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エホバ,それとも悪霊 ― そのどちらに近づきますかものみの塔 1973 | 7月1日
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エホバ,それとも悪霊 ― そのどちらに近づきますか
『このゆえに我らはあわれみを受けんがため,また機に合う助けとなる恵みを得んがために,はばからずして恵みの御座にきたるべし』― ヘブル 4:16。
1,2 エホバに近づくための正しい道について述べなさい。
天の住まいにいますエホバ神は,ご自分に近づく道を設けておられます。その道はひとつしかありません。エホバに近づくには,イエス・キリストへの信仰,およびイエスのあがないの犠牲を受け入れるという,正しい経路を経なければなりません。
2 イエスご自身言われました。「わたしは道であり,真理であり,命です。わたしを通してでなければ,だれひとり父のもとに来ることはありません」。(ヨハネ 14:6,新)近道はありません。それは,たとえ自分が何らかの宗教に属していても,自分の好きなように生活するという問題ではありません。また,ヨガ,占星術,苦行,麻薬などのどんな方法を用いても神に近づく資格が得られる,ということでもありません。人は正しい方法で神に近づきたいという心からの願いを持ち,神のことば聖書の正確な知識が得られるよう,心から祈らねばなりません。自分自身の意志に反して神に近づかせられる,あるいは奉仕させられる人はひとりもいないのです。神は自発的,専心的献身だけを受け入れられるのです。
3-5 (イ)神に近づいたなら,どうすればその状態を保つことができますか。(ロ)神に近づくには,どんないわゆる「助け」は不必要ですか。
3 そして神のご意志を知ったなら,人は聖書の指示に従わねばなりません。神のみ前に立つには,清い手と清い心が要求されます。詩篇作者は述べています。「エホバの山にのぼるべきものは誰ぞ その聖所にたつべき者はたれぞ 手きよく心いさぎよき者…ぞ その人なる」― 詩 24:3,4。
4 「主は一つ,信仰は一つ,バプテスマは一つ」です。そして大祭司については,わたしたちはこの大祭司を通して神に近づくのですが,次のようにしるされています。『我らには,もろもろの天を通り給いし偉なる大祭司,神の子イエスあり。されば我らが言いあらわす信仰を堅く保つべし。…このゆえに我らはあわれみを受けんがため,また機に合う助となる恵みを得んがために,はばからずして恵みの御座にきたるべし』― エペソ 4:5。ヘブル 4:14-16。
5 神は人間を愛しておられます。ですから神は近づきにくいかたではありません。使徒パウロは,『神は我らおのおのを離れ給うこと遠からず』と言いました。像,地上の祭司,形式的な儀式,印刷された祈祷などの助け,もしくは“ささえ”も必要でなければ,催眠術やどんな種類の麻薬も必要ではありません。アダムは,像や麻薬をとおして神に近づくことをしませんでしたし,『終りのアダム』イエス・キリストもそういうことはされませんでした。―使行 17:27。コリント前 15:45。
6,7 神の民のひとりでも,どういうことから,悪霊に支配されるようになる危険がありますか。
6 一方,サタンとその配下の悪霊たちは人類の支配をねらっています。サタンはにせの神です。サタンもまた人間を自分に近づかせる種々の手段,つまり人間を悪霊の支配にさらすあるものを持っています。
7 さて,エホバは,ご自分の民が悪霊たちに近づく経路を用いることをしなければ,彼らを悪霊の支配から守られます。とはいっても,まちがった,あるいは愚かな欲に負けるなら,その人は悪霊たちが設ける経路に容易に心を向けさせられるでしょう。そうなると悪霊に支配されるようになります。そのような人は,悪霊に取りつかれるとは限りませんが,悪霊たちがその人にさせたいと思うことをするようになるでしょう。イエスの異父兄弟ヤコブは,『人の誘わるるは己の欲に引かれて惑わさるるなり。欲はらみて罪を生み,罪成りて死を生む』と述べています。―ヤコブ 1:14,15。
8,9 この世的な人びとと交わるのは非常に危険です。なぜですか。
8 この世的な人びと,あるいはこの世的な考えに従う人びとを模倣したり,そういう人たちの仲間になろうとすることは非常に危険です。彼らのやり方にならったり,彼らのごきげんをとろうとしたりすることは,ついには悪霊たちに支配される危険のある行為です。そういう人びとはいかに立派に見えても,神の霊によって導かれているのではなく,『この世の習慣に従い,空中の権を執る宰,すなわち不従順の子らの中に今なお働く霊の宰にしたがいて』歩んでいるのです。それゆえに,わたしたちは,『悪しき交際は善き風儀を害う』という聖書の警告を真剣に考えなければなりません。―エペソ 2:2。コリント前 15:33。
9 いったん悪霊に捕えられると,その人は急速に堕落のふちに沈み,早死にをします。それこそ悪霊たちの望むところで,彼らは,かつて神に奉仕したことのある者が身を持ちくずすのをとりわけ喜びます。―マタイ 8:28-32と比較してください。
麻薬はどうか
10-12 わたしたちはなぜ,麻薬は悪霊たちに近づく道を開くか,という質問を避けることができませんか。
10 では麻薬の使用はどうでしょうか。麻薬はこの点において,なんらかの影響をおよぼすでしょうか。麻薬は確かに大きな問題になっています。麻薬の使用は大学,高校などに広がっており,急速な勢いで小学校にこぼれこんでいます。職業についている若い人びとは,マリファナを吸う会まで持っています。
11 マリファナは,彼らが主張するように,『無害な気晴らし,気分をくつろがせるひとつの方法,現代の圧力からのがれる一手段』にすぎないものでしょうか。『ただそれだけのことで,悪霊なんかと関係ない。吸って気分をくつろがせるだけのことだ』とある人は言うかもしれません。
