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病気がなくなる時は近づいていますか目ざめよ! 1983 | 12月22日
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病気がなくなる時は近づいていますか
「近い将来に我々が解決できない医学上の問題はないと思う」。
こう語ったのは,世界の指導的な科学者の一人で,ニューヨーク市にあるスローン・ケタリングがんセンターのある研究者です。その研究者は世界初の骨髄移植に成功したところでした。この手術によって,白血病,血友病,鎌状赤血球貧血,ホジキン病など,命取りになることが多い血液の病気を調べる道が開かれました。
「わたしは病気だ」と言う居住者のいなくなった地を心に描くには早過ぎたでしょうか。(イザヤ 33:24)科学者のロバート・グッド博士は,今や医学における革命が始まったと信じていました。それは1975年のことでした。病気がなくなることを予言したのはグッド博士一人ではありませんでした。
それより2年前,CDC(米国立疾病対策センター)の流行病の専門家たちは大きな喜びに包まれていました。予期されていた風疹の流行を医学者たちが阻止したからです。CDCのジョン・ウイッテ博士の話によると,5歳から9歳までの子供たちに,効力の著しい新しいワクチンを接種して免疫性を与えることにより,風疹の流行を防いだのです。得られた免疫の程度は75ないし80%でした。
米国では6年から9年ごとに風疹が繰り返し大流行したものでした。1964年に生じた風疹の最後の大流行をもとにして考えるなら,何万という人々がこの疫病から救われたことになります。1964年から1965年にかけては,先天性欠陥,死産,治療的流産など,いずれかの形で風疹による悲劇が5万件も生じました。しかし1970年には,胎児期に風疹にさらされたことに起因する異常児は77件報告されたにすぎません。1971年にはわずか68件,1972年には33件でした。
ある新聞は,「ついに発生しなかった疫病」という見出しを掲げてその勝利をたたえました。その後,突然,国中が別の疫病の恐怖にとらわれました。つまり1976年に生じた“ブタ・インフルエンザ”の脅威でした。新聞によると,その新しいインフルエンザのウイルスは,1918年から1919年にかけて2,160万人の命を奪ったスペイン風邪のウイルスに似ているということでした。大統領と米議会は,全国民に接種する無料の血清を生産すべく,直ちに1億3,500万㌦の支出を認可しました。疫病の流行はありませんでした。
その同じ年に,人を醜くし,失明させ,また殺す,人類の苦しみの種であった天然痘は,もう少しで地球上から撲滅されるところまできていました。WHO(世界保健機関)の9月の報告によると,天然痘患者として知られていたのは,エチオピアの砂漠の中の辺ぴな村に住む7人の人だけになっていました。わずか9年前までは,1,000万から1,500万の人々が天然痘にかかり,43か国で200万人の人が死亡しました。しかし1980年までに同機関は,確信を持って,「天然痘は絶えた!」と発表することができました。
命取りになる他の疫病も征服できるか
1977年に米国は七つの小児伝染病を撲滅するという目標を立てました。攻撃を開始したのは全国的に行なわれた幼時免疫運動でした。CDCの報告によると,それから5年の間に,国内の子供たちの少なくとも90%が免疫性を与えられました。そして1982年の5月7日にCDCはかなりの成果を発表しました。はしかの罹病率は77%の減少,おたふく風邪は45%,小児マヒは25%,風疹は47%,破傷風は37%の減少を見ました。ジフテリアや百日ぜきの減少も記録的なものと言っていいほどでした。
医学は多くの分野で,苦しむ人類の希望を高めつつありました。新しい抗生物質,ワクチン,精神障害を治療するための薬,新しい処置法 ― 補綴外科(人工物による欠損部修復),顕微鏡外科,臓器移植 ― など,医学の進歩は,寿命を延ばし,少し前までは夢想だにしなかったところまで生活の質を向上させることを約束していました。
メリーランド州立大学のT・アルバート・ファーマー2世博士は,1981年に次のように語りました。「20年前,15歳未満の子供の白血病患者の5年間生存率は1%未満だったが,今日では半数以上をいやすことができる。15年前,卵巣の絨毛膜ガン腫の死亡率は100%だったが,今日では治癒率のほうが100%に近くなっている」。
