ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • この時代にかかわるダニエルのことばを聞きなさい
    ものみの塔 1969 | 8月15日
    • この時代にかかわるダニエルのことばを聞きなさい

      「すると彼は続けて言った,『ダニエルよ行け。これらのことばは終わりの時まで秘密にされ,封じておかれるからである』」― ダニエル 12:9,新。

      1 預言者ダニエルのことばはいつ人間に理解されることになっていましたか。わたしたちはなぜとくに特権に恵まれていると感じますか。

      預言者ダニエルは,わたしたちがいま住んでいる重大な時代の到来を預言しました。この時代にかかわる預言的な意味に富んだダニエルの預言書は,今日のクリスャンに対する力と励ましの源泉です。彼らは,この「終わりの時」にかんするダニエルの驚くべき幻と預言に心を打たれます。そうです,「終わりの時」ということばはこれに,つまりダニエルの記録に由来しているのです。ダニエルは,その預言の成就にきわめて深い関心を抱いていたので,そのことにかんし,神の御使いに尋ねました。御使いがダニエルに告げたところによると,その成就は「終わりの時」まで秘密にされ,封じておかれます。そしてわたしたちはまさにその終わりの時に住んでいるのです。彼の預言書が人間に理解できるようになった現在,もしダニエルが生きていたならば,どんなに感動したことでしょう。また彼の預言のことばが最高潮を迎える歴史のこの時点に達したのをどんなに歓喜したことでしょう。したがってわたしたちは,ダニエル自身さえ知りえなかった事柄を理解する大きな特権を考え,この時代にかかわる彼のことばを調べることに大きな喜びをもたねばなりません。―ダニエル 12:4,8,9,新。

      2,3 ダニエルがバビロンにきたいきさつを述べなさい。ダニエルは彼とその友だちが長くバビロンにいるようになるということを,何から知りましたか。

      2 この預言者はどんな人でしたか。ダニエルはおもにバビロンで預言をしるしました。彼は,王宮に仕えるための特別訓練を受けるべく選ばれたある人々とともに,ネブカデネザル王によりバビロンに連れて行かれました。ダニエルとともにいたのは,ハナニヤとミシャエルとアザリヤでしたが,ネブカデネザルは彼らの名前を,わたしたちになじみの深い,シャデラク,メシャク,アベデネゴという名前に変えました。ユダの支族の者であったこの4人は,14歳から18歳くらいまでの若者だったようです。―ダニエル 1:1-7。

      3 彼らはバビロンの奴隷でした。そしてダニエルは,彼らが長期間,流刑の身でいなければならないことを知っていました。彼は,エルサレムが紀元前607年に破壊されるよりも前にバビロンにきていました。そしてこの事件のあと,ユダの全土が70年間荒廃することを知りました。なんと長いあいだ故国を離れていなければならないのでしょう。―ダニエル 9:1,2。エレミヤ 29:10。

      神の国樹立の幻

      4,5 バビロンの王ベルシャザルの第1年にダニエルはどんな幻を得ましたか。そして天の法廷が開かれるのをどのように描写しましたか。

      4 歳月は流れて,世界強国バビロンの栄光が永久に消え去る日は近づいていました。世界支配の位にいたのは,カルデヤ人の王たちのバビロニア王朝の最後の王でした。それはバビロンの王ベルシャザルの第1年でした。(ダニエル 7:1-8)この年にダニエルが床にあって見た夢と脳中に得た幻は,恐ろしい獣によって象徴された世界強国の興亡と関係がありました。第4の恐ろしい獣から目を転じたとき,預言者ダニエルは,わたしたちの時代と重要なかかわりもつ,天におけるひとつの場面の幻を与えられました。

      5 「我みつつありしに遂に宝座を置列ぶるありて 日の老たる者 座を占めたりしがその衣は雪のごとく白く その髪毛は漂潔めたる羊の毛のごとし またその宝座は火の焔にして……彼の前より一道の火の流わきいづ 彼に仕ふる者は千々 彼に侍る者は万々 審判すなはち始りて書を開けり」― ダニエル 7:9,10。

      6 (イ)日の老いたる者とはだれですか。天で法廷が開かれるこの幻はいつ成就しますか。(ロ)どんな書が天の審判者の検閲を受けますか。なぜですか。

      6 なんと驚くべき幻でしょう。天で審判が行なわれています。場面は,西暦1914年以降のわたしたちの時代です。この期間に諸国民のさばきが行なわれます。まもなくエホバ神は,ダニエルが描写した凶暴な獣によって表わされる国々に刑を執行されます。日の老いたる者はほかならぬエホバ神です。西暦1914年の秋以来,異邦人の支配した「七つの時」のあいだに諸国民がつくった数々の書,すなわち記録が開かれています。その凶悪な記録は,偉大な審判者の検閲を受けます。「諸国民の定められた時」は終わりました。(ルカ 21:24,新)諸国民はこれ以上,地に対する主権を借用する資格をもちません。それでこの歴史上重大な時に,ダビデ王の永遠の相続者が王として即位する時がきました。

      7 (イ)日の老いたる者の前に立つ天使の幻にわたしたちはなぜ驚きますか。(ロ)この幻は,神の民,とくに監督や補佐のしもべたちにとりどんな励ましになりますか。

      7 1億もの天の御使いが日の老いたる者の前に立ち,彼の正しい判決を聞いて喜ぼうと待ちかまえている光景を頭に描いてごらんなさい。最高の審判者の前に立つ1億の天使にはまったく驚くでしょう。考えてみれば,100万の天使が仕えるだけでもたいへんなことです。このようにいく百万という天使を扱うには大変な技術を要するにちがいありません。どのようにして一度にそのすべてを見,またそれだけの数の天使を扱うことができるのでしょうか。エホバ神がおひとりでこれらの天使すべてを扱われる仕方は,わたしたちの想像を絶するものがあります。なんと偉大な,なんとすばらしい組織者でしょう! 1億の天使が神と交渉をもち,ひとりびとりが自分の仕事を割り当てられているのです。このことは,今日目に見えるエホバの組織内にいる人々に強い励みを与えるはずです。この偉大な組織者は,ご自分の民が御国のわざを組織するのを助けることができます。そしてさらにわたしたちは,それらの仕える天使たちが,まさかの時にわたしたちを助け,またわたしたちが御国伝道のわざを成し遂げるように援助してくれる,という確信をもつことができます。天の兄弟であり,日の老いたる者の前に立つこれらの天使と,わたしたちは一緒に働くようにしなければなりません。―箴言 16:3。ヘブル 1:14。