12 そうです,ある人はそう言うかもしれませんが,麻薬はだれに近づく道を開くかという質問はだれも避けることはできません。なぜですか。なぜなら,麻薬擁護者自身が,麻薬は『神にいっそう近づく道』だと言うからです。麻薬は『感覚を敏感にする』,麻薬は『即席パラダイスである』,麻薬を使うと『即席自己分析を行なえる』と彼らは言います。しかし麻薬は実際に精神を啓発するでしょうか。それは自分の心を調べて良い結果をもたらすのに役だつでしょうか。この点に関連してわたしたちはどんな事柄を考慮しなければならないでしょうか。また事実は何を示していますか。
健全な思いが必要
13-15 クリスチャンが健全な心を守るのはなぜ必要ですか。
13 イエスは,エホバに近づくこと,また永遠の生命の報いを得ることに関しては,思いに焦点を当て,次のように言われました。「あなたは,心をこめ,魂をこめ,[次のことばに注意してください]思いをこめてあなたの神エホバを愛さねばならない」― マタイ 22:37,新。
14 それゆえに,エホバに近づくには,健全な思いを十分に働かせて,知覚力や推理力を常に明せきに,また鋭敏に保つ必要があることは明らかです。したがって,エホバに近づくには健全な思いを持たなければなりません。さらにまた,パウロは,クリスチャンが,それもひとり残らず健全な思いを持たなければならないことを強調しています。彼は,年老いた人たちに健全な思いを持つように勧め,年老いた女たちには,若い女たちが健全な思いを持つのを助けるように,そしてテトス自身には,若い男たちが健全な思いを持つのを励ましつづけるように勧めています。―テトス 2:2-6。
15 ですからわたしたちクリスチャンは,クリスチャンとしての自分の思いの健全さを危険にさらすようなことは,どんなことでもしてはならないのです。わたしたちは,「あなたがたの体を,神に受け入れられる,生きた,聖なる犠牲としてささげなさい。これがあなたがたの理性による神聖な奉仕です」と言われています。(ロマ 12:1,新)そうしなければ,エホバに近づくことに失敗し,悪霊たちと関係を持つ大きな危険にさらされます。
16 なぜクリスチャンは,マリファナが思いにおよぼす影響に関心を払わなければなりませんか。
16 マリファナの影響は,「強い」麻薬ほど激しくないので,この世的な人びとの間で広く使用されています。エホバの民でさえ,とくに学校に通っている人たちは,それを吸うよう誘惑されるかもしれません。このことは次のような質問を提起します。クリスチャンは,マリファナを吸うことによって,あるいはそうしようと考えることによってさえ,健全な思い,健康な思いを持っている証拠を示せるのでしょうか。これはきわめて重要な質問です。というのは,マリファナ使用者の増加には驚くべきものがあるからです。
マリファナが思いにおよぼす影響
17,18 マリファナの使用は,16歳のある少女にとって『無害な気晴らし』になりましたか。
17 マリファナが,思い,道徳,生活,身体に有害な影響をおよぼす証拠として,読者もわたしたちといっしょに,1971年4月19日号のアメリカ医学協会雑誌,JAMAに掲載された,医学者たちの提出した具体的な事実を検討してみてください。
18 「精神障害の全くなかった16歳の少女は,大麻の誘導剤(マリファナとハシッシュ)を…2年間吸煙した。彼女は学問への関心を失い始めた。…静かで社交面でも人気のあった少女が,敵意を示すようになり,かなり衝動的に,教師や同輩に口頭で的はずれな攻撃を加えるようになった。…麻薬をやめたあとも…10か月の追跡調査によると,記憶障害や思考の錯乱がつづき…かつてのようにかなり容易に自分の考えを書き表わすことも,話すこともできなかった」。
マリファナは無害な気晴らしでしょうか。それどころか,精神の健康と健全な思いをそこなうものなのです。
19 マリファナがその使用者の悪へきを引き出すことがあることは,どんな経験からわかりますか。
19 「20歳の男には,マリファナを吸いはじめてから6か月後に全能妄想と誇大妄想が発生した。自分はマフィアの頭目であり,ク・クラックス・クランの東の大物であると彼は信じていた。そして,人を攻撃するようにドイツシェパード犬を訓練し始めただけでなく,銃やナイフまで集め始めた」。
この人の精神はひどく害され,不健全で,病的な状態に陥りました。その人は,『剣を打ちかえてすきにし』,隣人を愛しなさいという神の命令に従っていたでしょうか。その人はだれに近づいていましたか。エホバですか,それとも悪霊ですか。
20 14歳のマリファナ使用者は,どんな堕落した行ないをするようになりましたか。
20 「14歳のある少年は,マリファナを吸い始めてからまもなく,怠惰で,無感動で,ゆううつになり始めた。…その状態は,幻覚を見,妄想を生ずるまでに悪化した。同時に彼は激しい同性愛者になった。…盗んだ車を走らせながら,その車から飛び降りて自殺することを計った」。
わたしたちは質問します。マリファナは『パラダイスへ行く方法』でしょうか。同性愛や自殺は,即席パラダイスでしょうか。
21,22 ふたりの若いマリファナ使用者の経験には,どんな宗教的,心霊術的関係が見られますか。
21 短期間使用するだけでも,マリファナは有害な影響をおよぼすことが少なくありません。別の若者はそれを経験しました。
「19歳のある少年は4か月間マリファナを吸った。…その少年は,超人間的知力を持っていると信じていたので,動物,とくに犬やネコに自分の意志を伝達し,彼らの精神や行動を支配できると考えた。…彼は,自分はメシヤである,と[信じていた]」。
犬やネコに意志を伝達することや,自分をメシヤと考えるようなせんえつな行為は,エホバに近づくことを不可能にします。
