと動いていた」のです。(創世記 1:1,2,新)結果として何が生じましたか。
6 ここで,わたしたちは創造の七「日」の期間に入ります。それらの「日」の長さはどれ程でしたか。24時間よりもはるかに長い期間でした! 聖書は,『エホバにあっては,一日は千年のようである』と述べています。(ペテロ第二 3:8)しかし,それら創造の「日」の各々はそれよりもさらに長いに違いありません。どうして分かりますか。創世記 2章2節(新)によれば,創造の六「日」間の後,神は「第七日に,ご自分のなさったすべての業をやめて休まれ」ました。聖書は,エホバの『休みの日』が依然続いていることを示しています。クリスチャンは信仰と従順によって,『その休みに入ることに極力励む』べきであると,使徒パウロが書いているからです。(ヘブライ 4:9-11)聖書による年代計算は,神が地上におけるご自分の創造の業をやめて『休み』始めて以来,今や間近に六千年が終わろうとしていることを示しています。わたしたちは間近な前途にキリストの千年統治を控えており,その終わりまでには,地を幸福な人類家族で満たす神の目的が成し遂げられることになります。その時,神の『休みの日』は終わります。この事は,その『休みの日』が七千年の期間であることを示唆しています。(創世記 1:28。啓示 20:4)先行する創造の六「日」の各々の日も,同様の長さの期間にわたるものと結論するのは,妥当なことでしょう。その各々の日の期間中,エホバは地球を人間の将来の住みかとして整える段階の業をさらに遂行されたのです。そのことを神がどのように行なわれたかを,今考察してみると,「あなたの御業は何と偉大なのでしょう,ああエホバよ! 非常に深いものです,あなたのお考えは」と述べた詩篇作者の言葉の真意を本当に正しく評価できるでしょう。―詩篇 92:5,新。
「光があるように」
7 どのようにして「光があるように」なりましたか。(イザヤ書 45:7)
7 何万年も前,エホバは,「光があるように」と言われました。それは最初の『創造の日』の始まりを示すものでした。その長い「日」の終わりまでに神は,太陽からの光が透過して,地球を包んでいた「水の深みの表面」を照らせるよう,障害物を取り除かれました。厚い闇の庶へい物によってこの地球の昼と夜の区分が妨げられることは,もはやなくなりました。その「昼」の光のゆえに,人間はやがて働くことができ,周囲の地上の美しいものを享受でき,また「夜」のお陰で快い睡眠を取って活力を回復させることができるようになったのです。―創世記 1:3-5,新。
「空間があるように」
8 エホバは「空間」を造り出す際,どんな先見の明を示されましたか。
8 創造の「第二日」に,神は水を分離させ,地球の表面にとどまる水と,上空にあって大きな天蓋のように地球を取り巻く水とに分けました。そして,それら二つの膨大な水の集まりの間の空間を「天」と呼ばれました。それには地球の大気圏も含まれていました。その大気圏の中に,神は後に造り出す植物や呼吸する生き物を生存させるため,おもに窒素および酸素などの気体を実に適当な割合で混合したものを備えました。そして,この大気圏を生物が具合い良く生活するのにまさに適したものにし,隕石や有害な放射線から生物を守るものとして役立つようにされました。確かに神は賢明で,愛ある創造者であられます!―創世記 1:6-8,新。
地,海,植物が生じる
9 神は「地」と「海」を造り出す際,何を考えておられましたか。(イザヤ書 45:18)
9 神の活動力,つまり霊は引き続き地球の表面をあちらこちらと動いていました。さて,三番目の『創造の日』に,神は『空間の下の水』の中から乾いた陸地を隆起させました。陸地の塊が押し上げられ,沈下した低地に海が集められたとき,大激動が起きたことは疑問の余地がありません。ここでもまた,神の知恵と愛がはっきり示されています。動物や人間を創造する時が到来するに至って,その住みかを乾いた陸地に作ることができるようになったのです。海には海生生物が群がり,また海洋の広大な領域は地球の周りの温度の寒暖の度合いが極端になるのを防止して適正に保つ働きをするようになるのです。―創世記 1:9,10,新。