博士はさらに,「1960年代の半ばまでに我々は小児マヒを事実上撲滅した。また精神に作用する薬剤を導入して,多数の人々が入院しなくてもすむようにすることができた」と付け加えています。
スローン・ケタリングの科学者の予言は多くの点で真実のように見えました。しかし他の命取りの病気はどうでしょうか。「発作,心臓病,ガン,バクテリアやウイルスによる病気,種々の先天性欠陥なども,同じ科学革命によって……消滅する」というグッド博士の輝かしい保証にあずかる理由はなかったのでしょうか。
病気に対する人間の勝利 ― それはついに実現の兆しが見えてきたのでしょうか。
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医学が直面している事柄目ざめよ! 1983 | 12月22日
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医学が直面している事柄
米国は1970年代に国立衛生研究所を通して200億㌦以上を病気の研究につぎ込みましたが,その3分の1はガンの研究に充てられました。どんな結果が得られたでしょうか。1978年に米ガン協会は,過去25年間に肺ガンが約200%増加したという不気味な警告を発しました。その原因はおもに喫煙と考えられていました。科学が直面している問題の一つの非常によい例はこれです。つまり人間の生活様式が,医学では扱いきれない大きな問題を生み出したということです。
「原因は分かっていない」。200億㌦をかけたこの撲滅運動が終わった時にさまざまな報告がなされましたが,その多くがこの文で終わっているということは,医学の前に別の障害物が立ちはだかっていることを強調しています。多発性硬化症,筋ジストロフィー,脳性小児マヒ,嚢胞性線維症,そして普通の風邪でさえ,いまだにその秘密を明かそうとしません。一部の伝染病に対する闘いは概して良い成果を上げました。もっともこの分野でも,抗生物質の使い過ぎや誤用に起因するさまざまな問題がありました。
さらに医療上の事故が加わり,医師の問題は増えました。例えば,US・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌によると,「病院で輸血することが多くなり,薬物を乱用する風潮がちまたに広がっている」ために,血清肝炎が大幅に増加しました。
同誌はまた,「かつては征服されたと考えられていた性病が恐ろしいほどに勢いを盛り返している」とも伝えています。他の報告もこれを証明しています。CDCの報告によると,アメリカでは1980年に梅毒患者が33.4%増加しています。バクテリアによる病気の中で人間が最もよくかかる病気は淋病であるとニューヨーク・タイムズ紙は伝えています。「全世界で毎年推定1億人がこれにかかる」ということです。
しかし,アメリカ医師会ジャーナル誌の報告によると,別の性病でクラミジア感染と呼ばれている,診断の非常に難しい性病は,「淋病よりも約50%多い」ということです。そして,陰部ヘルペスは現在のところ不治と考えられており,その脅威にさらされている,フリーセックスを楽しむ人々の社会にはショックの波が広がっています。人々の生活様式は確かに,この地球から病気を取り除くという目標を目指して進む医師たちに問題をもたらしています。
地球上の他の地域
西欧では,500人につき医師は約一人です。しかし,最も理想的な状態にあるところでさえ,人々の生活様式が,地球から病気をなくするという科学者の夢をざ折感に変えてしまいます。しかし,ほとんどの人が非常に貧しくて医師にかかることなどあまりない国々ではどうでしょうか。科学者たちはそういう国々でも成功を収めています。天然痘が征服されてそのおかげを大いに被ったのは貧しい国々でした。
しかし勝利は少なく,志に反する事柄は数限りなくあります。広大なアフリカ大陸では,住民の80%が田舎に住み,多くは不安定な政情のもとで生活しています。世界保健機関によると,非常に多くの保健計画が立てられますが,実施されるものはごくわずかだということです。人口5,000人につき約一人の医師しかおらず,何百万もの人々が栄養失調にかかり,貧しく,無知で,迷信にとらわれていますから,大規模な国際的救援努力さえも,アフリカの最大の敵である病気を抑えることができません。