      8 ダニエルはつぎにだれが日の老いたる者の前に行くのを見ますか。何が彼に与えられますか。

      8 しかしいまやダニエルは胸のおどる光景を見ます。「我また夜の異象の中にみてありけるに 人の子のごとき者 雲に乗て来り日の老たる者の許に致りたればすなはちその前に導きけるに これに権と栄と国とを賜ひて諸民 諸族 諸音をしてこれに事へしむ その権は永遠の権にして移りさらず またその国は亡ぶることなし」― ダニエル 7:13,14。

      9 (イ)「人の子」とはだれのことですか。なぜそう言えますか。(ロ)詩篇に預言されていることと一致して,どんな時が到来しましたか。

      9 この神の法廷に導かれたのはだれですか。それは「人の子のごとき者」でした。しかしこれは天における場面ではありませんか。そうです,しかし,ここの「人の子」ということばは,神の天の子が地上の人間となり,イエス・キリストとして知られていたときを指します。今彼は天の栄光に高められています。しかしやはり「人の子」という称号をもっています。これは彼が,地上における忠実な歩みによって得たものです。この幻の中でダニエルは,「人の子」,すなわち主イエス・キリストを見ます。(マタイ 25:31)彼が日の老いたる者の前に現われて,全地を治める御国の契約にしたがい,正当に彼に属するものを求めうる時はついにきました。(詩 110:1-6)目に見えるものにせよ,霊的なものにせよ,すべての証拠は,イエス・キリストが,『もろもろの国を嗣業として受け,地の極てまでご自身の所有として与えられて』,ダニエルの幻が成就したことを示しています。(詩 2:8)今はなんとすばらしい時代なのでしょう。イエス・キリストは現在,御国の権を与えられ,王として支配しておられるのです。

      崇拝の問題をめぐる試み

      10 クリスチャンは今日とくにどんな問題に直面しますか。それに打ち勝つ助けとなるどんな模範がありますか

      10 神の国が天に建てられたからには,クリスチャンであることを公言する人すべてが直面する問題は重大です。彼らはだれを崇拝しますか。御子をとおして王として支配される至高者エホバを崇拝しますか。それとも人間が作った神々や偶像を崇拝しますか。(黙示 11:15,17; 13:11-18)クリスチャンをして偶像崇拝に決して屈服しないという決意をさせるものは,ダニエルの3人の友,シャデラク,メシャク,アベデネゴが残した忠実の模範です。彼らは依然として奴隷でしたが,バビロン州の事務をつかさどる任務を与えられていました。すべてのエホバのしもべは,ついには信仰の試みに直面しなければなりません。サタンは,それらの忠実なエホバの証人が,崇拝の問題をめぐって王と正面衝突するように策略をめぐらしていました。

      11,12 (イ)ネブカデネザル王はどんな像を立てましたか。彼はどんな目的をもっていたと思われますか。(ロ)王の伝令者はどんなことをふれ告げましたか。

      11 ネブカデネザル王は,大きな金の像を立てました。(ダニエル 3:1-3)それは9階建てほどの高さの厚さ3メートル近くもあるしろものでした。それから王は,その像の落成式に臨ませるため,長官,知事,参議,庫官,法官,刑官,諸州の高官たちを召集し始めました。それにしても彼はなぜそのような高価な金像を立てたのでしょう。歴史によると,ネブカデネザル王はたいへん宗教心の厚い人物でした。バビロンの年代記は,彼の軍事活動よりもバビロンの神々の崇拝と宗教にかんする活動により多くの注意を向けているほどです。この宗教心の厚い王が,ここドラの平野で,その世界帝国を,崇拝の点で一致させようとしたことは疑えません。聖書はこの像の名前を示していませんが,それは,王の好む神マルドークをたたえるために建立されたのかもしれません。すべての者に宗教的な感情をもたせようと考えたのか,王はある音楽を奏させました。王の伝令者は,王の命により大声に呼ばわって言いました。

      12 「諸民 諸族 諸音よ汝らはかく命ぜらる汝ら喇叭 簫 琵琶 琴 瑟 篳篥などの諸の楽器の音を聞く時は俯伏しネブカデネザル王の立たまへる金像を拝すべし すべて俯伏し拝せざる者は即時に火の燃る炉の中に投こまるべしと」― ダニエル 3:4-6。

      13 3人のヘブル人が彼らになしうるぎりぎりのところまで国に従ったことについて説明しなさい。

      13 3人のヘブル人は,集まれとの王の命に服従して,ドラの平野に現われました。しかしこのダニエルの3人の友はどうするでしょうか。彼らは他の者たちと集まるという,彼らになしうるぎりぎりのところまで行きました。しかしひれ伏して拝そうとはしませんでした。全員がこの儀式に参加することをネブカデネザルがあれほど望んでいたにもかかわらず,この3人はそれに参加しようとしなかったのです!