10 (イ)「第三日」には,初めてのこととして何が,どんな形で出現しましたか。(ロ)それはどのように人類を益することになりましたか。(創世記 1:29,30。詩篇 104:14)
10 しかし,この「第三日」には,さらに出現するものがありました。それは初めてのことですが,生物です! 聖書には次のような記述があります。
「次いで神は,『地は,草と,種を結ぶ草木と,種が中にある果実をその類にしたがって産する果実の木を,地の上に生え出させるように』と言われた」。(創世記 1:11,新)
そこで神は,個々の細胞内に組み込まれた“青写真”にしたがって殖えるように造られた細胞質の組織体を生じさせました。そのある「類」のものは木陰を供し,土壌を固めさせる堂々とした樹木となりました。ほかの「類」のものは,果実や堅果や漿果を産する丈のもっと低い木やかん木となり,野菜と共に,多種多様なおいしい食物を供給しています。神はこの地を美しく装う数多くの見事な花も造り出されました。植物の各々の「類」は同「類」のものしか繁殖できませんが,それでも,ばらの花にも種々の優美な型のものがあるように,色や形状の異なる美しい様々の植物を生み出せるのです。―創世記 1:12,13,新。
11 神がどのような備えを設けられたので,地は食物を産出するようになりましたか。(エレミヤ記 10:12)
11 神は植物の緑色の部分に“葉緑素”と呼ばれる物質を付与されました。太陽からの光は,この複雑な物質によって,空気中からの炭酸ガスと土壌から得る水とを一緒にして化合させ,糖分を作り出して,毎年全地でそのような糖分を1,500億㌧も生産し,同時に空気を新たにするため,酸素を放出しています。植物は成長する際,その糖分を消費し,それをわたしたちが食べる様々の食物に変えます。こうして,地上の実に多種多様な生物を維持するエネルギーはすべて,太陽光線・空気および水の関係するこの奇跡的な作用によるものですが,しかもその作用の神秘は依然として人間には分からないのです! 次の言葉はまさしく真実です。「あなたの御業は何と多いのでしょう,ああエホバよ! そのすべてをあなたは知恵をもって造られました。地はあなたの産物で満ちています」― 詩篇 104:24,新。
光体が天に現われる
12 (イ)創世記 1章1節と同16節とはどうして矛盾していませんか。(ロ)「第四日」には何が起きたと考えられますか。(詩篇 136:1,7-9)
12 「第四日」に神は,「二つの大きな光体を,大きい方の光体は昼を支配するため,小さい方の光体は夜を支配するために造り始められた。また,星をも造られ」ました。(創世記 1:14-19,新)とはいえ,神はこれらの天体をずっと以前,つまり「初めに」創造なさったのではありませんでしたか。その通りです。しかし,創世記 1章1節(新)の動詞「創造された」(ヘブライ語,バラー)と創世記 1章16節(新)の動詞「造られた」(ヘブライ語,アサー)とには相違があることに,どうか注目してください。「第四日」に起きたと考えられるのは,恐らく大気が澄んできたために,太陽や月や星の輪郭が初めて地表からもはっきりと見えるようになったということです。今や,さん然と輝く太陽は昼明るく照る光体としての役を果たし,気持ちの良い暖かさを感じさせるものとなりました。しかし,月はどうですか。宇宙研究者たちは,月面の物質の50%以上はガラスの小片で成り立っており,太陽光線を反射させるのに見事に適していると述べています。月に照らされた景色を嘆賞する時には,このような「小さい方の光体」を備えて夜照らさせるようにされた神の知恵と愛を,いつも思い巡らせるでしょう!