22 「マリファナとハシッシュを3年間連用した18歳の少年は,しだいに内気になり,混乱し,ゆううつになっていた。そして占星術と東洋の宗教に大きな関心を持つようになった。彼は菜食主義者になり,ヨガを行なった。そしてヒンズー教の教師であるという妄想をいだき,最後には,自分は神の子であると信じていた。…彼は西海岸に移り,親の仕送りを受けながら,非生産的で目的のない生活をつづけた」。
わたしたちは再び同じ質問に直面します。エホバ,それとも悪霊 ― そのどちらに近づきますか。最後に引用した二つの例は,一種の心霊術が関係していたことをはっきり示しています。
23 (イ)なぜこの世的な助言者に頼ることはできませんか。(ロ)その証拠となる例をあげなさい。
23 麻薬の使用に関しては,霊的な影響をおよぼす他の問題の場合と同じく,精神を病んでいるこの世の助言者の助言から耳をそらさねばなりません。わたしたちはその種の助言が何であるか認めるべきです。それはサタン悪魔を神とするこの世の知恵です。ある大学生に与えられたそのような助言の価値を考えてごらんなさい。
「19歳の青年は平均“A”の成績で大学に入学した。彼は一年生の初めからマリファナを吸い始め,大麻を吸い始めてから2か月もしないうちに,無感動になり,見当識を失い,ゆううつになった。学期末には全部の科目に落第し,他のほとんどの事柄においても判断を欠いていた。……われわれの患者の多くと同じく,この青年も,マリファナを吸っているうちに自分の変化に気づいたことを彼の精神医に話した。彼は大学の指導教授のところにまで行って,マリファナを吸うために思考力に障害が生じているように思うと話した。その指導教授は,この麻薬は無害で,これを吸ったために障害が起きたという医学上の証拠はないから心配はいらない,と言った」。
しかしその青年はマリファナをやめました。すると徐々に無感動なところがなくなり,心身の働きももとにもどり,風さいもよくなりました。そして彼は就職し,のちほど別の大学にはいりました。
24 マリファナ使用者に一般に見られる影響にはどんなものがありますか。
24 ほかにも例はたくさんあります。つけ加えて言うなら,マリファナ使用者,とりわけ女性使用者の著しい特徴は,異性および同性とのはなはだしい乱交です。マリファナ使用前は乱交の経験などない人びとの間にそれが見られるのです。性病も少なくありません。
麻薬,心霊術,悪霊崇拝
25 麻薬使用者はだれに協力していますか。
25 では,麻薬はだれに近づくのを助けますか。人間が堕落し,身体的にも道徳的にも汚れ,精神異常になり,そして早死にするのを喜ぶのはだれですか。それは麻薬使用者たちが近づきつつある,また協力しつつある相手の悪霊たちです。事実,惑でき性の非常に強いヘロインについて,ある使用者は,「それは,永続性はないが,死のあらゆる利点を有している」と述べています。そうです,麻薬の乱用は非常に危険な心霊術,悪霊との交信,悪霊崇拝につながっていき,悪霊に取りつかれるという結果になる恐れさえあります。敬けんな霊性を得て神に近づくどころか,悪霊に近づくことになります。
26,27 麻薬の使用が実際に心霊術につながることを示しなさい。
26 もし幻覚を起こさせる麻薬を用いるとすれば,悪霊の望むところを行なっているか,または悪霊に取りつかれている,あるいは支配されているかのどちらかです。その人は,多くの場合,占星術へ導かれたり,一種の心霊術や悪霊との交信を行なう密教的な異教へ導かれたりすることに注意してください。そこには悪霊との直接の関係があるのです。ある麻薬使用者は,その仲間の麻薬使用者たちの間ではそれは普通に見られることとして,(これは彼らの言うことですが)彼らは,『自分は神であると考えるようになったら,そいつは行きすぎた』ということがわかるのだ,と述べています。ですから,自分は神の子であると考えた少年はひとりやふたりではないのです。さて,彼らはどちらに似るようになったでしょうか。エホバ神やメシヤであるみ子イエスでしょうか。それとも悪霊の神々でしょうか。
27 先にあげた若者たちの場合は,麻薬の使用によって悪霊に近づいただけにとどまりませんでした。彼らは行くところまで行き,敵意,暴力的性向,性欲倒錯,自殺未遂など,悪霊たちのわざを示しました。
心霊術は肉のわざ
28,29 聖書はなぜ心霊術を肉の業の中にいれていますか。
28 しかし,わたしたちは麻薬に関するこうした事柄を知るための例を必要とはしません。わたしたちはすでに,すべての権威者の中で最も重要な権威者であるエホバ神のことばを持っています。ガラテヤ書 5章19節(新)から21節までには,肉のわざについて述べられています。「さて肉の業は明らかです。それは,淫行,汚れ,不品行,心霊術の行ない,敵意,闘争,ねたみ,激発的な怒り,口論,分裂,分派,そねみ,酔酒,浮かれ騒ぎ,およびこれに類する事がらです」。この中に,麻薬を使用する人が行なわない業があるでしょうか。
29 これらの堕落した行ないは霊の実ではありません。これらは霊的なものではありません。心霊術そのものが霊的なものではなく,聖書はこれを肉の業の中に入れています。ひとつの例をあげますと,獣淫(獣と性行為を行なうこと)を行なう人は,人間としてその行為をするにしても,それは人間のする行為ではありません。それは獣欲的な行為で,人間が行なうには道をはずれた,堕落した行為です。同様に心霊術も,霊的なものであると言われ,悪霊である霊者によって行なわれてはいますが,それは悪い,堕落した,肉の業であって,霊の業ではありません。
30,31 (イ)悪霊たちは,大洪水前,肉的関係を持ちたいという欲望をどのように示しましたか。(ロ)人間の女たちと結婚したみ使いたちの行ないが正道をはずれたものであったことを示しなさい。
