ものみの塔 オンライン・ライブラリー
ものみの塔
オンライン・ライブラリー
日本語
  • 聖書
  • 出版物
  • 集会
  • 問題はすべて頭の中にあるのですか
    目ざめよ! 1981 | 12月8日
    • 人が抑うつ状態を引き起こすような考えで自分の思いを養うなら,そのために気分がゆがめられ,うつ病を育むことになります。特に,テレビの前で定期的に多くの時間を費やすなら,それは当人の見方に悪影響を及ぼしかねません。しかし,ほかの人にとっては,問題の根になっている事柄が別にあるかもしれません。

      そのほかに考えられる原因

      「脳は,[血]漿中のある種の栄養素の濃度に対して他の器官よりもはるかに敏感である」と,マサチューセッツ工科大学の二人の研究者は述べています。これらの医師たち,二人のワートマンが「栄養と脳」(1979年第3巻)の中で公にした資料は,食べ物が人の気分に及ぼす影響,およびある栄養素の欠乏が脳の化学的なバランスを変えて,うつ病を引き起こす経緯を示しています。

      バランスの取れた食事をきちんと取り,“栄養価の少ないスナック食品”を最小限に抑えていても,うつ病につながるような,栄養素の欠乏に見舞われることがあります。ある種の薬物療法,経口避妊薬,妊娠や汚染や極度のストレスが体にもたらす緊張などは,いずれも栄養素の欠乏を引き起こす原因になり得ます。

      ある種の食べ物や化学物質のガスなどに対するアレルギー,そして女性の場合のホルモンの変化もうつ病をもたらしてきました。また,血糖減少症(低血糖症)の治療を受けた1,100人の患者を対象にした調査から,それらの患者の77%がうつ病の症状を訴えていたことが明らかになりました。

      ですから,単に間違った態度を抱いているということ以外にも,うつ病の原因は数多くあるのです。ひどいうつ病にかかっている人は,様々な要素が組み合わさってそうなっているのかもしれません。個々の人の遺伝的特質や幼少時の経験も一因となります。これら様々な影響力すべてが,ストレスを高じさせる出来事や環境に対する反応の仕方に影響を及ぼすことがあるのです。

      うつ病の原因と思われるものを理解しようとすることも助けになりますが,うつ病に悩まされている人にとってもっと切実な問題は,それを克服するために何が行なえるかということです。

  • うつ病と闘う方法
    目ざめよ! 1981 | 12月8日
    • うつ病と闘う方法

      「うつ病の人すべてに運動をさせることさえできれば,そのうちの4分の3は気分が高揚することに気づくであろう」と,ディメリ精神療法センターのアルマンド・ディメリは語っています。重症うつ病ではなく,人が“憂うつな気分”になっている場合については,この意見に同意する人もいます。a 十分の休息や睡眠も肝要です。

      軽度のうつ病患者の中には,自分が特に楽しめる活動に幾らかの時間を取っておくことでよくなる人もいます。洋裁の大好きな一婦人は,「何かを作っていると,とてもうつ病にはなっていられません」と話しています。必要なのは一晩レストランで食事をするとか短い休暇を取るなどの気分転換だけということもあります。

      心の中にあるものを信頼の置ける友人に吐露することは大きな助けになります。しかし,個人的に付き合うにしろ,テレビや映画の画面を介して付き合うにしろ,交わる仲間には注意しなければなりません。気をめいらせるような不平家や人の道徳感覚を損なったり良心を汚したりするような番組や映画は,疫病のように避けることです。―箴 17:17。コリント第一 15:33。

      では,憂うつな気分が長く続く場合はどうですか。

      食べ物が原因ではありませんか

      ご自分の食習慣を注意深く調べてみてください。米国オハイオ州カイヤホーガ・フォールズで主任保護観察官を務めるバーバラ・リード女史は,自分の事務所に送られて来る犯罪者の多くはうつ病の症状を訴える,と「目ざめよ!」誌の編集部員に説明しました。同女史はその人たちの食習慣を調べてみました。その多くは“栄養価の少ないスナック食品”を食べて生きており,朝食を抜いていました。緑色野菜を食べずに幾週間も過ごす人さえいました。より良い食習慣 ― バランスの取れたきちんとした食事 ― と運動のおかげで,気分が良くなった人は少なくありません。「器物破損の罪で逮捕され,うつ病にかかって自分に全く価値を見いだせなくなっていた20歳になる人は,“栄養価の少ないスナック食品”を食べて生きていました」と,リード女史は伝えています。しかし,食習慣が改善され,適切な助言が与えられたところ,憂うつな気分は晴れ,振舞いも改善されました。

