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薬物の使用 ― 変わりつつあるその見方目ざめよ! 1980 | 10月22日
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薬物の使用 ― 変わりつつあるその見方
カナダの「目ざめよ!」通信員
今は変動の時代です。様々な新しい見方が古いものに取って代わってきています。それが非常にはっきりと表われているのは,若い世代と大人の世代の,薬物の使用に対する見方です。
子供たちが薬物をひんぱんに用いるようになれば,多くの親は挑戦を受けて立たなければなりません。そのことをよく物語っているのは,十代の息子が親に対して語った次の抗議の言葉です。「大人たちの世代はアルコールとコーヒーを選んだが,おれたちの世代は薬を選んだ。それには,それぞれ,自分なりにもっともだと思う理由があった。ただ一つ違うのは,大人の薬は合法的なのに,おれたちのは非合法だと大人の世代が決めていることだ」。
どちらが正しいのでしょうか。人々は薬物の使用について大騒ぎし過ぎるのでしょうか。医療目的以外の使用がこのように広まっていることや薬物が広範に受け入れられるようになっていることは,あなたやご家族を本当に脅かしていますか。“気晴し”に薬物を使うことは,社会にとって本当に危険な状況を生み出すのでしょうか。
医療目的以外の薬物の使用が広まっていることに疑問の余地はありません。麻薬の使用は“ヒッピー”の世代が過ぎ去ると共に影をひそめたのであって,1960年代に頂点に達したものの,1970年代に事情は変わったと思っていた方もおられるでしょう。ところが,1970年代の調査の示すところによると,アメリカの大学生の7割はマリファナを使用した経験があります。カナダの高校生の間では,それが1968年の6.7%から,1974年の22.9%へと上昇しました。現在では,300万人のカナダ人,そして2,400万ないし3,600万人ほどの米国人がマリファナを使っているものと見られます。カナダのある町ではまだ9歳にしかならない子供たちが“スピードを打って”(アンフェタミン[覚せい剤]を注射して)おり,6歳児が“ソフトな”(習慣性のない)幻覚剤にひたっています。
ヨーロッパの情勢について,一新聞報道は次のように伝えています。「西欧のほとんどすべての都市はヘロイン中毒の中心地となっている」。世界のほとんどの地方,特に裕福な階層の間では高価なコカインの使用が増えています。
米国で麻薬の使用が増加していることは,ホワイトハウスの元保健顧問ピーター・ボーン博士の報告からもうかがえます。同博士によると,マリファナの密輸は今や米国で3番目に大きな産業になっています。米国でそれをしのぐ事業を営んでいるのはエクソンとゼネラル・モーターズだけです。博士の意見では,マリファナの密輸はフロリダ州で観光産業をもしのぎ,今や同州で一番収益を上げている商売になっています。こうした事柄をご存じでしたか。
このように麻薬の使用が増加していることは,言うまでもなく,親やその他の人々の心配の種となっています。麻薬の服用が子供や大人,そして社会全体に及ぼす短期的,および長期的な影響を憂慮しているのです。
麻薬の使用を合法化すれば,麻薬の密売を犯罪者の手から取り上げることになり,政府機関による,より優れた管理が可能になる,と提唱する人々もいます。特にその論議の根拠になっているのは,度を過ごさなければ麻薬に害はないという主張です。そうした人々は,1979年3月31日付のモントリオール・スター・ニューズ・アンド・レビュー紙に掲載された次のような記事を引き合いに出すことでしょう。「過去80年間に,主立ったものだけでも13の全国的および国際的な委員会がカンナビス[マリファナ]について調査したが,その各々はほぼ同一の結論に達している。すなわち,その危険性はおおげさに取り上げられすぎてきた,という結論である」。
ところがその同じ都市で発行されている別の新聞,ザ・ガゼット紙はそのわずか数日前(1979年3月22日付)に,フランスのランスで開催されたマリファナに関するシンポジウムについて伝え,こう述べています。「13か国から来た40人以上の科学者がマリファナに関する最新の研究結果を発表したが,それは警鐘を打ち鳴らすものであった」。[下線は本誌]相反する報道に接して,当惑してしまう人は少なくありません。
マリファナを除いた麻薬の合法化を提唱する人々は,ヘロインの合法化を望む刑務所専属医のロバート・シュルツについて述べたバンクーバー・サン紙の報道のようなニュース記事を指摘します。シュルツ博士は,以前にヘロインを使用していた人の死体解剖を幾度も行なったが,ヘロインのために害が及んでいるのを見たことはない,と主張しています。そして,長期間にわたってヘロインを用いても,それと同じ期間,あめをなめたりアスピリンを服用したりすることよりも害は少ないと思われる,とも述べています。同博士は,「一般社会でヘロインを自由に手に入れられるようにしても全く害はない」と語りました。