30 堕落した悪霊たちは,肉的な関係をもつことを望みます。大洪水前の記録を考えてみてください。聖書は次のように伝えています。『人地の面にふえはじまりて女の子これに生まるるにおよべる時,神の子たち[み使いたち]人のむすめの美しきを見てそのこのむところの者を取りて妻となせり』― 創世 6:1,2。
31 み使いたちのこの行ないは,正道をはずれたものでした。なぜなら,彼らはそういう目的のために創造されたのではなかったからです。クリスチャンであった筆者ユダは彼らの行為を,ソドムとゴモラの性欲倒錯と比較して,次のように書いています。『またおのが位を保たずして己が居所を離れたるみ使いを,大いなる日の審判までくらやみのうちに長久の繩目をもって看守し給えり。ソドム,ゴモラおよびその周囲の町々もまたこれと同じく,淫行にふけり,背倫の肉欲に走り,永遠の火の刑罰をうけて鑑とせられたり』― ユダ 6,7。
32 悪霊たちは依然どのようにして,肉的な関係を持ちたいという欲望を満足させていますか。
32 罪を犯したそれらのみ使いは,現在は,神に禁止されているために,大洪水前のように化肉することはできません。それでも彼らは,人びとの思いと肉体を支配することによって,ある程度,肉的な関係を持っていると考えています。
33 「心霊術」もしくは「魔術」に相当するギリシア語は,麻薬と心霊術との間の関係をどのように示しますか。
33 聖書の中で用いられている「心霊術の行ない」,「魔術」もしくは「魔法」に相当するギリシア語がファーマキアであるのは,わたしたちにとって興味深いことです。ファーマキアは英語の「ファーマシー(調剤)」という語と密接な関係があります。ファーマキアは文字通りには,「麻酔させる」という意味を持ちます。なぜこの語が心霊術または魔術に用いられているのでしょうか。ある権威者は次のように述べています。
「ファーマキアは…(英.ファーマシーその他)元来,薬剤,麻薬,魔力を用いることを意味し,次に毒を盛ること,その次に魔術を意味した。…黙示 9:21; 18:23を参照。…弱いものでも強力なものでも,魔術で麻薬を使用する場合には,じゅもんが唱えられ,神秘的な力への訴えが行なわれるのが普通であった。そして,種々の護符,お守りなど,依頼者もしくは患者を悪霊たちの注視や力から守るように作られていると言われるものが準備されたが,それらは実際には,依頼者に,魔術者の不思議な力を印象づけるためのものであった」― バインの「新約聖書用語解説辞典」。
34 麻薬使用者はどのようにあざむかれますか。麻薬はついにはその使用者にどんな結果をもたらしますか。
34 今日でも同様の状態が見られないでしょうか。多くの麻薬使用者たちは,自分たちは『神に近づいて』いるとか,『精神を啓発』されていると主張します。しかし,実際にはそれは,不可思議な幻覚や感情でもって使用者を感動させ,麻薬の力で自分の精神は解放され,思考は高揚拡大されているのだと考えさせて人を悪霊のほうへ導くことと関係があるのです。心霊術を行なうようになると,人はあらゆる種類の悪習,悪霊の影響,精神異常,永遠の死などにさらされます。肉の業である心霊術は,神の王国にはいるのを妨げる,と聖書はガラテヤ書 5章21節で述べています。
35 真の神エホバへの献身からわたしたちをそらす事柄を行なうことについて,使徒パウロはどんな警告を行なっていますか。
35 使徒パウロは,人びとが,真の神エホバ以外の者に近づく宗教行為もしくは儀式を行なう時は何をしているのかについて説明し,次のように述べています。「諸国民が犠牲としてささげるものは,悪霊に犠牲としてささげるものであり,神にささげるのではないのです。それでわたしは,あなたが悪霊と分け合う者となることを望まないのです。『エホバの食卓』と悪霊の食卓に同時にあずかることはできないのです」。もし麻薬を使うなら,パウロの次のことばを真剣に考慮すべきです。彼は,「わたしたちはエホバにねたみを起こさせるのですか」と問いかけたあと,「わたしたちのほうが強いわけではないでしょう」と警告しています。―コリント前 10:20-22,新。
36 誠実な心をもって近づく者に,神は何を供給されますか。
36 エホバは,誠実な態度でご自分に近づく者に,彼らが幸福であるために必要なものをすべて供給されます。神に近づき,神に奉仕することについて,使徒は,『されど足ることを知りて敬虔を守る者は,大いなる利益を得るなり』と述べています。それを与えることのできる唯一のかたへの従順をとおして敬虔を求め,『主を清き心にて呼び求むる者とともに』幸福になってください。―テモテ前 6:6。テモテ後 2:22。
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誉れある用途のための器となりなさいものみの塔 1973 | 7月1日
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誉れある用途のための器となりなさい
「人もしいやしきものを離れて自己を潔よくせば,貴きに用いらるる器となり,浄められて主の用に適い,すべての善き業に備えらるべし」― テモテ後 2:21。
1 クリスチャンは,『悪しき交際は善き風儀を害うなり』という聖書の警告をどのように見ますか。
『真の生命を捉うる』ことを望む人は,『悪しき交際は善き風儀を害うなり』という警告の重要さ,重さを認識しています。彼らは,いやしきものや,神のしもべを自任していると否とにかかわらず不徳義な人びとから,完全に離れていなければならないことを知っています。―テモテ前 6:19。コリント前 15:33。
2 なぜ親は麻薬が広く使用されていることに関心を払ねばなりませんか。
