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神の群れを牧するものみの塔 1958 | 7月1日
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19 真の羊飼は主イエス・キリストの忠実な僕であり,真理の伝道者,神の聖なる言葉を誠実また熱心に学ぶ者です。最高至上の神とキリスト・イエスに彼らが奉仕するのは,奉仕から何かを得ようとしているためではありません。ヱホバの為されたことを感謝して,できるものをヱホバに捧げようとしているのです。彼らの語ることはすべて義と平和また清さに傾いています。これらの羊飼は羊のために喜んで苦しみを受け,迫害に耐え,死ぬことさえ覚悟しています。ヱホバ神から任命された真の羊飼たちは,ヱホバ神の是認を受ける者であり,その献身の生活はこれを表わすものです。この人々こそ,あなたを『緑の野』に導き,あなたはその助けによつて永遠の創造主と御子,神の小羊を知る正確で真の知識を得るでしよう。また,ヱホバの御名をほめたたえ,王の王,主の主である御子の名をあがめるように,あなたを助けます。清い心と愛をもつて奉仕するこのような羊飼にこそ,信頼を置くことができるのです。
20 本当の羊はどんな性質を持つていませんか。彼らは何をしなければなりませんか。
20 主の羊の一人としてあなたは正しい気質すなわち心の態度を持たねばなりません。天にいます大いなる羊飼と御子に奉仕しているからです。あなたはどんな気質,心の態度を持つていますか。誇つていますか。出しやばりですか。すぐに自慢しますか。何時も誇る人ですか。利己的で他の人を押しのけても前に出ようとしますか。物質主義に傾いていますか。自分のことだけを考えますか。ヱホバのすべての過分の御親切に感謝しない忘恩の者ですか。他の人に対する尊敬に欠けていますか。すぐに批評し,他の人を見くびり,不平を言いながら仕事をしますか。このような性質を少しでも表わして山羊に似た気質,心の態度を持つているなら,変らなければなりません。このような状態にいる間は,幸福を見出さず,主の羊であることに満足と平和を見出すこともないからです。心を入れかえなければなりません。
21 (イ)野の羊,(ロ)『他の羊』について,その性質と二つの保護を述べなさい。
21 野の羊を考えてみましよう。羊は害を与えない動物ではありませんか。羊は多くの場合おろかですが,害をせず,すなおなで少しも悪意がありません。羊は親切に答え応じ,羊飼の声に従順です。羊飼が名前を呼びさえすれば,羊は走り寄つてきます。野のけもの,盗賊など多くの危険がふりかかつても,羊は自分で身を守ることができません。では彼らの身の守りはどこにあるのですか。第一に,群れの他の羊と一緒に集まつていること,第二には群れを常に見守る忠実な羊飼に信頼することにあるのです。このことは主の羊についても現在言えます。この世の人々や組織からの激しい攻撃に対して,自分だけでは身を守る手段のないことをあなたはよく知つています。ではどうして身を守ることができますか。神の群れから離れず,群れの中に留まること,霊的なイスラエルの牧者ヱホバ神と正しい羊飼イエス・キリスト,群の羊飼に任命された忠実な兄弟たちに心から信頼することによつてです。
22 新しい世の社会に属することは何を意味しますか。あなたはどのように保護されますか。
22 ヱホバ神は神権制度を今日持たれており,王なる羊飼である主イエスはこの制度全体の監督です。制度内の監督に任命された人々の責任は,新しい世の社会に属する羊を世話することです。啓発を受けて眼を開き,真理の理解を与えられた人々が知るように,この神権的な群れ,神の民であるヱホバの証者の制度内で交わりを保つため,今日では祝福されたとりきめが設けられています。この制度の法的な統治体「ものみの塔聖書冊子協会」の下に働く忠実な羊飼たちは,この人々を統治しています。この境の中に留まりなさい。ヱホバ神が御自身の民のために設けられた御準備の外に出るなら,保護は全く得られないことを知りなさい。時には悪意を抱く者があなたを欺こうとしても,見張りを怠らない忠実な羊飼はその者を妨ぐでしよう。この世の組織が無理に入り込んで害を与えようとすることがあつても,あなたは『無数の』の御使を用いることのできる天の羊飼に保護されています。ですから,地上の忠実な人々そして主イエス・キリストに率いられている見えない軍勢はあなたを守つているのです。恐れる必要は少しもありません。あなたは神の群れだからです。
