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この時代の圧力の根本原因目ざめよ! 1972 | 4月22日
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れたあやつり人形のように悲劇的事件に引き込まれている感じです。なぜ一国民全体が狂気に近い行動に走り,恐ろしい残虐行為を行なったり,組織的な拷問を加えたりして,何百万という人を殺すのでしょうか。
人類が過去現在にわたって,人間の制御しえない勢力の影響を受けてきた,ということはありうることでしょうか。目に見えない力が諸国家をあやつり,諸国家を圧迫しているのでしょうか。
わたしたちは,他の惑星に住む想像上の生物が圧迫を加えていると言おうとしているのではありません。
しかしこういう事実があります。つまり,信じがたいほどの暴力行為と残虐行為を行なってきた人々や諸国家が,人類の歴史を通じて常に,人間よりも高い力への信仰を表明してきたということです。
あなたは,神に反対する霊の勢力の存在の可能性を,全くの迷信であり想像であるとして一蹴するほうかもしれません。しかし,何百という迷信を捨て去り,宗教と神々の名前も変化したにもかかわらず,人間が今日に至るまで何千年もの間,目に見えない霊の勢力に頼りつづけてきたのはなぜですか。なぜそのような崇拝が,人間の歴史のあらゆる時代において主要な役割をしつように演じてきたのですか。大学の運動選手やプロの運動家,軍人,種々の専門職にある人々の多くを含め,現代の教育のある人々までが“幸運のお守り”を身につけているのはなぜですか。
目に見えない勢力の助けを求めた人物の顕著な例は,占星術や他の秘術に傾倒していたので知られているヒトラーです。彼が政権を取っていた間に行なわれた残虐行為は,すべての人のよく知るところです。
これはもっと最近のことですが,インドネシアで,推定40万人の大量殺りくが生じたとき,同国の著名な作家のひとりは,「われわれのなかには悪魔がいる。そしてこれがつなぎを解かれると,われわれの精神は錯乱して大量殺りくを行なうことができる」と評しています。
こうしたことにかんして正しい説明を与えているのは聖書だけです。人間の罪深い歩みは見えない霊の勢力によっていっそう悪くされたこと,そしてこれこそ今日の人間にのしかかっている圧力の第二の根本原因であると聖書は示しています。
そういう理由からクリスチャンたちは,エペソ書 6章11,12節で,「我らは血肉と戦ふにあらず,政治・権威,この世の暗黒を掌るもの,天のところにある悪の霊と戦ふなり。この故に神の武具を執れ,汝ら悪しき日に遭ひて仇に立ちむかひ,すべての事を成就して立ち得んためなり」。
ここで聖書は,わたしたちが,天のところにある悪霊の勢力,「この世の暗黒を掌るもの」から自分を守る必要のあることを示しています。真の戦いは人間に対する戦いではなく,サタン悪魔のひきいるこの見えない勢力に対する戦いです。イエスは悪魔のことを,「世の支配者」と言われました。―ヨハネ 14:30,新。
それにしても,神は全能者です。それなのになぜこのような状態が存在しうるのでしょうか。聖書の示すところによると,それはサタンが最初神に反逆したときにいくつかの問題を持ち出したからです。サタンはとくにエホバの支配の正しさに挑戦しました。ついで彼は神の他の霊の子たちを誘惑して反逆に加わらせました。
黙示録にしるされている聖書の預言はさらに,この見えない勢力が,今日感じられる圧力の増大に大きな役割を果たしていることを示しています。それによるとこの霊の勢力はわたしたちの時代に天から追い出され,地の近くに投げ落とされました。すでに述べた証拠は,1914年を,この預言が成就した時として指し示しています。この悪霊の勢力の追放について説明したあと,記録はさらにこう語ります。「地と海とは禍害なるかな,悪魔おのが時の暫時なるを知り,大なるいきどほりを懐きて汝等のもとに下りたればなり」― 黙示 12:10,12。
隅に追いつめられた犯人のように,神の敵は非常な憤りをいだいて最後の防戦に努めています。悪魔の方針は“支配か,破滅か”です。人間のある犯罪者たちと同じように,悪魔は,もし自分が滅びねばならないなら,ほかの者たちも全部巻きぞえにすることを決意しています。それで悪魔は,地球を汚すだけでなく,とくにその上の全住民を汚し,そうすることによって彼らを神に受け入れられない者とし,神によって滅ぼされるにふさわしい者にしようと骨を折っています。
これはたしかに,人類の世界が1914年以来極端に悪に走り,狂気の行ないをしてきた理由を説明するものです。
ではわたしたちには,その圧力からのがれ出る道は残されていないのでしょうか。そうではありません。今のこの時を指し示し,この空前の圧力の真の原因を示している本は,またすべての有害なストレスと緊張からの真実で完全な解放の唯一の源も示しているのです。
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解放をもたらしうる政治目ざめよ! 1972 | 4月22日
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解放をもたらしうる政治
今人類の上に容赦なくのしかかっているもろもろの圧力から解放されたら,どんなにほっとすることでしょう。そのような解放をもたらしうる政府をあなたは歓迎しないでしょうか。
実はそのような政府があるのです。どこに? それはだれの政府ですか。それは間もなく地の事柄をすべて完全に制御する,天に基礎を置く政府 ― 神のみ子キリスト・イエスによる神の王国です。
「なあんだ,もっと現実的なことを言ってくださいよ!」と,あなたは言うほうですか。
では次を読んでください。そしてこの時代の事情に通じている人々が,真の解放に必要なものを何と認めているか見てください。それから神のみ子の政府がその必要を満たす方法を,聖書がどのように予告しているかに注意してください。
解放は世界的でなければならない
たとえそれが人間にできたとしても,一国だけを,あるいは地球の一部分だけを,今日の有害な圧力から解放したところで,それから永続的な幸福が生まれることはありません。著名な科学者アイザック・アシモブは最近このことを次のように指摘しました。(1971年4月19日号,ケミカル・アンド・エンジニヤリング・ニュース)
「今日の重要問題 ― 人口の着実な増加…環境の破壊,都市の腐敗,生活の質の低下 ― はすべて相互に依存しており,すべて世界的な性質のものである」。
世界的な問題は世界的な監督と管理を要求します。それで科学者のアシモブは次のように述べています。これは多くの人がもっている考えです。
「その国際協力は,必要な決定を下しかつ実施するだけの実力をもつ世界政府の形をとらねばならない。その決定に対し,個々の国は武器を取って立つ権利も力も有してはならない」。
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