2 麻薬の使用の問題で,いちばん大きな危険にさらされているのは若い人びとです。したがって,世間の注目を浴びるのは親です。親は,子どもが,学校やその他の場所での交わりで悪に染まらないように気をつけなければなりません。親にとってそれはやさしいことではありません。麻薬の問題について正しい見方を持っていなければならず,どのように子どもを守るかも知っていなければなりません。『家は知恵によりて建てられ明哲によりて堅くせられ』るからです。―箴 24:3。
3 麻薬使用者たちは,彼らに助言を与えようとする者にどんな議論をしかけますか。
3 麻薬使用者や奨励者は,自分を正当化するためにいろいろな議論を持ち出します。自分たちは新しいものを持っていると彼らは主張します。この麻薬への陶酔は,新しい,『現代的な』もの,新しい生き方,またはある神へ近づく方法,他の人びとが知らないもの,と考えられています。ほかの者が麻薬について彼らに話そうとすると,彼らは,『でも,あなたにはほんとうのことは分かっていない。だって,使ったことがないんだから』と言います。『麻薬の妙味,麻薬がもたらす幸福感,知覚力などとてもわからない』と言います。使ってみたうえでなければ麻薬のことは語れないでしょうか。あなたはいかがですか。
4 麻薬を使用したことのない者は,それがおよぼす影響については何も知らないというのは事実でしょうか。
4 麻薬のことは,幾世紀も昔から知られていないでしょうか。インドを見てごらんなさい。過去の中国を見てごらんなさい。アヘンの中国への浸透,とくにヨーロッパ諸国によるそれが中国人民を腐敗させたことは1901年に生じた義和団の乱の争点のひとつでした。麻薬がそれらの国にもたらした腐敗を考えてごらんなさい。それは歴史に記録されている事柄です。ですから,だれかが麻薬について話すとき,こうした事実を知っていれば,その人は事をわきまえて話しているのです。麻薬使用者はだれも,『あなたには何もわかってはいない』と言うことはできません。
5 マリファナの類縁であるハシッシュの悪影響が認められている歴史上の例をあげなさい。
5 マリファナ(マリジュアナ)は新しいものではなく,その作用は幾世紀もの間知られていました。この麻薬は大麻草から採られ,ハシッシュもこれからつくられます。ハシッシュはしばしば「ハシュ」と呼ばれ,ほとんどのマリファナ吸煙者がこれを用いています。「アサッシン」(暗殺者)の語原は,ハシッシュに,暴力行為を刺激する力があることを示しています。この「アサッシン」という語は,西暦1090年ごろペルシヤでつくられた回教徒の一秘密結社,暗殺秘密結社団を表わすのに用いられたアラビア語ハシャシンからきています。彼らは十字軍時代に,ひそかな殺人,つまりハシッシュの影響を借りて行なう暗殺によって,クリスチャンや他の敵を恐怖に落し入れました。
現実逃避に対するイエスの態度
6-8 イエスは,現実からの逃避を助けたであろうものに対してどんな態度を取られましたか。
6 神に近づくためのわたしたちの道であるイエスは麻薬をすすめられた時にどんな態度を取られましたか。もうすぐ刑柱にかけられるという時に彼らはイエスに,「没薬を混ぜ込んだぶどう酒」をすすめました。そのぶどう酒はイエスの感覚を鈍らせ,苦痛をいくぶん軽減するものだったのでしょう。しかし,「彼はそれを受けようとされなかった」と記録されています。―マルコ 15:23,新。
7 なぜイエスは麻薬を拒絶されたのでしょうか。神がイエス・キリストを通して万物を創造されたのですから,イエス・キリストは確かにだれよりも,麻薬が神経系や思いにどんな影響をおよぼすかをご存じでした。(コロサイ 1:16)イエスは地上で,神に対する忠誠,忠実さ,潔白さを試験されていました。イエスはきびしい試みを受けていたので,苦痛を和らげるだけのために,ご自分の知力をつかの間も鈍らせることを望みませんでした。イエスは神のご意志に敏感であることを望まれました。キリストが求めたのは,神の霊であって,偽りの『知覚の増大や精神の啓発』ではありませんでした。キリストは,麻薬が自分の助けになるどころかむしろ神の助けを最も必要としているこの時に,自分を父エホバから切り離すものになることをご存じでした。麻薬が誘発する精神状態は,エホバ神にいっそう近づく助けにはなりません。むしろ,麻薬の影響で知覚を喪失し,悪霊たちの思うつぼにはまり,自分のためにも,人類のためにもすべてを失う恐れがあることにキリストは気づいておられたのです。
8 イエスは生活に立ち向うのを避けるために非現実的なものを追求することをせず,エホバがイエスの前に置かれた「杯」を受けました。(ヨハネ 18:11)その少し前,エホバがイエスの前に置かれていた道を歩みとおすという現実から,ペテロがイエスをそらさせようとした時,イエスは直ぐにそれに反応し,次のように言われました。『サタン[反対者]よ,我がうしろに退け,汝はわがつまずきなり,汝は神のことを思わず,かえって人のことを思う』。イエスは,夢のような非現実的なものに逃避して,悪霊たちの支配下に引き入れられることを望みませんでした。―マタイ 16:21-23。
9 わたしたちが神に近づき,神に用いていただくためには何が肝要ですか。
9 神の用に役立つ者であるためには,神の意志を行なわねばなりません。神は,わたしたちが,心と魂と思いと力とをつくして神のご意志を行なえる,強い意志を持つことを望んでおられます。(ヨハネ第一 2:17)それを行なうためには,わたしたちのすべての能力は十分に敏感であり,活発でなければなりません。(エペソ 5:17。コロサイ 1:9)イエスから学んだ使徒ペテロは,後日次のような励ましのことばを書きました。『慎しみて目を覚しおれ,汝らの仇なる悪魔,ほゆるししのごとくへめぐりて呑むべきものを尋ぬ。なんじら信仰を堅うして彼をふせげ』― ペテロ前 5:8,9。
10 悪霊たちは人間を支配するのにどんな手段を用いますか。麻薬はその目的のためにどのように役だちますか。