忠実な牧者に信頼する
23 (イ)忠実な羊飼たちに信頼できるのはなぜですか。(ロ)羊飼が不忠実になるならあなたを保護するためにどんな処置がとられますか。
23 忠実な兄弟に信頼を置くことができますか。信頼できるという理由はこうです。主の制度の責任を持つ人々は,正しい資格を持たない者を羊飼に任命しません。神の群れの羊飼は正しい標準にかない,その務めを果すに必要な能力を持たねばなりません。第一に神を恐れつつ,群れを牧することが必要です。ヱホバ神とキリスト・イエスを本当に恐れない者は真の羊飼ではなく,従つて神の群れを牧するように任命されないでしよう。時には羊飼に任命された者が群れを牧さないで,群れをしいたげていることがあるかも知れません。もしそうであつて,群れが少しでも害を受けたとすれば,その羊飼は先ず助言を与えられて矯正またはこらしめを受けるでしよう。それでもその羊飼が方法を改めないならば,羊飼として任命された地位から除かれ,別の人が代つて任命されるでしよう。なぜそうしなければなりませんか。あなたは神の群れであり,新世社会の中で神の民と交わるときに少しも害を受けません。忠実な羊飼だけが奉仕しつづけるからです。真理にある兄弟たちはあなたのためを思つて心を砕き,また,あなたが永遠の生命を得ることを願つています。それであなたを追い立てることをせず,また権力をふるうことをしません。あなたは神の相続だからです。誰でもあなたに害を与えるなら,神のものを害していることになり,人間ではなく神の前でその人は申し開きをしなければなりません。
24 (イ)私たちが『人に奉仕する者』ではなく,しかも人の下で奉仕するのはどうしてですか。(ロ)羊飼に対してはどんな正しい態度をとるべさですか。
24 『私たちは人間に奉仕するのではなく,ヱホバ神とキリストに奉仕する』という言葉を聞いたかも知れません。それでは,人間を無視してもよいという事になりますか。人間の下で奉仕しなくても,神に奉仕できますか。それはできません。イスラエル民族の時代においても,仲立モーセをはじめ,他の忠実な人々の下でイスラエルは奉仕しました。使徒時代に羊は使徒たちの下にあつて奉仕しませんでしたか。『神は会衆の中にそれぞれの人を置かれた。』(コリント前 12:28,新世)使徒パウロは定めました,『兄弟たちよ。わたしたちはお願いする。どうか,あなたがたの間で労し,主にあつてあなたがたを指導し,かつ訓戒している人々を重んじ,彼らの働きを思つて,特に愛し敬いなさい。互に平和に過ごしなさい。』(テサロニケ前 5:12,13,新口)また,『正しく指導している古い者たち,特に語ることと教えのために労している者たちは,二倍の尊敬を受けるにふさわしい者である。』(テモテ前 5:17,新世)これらの聖句からはつきりと分る通り,主の僕を無視するのは悪いことであり,軽くあしらつたり,普通に応待することでさえも正しくありません。僕はヱホバの任命された者だからです。神の群れに奉仕するため選ばれた監督を無視できると考えるならば神に対する不敬となり,間違つた道に導かれます。
25 治める人々に対して羊は服従し従順でなければなりませんが,それはなぜですか。
25 羊飼に対する羊の責任は大きく,これを見過したり,避けることはできません。羊はヱホバ神とキリスト・イエスに従順に従うことが必要ですが,それに留まらず群れを治める者に対しても従順を示さねばなりません。羊のために規則を設ける権威は従属の羊飼のものではなく,彼がしなければならないのは羊に対するヱホバの御心を説明し,適用することです。使徒パウロの良い助言に耳を傾けなさい。『あなたがたの指導者たちの言うことを聞きいれて,従いなさい。彼らは,神に言いひらきをすべき者として,あなたがたのたましいのために,目をさましている。彼らが嘆かないで,喜んでこのことをするようにしなさい。そうでないと,あなたがたの益にならない。』― ヘブル 13:17,新口。
26 『忠実にしてさとい奴隷』の級は誰を恐れつつ治めてきましたか。そしてなぜ?
