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  • 薬剤の乱用問題はあなたとあなたの近隣にどのような影響を与えるか
    目ざめよ! 1974 | 2月22日
    • あいだに,わたしは実に多くのことを学んだ』。

      ヒリジェストはさらに語ります,『麻薬などの生活に落ち込んでいる子どもはせいぜい一割ぐらいだろうと思っていた。ところが,ずっと見てゆくうちに,ほとんどすべての人の子どもが,おそらくは八割までがそれに陥っているように思えた』。アーチボールドが述べたとおり,「裏通りに行けばある」のです。

      しかし,薬剤の乱用はただアメリカだけの問題ですか。他の国の場合はどうでしょうか。

      世界に広がる薬剤の乱用

      国連のクルト・ワルトハイム事務総長は述べました,「薬剤の乱用は……さらに広がって,新しい様相を帯びている。幾つかの国では,国家的な非常事態とも言える段階に達している」。1972年11月22日付の,医療関係の新聞メディカル・トリビューンは,「世界じゅうの子どもの間に広がる麻薬類の常用」という見出しを掲げました。

      麻薬類の不正使用は英国における特別の問題となっています。ロンドンのデーリー・メイル紙は,「今日,麻薬類の不法な使用はほとんど制御しきれない状態に達している」と伝えました。全英麻薬中毒予防協会会長H・デイル・ベケット博士は語りました,「英国全体を通じて,麻薬類の実験的な使用がなされない学校はまずないであろう」。

      オーストラリアにおいても同様の事態が見られます。同国の関税担当国務大臣D・L・チップは述べました,「今年十代に入る子どもを持つ人に対しては,18歳になるまでにその子どもはなんらかの麻薬その他の危険な薬剤を提供されることがあるだろう,という点を保証できる」。

      カナダ,オンタリオ州のスペクテイター紙は,「ヘロインの疫病的脅威 ― 全国的な話し合いも」という見出しをのせました。カナダ西部のブリティッシュコロンビア州では,不法なヘロイン市場が同州の十大産業の間に広がっていると言われます。ヘロイン中毒が広範に及んでいるため,バンクーバー市の市長は,「これを一掃するためには軍隊が必要であろう」とさえ語りました。

      こうした傾向は次々と他の国に波及しています。巨大な醜い高潮のように,薬剤乱用の波は世界のあらゆるところに押し寄せています。

      背後にはどんな理由があるのでしょうか。人々はなぜ麻薬類を乱用するのですか。その危険は実際のところどれほど大きいでしょうか。

  • 人々が麻薬類に頼るのはなぜか
    目ざめよ! 1974 | 2月22日
    • 人々が麻薬類に頼るのはなぜか

      人々がなぜ麻薬類に頼るのかという点について,単純な答えはありません。人が薬剤を,特に麻薬類を乱用することの背後には人それぞれの理由があると,その道の専門家たちは見ています。しかし,この問題の背後には一つの基本的な理由があります。

      それは,そうした目的の薬剤があまりに容易に手に入るという点です。例えば,バルビタール系の薬剤だけでも年間525トン以上が米国内で生産されています。国民は,その多くを,医師の処方に従って消費しています。ミッチェル・S・ローゼンタル博士は,1971年中に,「[米国内の[すべての男女子どもの感情をまる一か月のあいだ“高進”させたり,“抑制”したり,あるいは“それから脱却”させたりする」に足るだけ向精神薬が医師たちによって処方された,と語りました。

      しかし,これら“合法”の処方薬が危険なのですか。これらが現在の薬剤乱用の危機を導いたのですか。

      医療に用いられる麻薬

      バルビタールは一種の鎮静剤であり,医師たちはこれを催眠薬として広く用いています。バルビタール系の薬剤は全部で26種類ほど知られています。事実上それらはみな合法的な製薬会社によって作られていますが,生産量のかなりの部分は不法なルートに流れます。市街において,バルビタールの錠剤は“ダウナー”もしくは“レッド”と呼ばれます。これの引き起こした問題があまりに大きくなったため,当局者は,1972年を,「ダウナーの年」と呼びました。

      就眠のためにこの薬剤を習慣的に使うと中毒症状が起きるようになります。また,ただ“スリルや快感”のためにこの薬を乱用して中毒になる人も多くいます。米国にはバルビタールの中毒者が百万人ほどいると言われます。中毒者とは,薬のきれたときの苦しみを除くためにさらに薬を必要とする人のことです。バルビタールの中毒者にとって,その薬を急に断つことは非常に激しい苦痛であり,それによって死ぬ人さえいます。また,米国の場合,バルビタール類ののみすぎで死ぬ人が毎年三千人を超えています。

      さらに,“ペップ ピル”もしくは“アッパーズ”などとも呼ばれる興奮剤もはんらんしています。その中で主要なものはアンフェタミンです。医師たちはこれを,食欲の抑制や疲労の回復また憂うつ症の軽減のために処方することがあります。しかしながら,合法的に製造されるアンフェタミン類の半分は不法なルートに流れると推定されています。これらの薬剤も危険なものであり,多くの人の命を奪い,あるいはその生涯をだいなしにしてきました。

      こうして,“合法的”であり,医師たちの処方する薬剤が,麻薬禍をもたらす一つの大きな要素となっています。しかし,世間を騒がせ,さらに大きな問題を生み出しているのは別の種類の麻薬です。