10 一方,悪霊はわたしたちがまともな働きをしないように,わたしたちを鈍感にすることをねらっています。悪霊は,正しいことを行なうわたしたちの意志力を弱めることを望んでいるのです。そうすれば容易にわたしたちを支配することができるからです。わたしたちが容易に影響されて『すまじき事をする』ように,わたしたちの思いを曇らせ,混乱させることを彼らは望んでいるのです。(ロマ 1:28)麻薬は悪霊たちがこの目的を達成するための道具になりうるのです。米国保健・教育・福祉省が発行した折りたたみ式パンフレットは,マリファナについて次のように述べています。「マリファナ使用者は,明せきな思考力を必要とする決定を下すことに困難を感じ,また他の人びとの提案に容易に同調するのを感じている。慎重な熟慮と熟考を要する仕事はどんなものでもこの麻薬の影響を受ける」。
この世代は「違うか」
11 麻薬使用者たちが,麻薬を使用するいわゆる「権利」を主張するために持ち出す議論の誤りを示しなさい。
11 いわゆる麻薬を使う「権利」のために戦っている人びとは,『たばこ以上に悪いものではない』とか,『それはわれわれの世代が異なっていることを示す』というような議論を持ち出します。エホバの証人の間の若い人たちの中にも,そういう考えに影響されている人がいます。しかし,なぜ神のことばと,また常に忠実に神に仕えてきた,そしてこれらの麻薬のことにつきわたしたちに真実を告げてきた神の会衆が与える警告とに反対するのでしょうか。たばこが,酒の飲み過ぎと同様に有害であることは認められています。たとえマリファナがたばこ以上に悪くないにしても,両方に何の良いところがあるでしょうか。他の人びとが悪いことをしたり,身を持ちくずしたりするからといって,なぜ自分もそうしなければならないでしょうか。
12 (イ)イエスは当時の人びとが行なっていた習慣の影響を受けましたか。(ロ)『われわれの世代はちがうのだ』という論は,彼らの習慣に従うように自分を変える理由にはなりません。なぜですか。
12 イエスは,当時の人びとがひどく腐敗していたというだけの理由で,自分自身悪くなったり不道徳になったりされましたか。人びとは自分たちを正当化する議論を持ち出しました。自分たちは神に近づく道を持っていると考えました。しかしイエスは彼らの指導者に,「なんじらいかでゲヘナの刑罰を避け得んや」とお尋ねになりました。(マタイ 23:33)実際に,ソドムの人びとのほうがその世代よりもましだ,とイエスは彼らに言われました。(マタイ 10:15)そして,麻薬を自由に用いるところが『われわれの世代のちがうところだ』という議論について言えば,この世代こそ世界に「大患難」が臨むときに地上におり,そして滅ぼされるとイエスが言われた世代です。―マタイ 24:21,34。テモテ後 3:1-5。
13 不道徳な行ないが増加しているので,一部の親たちは何をしていますか。
13 この世代の悪くなりかたがあまりにもひどく,不道徳な行ないが増加しているために,法律上可能な場合には,子どもに学校をやめさせたいと考えている親がたくさんいます。そういう親たちは,家庭で子どもを教えるほうがいいと思っています。自活できるよう,パートタイムの仕事を見つけることを子どもに励ます親もいます。そういう親たちは,子どもが価値を認識し,信頼するに足る真の男または女になってくれることを望んでいます。そして全時間神のことばを宣べ伝えるわざに携わるよう子どもたちを励まします。
麻薬にかんして親が示す手本
14 親は自分の示す手本についてどんなことを自問してみるべきですか。
14 多くの学校で,子どもたちは麻薬使用者たちに囲まれており,麻薬の使用はエホバの証人の間の一部の若い人びとに影響をおよぼすまでになっています。親のみなさん,あなたはご自分のお子さんのことを心配しておられますか。ではあなたご自身の生活 ― あなたが示している手本はいかがですか。あなたは酒にふけっていますか。飲む話ばかりしていますか。あるいは,腺障害があるからではなく,食べることに自制が欠けているために,体重を減らすアンフェタミン剤を服用していますか。それとも,正常な限界を越えた活動に自分をかりたてるために興奮剤を用いますか。
15 アンフェタミンの常用はどれほど危険ですか。
15 ユタ大学のジョージ・R・エジソン博士は,「アンフェタミンの乱用は,米国内の,ヘロイン中毒が広がっている大都市以外の場所における最大の薬剤乱用問題である」と述べています。「スピード」とも呼ばれるある種のアンフェタミンは,脳に容易ならぬ障害を引き起こすことがあります。いくつかの地方では,医師たちが自発的にアンフェタミンの処方を禁じています。
16 精神安定剤にはどんな大きな危険がありますか。人はそれよりも何に励ましを求めるべきですか。
16 事故や不治の病気の場合の種々の鎮痛剤として,医学上正しい用途があることに疑問の余地はありません。しかし,親のみなさん,日々の生活に敢然と立ち向かうのを避けるためだけに,精神安定剤やバルビツール酸剤を乱用しますか。それらの薬剤はあなたを中毒者にするおそれがあります。突然に死をもたらすこともあります。バルビツール酸剤とアルコールとを同じ時に飲むことは特に危険です。あなたは神のことばから,慰めと日々の事柄に立ち向かう勇気とを得ないのですか。(コリント後 1:3,4)もしあなた自身がそのような薬剤の中毒にかかっているなら,テレビタレントのアート・リンクレターに手紙を書いたある母親のようになっても驚いてはなりません。その母親はこう言いました。「私はおそろしくてたまりません。私のバルビツール酸剤が一部なくなっているところをみると,娘はくすりをためしているのです」。
17 医師が処方するというだけの理由で,安心して麻薬を使うことができますか。