      食習慣がうつ病の原因になるかどうかについて,権威者たちの意見はまちまちです。最も優れた食物を取っていても,やはりうつ病になる人はいます。食習慣を改善させても,病状のよくならない人もいます。人は各々異なり,他の人よりも砂糖やカフェインなどの物質に敏感な人はいるでしょう。しかし,バランスの取れた食事を取り,パイや菓子パン,チョコレート,キャンディー,清涼飲料水などを食べたり飲んだりする際に節度を保つなら,うつ病に悩まされている人には大抵良い結果が様々な形でもたらされるでしょう。

      極度のうつ病は身体的な異常の一症状とも考えられるので,精密検査を受けるのも大切です。

      正しい考え方をしていますか

      うつ病の症例すべてが誤った物の見方から発しているわけではありませんが,最近,10年がかりで行なわれた一研究は,うつ病患者がしばしば状況を誤って解釈することを示しています。「うつ病に悩む人が悲しい気持ちになり,孤独感を味わうのは,自分は無力でだれからも見放されている,と誤って考えているからである」と,研究者で精神科医のA・T・ベックは説明しています。聖書も,心でどう感じているかが外部の事柄に対する人の考えに影響を及ぼすことを示して,こう述べています。『艱難者の日はことごとく悪しく 心の喜べる[快活な気質を持つ]者は常に酒宴にあり』。人の毎日が『ことごとく悪しく』なるか,『毎日が酒宴のようになる』かは,かなりの程度,当人の心構えにかかっています。―箴 15:15。

      ですから,うつ病に悩む人は自分の考えを矯正するよう一生懸命に努力し,何を思い巡らすかに注意を払わねばなりません。そうすることは口で言うよりはるかに難しい場合があります。うつ病患者の多くがよく抱く有害な考えの幾つかがわくの中に挙げられています。そのいずれも正しくありません。こうした考えが脳裏に浮かんだら,すぐにそれを消し去るようにします。そうした事柄を思い巡らしているなら,自尊心が損なわれ,うつ病がひどくなるでしょう。

      うつ病には普通,過度の罪悪感が伴うものです。しかし,どんな人でも過ちを犯すことを認めるようにしましょう。詩篇作者は,「ヤハよ,もし,とががあなたの見つめるところであるならば,エホバよ,いったいだれが立ち得るでしょうか」と述べました。だれも立ち得ません。しかし,わたしたちは不注意な間違いや罪に対する真のゆるしをエホバ神から得ることができます。―詩 130:3,4,新。

      物事を成し遂げることの価値

      夫に先立たれて悲嘆に暮れ,その上,自分の家を修繕してくれるという人の約束が果たされないために失望していた一未亡人は,ひどいうつ病になってしまいました。しかしそれから,『修理はそれほど難しくないはずだわ』と考え,一生懸命に働き,間もなく台所の床のタイルを張り替えてしまいました。完ぺきな仕事とは言えませんでしたが,この人は満足感を味わいました。自尊心が高まり,うつ病は跡形もなくなりました。

      だれにでもこのようにできるわけではありません。しかし,ある研究論文によると,極度のうつ病患者の中で,ある種の仕事は成し遂げられないと思い込んでいた人が,実際にはうつ病でない人と同じほど立派に仕事を成し遂げています。

      うつ病に悩む人が成し遂げることのできる事柄は家事だけに限られていません。人を訪問するか電話を掛けるかして人を励ましたり,家族を喜ばせるために何かしたりするのもよいでしょう。

      うつ病に悩むクリスチャンのある婦人は若い女性の所を訪れました。その女性は少し前にひどく殴られ,暴行を受け,刺されていたのです。そのクリスチャンはうつ病でしたが,毎週その女性の所を訪れて,慰めようと懸命に努力しました。その結果,「徐々にでしたが,憂うつな気分を味わわなくなりました。彼女を励まそうとしているうちに,自分の問題を忘れていたのです」とそのクリスチャンは語っています。こうしてこの婦人は,「受けるより与えるほうが幸福である」という,イエスの言葉が真実であることを知ったのです。―使徒 20:35。