26 地に関するかぎり,御国の事柄一切は『忠実にしてさとい奴隷』級の管理に委ねられました。このことを理解するのは極めて大切です。(マタイ 24:45-47,新世)この僕はすべての羊をたえ間なく見守らねばなりません。これは実に重い責任です! 何十万という羊の魂が,地上における神の羊飼の級,『忠実にしてさとい奴隷』の世話に委ねられています。牧羊のわざに対して,この級はヱホバ神に言いひらきをしなければなりません。羊飼の級を構成している人々がこの重大な責任を安易に考えているなどと思う羊があつてはなりません。羊の生命に対して彼らに責任を問う方はヱホバ神とキリスト・イエスであつて,彼らはこの事を十分によく知つています。今日あなたは神を恐れる人々の奉仕と世話を受けているのです。天にいます方が彼らの働きを常に見守つていることをその人々は知つています。彼らは『神につかわされた者として,キリストにある』者です。(コリント後 2:17,新口)『忠実にしてさとい奴隷』級の人々はヱホバ神を恐れつつ,羊のために働いており,羊の群れであるあなたを守つています。それで,忠実な兄弟たちから害を受けることは少しもありません。
27 霊的な統治体とそれに任命された人々は,どのように羊を保護し,導き,養つてきましたか。
27 「ペンシルバニヤのものみの塔聖書冊子協会」と交わるヱホバの証者の霊的な統治体は,ヱホバを恐れつつその務めを果してきました。この統治体から任命された者たちも,正しい羊飼の手本に従いつつ同じことを為して,神への恐れを持ちながら前進し,そのわざを遂行してきたのです。そして,羊は養われてきませんでしたか。そうです,この年月のあいだ,羊は何時も霊的な食物で養われてきました。彼らが飢えたことは一度もなく,一回でも霊的な食物を欠かしたことはありません。地上の忠実な羊飼の級は,その名誉を得ようとしたり,羊の思いと心を自分たちにひきつけようとせず,何時も天の牧者に羊の心を向けようとしてきました。偽りの教えや誤りから羊は保護され,サタンの悪い企てに対する警告も与えられました。また,不道徳,物質主義,被造物の崇拝,悪い世との交わり,その他数え上げることができないほど多くの危険に陥ることから救われたのです。なぜこの事が行われたのですか。答を言えば,羊であるあなたに仕えるために,これらの兄弟は喜んですべての持ち物を捧げたのです。それは,ヱホバ神の恵みの下,平和のうちにあなたが住むためです。
28,29 なぜ羊はそれほどに祝福されていますか。何が更に大きな増加に導きますか。
28 ヱホバ神とキリスト・イエスに受け入れられる奉仕を捧げること,御国の良いたよりを伝道すること,『彼の救いの良いたより』を宣べ伝えること,神の賛美を歌い,神の栄光の御わざを人の子に語り,平和をつげ,天の父と御子キリスト・イエスのすばらしい御目的を知らせること,これらすべての事をする方法を羊が学んだのは,忠実な羊飼の援助があつたからです。(詩 96:2,新世)これらのことを自分でするように羊は訓練され,更にこのことをするように他の人を訓練することを教えられました。羊は導かれて一つとなり,失われた羊も群れの中に導き入れられてきました。祝福された羊たち! あなたは,神の羊であつて忠実な羊飼の手に委ねられ,信頼できる忠実な羊飼を知るゆえに,本当に恵まれています! あなたは神の群れであつて保護されており,害を受けません。忠実な羊飼はあなたのため,ヱホバ神とキリスト・イエスの前で責任をとらねばならないからです。