17 『しかし医師が処方した』とあなたは言うかもしれません。医師の書く処方は,いつも疑問なく受け取れるとは限りません。危険な薬剤が関係している時はとくにそうです。「アメリカ医学協会雑誌」は,「ボストンで開かれた学会に出席した医師たちによると,アンフェタミンで治療した運動過多の子どもたちは,教室の中でおとなしくなった」と述べています。しかしそのような場合には両親がまず,聖書の愛の原則と理解とを示し,正しい懲らしめを与えるほうがよいでしょう。そうするほうがしばしばずっとよい結果をもたらします。あるクリスチャンの親たちはそれを経験しています。
親のみなさん,油断なく警戒しなさい
18,19 親はどんな重大な状況に直面していますか。どうすべきですか。
18 親のみなさん,あなたはこの面でご自分のお子さんをよくご存じですか。自分の子どもだからといって,『うちの子は麻薬など使わない』と言わないでください。あなたは実際にお子さんに麻薬とその危険について話し,お子さんがこの問題についてどんな考えを持っているか調べてごらんになりましたか。お子さんが知らない事柄について前もって警告を与えられましたか。それは単にきびしく言いつけるとか,麻薬を使っているところを見つけたらただではすまさないぞ,とおどすということではありません。あなたはお子さんと論じ合って,お子さんがどういう状態のもとにおり,どういう考えを持っているかをお調べになりましたか。それは時間を取ります。しかし,お子さんの命はあなたにとって貴重なものですから,これ以上によい時間の用い方はありません。それに,お子さんのすることは,あなたにとって生死の問題となるかもしれません。
19 それで親のみなさん,お子さんが麻薬を使っていると感じても感じなくても,この問題についてときどき話し合ってください。わたしたちはみな,忠実を保って生き残るために戦っているのです。不忠実になることは死を意味します。わたしたちに加えられる圧力は強くなっています。しかしそれと同時にエホバはご親切にも問題を非常にはっきりさせてくださるので,わたしたちを混乱させるあいまいさはありません。それは,神のことばの述べるところを実行するかどうかの問題にすぎません。しかしわたしたちは,自制力を保ち,正しい道にとどまることにおいて,自分の分を果たさねばなりません。
緊急性
20 麻薬をもてあそぶことでさえ,たとえば『一度だけためしてみる』ことでさえ,非常に危険です。なぜですか。
20 現在は無関心になったり,不注意であったり,あるいは麻薬に酔ってもうろうとしているときではありません。現在は,この世に対して最後の審判がくだされる時です。自制力を弱めるもの,つまり他人の暗示にかかりやすくさせるものは何でも,人から意志力を全部奪い去ります。その人は極めて危険な状態に置かれるのです。この世の霊はますます悪魔的になってきています。もし麻薬をもてあそぶなら,その人は自分の忠実さを弱める大きな危険があります。一度だけでもこの世の霊に屈することは,悪霊の手に,そして死の手に落ち入ることを意味するかもしれません。
21 麻薬を使うとどんな悪事にさらされますか。
21 アルコールの飲みすぎのみならず,マリファナやそれに類する他の麻薬も確かに抑制力や自制力を弱めます。それらは人の徳性を低下させます。そうなると人は,悪い仲間の勧めを受けやすくなります。それは悪魔のわななのです。『おのれの心を制えざる人は石垣なき壊れたる城のごとし』と聖書は述べています。(箴 25:28)古代の都市においては,石垣が押し破られたなら町は無防備となり,敵の侵入を受けやすい状態になりました。悪霊たちが存在すること,そしてわたしたちの最大の敵であることを忘れないようにしましょう。
真の自己分析と霊性
22 わたしたちは,自分の思いと心にあるものを知るために麻薬を使う必要がありますか。
22 麻薬を使うと自己分析ができるという主張についていえば,救いをもたらすのは,わたしたち人間の思いや心の中にあるものではなく,神の思いと心の中にあるものです。使徒パウロは述べています。『われはわが中,すなわち我が肉のうちに善の宿らぬを知る,善を欲すること我にあれど,これを行なうことなければなり』。(ロマ 7:18)人間の創造者である神がすでにそのみことば聖書の中でわたしたちに告げておられるのに,麻薬がつくり出す非現実の世界に「旅行」して,このことを知るためのいわゆる自己分析をする必要がありますか。
23,24 わたしたちはどこに行けば,正しい指導を受けながら,信頼できる自己分析を行なうことができますか。
23 自己を吟味し,自分の思いと心を正しい道に保つことはむろん必要です。しかし,わたしたちになすべきことを告げ得るのは,わたしたちが自分を知っている以上にわたしたちのことをよくご存じの創造者です。聖書は,『神の言は生命あり,能力あり両刃の剣よりも利くして,精神とたましい,関節と骨髄を透してこれを割ち,心の念と志望とをためすなり』と述べています。ですから,わたしたちは信頼できる分析を行なう手だてをそこに見いだすことができます。―ヘブル 4:12。
24 麻薬にはできませんが,神はわたしたちが霊的な生活を送るようわたしたちを導くことができます。コリント前書 2章9節から13節には次のように書かれています。『「神のおのれを愛する者のために備え給いしことは,眼いまだ見ず,耳いまだ聞かず,人の心いまだ思はざりし所なり」とあるがごとし。されど我らには神これを御霊によりてあらわしたまえり。御霊はすべてのことを究め,神の深き所まで究むればなり』。
25,26 (イ)どうすれば深い洞察力を得ることができますか。(ロ)クリスチャンがもし麻薬を使うなら,使徒パウロのどんなことばを否定していることになりますか。