      14 (イ)エホバの民がいまの時代にも同様の事態に直面するのはなぜですか。(ロ)悪魔が今日においても,3人のヘブル人になしたと同様の過激な手段を用いることが予期されるのはなぜですか。

      14 エホバの忠実なしもべたちは,今日でも同様の事態に直面します。黙示録 13章は,神の天の御国が建てられたことを述べる前章につづいて,「獣」と獣の「像」の崇拝について語り,かつこの偶像崇拝がなんらかの仮装を施されて,全世界に押し広められることを告げています。したがって問題は今日でも同じです。それはエホバ神の崇拝か,それとも偽りの神々の崇拝かということです。また今日の悪魔の目的も以前と同じで変わっていません。彼はすべての者が彼らの仕事と生活を犠牲にして偶像崇拝に加わるよう強制しています。悪魔は極端で,過激な手段を用います。その非道な努力は,黙示録 12章17節で言及されています。それによると象徴的な竜は,イエス・キリストの真の追随者たちに戦いをいどみます。

      15 現代においても,崇拝の問題が大きな問題であることについて述べなさい。神に忠実を保つためのどんな励ましがありますか。

      15 エホバの証人は30年まえ,ナチス・ドイツで,この激烈な崇拝の問題に直面しました。かぎ十字に向かって手をあげ,ヒトラー万歳と言わない者はみな強制収容所に送られて虐待されました。今日では,鉄のカーテンの背後の国が,口頭による伝道,印刷物による伝道のいかんを問わず,建てられた神の国の伝道を禁じています。共産主義国の不敬虔な要求にひれ伏すことをせず,良いたよりの伝道をやめなかったために,幾年かのあいだに何千人というエホバのクリスチャン証人が投獄されました。多くの国で国家主義の問題が表面化しました。国家は神にのみ属する崇拝を自分に要求します。こうした危機にさいしてクリスチャンの助けとなるのは,きわめて恐ろしいおどしにもかかわらず,エホバへの専心の献身を守りとおした,3人の忠実なヘブル人のりっぱな模範です。

      16,17 ネブカデネザルは,3人のヘブル人が金の像を拝さないと聞いてどんな反応を示しましたか。

      16 今日,支配者や役人たちの中には,全市民に,国家または自分たちの宗教の神々を拝するよう要求する者がいます。そうした人々と同じように,ネブカデネザルも,シャデラク,メシャク,アベデネゴがひれ伏さないと聞いたとき,たいへん怒り,取り調べを命じました。そこで彼らはネブカデネザルの前に引き出されました。激怒した第三世界強国の王の前に立って,つぎのように尋問されるところを想像できますか。「シャデラク,メシャク,アベデネゴよ 汝ら我神事へず また我が立たる金像を拝せざるはこれ故意にするなるか」。(ダニエル 3:13,14)他のことにおいては彼らは申し分のないしもべでした。なぜ今になって独立行動をとり,このちょっとしたことをしようとしないのですか。『ただひれ伏せばいい。わたしがお前たちに要求するのはただそれだけのことた』。ネブカデネザルは彼らにもう一度機会を与えるつもりでした。

      17 「汝らもし何の時にもあれ 喇叭 簫 琵琶 琴 瑟 篳篥などの諸の楽器の音を聞く時に俯伏し 我が造れる像を拝することをなさば可し 然ど汝らもし拝することをせずば 即時に火の燃る炉の中に投こまるべし 何の神か能く汝らをわが手より救ひいだすことをせん」― ダニエル 3:15。

      事前に決意をかためておくことの益

      18 3人のヘブル人はどうするかを決意するのになぜ時間をかける必要がありませんでしたか。そして王になんと答えましたか。

      18 彼らは決意をするのに少しの時間もかけませんでした。決意はすでにできていました。彼らは幼いときからだれに仕えるかを知っていました。シャデラク,メシャク,アベデネゴは即座に答えました。「ネブカデネザルよこの事においては我ら汝に答ふるにおよばず もしよからんには王よ 我らの事ふる我らの神 我らを救ふの能あり 彼その火の燃る炉の中と汝の手のうちより我らを救ひいださん 仮令しからざるも王よりたまへ 我らは汝の神々に事へず また汝の立たる金像を拝せじ」― ダニエル 3:16-18。

      19 (イ)忠節にかんする試みを通過したいと願う今日のクリスチャンは何をすべきですか。(ロ)今日のわたしたちには,多くの場合,3人のヘブル人になかったどんな道が聞かれていますか。(ハ)現代にも,その3人のヘブル人に似たどんな忠実の模範がありますか。

      19 彼らが行なえと命ぜられたのは明らかに崇拝でした。わたしたちの時代には,この問題はそれほど明白でなく,明示されることもありませんが,何らかの形で存在します。今の時代の試みに忠実に耐えるにも,真のクリスチャンは自分の歩む道をやはり前もって決めておくべきです。国の象徴や国家をたたえる歌に対して,彼らはどんな立場にありますか。3人の忠実なヘブル人は,ネブカデネザルの像の前に出なければなりませんでしたが,今日の献身したクリスチャンは,多くの場合,困難な事態を避けるよう手を打つことができます。しかしどうしても避けられなくて,神のしもべが偶像崇拝か,エホバに対する忠実かの二者択一を迫られるとき,真のクリスチャンは,他の神々に妥協してひれ伏すことを拒む場合のおどしがいかに恐ろしいものであっても,シャデラク,メシャク,アベネゴと同じく,妥協してはなりません。何年か前,アフリカのある国で,大勢のクリスチャンが大会で静かに集まっていたところ,武装した兵隊が踏み込み,彼らを政府の建物に連行して彼らが国家の象徴に敬礼することに同意するまで,そこで彼らを打ちたたき,侮辱し,ごう問しました。敬礼をするか,死ぬか,二つにひとつの道しかないように見えました。エホバに頼って,妥協しなかった人々はエホバの豊かな祝福を得ました。ちょうどダニエルの時代の忠実なエホバの証人の場合のように,彼らは迫害者の手から解放されました。―出エジプト 20:4,5。コリント前 10:14。

      20 3人のヘブル人が火の燃える炉に投げ込まれたあと何が起きました。

      20 そのヘブル人たちが火の燃える炉に投げ込まれたあと,ネブカデネザルは恐ろしいものを見ました。事実,ダニエルはネブカデネザルがあわただしく立ち上がり,大臣たちにつぎのように言ったと伝えています。「我らは三人を縛りて火の中に投いれざりしや……今我見るに四人の者なはめ解て火の中に歩みをり すべて何の害をも受けず またその第四の者の容は神の子のごとし」。(ダニエル 3:24,25)それから彼は,火の燃える炉の口に近より,大声で呼びました。「至高神の僕シャデラク,メシャク,アベデネゴよ 汝ら出きたれ」― ダニエル 3:26。