1億人ほどのアフリカ人はマラリアにかかっており,大陸の人口の約4分の1は眠り病をわずらっています。一つの地域で1,000万人の人が,ブユの媒介するオンコセルカ症の脅威にさらされています。らい病患者は少なくとも170万人はおり,コレラにかかる人も沢山います。5歳未満の子供たちの半数,そして他の年齢層の何百万もの人々は小児マヒ,脳脊髄膜炎,結核,腺ペスト,ハシカ,住血吸虫病その他の病気,そしてこれらに伴っておこる他の病気に命を奪われます。
制御できない一番もとの原因
先進国であろうと発展途上国であろうと,医学は実際手に余る問題に直面しています。根本的な原因は研究室の外にあり,社会,政治,経済,環境とかかわりを持っています。医師たちは,多くの病気の原因 ― 一番もとの原因 ― を変革するための錠剤はほとんど持っていません。外科用道具となればその数はますます少なくなります。
例えば,人類学者であるカリフォルニア大学のR・D・マッククラッケンは,穀類,芋類,精糖などに含まれる炭水化物は,「糖尿病,心臓病,卒中,精神分裂症,アルコール中毒,そしてもしかしたらある種のガン」などの現代病において主要な役割を演じていると信じています。最も悪い食物は,精製された,あるいはそれに近い砂糖であると信じています。「200年前,英国における一人当たりの1年間の砂糖消費量は7.5ポンド(3.4㌔)ほどであった。現在は120ポンド(54.5㌔)である」と,マッククラッケンは述べています。
裕福な国々で,非常に多くの人が変性の病気で死ぬようになったのは前世紀あたりからである,とマッククラッケンはアメリカ人類学協会の集会で行なわれたインタビューで強調しました。古代人は現代人よりもある面で健康であったという興味深い解説も行なわれました。
病気の地雷
潜在する疫病は,人の目につかない地雷に似たところがあります。進んだ国であろうとなかろうと,全く予期しない方法で爆発します。例えば,寄生虫による病気などは,生活水準の高い国でも襲う場合があります。一部の医師も含めて非常に大勢の人が,そんな病気は問題ではないとか,もうないとさえ考えているためです。CDC寄生虫病部門のミュロン・G・シュルツ博士は,マラリアについて,1940年代にアメリカから根絶されたはずの病気であると述べています。しかしマラリアは常に発生しています。「アメリカ人はマラリアに対して完全に免疫のない状態である。病気を広める可能性のある蚊は国内にもいる」と,シュルツ博士は警告しています。
加えて,先進国は輸送機関が発達しているために,地球のどんな片すみに発生した疫病にでもかかりやすい状態にあります。英国のリバプール熱帯医学大学のブライアン・マエグレース教授は,王立医学協会のシンポジウムで,「今日英国にいる人が……西アフリカでひどいマラリアにかかってその日に帰国するということもあるかもしれない」と述べました。
「我々は自分で自分の命を絶とうとしている」
しかしすべての事柄をよく考えてみるなら,人類が経験する苦悩のほとんどは人類が自ら招いたものです。心臓と運動の専門家であるケンネス・クーパー博士は,「我々は自分で自分の命を絶とうとしている。しかしそんなに急いで死ぬ必要はない。死の五大要因は皆ある程度予防することができる」と述べました。
心臓や肺を強くするためのエアロビック運動を考案したクーパー博士は,「体重,食事,運動を適切なものにし,そしてたばこを避けるなら」殺し屋の筆頭である心臓病は「避けられる」と述べています。2番目は肺ガンで,この原因による死の88%は喫煙歴と関連があります。3番目の殺し屋である自動車事故によるけがは,― 全国安全協会によると ― もしすべての人がシートベルトを着用すれば大幅に減らすことができます。4番目の肝硬変症は肝臓病で,多くの場合アルコールが原因です。そして5番目の卒中は,肥満,つまり太り過ぎと関係があります。「5,000万人のアメリカ人は合計10億ポンド(約4億5,300㌔)太り過ぎである。肥満は高血圧と関連があり,高血圧は卒中の原因になる」とクーパー博士は言います。
胃病や腸の出血,肝硬変などで入院する患者100人のうち少なくとも25人が抱えている問題の一部はアルコールの乱用です。米国では毎年5万人が自動車事故で死亡しますが,その半数以上が飲酒運転です。ヘロインの犠牲者も何十万にも上ります。ヘロインはニューヨーク市では若者の死の大きな原因となっています。大抵はバルビタール系薬剤ですが,睡眠剤の中毒にかかっているアメリカ人は100万を超えます。そして毎年約80億個の覚醒剤(アンフェタミン)が服用されます。5,000万人のアメリカ人が1年にたばこに費やす額は80億㌦(約1兆9,200億円)です。そのために多くの人が心臓病や肺ガンで死にます。殺し屋の筆頭は不摂生です。