13 (イ)人間はこれらの光体によって何を計ることになりましたか。(伝道之書 3:1)(ロ)「朝」に先立って「夕」があるのはなぜですか。(箴言 4:18)
13 やがて,人間はこれらの光体によって時を計れるようになりました。とはいえ,人間の作る計時器はどんなものでも,偉大な時間厳守者エホバ神が人間の益のために正確な時間表通りに運行するよう据えられた天体よりいつも劣っているばかりか,それら天体によって律されることになりました。この四番目の『創造の日』にも,各々の「日」同様,神の業は,神の活動のあらましがぼんやりと見え始める「夕」方に始まり,その輝かしい成就がすべてはっきりと分かるようになる「朝」までずっと続きました。
14 私たちには,神が行なわれたこうした事に対して感謝すべき理由があります。どうしてですか。(啓示 4:11)
14 第三および第四「日」の大いなる業を完了した時,その両方の場合とも,神はそれが「良い」のをご覧になりました。(創世記 1:12,18,新)しかし,創造の業の感動的な二「日」と『休みの日』が,なお残されていました。偉大な創造者は人間の将来の幸福な生活を望み見ながら,人間の住みかのための愛ある準備を引き続き行なおうとしておられました。このことに対して,次のように述べたダビデ王のように,私たちも各自感謝すべきでしょう。
「多くの事柄をあなたご自身が行なわれました。ああ,わたしの神エホバよ。実にあなたの驚くべき御業と,わたしたちに対するその思いとは。あなたに比べられるものは何もありません。それらを告げ,語ろうと思っても,わたしが告げ知らせ得る以上に数多くなりました」― 詩篇 40:5,新。
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創造者は“宇宙船地球”号に搭乗者を住まわせるあなたを幸福にする良いたより
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8章
創造者は“宇宙船地球”号に搭乗者を住まわせる
1 (イ)地球は,月や,人間の製作した宇宙船とどのような対照をなしていますか。(ロ)多くの人々は確かに,私たちの地球を正しく評価していないことをどのように示していますか。(詩篇 10:4)
神の創造の「第四日」の終わりまでに,地球の表面は美しい光景を呈していました。それは色彩を帯びて生き生きとしていました。ずっと後代のわたしたちの時代であるこの20世紀になって,一宇宙飛行士は,生物のいない月面から地球を眺めて,こう述べました。
「24万マイル(38万キロ余)も離れたところから,それも特に,計り知れない長い時代にわたって隕石を浴びてきた月面の地平線上の我々の地球を見ると,宇宙の中で何らかの色彩を帯びているのは我々の惑星ただ一つであることが分かる……我々はかくも美しい惑星を共有しているのである……不可解でどうしようもないのは,我々は自分たちの持っているものを一体どうして正しく評価できないのだろうかということである」。
その宇宙飛行士は,人間の製作した宇宙船の狭苦しい船室内の無重力状態下の生活が,この“宇宙船地球”号上で,神が人間のために備えてくださった環境の中で人間が享受できる正常な生活と比べてどんなに対照的なものかを経験によって知りました。とはいえ,大多数の人間は,自分たちの持っているものを正しく評価しないばかりか,大抵の人はこの地球の傑出した設計者で製作者であられる方を無視しています。多くの人々は,「エホバなどいない」と「心の中で言った」無分別な者のようになるのを好んでいます。―詩篇 14:1,新。
魚という「魂」と飛ぶ生き物
2 (イ)神はいつ,私たちの“宇宙船”に搭乗者を住まわせ始めましたか。(ロ)「魂」とは何ですか。(啓示 16:3)(ハ)「第五日」に,どんな魂が創造されましたか。