      21 3人のヘブル人の忠実な態度は結果として並み居る者すべてにどのように大きな証言となりましたか。

      21 彼らが出てきたとき,すべての者は,火も彼らの身を害する力がなく,彼らの頭の毛1本も,そして彼らの衣服さえ焼けていないのを見ました。それどころか火のにおいさえついていなかったのです。試みに耐えた彼らの忠実さは,並み居る者はいうにおよばず,王に対してさえ,大きな証言となりました。この経験から明らかに衝撃を受けた王は感動して言いました。「シャデラク,メシャク,アベデネゴの神は讃べきかな 彼その使者を遣りて 己を頼む僕を救へり また彼らは自己の神の外には何の神にも事へず また拝せざらんと王の命をも用ひず 自己の身をも捨んとせり……かくのごとくに救を施す神他にあらざればなり」― ダニエル 3:28,29。

      22 (イ)根本的な問題は,今日もダニエルの時代と同じであることについて述べなさい。(ロ)試みはほとんどの神のしもべのうえに臨むのであれば,どんな道をとることは賢明ですか。

      22 彼らと同じように,今日のエホバの証人も妥協することはできません。ある国では彼らは御国の良いたよりを,地下にもぐって伝道しなければなりません。またある国では,前途のわざに備えて力を得るためにひそかに集まります。彼らは法をよく守るクリスチャンですが,エホバへの忠節が関係する問題に直面するときには,国家主義的な支配者の粋狂や命令に屈服することはできません。今日のエホバの民も,ダニエルの時代と同じく,『だれを崇拝するか』という問題に直面しています。この試みは,遅かれ早かれ,ほとんどのクリスチャンの上に臨みます。前もって堅い決意をしている人は,忠実をまっとうする望みがあります。したがって試みに直面するまで問題を延ばすよりも,いまその決意をしておくのはよいことです。昔のこの忠実な人の記録は,なんと時機を得たものでしょう。他の神々の崇拝を拒否した者たちにエホバ神がもたらした結果を見ることは,今日の忠実な神のしもべたちにとって大きな励ましと言わねばなりません。

      預言的な木の夢

      23 死の8年余り前,ネブカデネザルはどんな夢を見ましたか。ダニエルはその解き明かしにおいて何と言いましたか。

      23 ネブカデネザルは,その死の8年余り前のある晩,恐ろしい夢を見ました。魔術師だったバビロンの祭司たちはだれも,その解き明かしを王に示すことができなかったので,ダニエルが王の前に呼び出されました。この世界の大統治者は彼に言いました。「我が夢に見たるところの事等を聞きその解明を我に告げよ」。(ダニエル 4:9)それは大木の夢で天からくだったひとりの天使は,それを切りたおせと命じました。切り株は鉄と銅のなわをかけられたまま,「七の時」が過ぎるまで,野の草の中に置かれます。夢の中の天使は言いました。「その心は変りて人間のごとくならず獣の心を禀て七の時を経ん」。しかしこの夢は何を意味しましたか。その解き明かしも同じほどネブカデネザル王を驚かせましたか。ダニエルのことばに耳を傾けてください。「汝が見たまひし樹……是はすなはち汝なり」― ダニエル 4:10-22。

      24,25 (イ)ネブカデネザルには何が起きることになっていましたか。なぜですか。(ロ)どんな時に木の夢は彼に成就しましたか。どのように?

      24 このことばが,そのあとのダニエルの説明を注意深く聞くネブカデネザルの関心をどんなに高めたか想像してごらんなさい。ダニエルの説明によると,彼は王位を追われて野に行き,牛のように草を食べます。しかし,かの二重に縛られた切り株のように,彼の国は,彼がその卑しめられた状態で「七の時」を過ごすまで,彼のために保たれます。その時はじめて彼は正気にかえり,いと高き神が最高の支配者で,ご自分の欲する者に人間の国を与えられるということを告白させられます。1年後その夢はネブカデネザルのうえに実現しました。それは彼が,壮大な町と,「世界の七不思議」のひとつであるバビロンのつり庭とを望みながら王宮の屋上を歩いていたときでした。彼はその栄光を眺めながら大いに心に高ぶり,誇らかに言いました。「この大なるバビロンは我が大なる力をもて建てて京城となし これをもてわが威光を耀かすものならずや」― ダニエル 4:29,30。

      25 ネブカデザルがそのことばを言うか言わないうちに天から声があって,木の夢は今彼の上に成就すると言いました。彼はそのとき直ちに狂気にとりつかれ,野に出て牛のように草を食い,7年のあいだそこにいました。その期間の終わりに彼は正気に帰り,いまや彼は,自分ではなく,いと高き神にほまれを帰しました。この夢と,ネブカデネザルの身に起きた直接の成就とは,20世紀にまでおよぶ預言的なものでした。

      26 (イ)紀元前607年のエルサレムの崩壊とともに,支配権のどんな移行が生じましたか。(ロ)木と縛られた切り株とは何を表わしましたか。

      26 ネブカデネザルが神の模型的なイスラエル王国を滅ぼしたとき,支配権は,勝利を収めた異教の世界強国に移りました。今後は異邦諸国が,模型的な仕方にせよ,エホバ神の国のいかなる干渉をも受けずに,「七の時」が終わるまで地を支配します。神の国による世界支配を表わす木はなわで縛られ,その切り株は地の中に残されました。これは最初に世界を支配されたかたが,永久にその支配権を手放されるのでない,ということを象徴しました。切り株が縛られたことは,木が枯れておらず,その根はふたたび芽を出すよう定められていることを保証しました。

      27 (イ)ネブカデネザルの狂気の振舞いは何を象徴しましたか。(ロ)聖書の示すところによると,預言的な7つの時の長さはどれだけですか。どの時代にまでおよびますか。

      27 預言的に言って,神の国は異邦人の支配するその「七の時」のあいだ,木の切り株のように低くされた状態にあります。文字どおりの7年が経過するあいだのネブカデザルの狂気の獣的な振舞いは,異邦人の支配者たちが,その世界支配の期間中いかに獣的に振舞うかを表わしました。聖書の示すところによると,異邦人の支配の「七の時」の長さは,2520年間で,紀元前607年から西暦1914年,そうです,この20世紀まで続きます。