何が何だか分からなくなりませんか。
少なくとも,両者の言い分は矛盾している,と言えます。しかし,薬物に対する態度を決定することは広範囲に影響を及ぼすものなので,注意深く分析することが必要になります。例えば,推進派の一つの論議によれば,麻薬の使用はますます容認されてきているので,麻薬がコーヒーやたばこやアルコールと同じほど親しまれるようになるのは,もっぱら時間と環境作りの問題になります。しかし,一般に受け入れられているからと言って,その物質は当然無害だということになりますか。実際にはそうではありません。たばこの場合がその良い例です。
麻薬に関する様々な研究や報告に矛盾が見られ,特にマリファナの使用については賛否両論が飛びかってはいますが,一般の医学者および多くの科学者は,“一般的な”麻薬すべてに健康上問題がないと太鼓判を押すところにまで至ってはいません。習慣性のない,いわゆる“ソフトな”幻覚剤の長期的な影響についてさえ,依然として容易ならぬ保留条項があるのです。胎児に及ぼす影響に関する危惧の念が深まっています。
マクリーンズ誌の伝えるところによると,マリファナを合法化するようにという大きな圧力がカナダ政府に加えられているため,1979年3月に,「各国会議員は12人の著名なカナダの医師から連名の手紙を受け取り,この議論の多い問題については慎重な上にも慎重を期すようにとの要請を受け」ました。どうしてでしょうか。その理由を調べてみるのは賢明なことです。また,言われているほど薬物が無害ならば,どうして大勢の人が必死になって,幾度も薬物の使用の習慣を絶とうとしているのか,調べてみる必要もあるでしょう。
ですから,麻薬は本当に危険なのか,という疑問に答えるのは重要なことです。どうすれば確かな答えを知ることができますか。自分や愛する者の健康と命にとって最善なのは何かについて,自分が正しい見解を抱いているとの確信を得させる証拠がありますか。自分自身の薬物の使用についてもっとよく考えてみるべきですか。続く記事に載せられている情報はこうした質問に答えるのに役立つはずです。
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薬物は実際にどれほど危険なのか目ざめよ! 1980 | 10月22日
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薬物は実際にどれほど危険なのか
カナダの「目ざめよ!」通信員
どんな薬物にも危険が潜んでいます。どんな物質であれ,その化学的な性質によって生物の造りや機能に変化をもたらすなら,それは薬物と言えます。“変化をもたらす”この効果は,確かに危険なものです。
ここで論議の対象になっている薬物とは,気分や知覚力や意識に何らかの影響を及ぼす物質です。この定義によると,コーヒーやある種の茶,コーラ類,アルコール飲料など,一般に用いられている数々の嗜好品は,それ自体薬物と考えられてはいなくても,実際には薬物を含んでいることになります。最初の三つに含まれている薬物はカフェインであり,最後の物に含まれているのは言うまでもなく,エチルアルコールです。これらの飲み物は,たしなむ程度であれば害はなく,栄養面あるいは健康面での価値さえ幾らかあります。例えば,聖書の中でぶどう酒は健康上の理由から特に推奨されています。テモテ第一 5章23節はこう述べています。「胃のため,またたびたびかかる病気のために,少しばかりぶどう酒を用いなさい」。
しかし,薬物の使用は深刻な問題を引き起こしかねません。次ページの表はその幾つかを示しています。
もちろん,薬物の中には治療のために用いられたり,病気や手術による痛みを和らげたりするものもあります。そのような医薬品も乱用されていますか。確かに乱用されています。例えば,精神安定剤や抗生物質をむやみに処方する医師がいる結果,薬づけになるということだけでなく,アスピリンや睡眠薬など,処方されたわけでない薬を個々の人が使いすぎるということもあります。そして,これもやはり有害で,危険です。しかし,この点については,今後の「目ざめよ!」誌上で扱われるでしょう。
もっとも,医学における薬物の使い方は概して,全く異なった目的や動機で個々の人が薬物を用いるその方法と同じではありません。薬物を服用する人に及ぶ結果も,著しく異なるのが普通です。
理由はともかく,薬物を乱用した人に臨む結果をご覧になってください。たとえ短期間の乱用であっても,それがどんな結果をもたらすかに注意深く目を向けるとよいでしょう。健康や生命に対する危険は現実のものなのだろうか,と自問してみましょう。では少しばかりその例を拾ってみることにします。