25 それで,もしわたしたちが深い洞察力を持つことを望むなら,わたしたちは,祈りと神のみことばの研究とを通して,神の霊を受けることを真剣に求めるでしょう。使徒はさらにこうことばをつづけています。『それ人のことは己がうちにある霊のほかにたれか知る人あらん,かくのごとく神のことは神の御霊のほかに知る者なし』。神の霊は,わたしたちに神の事を教え得る唯一のものです。
26 多くの若者に麻薬を使わせているのは確かにこの世の霊です。彼らは同輩を喜ばせること,あるいは同輩の間で人気を得ることを望むのです。そこでパウロは宣言します。『我らの受けし霊は世の霊にあらず,神より出ずる霊なり,これわれらに神の賜いしものを知らんためなり。またわれらこれを語るに人の知恵の教うる言を用いず,御霊の教うることばを用う,すなわち霊のことに霊のことばを当つるなり』。
27 エホバの証人は現実からの逃避を試みているのではなく,何をしようとしていますか。
27 エホバの証人は現実からの逃避を試みているのではありません。彼らは今,ひとつの目的を持って生きているのです。彼らは「この事物の体制に合わせた」いきかたをやめて,『自分の思いをつくり直して』いるのです。(ロマ 12:2)麻薬の影響を受けて非現実的な生活をしていたある音楽家は,エホバの証人と聖書の勉強を始めました。彼の仲間はその音楽家をひやかし「きみは洗脳されているんだ」と嘲笑しました。すると彼はうまく答えました。「われわれの脳の状態を考えると,徹底的に洗脳される必要がある」。
28 聖書の道に従う人びとには,麻薬を通して逃避を試みる人びとよりもはるかにすぐれた希望があります。なぜですか。
28 そうです,エホバの証人は自分の考え方を清めました。彼らは,『敬けんは今の生命と後の生命との約束を保ちてすべてのことに益あり』という神のことばの真理を信じています。また,使徒が言ったように,自分たちの「労が主にあってむだでないこと」も知っています。―テモテ前 4:8。コリント前 15:58,新。
29 (イ)ロマ書 14章17節は,麻薬のようなものが,神の祝福を得る助けにならないことをどのように示していますか。(ロ)神は,今神の霊の実を結ぶことに努めている者たちをどのように見,また用いられますか。
29 そういうわけで,神に近づく道を開くのは,食べることでも飲むことでも,“ポット”(マリファナ)を吸うことでも,あるいは麻薬を使うことでもありません。それは聖書の知識であり,神のご意志を行なうことです。麻薬使用者たちが持ち出すような議論をしかけられた時はいつも,ロマ書 14章17節に書かれていることを思い出すのはよいことです。なぜなら,わたしたちを神のしもべとする,あるいはわたしたちに神の恵みをもたらすものは,食べるもの,飲むもの,吸うもの,つまりわたしたちが体内に入れるものではないということをわたしたちは知っているからです。使徒パウロは書いています。「神の王国は,食べることや飲むこと[麻薬を使うこともつけ加えられるでしょう]ではなく,義と平和と聖霊による喜びとを意味しているからです」。(ロマ 14:17,新)神の霊の実を追い求めるなら,エホバはわたしたちを誉れある用途のために用いてくださるでしょう。そして,新秩序の中にわたしたちの場所を設けてくださるでしょう。―テモテ後 2:21。
[404ページの図版]
くすりを飲みすぎる親は,子どもにどんな手本を示していますか
[405ページの図版]
子どもと麻薬の危険について話し合い,子どもが麻薬の使用についてどんな考えをもっているかを調べてください
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なんと真実かものみの塔 1973 | 7月1日
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なんと真実か
● ものみの塔聖書冊子協会出版の「『諸国民はわたしがエホバであることを知るであろう』― どのようにしてか」と題する本は,キリスト教世界に対してエホバが怒りをいだいている理由を述べている。そのひとつは,「エホバは偽善的な宗教家たちに侮りうる神であるかのように扱われるのを嫌悪する」というものである。これはなんと真実であろう。
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愛の神は魂を責めさいなむでしょうかものみの塔 1973 | 7月1日
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愛の神は魂を責めさいなむでしょうか
人間の創造者の顕著な特質は愛です。創造者はほかならぬ愛を具現したかたです。聖書が,「神は愛なり」と述べているのはそのためです。(ヨハネ第一 4:16)この愛のある神について詩篇作者ダビデはこう述べました。『その怒りはただしばしにてその恵みはいのちとともにながし』― 詩 30:5。
人類に対する神の愛がどれほど深いかは,その律法を犯す人を神がどう見ておられるかを考えるとよくわかります。そのような人の行為は神を「悲しませ」,『怒らせる』ものではあっても,神は直ちに彼らに対して憤りを爆発させることはなさいません。(詩 78:38-41,口語)神はあわれみ深いことに,そのような人びとに自分たちの態度を改める機会を差し伸べておられるのです。神はそうした人びとに対して不利な裁きを執行することに喜びを見いだすことはなさらないからです。神はご自分の預言者エゼキエルを通して,不従順なイスラエルに次のように語りました。『われ悪人の死ぬるを喜ばず 悪人のその道を離れて生くるを喜ぶなり 汝ら翻りてその悪しき道を離れよ イスラエルの家よ汝らなんぞ死ぬべけんや』。(エゼキエル 33:11)エホバ神は命を貴重なものとみなしておられるので,ご自分の義の律法を破る者に対して警告を伝えるよう取り計らわれます。
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