      28 象徴的な7つの時の終わりに何が生じましたか。エホバが諸国家の存続をなおしばらく許しておられるのはなぜですか。

      28 1914年,神はその象徴的な木からなわを取り除き,主イエス・キリストを立てて,彼に世界の支配権を付与されました。神の国は今や支配します。異邦人の列強が残存するのは,ひとえにエホバの寛容によります。というのは,神は神の国の再建直後の年々に諸国家を拭い去ることができたからです。気づいていても,いなくても,異邦諸国が今日支配しているのは,ひとえに神の許しによります。エホバは,あらゆる国の羊のような人々が,この事物の体制から,ハルマゲドンで国々が滅びるまえに出てこられるように,諸国家の存続をなお数年許しておられるのです。

  • 神の国はこの時代のうちにすべての国を打ち砕く
    ものみの塔 1969 | 8月15日
    • 神の国はこの時代のうちにすべての国を打ち砕く

      「それらの王たちの日に,天の神は決して滅びることのない国を建てられます。……それはこれらの国々すべてをうち砕いて終わらせ,自らは限りなく続くでしょう」― ダニエル 2:44,新。

      1 神は何についてネブカデネザル王に知らせましたか。どんな手段によって?

      エホバが,世界支配者としてのネブカデネザルの治世の第2年,すなわち紀元前606-605年に,彼に告げられたところによると,彼は,紀元前607年の秋から2520年にわたる世界強国の行進を開始します。神はまた,ご自分がついには神の国をとおして地のすべての国を滅ぼし去るということを,ネブカデネザルに明らかにされました。神はひとつの夢を見させて,このことを行なわれました。目が覚めたとき,バビロンの王はそれを思い出すことができませんでしたが,忘れた夢の恐ろしさは頭から離れませんでした。彼は夢を解き明かさせるために法術師や知者たちを召し寄せました。しかし彼らは,解き明かしはおろか,それがどんな夢であったかさえ王に告げられなかったので,怒った王は,バビロンの知者をことごとく滅ぼすことを命じました。その中にはダニエルとその3人の友も含まれていました。―ダニエル 2:1-13。

      2 (イ)死刑にするというおどしに直面してダニエルと3人の友は何をしましたか。(ロ)神から解明を得てダニエルは何を言い,また何をしましたか。

      2 このきびしい命令を耳にしたダニエルは,王の侍衛の長アリオクに,その理由を尋ねました。それからダニエルは王のところへはいっていって,その夢を知り,その解き明かしを王に示すことができるかもしれないので,刑の執行をしばらく猶予していただきたいと頼みました。ダニエルと彼の3人の友は,エホバの助けを祈り求めました。エホバは夜の幻のうちにその秘密をダニエルに示されました。そのためにダニエルは神の御名をたたえて言いました。「彼は時と期とを変じ 王を廃し王を立て 智者に知慧を与へ 賢者に知識を賜ふ」。(ダニエル 2:14-23)それからダニエルは,刑執行者に任ぜられたアリオクのもとに行き,王の前に連れてゆくように頼みました。王はダニエルに答えて言いました。「汝は我が見たる夢とその解明とを我に知することを得るや」― ダニエル 2:25,26。

      3,4 (イ)ダニエルはその夢の解き明かしが,今日重要な意味をもつことをどのように示しましたか。(ロ)その預言的な夢を説明しなさい。

      3 ダニエルの答えは,今日きわめて重要な意味をもちます。なぜなら彼は,「天にひとつの神ありて秘密をあらはし給ふ 彼後の日」,すなわちわたしたちの時代,「に起らんところの事の如何なるかをネブカデネザル王にしらせたまふなり」と述べたからです。(ダニエル 2:28)ダニエルは,この忘れられた夢を王の心に思い出させるとき,その知恵を決して自分に帰しませんでした。

      4 「王よ汝は一箇の巨なる像の汝の前に立るを見たまへり その像は大くしてその光輝は常なず その形は畏ろしくあり その像は頭は純金 胸と両腕とは銀 腹と腿とは銅 脛は鉄 脚は一分は鉄一分は泥土なり 汝見て居たまひしに遂に一箇の石 人手によらずしてきられて出で その像の鉄と泥土との脚を撃てこれを砕けり かゝりしかばその鉄と泥土と銅と銀と金とは皆ともに砕けて夏の禾場の糠のごとくに成り 風に吹はらはれて止るところ無りき しかしてその像を撃たる石は大なる山となりて全地に充り」― ダニエル 2:29-35。

      5 ダニエルはその夢をどのように解き明かしましたか。

      5 バビロンの王はその描写が驚くべきものであることを認めたにちがいありません。しかしそれはいったい何を意味しましたか。ダニエルは説明しました。「是その夢なり 我らその解明を王の前に陳ん 王よ汝は諸王の王にいませり 即ち天の神汝に国と権威と能力と尊貴とを賜へり……汝はすなはちこの金の頭なり 汝の後に汝に劣るひとつの国おこらん また第三に銅の国おこりて全世界を治めん 第四の国は堅きこと鉄のごとくならん」― ダニエル 2:36-40。

      夢の像はわたしたちの時代と関係がある

      6 歴史と聖書の預言は,夢の像とその解き明かしに関してどのように一致していますか。

      6 ダニエルの預言的なことばはなんと正確に成就したのでしょう! 金の頭は,ネブカデネザルで始まる世界強国バビロンを表わしました。それから銀の胸と腕によって表わされたメデア-ペルシア帝国が興りました。つぎに登場したのが,銅の腹と腿とによって予示された世界強国ギリシアです。しかし鉄の脛は何を表わしましたか。ローマ帝国から始まってアングロ-アメリカ世界帝国に至る第4の帝国体系です。歴史の示すところによると,イギリスは実際にローマ帝国の分家として出発しました。したがって最後の世界強国は,ネブカデネザルの夢の像に含まれています。そのことは,ダニエル書の7章と8章にも示されています。そこでは,アングロ-アメリカ二重世界強国は,小さな角によって表わされており,その角は世界強国ローマから出てくることが示されています。