2 ある人々の学説のように何百万年もの昔ではなく,比較的に最近の時代のことですが,神はご自身の時間表にしたがって,私たちの“宇宙船”に搭乗者を住まわせました。神はまず最初に「魂」を創造されました。創造に関する聖書のこの記述に出て来る「魂」という言葉(ヘブライ語,ネフェシュ)は,魚,鳥,動物あるいは人間を問わず,呼吸をする,知覚力のある生き物のことを指しています。この五番目の『創造の日』に,神は魚と鳥という「魂」を造り出されました。―創世記 1:20-23,新。
3 (イ)人間は創造物のうちに見られる原理をどのようにして利用できましたか。しかし,何を認めざるを得ませんか。(ヨブ記 12:7-10)(ロ)魚や鳥などの生物は,人類にとってどのように祝福となってきましたか。
3 それらの生物の構造のうちには神の知恵が何と豊富に示されているのでしょう。イカの噴射推進方式,コウモリの探知作用,鳥のある種の空気力学などのように,人間はこれらの創造物に見られる原理をある程度模倣できました。しかし,それらの「魂」の構造には,人間がまだ解明できない数多くの驚嘆すべき神秘が秘められています。魚や鳥などの生物は,人間の地的な住みかを一層美しく興味深いところにしているだけでなく,それが人間のための『食物となる』ことを神が定められた時,人間の献立においしい食べ物を供するものともなりました。―創世記 9:2,3,新。
地球のための生きた魂
4 (イ)「第六日」に神は何を造り出しましたか。どのようにしてですか。(ロ)動物はどんな点で人間の役に立ってきましたか。(創世記 1:25)
4 六番目の『創造の日』が始まった時,エホバはこう言われました。
「地は生きた魂をその類にしたがい,家畜と動く動物と地の野獣をその類にしたがって出すように」。(創世記 1:24,新)
神の見えない霊が働いて,驚くほどの様々の種「類」の動物を造り出しました。そのあるものは,一時的な用を果たしましたし,生き残ったほかの動物は今日に至るまで人間のために役立っています。それらの動物の中には,愛玩動物以上のものがあります。すなわち,乗り物用の馬,牧羊用の犬,運搬用の象,すきを引く牛,羊毛を供する羊などがあります。動物という「魂」は,本当に人類の益と幸福のために役立ってきました。
5 このようなものを生み出してくださったことに対して,私たちはなぜ神に感謝すべきでしょうか。(詩篇 8:4,6-9)
5 このようなものを生み出してくださったことに対して,確かにエホバに感謝できます! 詩篇作者が述べる通りです。
「エホバの愛ある親切をわたしは定めのない時に至るまでも歌おう……天はあなたのもの,地もまたあなたのものです。産出的な地とそれを満たすもの ― あなたご自身がその基を据えられました」― 詩篇 89:1,11,新。
地上の創造物のこの上なく輝かしいもの
6 (イ)創造を行なう際,エホバはご自分の傍らにどんな助け手をお持ちになりましたか。(ヨハネ 1:1-4)(ロ)神はその仲間の働き手に何と言われましたか。それで,人間は動物に対してどんな関係を持つことになりましたか。
6 そのような創造活動すべてがなされている間中,エホバは助け手 ―「優れた働き手」― 目に見えない天にいる御使いたちであるそのすべての子らの中の最愛の子をご自分の傍らに持っておられました。(箴言 8:30,新)六番目の『創造の日』も終わりに近いころ,エホバはその仲間の働き手にこう言われました。
「わたしたちの像に,わたしたちの様にしたがって人を作ろう。そして彼らは,海の魚と,天の飛ぶ生き物と,家畜と,全地と,地の上を動いているあらゆる動く動物を服従させるように」― 創世記 1:26-28,新。
7 (イ)神はどんな過程によって人間を創造なさいましたか。(ヨブ記 33:4)(ロ)人間が進化したことなどあり得ないことを何が証明していますか。(詩篇 100:3)
7 神とその仲間の「働き手」は,ある複雑な進化過程によって人を造りましたか。いいえ,それよりもずっと簡単な仕方で造りました。聖書はこう述べているからです。
「エホバ神は地面の塵から人を形造り,その鼻孔に命の息を吹き入れられた。すると,人は生きた魂となった」。(創世記 2:7,新)