      「間違ったことを行なわずに怒りなさい」

      心理学者のディメリは,うつ病の別の要素は怒りに対処することだと述べ,こう続けています。「しばしば起きるのは,理屈に合わないと思えるような理由で,他の人に怒りを抱くことです。それでも当人は,『怒りは悪いことだ』と教えられているので,怒りはよくない,と思っています。そこで,怒りを抱いたことで自分を責め,自分に対して怒りを抱くようになるのです。これが,助けになってくれる人がいないという気持ちと結び付いて,うつ病を生じさせるのです」。

      しかし,怒りをぶちまけるのは危険なだけでなく,研究の示すとおり,うつ病を解消することにもなりません。聖書はこう注意しています。「間違ったことを行なわずに怒りなさい。あなたがたの憤りの上に[あるいは,「あなたがたが怒り立ったまま」]日が沈むことのないようにしなさい」。(エフェソス 4:26,基礎英語聖書。新世界訳と比較してください。)進んで,恐れずに自分の気持ちを言い表わし,率直に,ただし親切に話せば,うつ病に悩む人は平和を促進するような仕方で自分の気持ちを伝達できます。配偶者間ではそうした包み隠しのない意思の伝達が特に肝要です。

      しかし,こうした提案すべてより優れたものがあります。うつ病患者の自殺率は一般の人の自殺率の25倍にもなっているので,これは生死を分けることにもなります。それはどんな提案ですか。

      神との関係と祈り

      重症うつ病に悩む一人の母親はこう告白しました。「引き金を引いてすべてを終わらせることを思い留まらせた唯一のものは,神との関係でした。銃を手にしていましたが,その時エホバ神はそれを離すよう本当に助けてくださいました」。この婦人は自分が医療に反応する状態になるまで,「普通を越えた」力を得て耐え忍んだのです。聖書研究をし,真の友を見いだせるクリスチャンの集会に出席して真の信仰を培い,その信仰が命を救ったのです。―コリント第二 4:7,8。フィリピ 4:13。

      神が助けてくださる一つの方法は,そのみ言葉,聖書の備えです。それは,家族生活をより良いものにする方法,他の人とうまくやってゆく方法,不安や罪悪感を生む行為を避ける方法,そして人生において有意義な仕事や目標を選ぶ方法などを示しています。こうした情報に従って行動すれば,うつ病の原因となるストレスの高じる数々の状況を除くのに役立つでしょう。―コロサイ 3:5-14,18-21。テモテ第一 6:9,10,17-19。

      強い信仰があっても,うつ病患者は神に見捨てられたと感じて,疑いを抱くことがあるかもしれません。しかし,決して祈りをやめてはなりません。ベッドから起き上がるのがやっとという状態が何か月も続くほどの抑うつ状態に陥っていた一人の母親はこう語りました。「毎日,5回も6回も熱烈に祈り,助けを何度も請い求めました。どこが悪いのかを知っていて助けになってくれる医師を見付ける上で適切な導きを与えてくださるようエホバ神に懇願しました。生き続け,これ以上家族に迷惑をかけないように物事をきちんとできるだけの力を祈り求めました」。その粘り強さは報われ,適切な医療を受けて重症うつ病から解放されるところまで忍耐できました。

      「予防が第一」

      「最も大切な助言は,『予防が第一』ということです」と,一人の患者は語りました。でも,どのようにして予防するのですか。簡単な答えも確実な答えもありませんが,一部の権威者たちは次のように提案しています。

      1. 愛,金銭,社会的な地位,権力,薬物などの上に自分の価値感を築いてはならない。さもないと,それを失った場合,破滅的な影響を被ることになる。

      2. 現実的な期待を抱く。最善を尽くすことを目標にはするが,完全主義者にはならない。

      3. 初期の徴候(不安,恐慌状態,集中力の欠如)を識別する。自分の毎日のスケジュールが道理にかなったものかどうか調べる。道理にかなっていなければ調整する。必要な場合には断わることを学ぶ。