      7,8 (イ)象徴的な像の足にかんしてダニエルはなんと言いましたか。(ロ)10本の足の指にはどんな意味がありますか。像は最後の世界強国が出現したあと,どのような進展を見せましたか。

      7 しかしまだ最後の,つまり象徴的な像を完成する部分,すなわち一部は鉄,一部は粘土でできている脚があります。これについては預言者ダニエルは,霊感を受けてつぎのように王に説明しました。「汝その足と足のゆびを見たまひしに一分は陶人の泥土 一分は鉄なりければ その国は分裂たる者ならん……その国は鉄のごとく強からん その足のゆびの一分は鉄 一分は泥土なりしごとく その国は強きところもあり脆きところも有ん……鉄と泥土との相合せざるごとく彼と此と相合することあらじ」― ダニエル 2:41-43。

      8 その10本の足の指にはどんな意味がありましたか。10という数は,聖書では地的完全さを象徴しますから,これらの指は,現在地上に同時に存在する強国や政府すべてを表わします。そういうわけで夢の像は確かにわたしたちの時代にまで関係しているわけです。わたしたちはこの像が,最後の世界強国の出現とともに静止しなかったことを心にとめていなければなりません。その像は,この世界の帝国的,独裁的勢力に反対する社会主義的,民主主義的分子の,弱体化的な影響を内包して進展をつづけねばなりませんでした。1914年以来,民主主義および社会主義は,とくにその像の鉄の足の,「北の王」によって代表される部分を弱体化してきました。像の10本の足指は,今までに国連に加盟した国々のみならず,すべての国を表わします。この段階でネブカデネザルの夢は最高潮に達します。預言者ダニエルは解き明かしをつづけます。彼のことばはわたしたちの時代にとって重要な意味をもちます。

      9 象徴的な像の運命にかんしてダニエルはどんな信頼すべき解明を行ないましたか。

      9 「そして,それらの王たちの日に,天の神は決して滅びることのない国を建てられます。この国がほかの民に渡されることはありません。それはこれらの国々すべてをうち砕いて終わらせ,自らは限りなく続くでしょう。ひとつの石が人手によらずに山から切り出され,それが鉄と銅と 練られた粘土と銀と金とを砕いたのをあなたが見られたからです。偉大な神ご自身がこののちに起ころうとしていることを王に知らされたのです。この夢は確かであり,その解き明かしは信頼できます」― ダニエル 2:44,45,新。

      御国の石が象徴的な像を破壊する

      10,11 (イ)人手によらずに山から切り出された石,(ロ)山,(ハ)石が像を打ち砕くことは,それぞれ何を表わしますか。

      10 ダニエルの解き明かしの中で,彼は,ひとつの石が人手によらずに山から切り出されるのを見ました。これは西暦1914年に天で神の国が建てられたことを表わします。その樹立は人手によりませんでした。山は,エホバ神の宇宙主権を表わします。御国は神の宇宙主権の顕現です。―ダニエル 2:34。

      11 この神の国の誕生は,「それらの王たちの日に」起こりました。それは,10本の足指によって表わされた王たちのみならず,像の鉄,銅,銀,金によって表わされた王たちをも意味します。西暦1914年には,それら以前の世界強国の基礎的な残存部分が依然存在していたからです。したがって,夢で見たその象徴的な像は,1914年には完成していました。もちろんそれ以後多くの新しい国が興りましたが,その時点においては,それらの新興国は,当時の世界の国々の区分の中にはいっていました。10本の足指はすべての国を表わします。それで,石が像を打ち砕くということは,とりもなおさず,今日の世界の国々がすべて,神の国によって滅ぼされるということです。

      12 御国の石はどんな任務の遂行を急いでいますか。石が大きな山になって地に満ちることは何を象徴していますか。

      12 御国が,金属の像で表わされたすべての国を粉砕し,ハルマゲドンでそれらを永遠に滅ぼすのです! 御国はその任務の遂行を急いでいます。ハルマゲドンでこの御国の石はその象徴的な像に甚大な衝撃を与え,社会主義,共産主義,民主主義政体のいかんを問わず,また,いわゆる中立国をも含めてあらゆる国を滅ぼします。すべての国が滅びるのです。地上の諸国はひかれて粉になり,禾場のぬかのように神のもたらす嵐に吹き払われて,ふたたび地上にもどって集められることはありません。像を打ち砕いた石が山のように大きくなって全地に満ちたのと同じく,神の国は政府という山になって全地に満ち,地上のすべての事柄を支配するでしょう。確かにダニエルの預言は,わたしたちの時代にかかわるものです。

      今日の国際間の権力闘争

      13 ダニエルは長期にわたるどんな抗争を預言的に描写していますか。わたしたちの時代の対立する『王たち』はだれであると言えますか。

      13 この時代に起こると預言されていた別の事柄を学ぶために,ダニエル書を注意深く調べるとき,わたしたちは,ダニエルが古代ギリシアの時代から現代にまでおよぶ,「北の王」および「南の王」と呼ばれる相反する二つの国の長期にわたる抗争を,神の天使から示されて描写しているのを知ります。しかし現代においてはこれらの王はだれに相当しますか。信頼の置けるこの預言を成就した歴史の事実の示すところによると,最後の「北の王」は,全体主義,とくに世界共産主義の支配者たちで,最後の「南の王」は,民主主義,とくにアングロ-アメリカ連合勢力の支配者たちです。―ダニエル 11:1-35。

      14 「北の王」は何を行なうとダニエルは述べていますか。歴史はそれが真実であることをどのように示していますか。

      14 現在では歴史となっている事柄を述べたのち,預言はわたしたちの時代に焦点を向け,全体主義の「北の王」に焦点を固定させます。ダニエルはこの王が何をすると述べていますか。「この王その意のままに事をおこなひ万の神にこえて自己を高く(すべ)し」。(ダニエル 11:36,37)彼は,その国民が以前崇拝したどの神よりも,反宗教的な政治国家を高めなかったでしょうか。彼は人間が作った地上のあらゆる「神」をこえて自らを誇り,創造者であるエホバ神を否定することさえしました。1961年8月6日,ソ連の宇宙飛行士は,人工衛星で地球の周囲の大気圏外の空間の軌道を17周するあいだに「神も天使も」見なかったので,神は存在しないという絶対的な証拠を得たと思いました。