聖書はここで,うなり声を立てる毛深い類人猿のような生物から進化向上する人間のことなど何も述べていません。確かに,単なる偶然の進化によっては,美や音楽を鑑賞する力や,過去や未来のことを考慮する能力,独創力,善悪を識別する良心,親切や愛などの驚くべき特質は取得し得ませんでした! より高位の知性を持つ存在者 ― 神 ― のみがそのような属性を付与し得ました。エホバ神は最初の人間を,「鳥や四つ足やはうもの」などのような,以前に現われた地上の創造物の像ではなく,ご自身の「像」に創造なさいました。(ローマ 1:23)口のきけない,物を考えない獣と,知性を持つ,直立する人間との間には,進化過程によって橋渡しする試みなどかつてなされたことのない隔たりがあります。
8 (イ)最初の人間が言語を自由に使えたことを何が示していますか。(ロ)神の創造物はすべて,どのような質のものでしたか。(申命記 32:4)
8 後に,人が眠っていた時,神はその人の一本の肋骨を取り,それを女つまりエバに造り上げ,その美しい妻をアダムに紹介されましたが,その時,人は自分の喜びを表わすのに,単なる原始的なうなり声を発するだけに限られていたのではありません。彼は思わず知らず最初の詩歌を語りました。
「これこそついにわたしの骨の骨,
わたしの肉の肉。
これは女と呼ばれよう。
男からこれは取られたのだから」。
(創世記 2:21-23,新)
それで,人間を「男性と女性」とに創造するに及んで,神は地上における創造を終えました。
「その後,神はご自分の造られたすべてのものをご覧になったが,見よ,それは非常に良かった。こうして,夕があり,朝があった。第六日」― 創世記 1:31,新。
私たちの創造者に感謝すべき理由
9 私たちをして創造者をほめたたえさせずにはおかない人体の設計の幾つかを述べなさい。
9 神の地上の創造物の傑作である人間は,実際『非常に良い』ものでした。その最初の男女の子孫として,私たちは神の驚嘆すべき技量に対して引き続き感謝すべきでしょう。感覚を通して得られる喜びを考えてもみてください。おいしい食事の味,優しい手の感触,あっと言わせるような景色,鳥の声や美しい音楽,花や食べ物の香りはどうでしょう! しかも,おまけに,神は目・耳・鼻孔,そのほか他の身体の大切な器官をそれぞれ二つずつ人間に付与されました。十本の指は互いに完全な釣合いを保って働いて仕事をやり遂げますし,見事に設計された32本の歯のお陰で,わたしたちは食物をかじったり,かみ砕いたり,周りの人々に向かってにっこりほほえんだりすることができます。笑うこと(動物にはできない事柄)によって喜びやユーモアを表わす能力も,人間の数多くの祝福の一つです。歩いたり,走ったり,跳んだり,泳いだりする,神から与えられた能力によって生活から何という楽しさが得られるのでしょう。創造者が私たちに与えてくださった人体の数多くの驚嘆すべき特色を正しく評価するとき,私たちも,ダビデ王が次のように述べたのと同じように自分の気持ちを言い表わしたいと願うでしょう。
「ああエホバよ,あなたはくまなくわたしをお調べになりました。そしてわたしをご存じです。わたしはあなたをほめたたえます。わたしは恐るべく,くすしく造られているからです。あなたの御業は驚くべきもので,わたしの魂がよく知っている通りです」― 詩篇 139:1,14,新。
10 人間の生殖作用は,エホバの知恵の偉大さをどのように示していますか。(伝道之書 11:5)
10 人間に対する神からの賜物の中でも確かに驚くべきものの一つは,同類の人間を生み出せる生殖能力です。腐敗した世の人々は性を乱用し,不倫な目的のために誤用していますが,結婚した夫婦が神の目的とおきてとに従って性の営みを行なうのは汚れたことではありません。人間の生殖作用は何と驚嘆すべきものでしょう。女性の体内では,針の先ほどの大きさしかない卵細胞が,その卵細胞の大きさの八万五千分の一しかない男性の精子一個によって授精させられるのです。このような二個の微粒子が結合すると,やがて,その二個の細胞が合体した時に形成される“青写真”(DNA)にしたがって二親から様々の特質を受け継いだ完全に整った一人の人間が発達してゆきます。現代の建築家は建設中の建物の青写真を何冊もの大部の書物にまとめる場合がありますが,神はどんな建物よりもはるかに複雑な一個の人間全体を造るための“青写真”を,ほとんど目にも見えない程の一個の細胞の中に組み込むことができました。ひとりの人間のためのこの“青写真”について述べたダビデ王は,エホバは極めて微小なものをも含めてすべてのものを見ることができることを次のように認めています。
