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ミンダナオ島の海のジプシー目ざめよ! 1976 | 2月8日
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ています。それによると,バハウ族の間の結婚は早く,13歳から14歳になるともう結婚します。女性のほうはもっと早いこともありますが,性関係を持つことは,適齢期になるまで家族が許しません。結婚の相手は前から決まっています。それは親が選んだ人です。
結婚式はいつでも長の家で行なわれ,「祭壇の月」である10月と11月の,特に満月の日には,非常にたくさんの結婚式が挙げられます。結婚式の予備行事には伝統的な花嫁の沐浴,つまり「ブライダル・シャワー」も含まれます。イマムすなわち原住民の神官が花嫁の沐浴の儀式を執り行ない,一人の少女が,房のついた傘を花嫁の頭上に差し掛けて神官を助けます。祈りが朗唱され,水が注がれ,儀式的な踊りが行なわれます。
結婚式の日に花婿が花嫁の家の入口に近づくと,二人を祝福する爆竹が鳴らされます。香の煙の立ちこめる中で最初の儀式が始まります。次に神官は花婿を祝福し指輪を渡すように言います。すると仲人が花嫁のところへ急いで行って,その人を正式に夫とするかどうか尋ねます。もし夫とする,という答えであれば,花婿の指輪は花嫁の指にはめられます。次に花婿はそのことを知らされ,こんどは自分が,夫の責任をすべて引き受けるかどうか聞かれます。もし引き受けるということであれば神官は花婿を花嫁のところへ導き,花婿の手を取って花嫁のひたいに当てます。これで結婚は成立し二人は夫婦になります。
結婚式は費用のかからないものです。それは珍しくぜいたくなのではなくて,珍らしくつましいものです。パヌロング,つまり結納を納めることもありません。食事も出しません。招待状は出しますが,それも水上パレードに参加するよう招待するだけで,ひろう宴への招待ではありません。このパレードは結婚式の前に始まります。式を予告するクリンタングaの鳴りひびくなかで,舟が部落中を回り,次々とお客を拾っていきます。式が成功したかどうかは,その部落や近隣の部落,また遠いところの部落の,社会的地位の高い人々が出席したかどうかによってはかられます。
離婚は日常茶飯事で,わずか16歳か17歳の少女でも,13回くらい結婚しているかもしれません。二週間くらいで岩にぶつかる結婚もあれば,一,二か月続く結婚もあります。破たんをきたす理由は,怠惰,妻を養う能力が夫にない,妻の財産を利用する,精神的・肉体的残虐行為その他様々です。
不確実な将来
20世紀の進歩にもかかわらず,そして政府がより深い注意を払っているにもかかわらず,バハウ族は滅びつつある種族です。無知,病気,栄養失調といった厳しい現実が常にこの人々を悩まし,多くの命を奪うのです。この特異な,水上を流浪する生活様式の最後の要塞であるタウィタウィやシタンカイにおいてさえ,この種族特有のとらえどころのない文化は徐々に崩壊しており,幾世紀もの間彼らの風習と伝統を保存してきた,外界に対する抵抗という城壁も次第にくずれつつあります。バハウ族の若い世代は文明化しています。彼らの世界である海,絢爛豪華な日没,飛翔する海鳥,水平線の果てしない青さは残るでしょう。しかし,海上での彼らのこのそぼくで落ち着いた,気どらない生き方の美しさは,まもなく永久に消え去ることでしょう。
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財政難にあえぐ日本の都市目ざめよ! 1976 | 2月8日
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財政難にあえぐ日本の都市
● 都市の財政難は西欧世界に限られた問題ではない。英字読売新聞によると,日本では643の都市が「破産寸前の状態」にあり,そのおもな理由は,地方公務員の給料の急上昇と社会福祉費の増大にある。昨会計年度に財政危機市政の一覧表に加えられた都市は,その前年に加えられた数の二倍であった。
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