      15,16 (イ)現代の「北の王」はどの神をあがめるとダニエルは預言しましたか。(ロ)それで何が「北の王」の神になりましたか。

      15 霊感を受けた預言者は,何年も前,「北の王」が,その領土内の人々によって崇拝されてきた宗教上の神々を退け,別の神を崇拝するようになることを予告しました。ダニエルがこのことをいかに正確に預言しているかに注目してください。「彼はこれの代に軍神を崇め 金銀珠玉および宝物をもてその先祖等の識ざりし神を崇めん」― ダニエル 11:38。

      16 わたしたちの時代の「軍神」とはだれですか。それは,科学を応用する近代的な軍国主義です! 科学技術が「北の王」の神になったのです。北の王は,東ドイツを下したとき,ドイツのロケットやミサイルの専門家を可能なかぎり多く捕え,ソ連でロケット学やミサイル学の開発に当たらせました。彼の教育機関は,全世界の軍事支配を考えにいれた,科学と技術者の養成を専門とするものです。共産主義者の「北の王」は現在,膨大な軍隊を維持し,宇宙技術の進歩をはかるために,国民から多くの消費物資や生活を楽にする物品を奪っています。これらの望ましいものは,科学を応用する軍国主義という神にささげられているのです。

      17,18 (イ)ダニエルは「北の王」の成功をどのように描写していますか。(ロ)どんな歴史の事実が「北の王」の成功を指示しますか。

      17 これはどんな結果を生みますか。ダニエルは説明します。「この王……その志を得ん……彼はこの異邦の神に由り要害の城々にむかひて事をなさんすべて彼を尊ぶ者には彼加ふるに栄を以てし……国に打いりて潮のごとく溢れ渉らん……彼国々にその手を伸さん……彼は遂に……金銀財宝を手にいれん」― ダニエル 11:36,39-43。

      18 過去幾年かに生じた世界のできごとを考えてみるとき,わたしたちはこれらのことばがわたしたちの目前で驚くべき成就をとげてきたことを悟ります。「北の王」はポーランドを押え,ついで東ドイツ,ハンガリーを手に入れました。また東ヨーロッパの他の多くの国々も,中国本土,北朝鮮,北ベトナムと同じく共産主義者の支配下にはいりました。そして現在では「北の王」は,南ベトナムの支配をねらっています。ラテン・アメリカ諸国では,国際共産主義が政治的不安とゲリラ戦を刺激しています。「北の王」は多くの国々の財宝に支配の手を伸ばしますから,アフリカと中東では,共産主義者に支援された破壊活動が盛んです。たしかにわたしたちは,国々がつぎつぎと彼の前に倒れるのを見てきました。しかし,彼は最後に「南の王」を支配するでしょうか。ダニエルはこの国際的権力闘争の結果を告げていますか。

      19 (イ)「北の王」は「南の王」を滅ぼすという窮極の目標を達成しますか。(ロ)エホバ神がハルマゲドンでその二人の『王たち』を滅ぼす時に用いる方法のひとつをあげなさい。

      19 ダニエルはその最終的結果を示しています。この預言の最後のことばはつぎのとおりです。「彼つひにその終にいたらん これを助くる者なかるべし」。(ダニエル 11:44,45)それでダニエルの預言の示すところによると,「北の王」は,全地を支配するという,とりわけ「南の王」を滅ぼすという野望を達成することはできません。とはいえ,「南の王」が「北の王」を滅ぼすのでもありません。両者は,エホバの定められた時 ― ハルマゲドンの戦いで最後を迎えます。ダニエルのことば(11:40-45)は,「北の王」がハルマゲドンに向かうところ,またハルマゲドンにおける彼の立場を描写しています。それは神の油そそがれた人々およびその仲間の証人である「大ぜいの群衆」に反対する立場です。ハルマゲドンでエホバ神は,「北の王」と「南の王」とを混乱におとしいれ,同士討ちをさせ,彼らの配下や支持者たちにも同様に自殺的な同士討ちをさせ,自滅させます。エゼキエル書 38章21節から23節,そして他の聖句も,そのことを示しています。

      ミカエルは敵のただ中に立つ

      20,21 (イ)ダニエル書の最後の章はいつ成就しますか。そして1節は何を予告していますか。(ロ)ミカエルとはだれのことですか。なぜですか。(ハ)ミカエルはどのように立ち上がりますか。それはいつですか。

      20 ダニエル書の最後の章は,全能の神の大いなる日の戦いの直前の期間に成就をみます。天使がダニエルに語ったことばによく注意してください。「その時汝の民の人々のために立ところの大なる君ミカエル起あがらん これ艱難の時なり 国ありてより以来その時にいたるまで期る艱難ありし事なかるべし」― ダニエル 12:1。

      21 これはミカエルが天で王となったという意味です。ミカエルは,「北の王」と「南の王」が争い合う時に立って統治します。したがってミカエルは,その敵のただ中に立つわけです。ミカエルとはだれですか。ダニエル書の中でこの名前が最初に出てくるのは10章です。そこではミカエルは,「ペルシャの国の君」に妨害されたひとりの下位の天使を助けにきた『長たる君のひとり』と描写されています。(ダニエル 10:13,21)聖書には,そのミカエルが,天を離れる前と,天にもどったあとのイエス・キリストの名前であると結論してよい証拠があります。天使長または主要な天使を意味する「御使の長」と言われているのはミカエルだけです。聖書に出てくるこのことばが常に単数であることは,天使の軍勢のおさ,もしくはかしらがひとりしかいない,ということを暗示しているようです。御使の長に言及しているユダ書 9節以外の唯一の聖句の中でも,このことばは,明らかに復活した主イエス・キリストについて述べています。(テサロニケ前 4:16)それでミカエル,すなわち主イエス・キリストは,ある期間待ったのちに立ち上がります。ダニエルの説明によると,この「起あがる」という表現には,権を執って王として治め始めるという意味があります。(ダニエル 8:22,23; 11:2,3,7,20,21。ヘブル 1:13; 10:12,13と比較してください)1914年,イエス・キリストは天において神の右で栄光を与えられました。そして「人の子」として,日の老いたる者のみくらの前に導かれ,支配権と栄光と国とを与えられました。