      しかし,数多くの個人的な圧力に遭いながら,幾百万もの人々は,「優しいあわれみの父またすべての慰めの神」のご意志とお目的とに関する正確な知識を得ることがうつ病を予防する最大の助けの一つであることを知りました。―コリント第二 1:3。

      [脚注]

      a 重症うつ病に悩まされていた人々の助けになった様々な治療法が今後の「目ざめよ!」誌に掲載されます。

      [8ページの囲み記事]

      人をうつ病にしやすい考え方

      □ 幸福になるためには,どんなことをするにも成功しなければならない。トップに立たなければ,失敗者だ。

      □ 幸福になるには,どんなときにも,すべての人に受け入れられねばならない。

      □ 人間としての自分の価値は,他の人にどう思われるかにかかっている。

      口 愛がなければ生きてゆけない。配偶者(恋人,親,子供)が愛してくれなければ,私には価値がない。

      □ 人が自分と意見を異にするということは,その人が私をきらっているという意味だ。

      □ 自分は非の打ち所のない友人,親,教師,生徒,配偶者であらねばならない。

      □ どんな困難があっても,冷静さを示して耐える力がなければならない。

      □ どんな問題に対してもすぐに解決策を見いだせるようでなければならない。

      □ 決して悪感情を抱いてはいけない。いつも幸福かつ平静であらねばならない。

      □ 疲れたり病気になったりしてはならず,常に最高の能率を保つべきである。

      これは,一部,A・T・ベック医博著「認識療法と情緒障害」に基づいている。

  • 周りの人々が助けになれる方法
    目ざめよ! 1981 | 12月8日
    • 周りの人々が助けになれる方法

      周りの人々がうつ病患者に感情移入をする,つまり相手の立場に自分を置いてみるのは大切なことです。その意味は,次の例から分かります。うつ病に悩む父親は自分の妻に当たり散らしてから,涙ながらに,「こんなふうにするつもりはないんだ!」と言いました。そして,「分かっているわ,あなた」という妻の簡潔で,同情心にあふれた返事に深く心を動かされました。

      精神科の臨床準教授アリ・キーブ博士はこう警告しました。「家族がうつ病を故意の結果,つまりそれを撃退する意欲の欠如ゆえに生じたものと見るなら,患者の失意を増し加え……自殺的な行為を見ることになる」。しかし,同博士はこう加えています。「当人と家族がうつ病を一定の限られた進行経過をたどる病気で,やがて過ぎ去るものとして受け止めるなら,人々はもっとうまくうつ病から脱却できる」。こうした助言は家族にとっても友人にとっても優れたものです。

      『なぐさめのことばをかける』

      重症うつ病の患者数人に,周りの人のどんな言葉が一番助けになったかと尋ねたところ,このような答えが聞かれました。「よく分かります」,「あなたのことをいつも気に掛けているんですよ」,「すぐに元に戻りますよ」,「今日はずいぶん顔色がいいですよ」,「どんなお気持ちかはっきりとは分かりませんが,わたしたちはあなたの味方です」。一人の母親は,「子供たちが,『お母さんがいなくなったら困るよ』と言うのを聞くだけで,腕に注射をしてもらったような気がしました」と書いています。しかし,この母親はさらに,「すでにうつ病にかかっている人に対する不適当な批判の言葉は死をもたらす弾丸のようなものです」とも述べています。霊感による聖書の助言は本当に実際的ではありませんか。聖書はこう諭しています。「憂いに沈んだ魂になぐさめのことばをかけ,弱い者を支え,すべての人に対して辛抱強くありなさい」― テサロニケ第一 5:14。

      周りの人のどんな言葉に傷付けられるのでしょうか。その幾つかは次のとおりです。「おかわいそうに」,「注意を引きたいだけだ」,「自分を哀れんではいけない。もっと病気がひどくても泣いたりぐちを言ったりしない人がいる」。こうした発言がうつ病の人をどんな気持ちにさせたか考えるとよいでしょう。「剣で突き刺すかのように無思慮に話す者がいるが,賢い者たちの舌は人をいやす」。(箴 12:18,新)うつ病の人を傷付ける,つまり「突き刺す」つもりはありません。概して話す前に考えなかっただけなのです。