      非医療用薬剤

      そのうち最も危険なものはヘロインです。毎年約10~12㌧が米国内に密輸入されていると伝えられます。米国にはヘロイン中毒者がおよそ56万人おり,これは1960年代初めの十倍に当たります。ヘロインの乱用はほんとうに命取りの災いとなります。

      ニューヨーク市だけでも毎日約四人がその影響のために死にます。ヘロイン常用者は,それを手に入れるために,一日に40㌦から50㌦(約1万5,000円)を投じます。これだけの資金を得るために中毒者たちは,ニューヨーク市だけで,毎日平均して300万㌦相当の盗みを働いています。

      LSD(リゼルギン酸ジエチルアミドの略)は,幾十となくある幻覚剤のうち最も強力なものです。近年,多くの地下製造所がこの薬剤を作るようになりました。そのため,大きな需要があるにもかかわらず,LSD錠剤の価格は数年前の約十分の一に低減しています。LSDは,ヘロインやバルビタール系の薬剤のように中毒症状はきたさないとはいえ,その使用者に異様な影響を与えます。

      基本的に言って,この薬剤は知覚作用を変化させます。特に狂ってしまうのは視覚です。幻覚や妄想が生じ,そうした症状が服用後数か月のちにさえ生じます。薬の作用下では非常に恐ろしい幻想を見ることもあります。また,LSDの使用者は暗示にかかりやすく,他の人や外界の影響を容易に受けるようになります。LSDの使用者に関して恐るべき経験が伝えられるのはこのためです。例えば,1973年4月26日付ロンドン・デーリー・メイル紙は,LSDの作用下にある一学校教師がテームズ川の水面を歩こうとし,なんらもがくしぐさもなく水中に没したことを報じています。

      さらにマリファナの流行によって,薬剤の乱用による危機は拡大しました。マリファナは禁製品であるにもかかわらず,およそ2,400万人のアメリカ人がこれを使用した経験があり,そのうち800万人は常用者ではないかと見られています。マリファナの作用はLSDよりは穏やかですが,それでも感覚の異常をきたします。マリファナを吸煙すると,わずか五分が一時間のように感じられます。音や色彩が普通以上に強く感じられます。また,マリファナの常用者については,歩行時のよろめき,手のふるえ,思考の錯乱,感覚の異常などの悪影響が知られています。

      マリファナの吸煙が特に身体に与える影響はどうでしょうか。興味深いことに,ニューヨーク市にあるコロンビア大学医学部の医師たちによる最近の一書簡は次のように述べています。「マリファナの煙は,人間の肺の組織培養においてガンを引き起こす」。ユタ大学研究チームのリーダーであるモートン・A・ステンシェバー博士は,「マリファナはわれわれが考えるよりずっと危険なものであるかもしれない」との結論を下しました。

      しかし,麻薬類のこうした危害が知られているにもかかわらず,人々は依然としてそれを使用しています。なぜ? 年々これに頼る人が幾百万人も増加しているのはなぜですか。

      薬に取りつかれた社会

      多くの権威者は,現代社会が薬に取りつかれているという点を理由として指摘します。一医師はこう説明しました。「薬の広告放送を聴き,その宣伝を読む人はみな,あれかこれかの錠剤をのむことによって,気持ちを平静にすることも,意気を高揚させることも,眠りにつくことも,体重を減らすことも,痛みや不快感を和らげることも自在にできるのだと思い込む」。そして,ほとんどどんな症状に対してもなんらかの薬が処方される傾向にあります。

      マサチューセッツ州保健局のもとに麻薬中毒者の社会復帰を指導しているマシュー・デュモント博士は語りました,「今日のアメリカ社会における麻薬禍の根本的な源を何か一つ挙げるとすれば,それはわたしの仲間たる医師たちである……医師たちは毎年130億錠に上るアンフェタミンやバルビタール類を処方している」。下院の特別犯罪委員会も同様の見解を表明しています。「[麻薬禍に対する]過失は,はっきり言って,われわれの製薬業者,薬品卸しおよび小売人,および医師たちにある」。

      しかし,これらの人々だけが責めを負うのではありません。薬を消費するおとなたちにも責任があります。人は,薬品が一種の毒物であることを知り,それによって得られる益が害を補ってあまりあると思える場合にのみ使用すべきです。a しかし,おとなが何かの障害や緊張が起きるごとに,あるいはただ快楽を目的として薬を服用するのであれば,青少年がそれを避けるべき理由をどこに見いだせるでしょうか。『おとながたばこをのみ,酒に酔い,いろんな薬剤に頼っているのであれば,自分がマリファナを吸ったり鎮静剤をのんだりしていけない理由はない』と考える若者がいるとしても不思議ではありません。

      しかし,親の良い手本だけでは足りない面があります。家庭外での交友も健全なものであることが大切です。精神病治療研究会という団体の調査によると,麻薬中毒者100人のうち84人までは“友人”を通して麻薬に接しています。麻薬を提供される若者の多くは,ただ好奇心からそれを使用します。初めのうちは,その薬の作用を快いものと感ずるかもしれません。しかし,やがてその“とりこ”となり,恐ろしい問題をかかえるようになります。

      しかし,人々が麻薬に頼ることには別の理由もあります。各種の薬剤が容易に手に入り,薬にあやつられた社会にいることだけが問題の要因ではありません。その,ほかの理由とはなんでしょうか。

      満ち足りることのない欲求不満の生活

      麻薬問題の権威者であるジェームズ・E・アンダーソン博士は,「麻薬に頼るのは,事実上,その人の生活に空虚な部分があることの表われである」

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