      22 ミカエルが立ち上がると,なぜ未曽有の患難の時になりますか。

      22 ミカエルが,支配するために敵のただ中で立ち上がり,彼らのただ中で治めるならば,空前の戦争となり,未曾有の患難の時となります。1914年に燃え上がった戦争が世界的であっただけでなく,この地上の患難がノアの洪水をさえしのぐということからも,そうであるにちがいないことがわかります。―マタイ 24:21-39。

      23 1918年,エホバの民の上になにが臨みましたか。そして将来に対するどんなすばらしい約束が与えられましたか。

      23 これはエホバの清い民にとっても苦難の時です。とくに1918年には,迫害が彼らを疲労困憊させ,戦争で逆上した諸国家は彼らの伝道活動をほとんど沈黙させました。しかしそのような事態でさえ,エホバの民のすばらしい将来を約束しました。ミカエルの仲間の天使が天に向けて両手を上げ,誓ったつぎのことばに注意してください。「聖民の手の砕くること終らん時に是等の事みな終るべし」― ダニエル 12:7。

      24 ダニエル書 12章7節の成就として歴史は何を示していますか。

      24 歴史の示すところによると,エホバの民の力が砕かれた1918年の5,6月以来,エホバの民は二度とふたたび砕かれてはおりません。彼らは第二次世界大戦を通過し,生き残ったのです。そのことを考えてごらんなさい! 彼らはいま共産主義者の時代,しかもその全盛期を通過しつつあります。それでもエホバの民は砕かれていません。彼らは迫っているマゴグのゴグの攻撃にも砕かれることはありません。なぜなら,エホバの民を砕くことは1918年という過去において最高潮に達し,それがふたたび成功することはもはやないからです。もしこの預言のことばが理解できたならば,ダニエルはどんなに歓喜したことでしょう。

      25 ダニエルは何を願い求めましたか。神の御使いはなんと答えましたか。

      25 しかしダニエルは,非常に深い関心をもっていたにもかかわらず,これらの事柄が何を意味するのかわかりませんでした。「我聞たれども暁ることを得ざりき 我また言り わが主よ是等の事の終は何ぞやと」,それに対してミカエルの仲間の天使は言いました。「ダニエルよ往け この言は終極の時まで秘し かつ封じ置るべし 汝終りに進み行け 汝は安息に入り 日の終りに至り起て汝の分を享ん」― ダニエル 12:8,9,13。

      26 (イ)ダニエルが『立ってその分をうける』ということは何を意味しますか。(ロ)復活してくるとき,ダニエルは何に大きな興味をいだくでしょうか。

      26 それでダニエルは彼の道を行き,人間の普通の墓であるシェオールで休み,それから『日の終わりに立って彼の分をうける』ことになりました。ダニエルはすでにすばらしい特権と経験を享受していました。いまや彼は別のものを待ち望むことができます。ダニエルは,彼が見た幻や預言したできごとの成就を生きて見ることはできませんでしたが,わたしたちはそれを見る特権を得ました。この忠実な預言者は多くのものを待ち望むことができます。ここで言われている彼の「分」とは,メシヤの御国のもとで彼が得る君の地位を含むかもしれませんが,必ずしもそれだけを意味するものではありません。彼の「分」は,ハルマゲドン後の新秩序における地上の分を意味します。たしかにダニエルは,復活してくるとき,物事が変化したのを知るでしょう。そして大いなる君ミカエルの立つことについて知りたいと思うでしょう。それでエホバの民は彼の復活を待ち受け,彼らもまたダニエルから詳しいことを数々聞きたいと思うでしょう。エホバのしもべの中には,ダニエルの預言の多くを詳細に説明した「御心が地に成るように」の本の内容をダニエルと討議する人があるかもしれません。ダニエルは,彼のすばらしい預言がどのように成就して神の栄光を表わしたかを学ぶことに,大きな関心を示すでしょう。わたしたちは彼が示す反応に興味をもち,ダニエルとともに彼の分を楽しむでしょう。その時まで,エホバの証人にはなすべき仕事があります。

      27 神の御使いは,メシヤなる君ミカエルの真の追随者が行なうどんなわざを予告しましたか。それでいまわたしたちは何をしていなければなりませんか。

      27 そうです,ミカエルの仲間の天使は,メシヤなる君ミカエルの真の追随者たちがこの「終りの時」に行なう大きなわざを指摘しました。その預言はつぎのとおりです。「頴悟者は空の光輝のごとくに耀かん また衆多の人を義に導ける者は星のごとくなりて永遠にいたらん」。(ダニエル 12:3)これが今日わたしたちのなすべき予告されていたわざです。霊的に賢い者は天の光のように輝かねばなりません。新しく生まれた神の国の良いたよりをもつエホバの証人は,地球上のすべての物にその熱を与えずにはおかない太陽のように輝いてきました。真夜中のように暗いこの世界にあって,わたしたちは明るい星のようになり,さらに多くの「他の羊」が義に心を向けるのを助けなければなりません。その義とは,すなわち偉大な神エホバに対する崇拝と奉仕です。偉大な君ミカエルが天で立ち上がった時以来,わたしたちはこの「終りの時」に住んでいるのですから,ダニエルの時よりもずっと恵まれた時に住んでいます。ダニエルの書は開かれています。この時代にかかわるダニエルのことばに一致して行動する人々はさいわいです!

日本語出版物(1954-2026)
ログアウト
ログイン
  • 日本語
  • シェアする
  • 設定
  • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
  • 利用規約
  • プライバシーに関する方針
  • プライバシー設定
  • JW.ORG
  • ログイン
シェアする