したがって,たとえ医療費の問題がなくても,医師が近くにいてだれもがすぐに診てもらうことができても,病気の外的原因になる人口過剰や環境汚染その他すべてのものが取り除かれたとしても,ある医師が言ったように,「我々が自分を病気にするために……それどころか殺すために執ように追求する無数の方法」は依然として残るでしょう。
寿命はどこまで延ばせるか
しかし,仮に人々が自らを損なう事柄をすべて捨てたとしましょう。現在見られるような,自分が作り出す死因の主なものをすべて取り除いたならどうなるでしょうか。努力すればわたしたちはどれほど長く生きられるでしょうか。その時医学者の夢は達成されるでしょうか。
動物学者のジェームズ・ギーセルは,それは望めない,と言います。人間の寿命は幾年か延びるかもしれないが,ほかの病気がより強力な殺し屋になるだけのことであると考えています。高齢の人々の抵抗力は絶えず弱まってゆくでしょう。「そして肺炎やインフルエンザのような病気で死亡するだろう」と博士は言います。なぜでしょうか。一つには,老化自体が理解されていないからです。ギーセルは,「近い将来平均寿命を大幅に延ばすとか,老化を遅らせることができるような見込みは薄い」と結論しています。
人々が健康であるためには,霊的に価値のあるものを何よりも重要視する生活様式が求められます。この事実は2,000年ほど昔に認められていました。使徒パウロは,退廃的なローマ帝国に住んでいたクリスチャンたちに,『敬虔な専心はすべての事に益があります。それは,今の命と来たるべき命との約束を保つのです』と励ましています。―テモテ第一 4:8。
そして老齢と死を征服することについて言えば,それは『神の天幕が人と共にある』ようになって初めて実現することです。「もはや死はなく」という畏怖の念を呼び起こす言葉に約束されているように,『彼らの目からすべての涙をぬぐい去る』ことができるのはエホバ神だけなのです。―啓示 21:3,4。
[9ページの囲み記事]
陰部ヘルペス
何をするのがよいか,何をしないのがよいか
ヘルペスとは? ヘルペスはバクテリアではなくウイルスによっておこる病気です。単純性ヘルペスの1型はふつう口の周りに口唇ヘルペスをつくります。単純性ヘルペスの2型は性器やその周囲に生じるのがふつうです。たまに1型が陰部に,2型が口にできることもあります。
どのように見分けるか。陰部ヘルペスかどうかは,医師が実験室で試験してみなければ確かには分かりません。他の病気と混同されることもあります。
どのように広がるか。便座や浴槽などではうつらないと医師たちは考えています。うつるのは患部に実際に触れるときです。口唇ヘルペスは,伝染性のウイルスが活動している時に触れたり,キスしたりすると広がる恐れがあり,陰部ヘルペスの場合は,陰部とのどんな形の接触によっても広がる可能性があります。
どんなときに伝染しやすいか。どちらの型も,患部が完全にいえるまではいつでも伝染します。
危険? 幾つかの危険があります。(1)ヘルペスは接触によって新しい箇所に広がる恐れがあります。ですから患部に触れた手で,目,鼻の粘膜,性器など,体のうつりやすい部分に触れないようにしなければなりません。もし目まで感染が広がれば目がひどくかぶれます(ヘルペス性角膜炎)。(2)陰部ヘルペスのある妊婦は,それがない妊婦よりも流産しやすいでしょう。(3)陰部ヘルペスのある婦人が子宮頸管のガンにかかる可能性は,陰部ヘルペスのない婦人の5倍から8倍です。(4)ひどい陰部ヘルペスにかかっている母親から生まれた新生児は感染する危険があり,感染したえい児は半数以上が死亡するか,または大きな害を受けます。
治療法? 不快感を取り除きほかへの伝染を防ぐように努力する以外には,医師にもほとんど打つ手がなく,陰部ヘルペスの治療法は分かっていません。専門家たちは,石けんと水,あるいはブロー液[酢酸バンド液]や瀉利塩など,痛みを和らげるもので体を洗うことを勧めています。
注意: 米保健福祉省発行の小冊子には,「効果のない治療を行なって体を害さないように」という注意があります。そしてこの小冊子は効果のない治療法(ある治療法は有害かもしれない)を列挙していますが,他の病気のためのワクチン,免疫性を与えるための刺激剤,抗ウイルス剤,エーテル,ビタミン,ミネラルなどもそのうちに数えられています。「宣伝されている治療法」は沢山ありますが,CDCの性病部門のウイリアム・ホワイティングトンはそれらについて,「みな効き目がない」と言っています。