「あなたはわたしをわたしの母の胎の中で仕切られた状態に保たれました。あなたの目は胎児のわたしをさえご覧になりました。そして,あなたの書の中にそのすべての部分は書き記されていました。それらが形造られた日々に関して,またそれらの中の一つもまだなかった時に。ですから,わたしにとってあなたのお考えは何と貴いのでしょう。ああ神よ,それらの総計はいかばかりでしょう!」―詩篇 139:13,16,17,新。
11 人間の脳のどんな能力に対して私たちは神に感謝すべきでしょうか。
11 確かに神のお考えは貴いものです! それに,神の考えを考えることのできる頭脳を神が人間に与えてくださったことを,私たちは大いに感謝できます。それは何とすばらしい器官なのでしょう。人間の脳に収められている記憶機構は非常に有効で,非常に複雑ですから,もし人間が自分でそれと同じ量の仕事をする電子計算機を組み立てるとしたなら,ニューヨーク市のエンパイヤー・ステート・ビルディング程の大きさのものを作らねばならなかったでしょう。a 確かにエホバは,空間を経済的に利用するすべをご存じです! また,生化学者によれば,人間の脳の機能は動物の脳のそれよりはるかに勝っています。人間の脳は,今日の人間が70年ないし80年の一生の間に蓄積する情報の10億倍も蓄積できる恐るべき能力を持っていると考えられています。地上で人間を永遠に生き続けさせるという目的と一致して,神は永遠にわたって新しい事柄を次々に記憶してゆける頭脳を人間にお与えになられたのです! わたしたちの頭を「賞賛すべき」考えで絶えず満たしておくのは何と重要なことでしょう。―フィリピ 4:8。
神が人間を創造した目的
12 (イ)人間を創造するに際し,神はどんな目的をお持ちでしたか。(ロ)人間が事物を台なしにしているにもかかわらず,この地はどのようになりますか。それはいつですか。(イザヤ書 65:17,18)
12 神は人間を創造したとき,目的をお持ちでしたから,私たちの願いはその目的と調和した生き方をすることであるべきでしょう。エホバは人間の夫婦を創造した時,その二人を祝福してこう話されました。
「生めよ,殖えよ,地に満ちよ,それを従えよ。そして,海の魚と,天の飛ぶ生き物と,地の上を動くあらゆる生き物を服従させよ」。(創世記 1:28,新)
とはいえ,六千年程の後の今日,どんな状態が見られますか。場所によっては,地は人間で満ちているものの,大抵の人は自分たちの創造者であるエホバ神に依存していることを認めず,その方を崇拝してもいません。それに,地を従わせるどころか,大いに地を汚染し,動物の多くを地もろともに台なしにしています。それにしても,神が「地を破滅させている者たちを破滅」に至らせ,ご自分の大いなる『休みの日』の終わりまでに全地をご自身の意図した輝かしいパラダイスに変える決意を明らかにされたので,私たちは感謝できます。―啓示 11:18。
13 私たちはどんな輝かしい見込みに対して感謝できますか。(詩篇 145:11,15,16)
13 確かに,“宇宙船地球”号の将来には,またそれに乗っている人間にとっても,すばらしい見込みがあります! 神の壮大な目的によれば,その『休みの日』が終わりを告げる時には,地はパラダイスに変えられ,そこにはほかのすべての創造された地的な魂を服従させた義にかなった人類が住んでいることでしょう。私たちは,エホバが「人をご自分の像に」創造されたこと,またこの地上に私たちのため必要なものを驚くべき程に備えておられることを,今も,またこれからいつまでもエホバに感謝できます。―創世記 1:27。
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