      精神障害者と20年以上接してきた一心理学者は勧めます。「うつ病の人はすでに自分のことを腹立たしく思っています。当人のすることをいちいち正して,罪悪感を深めさせてはなりません。『そんな考えは振り払ってしまえばいい』と言う代わりに,『本当に大きな問題のようですね。お気持ちを十分には理解していないのですが,理解したいと思います。お力になれたらと思うのですが』と言うのです。誠実な関心を示すようにします。そうでないと,人はすぐ気が付くものです」。

      心からのほめ言葉を述べる機会を求めるようにします。ばく然としたものではいけません。「子供たちをこんなに立派に育て上げたではありませんか」,「他の人をくつろがせるのがお上手ですね」などのほめ言葉です。当人が自尊心を回復できるよう助けます。しかし何よりも……

      良い聴き手になりましょう

      普通,うつ病の人は言いたいことが沢山あるのに,言うだけの価値がないと考えているものです。関心を持って自分の問題や気持ちを聞いてくれる人などいない,と思うかもしれません。数年にわたって,度々うつ病に悩まされてきた27歳の一婦人はこう語りました。「話を聴いてくれる人がだれか必要でした。お説教をして,私がわざとこのようにしていると思わせるような人ではありません。私の問題は作り事ではありませんでした」。

      死にたいと思ったこの若い婦人はさらにこう述べました。「自分の心を本当に打ち明けられる友人が二人いました。自分で自分の気持ちが十分把握できませんでしたが,この話し合いは本当に助けになりました」。ですから,うつ病の人がその気持ちを“ぶちまけ”られるようにすることです。当人の言う事すべてを裁く必要はありません。極端に思えるような事を言うかもしれませんが,大抵,そんな事を言うつもりはないものです。しかし,良い聴き手になって個人的な信頼を得るなら,一歩一歩,優しく言って聞かせることにより,その考えを正せるでしょう。―マタイ 7:1。

      『弱い者を支える』

      「友は助け,他人は哀れむ」という英語のことわざがあります。身近な人にうつ病患者がいれば,誠実な友人や家族の者は事情が許すなら当人を支えるための手を打つでしょう。エホバの証人の会衆には霊的に資格のある人がいて,うつ病の人にしばしば大きな助けになってきました。うつ病の人には,感情移入の伴うその愛ある援助を求めるよう招待が差し伸べられています。患者の一人は,「私は助けを求めるのにやぶさかではありませんでした」と告白しています。―ヤコブ 5:14,15。

      事態に応じて,できる事は沢山あります。うつ病の人が眠れないなら,一緒に起きていてあげます。食べようとしないなら,無理に食べさせるのではなく,おいしく調えられた栄養のある少量の食べ物で食欲をそそります。運動をしないなら,散歩に連れ出したり,体を動かす,汗をかくような活動を一緒に行ないます。そのようにして,うつ病の人を助けるのは容易ではないでしょう。

      ある寛大な婦人は極度のうつ病患者幾人かを援助しました。よくなるまで一緒に住むようこの婦人に招かれた一人の人は,ひどい状態でした。ドーリーンはこの若い婦人に非常に優しく,「コートを着て,帽子をかぶって,ブーツをはきましょう」と言いました。しかし,「散歩したくないわ」という答えでした。ドーリーンはこう話しています。「そこで,優しく,でもき然として,『いいえ,行くのよ。仕度をしましょう』と言いました。彼女は散歩に行き,一緒に4マイル(約6.4㌔)歩きました。帰宅したとき,彼女は疲れていましたが,よい気分になっていました。体を動かす運動がどんなに役立つか,やってみるまでだれも信じません。やってみて分かるのです」。

      支えになるとは,ひどいうつ病に悩む人がきちんとした専門家の援助を得られるよう助けることをも意味します。重症うつ病の場合,この病気を治療するため特に訓練を受けた人の助けが必要でしょう。現在では様々な治療を受けられます。

      うつ病の人が報告してきた,助けになる他の幾つかの行為には次のようなものがあります。「余り多くの人を呼ばない。他の人々に,不必要な雑音 ― 大きな音の音楽など ― を立てさせないようにする」。「誠実な関心から他の人々が短い時間訪問するのはよいことです」。「家族が私のことをよく顧み,定期的に電話を入れ,外出させてくれ,時には着替えを手伝ってくれることもあります」。