29 群れを増加させる時が来ました。すべての羊を集めなければなりません。北から南から,東から西から羊を集めよと,ヱホバ神は御自身の民に命ぜられました。(イザヤ 43:1-7)今日,正しい羊飼の声は160以上の国々に伝えられ,更に多くの人々,迷つた羊にも似た人々に慰めを語り告げています。その人々は大群衆となつて来るでしよう。その人々すべてを集める時はいまです。ヱホバ神とキリスト・イエスの前に大きな責任を持つ羊飼たちがその事実を心にかけるとき,群れは最もよく繁栄します。制度の成員である主の羊は,従順と服従によつてこれらの務めの遂行を容易にします。
30 ひきつづき保護されるために,羊は何をしつづけなければなりませんか。
30 神の群れは一つになり,新しい世の社会から迷い出ません。古い世の組織にはわなと落し穴があり,危険は至るところにあります。人々も組織もあなたの弱さにつけ込もうとしますが,あなたは身の守りを持つていません。神の制度の中に留まりなさい。そのためには神の御心を学ばねばならず,神権的な要求に従順でなければなりません。平和を求め,義に従い,羊飼に任命された人々に導かれ,牧されることが心要です。これらのことをするとき,あなたは正しい道に訓練されて,私たちのすべての賛美にふさわしいヱホバという御名を持ち給う天の全能なる神に賛美を捧げることができます。古い世から新しい世の社会に救い入れられたことを喜び,すべてあなたのためにヱホバが為されたこと,いま為されていること,またハルマゲドンの戦いのあと新しい世が来るときに与えて下さるすばらしい事のゆえに,幸福となりなさい。あなたはこの幸福な群れにいます。それで,霊的イスラエルの大いなる牧者と彼の正しい羊飼に喜び,また次のことを知つて喜びなさい。あなたにはどんな災もふりかかることがなく,大いなる牧者は御名のゆえにあなたを緑の牧場といこいの水ぎわに導かれます。
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一印度人の解答ものみの塔 1958 | 7月1日
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一印度人の解答
「クリスチャン信仰の宝庫」の中に出て来る引用文の中で,S・J・コーレイは,印度の国家主義者の指導者,マハトマ・ガンジーについて次のように言つています,『彼は,1927年の秋にセイロンにいた,そしてコロンボにあるY・M・C・Aでこのように話した,「もし私が山上の垂訓だけに面し,自身の解釈をなすならば,『はい,私はクリスチャンです』と遠慮なく言うであろう。」彼はさらに言葉をついで,「あなた方西欧の人は,この点でイエスを申し訳程度に受けいれている。しかし私は,彼を真剣に文字通りに受けいれている」と云つた。』同じ本は再びガンジーに関して,フランク・E・イーデンの言つたことを次のように述べています,『ガンジーと印度の前総督イルウイン卿は親しい間柄であつた。彼らがロンドンで行われた円卓会議から帰つて来た時,イルウイン卿は,マハトマを彼の「アシユラム」に訪ねた。談話中イルウイン卿は,その家の主人にこのように質問した,「マハトマ,君の国と僕の国との問題の解決策について君が考えていることを,ありのままに話してくれ給え。」ガンジーは傍にあつた電気スタンドから小さな本をとりあげると,マタイ伝 5章を開いて答えた,「あなたの国と私の国が共に,キリストの述べたこの山上の垂訓に従うならば,私たちは自国の問題のみでなく全世界の問題を解決することができるでしよう。」これが一印度人の解答とは!』
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