[6ページの地図]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
アフリカでは医師は5,000人につき一人米国では500に一人
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過去25年間に肺ガンが200%増加した。主な原因はたばこ
[7ページの図版]
精糖を摂り過ぎると健康を害する恐れがある
すべての人がシートベルトを着用すれば,自動車事故によるけがは大幅に減る
[8ページの図版]
4番目に強力な殺し屋は肝臓病で,アルコールが原因である場合が多い
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人間の病気は果たしてなくなるのでしょうか目ざめよ! 1983 | 12月22日
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人間の病気は果たしてなくなるのでしょうか
医学は非常に進歩していますが,医学が人類から病気を取り除くまでにはまだほど遠いことは明らかです。これは,病気がなくなる時は来ないということでしょうか。決してそうではありません。ただ,別のところに目を向けなければならないというだけのことです。
イエスは地上におられた時,病気の問題に対処する別の方法を示されました。イエスは医師ではありませんでしたが,記録には,「イエスは彼らを親切に迎え,神の王国について話しはじめ,また治療を必要とする者たちをおいやしになった」とあります。―ルカ 9:11。
イエスはどのようにして人々をいやすことができたのでしょうか。そのいやしは神の力によりました。「彼がいやしを行なうようにエホバの力がそこにあった」とあります。(ルカ 5:17)その同じ力が,すべての病気がなくなるのを見る希望をわたしたちに与えてくれるのです。
そのいやしはどのようにして行なわれるか
神は新しい霊的権威である「新しい天」と,清められた地的社会である「新しい地」をもたらすことを意図しておられます。(ペテロ第二 3:13)この霊的権威が「神の王国」で,イエスが人々に教えたものです。この王国は神の力により,イエスが当時の病人をいやされたのと同じように,ついには人間の病気すべてをいやすのです。ですから,『「わたしは病気だ」と言う居住者はいなくなり,その地に住んでいる民は,自分のとがを赦された者たちとなる』のです。―イザヤ 33:24。
いつ,そしてだれがいやされるか
そうなるのはいつのことでしょうか。遠い先のことではありません。今のところはまだ医学に頼って幾らかでも病気の苦痛を和らげてもらわなければなりません。しかしイエスは,この古い,病気に悩まされている社会の最後の世代をしるしづける事柄について一連の預言をされました。(ルカ 21:10,11,25,26)それらの預言は皆,今世紀になって事実となりました。したがって,このあとに続く次のイエスの言葉も,現在事実となっていると言えます。「あなた方はまた,これらの事が起きているのを見たなら,神の王国の近いことを知りなさい。あなた方に真実に言いますが,すべての事が起こるまで,この世代は決して過ぎ去りません」― ルカ 21:31,32。
神の王国の支配下でこのような病気のない世界を楽しむのはだれでしょうか。それは今その王国に服従する人々です。それでわたしたちは次のように勧められています。「あなた方は,聖なる行状と敬虔な専心のうちに,エホバの日の臨在を待ち,それをしっかりと思いに留める者となるべきではありませんか」― ペテロ第二 3:11,12。
その間わたしたちは,終わりに近づきつつある,病気や他のいろいろな問題を抱えた古い秩序を生き残るために,何をすることができるでしょうか。イエスは次のように助言されました。「食べ過ぎや飲み過ぎまた生活上の思い煩いなどのためにあなた方の心が押しひしがれ,その日が突然,わなのように急にあなた方に臨むことがないよう,自分自身に注意を払いなさい。それは,全地の表に住むすべての者に臨むからです。それで,起きることが定まっているこれらのすべての事を逃れ,かつ人の子の前に立つことができるよう,常に祈願をしつつ,いつも目ざめていなさい」― ルカ 21:34-36。
そのようにして『いつも目ざめている』人々は,すべての病気がなくなる時を本当に期待することができます。
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