      それは大抵,近くにいて,愛を示すだけのことです。かつてうつ病だった一婦人は,「ひどい悪夢に捕らわれた」ような9か月を切り抜けるのに何が役立ったか話しています。ある時,ご主人に泣きながら,「もう耐えられない。よくはならないわ。どん底まで落ち込みそう」と言ったところ,ご主人は「どん底だろうと何だろうと,僕はお前と一緒だよ」と優しく答えました。このことを思い起こし,婦人は,「一言で言えば,主人はいつもそばに居てくれたのです」と語っています。

      確かに,慰めの言葉と聴く耳をもって真の支えになることこそ,周りの人が「憂いに沈んだ魂」に与えることのできる最も優れた援助なのです。

  • 完全な解決 ― それは可能ですか
    目ざめよ! 1981 | 12月8日
    • 完全な解決 ― それは可能ですか

      「不可能だ!」と言う人もいます。「うつ病を地球から一掃するには大々的な変化が求められる。うつ病は幾千年も前からあるし,これから先もずっと人類に付いて回るように思える」。

      うつ病の原因となる状況を幾つか考えてみましょう。圧制的な環境,人間関係で生じる摩擦,生活状態の悪さ,内面的な弱さや罪悪感や病気などがあります。このすべてを正せる見込みは皆無のように思えます。

      心温まる約束

      聖書は,神がその栄光を受けたみ子イエス・キリストを天の王として用い,今日のうつ病を引き起こす環境を取り除かれることを約束しています。聖書は預言的にこう述べています。「彼[神の王]が……だまし取る者を砕きますように。それは,助けを叫び求める貧しい者,また,苦しんでいる者や,助け手のない者を,彼が救い出すからです。彼は立場の低い者や貧しい者をふびんに思い……虐げと暴虐から彼らの魂を請け戻し……ます」― 詩 72:4,12-14,新。

      苛酷な行為や無感覚さや圧制などを助長してきた邪悪な体制は永久に消え去ります。そうした解放のことを考えてみてください。それだけでなく,聖書は内面的な圧力からの解放をも約束しています。罪と不完全さの影響は徐々に消え去ってゆくでしょう。(ローマ 8:20-22。啓示 21:3,4)うつ病をも含め,病気や疾患は消え失せます。その時,どのようにして生きるかを定めた神の規準に完全にかなった生き方ができるようになるので,罪悪感を抱いたり自分には価値がないと考えるのではなく,自尊心を抱けるようになります。人間関係は十分な理解と愛を反映したものとなります。

      聖書のほかの様々な預言はすでに正確に成就しています。最近の出来事は,2,000年近く前に書き記された聖書預言を成就するものです。(マタイ 24:3,7-14。テモテ第二 3:1-5)この一連の記事の中ですでに言及した聖書の実際性は,偉大な知恵を示す証拠となっています。こうした言葉はわたしたちの造りの感情的な面も身体的な面も本当によく知っておられる源,すなわち神から出ている,と考えるのは道理にかなったことではありませんか。

      200以上の土地に住む幾百万もの人々は,神のこうした約束が間もなく実現することを確信しています。極度のうつ病に悩まされている間でさえ,この希望はそうした人々を力づけます。「こうした問題がやがていつの日か終わることを知り,『新しい地』に行き渡るすばらしい状況について考えることにより,耐えてゆくことができました」と,うつ病と長い間闘って耐えてきた一人の人は語っています。―ペテロ第二 3:13。

      この確信に,わたしたちの振舞いについて聖書の述べる事柄を当てはめようとする誠実な努力が加わって,永続的な幸福がもたらされます。そのような確信を抱くためのお手伝いができれば,それはエホバの証人にとって願ってもないことです。エホバの証人は,あなたが神に一層近づけるようご援助いたします。その神は,「謙遜な者の霊を生き返らせ,痛みを味わっている者の心を生き返らせる」ことのできる方であると述べられています。―イザヤ 57:15,ラムサ訳。

日本語出版物(1954-2026)
ログアウト
ログイン
  • 日本語
  • シェアする
  • 設定
  • Copyright © 2025 Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania
  • 利用規約
  • プライバシーに関する方針
  • プライバシー設定
  • JW.ORG
  • ログイン
シェアする