アンフェタミン[覚せい剤]: 短期間の使用は,食欲の減退,心悸亢進,血圧の上昇などを引き起こします。服用量を増やし,長期間使用すると,不安,過敏,栄養不良,病気に対する抵抗力の低下,高血圧,力がみなぎる感じや優越感,異常な妄想,幻覚,偏執病などを引き起こします。余り気持ちの良いリストではないのではありませんか。
バルビタール剤: 短期間に出る影響は,不明瞭な発音,体のふらつき,“陶酔”感などで,大量に服用すると意識を失ったり,呼吸器系に致命的な機能低下が起きたりします。これが無害と言えますか。
コカイン: 短期間に出る影響はアンフェタミンの場合と余り変わりません。長期にわたって大量に服用すると,奇怪で,とっぴな暴力行為,偏執病性精神病を引き起こします。何かが皮膚の下をはっているという,抗し難い,気が狂いそうな感覚の生じる場合もあります。
アヘン,ヘロイン,およびコデイン(最後のものは薬局にあるせき止めの多くに用いられている): こうしたアヘン剤によって短期間に出る影響には,“充足”状態,無関心,吐き気,嘔吐などがあります。急激に服用量を増やすと,呼吸器の働きに悪影響を及ぼし,死を招くおそれがあります。こうした薬物を医療以外の目的で用いるのは安全であると思われますか。
精神安定剤: 様々な悪影響の中には,注意力が散漫になること,不明瞭な発音,めまい,抑うつ状態,筋肉の協調が損なわれる可能性,尿閉,低血圧などがあります。
LSD: その影響は普通,脈が早くなること,知覚のゆがみ,不安や恐慌状態,自分には異常な力があるとか,自分は重要な人物であるという感覚などになって現われます。
パラフェナントレン: しばしば取り上げられる影響には,呼吸が浅くなり,血圧が上がり,筋肉の協調が取れなくなり,手足の先の感覚がなくなることなどがあります。大量に服用すると,吐き気,嘔吐,物がゆがんで見える状態,平衡感覚の喪失,妄想,精神錯乱,幻覚,こん睡,抑えられない怒り,自殺や殺人に走る傾向,死などに至ります。
驚かれましたか。ところが,これだけで一覧表が完成したわけでは決してないのです。こうした薬物の影響の下で,人々が命を失うことは珍しくありません。「心の薬」という本の中には,LSDを服用した後,眼下の海が絹のスカーフに見えたという理由で磯に飛び降りて死んだ一少女の話が載せられています。また,交通量の多い大通りの往来と“一体になり”たいと思った若者たちもいます。さらに,空を飛ぶという自分の新しい能力を用いてみたいと言ってアパートの窓から飛び降りようとして取り押えられた学生もいます。パラフェナントレンやLSDを使った後に,自殺をしたり,恐ろしい犯罪に走ったりした人は枚挙にいとまがありません。
その力について考えてもみてください。点眼器一杯分のLSDがあれば,1万人に薬物体験をさせることができるほどです。「重さで比較すれば,LSDには未加工のマリファナの300万倍の効き目がある」と,「心の薬」という本は述べています。
化学物質そのものの直接の影響に加え,薬物の多くは消毒されていない皮下注射針で投与されるため,破傷風,静脈炎,肝炎,心臓の内部や弁の炎症などにかかるおそれがあります。また,中毒したり,薬物に依存するようになったりすれば,早晩,麻薬の供給源を求めて,犯罪分子と交わり,危険な場所に出入りするようになるでしょう。このすべては健康と生命を脅かすものとなります。
非常に多くの人々が麻薬の悪い影響の下に置かれている昨今,幹線道路を無事に通行できる確率はどれほどのものでしょうか。以前に使った麻薬の影響が繰り返し表われ,自分の目の前に1,000組ものヘッドライトが浮かんで見えるようになり,どれが本物でどれが幻覚かの見分けもつかない少女が,夜間に反対側の車線を車で走って来ることを知っていたら,安心していられますか。その少女の場合,ヘッドライトが引き金になって,麻薬の影響が再び表われるのです。
また,マリファナの及ぼす影響の一つに,距離と時間の判断が損なわれることがあるのを知りながら,安心して車に乗っていられますか。体の協同作用が低下し,判断力にも影響の及ぶことを知っていたとしたらどうですか。多くの車が別の車を追い抜く往来の激しい路上にあって,それはあなたとご家族に何を意味しますか。危険ではありませんか。言うまでもないことです。
また,職場で,麻薬使用者以外の人の身に及ぶ危険についても考えてみるとよいでしょう。めまいがする,抑制力を失っている,物がゆがんで見える,幻覚が見える,といった人々が,高速で動く機械類や器具を取り扱い,クレーンで重い物を頭上に引き上げ,危険な液体や爆発物を扱っているのです。それが生命をどれほど脅かすものとなるか考えてみてください。そうした人々は,自分の命だけでなく,同僚の命をも脅かしているのです。そのようにして他の人の生命を危険にさらす権利を持つ人がいるでしょうか。この比較的新しい安全の問題は,大きな工場の経営者や医師の深く憂慮するところとなっています。求職申込書の中に以前に一度でも麻薬を使ったことがあるか,という質問があるのももっともなことです。
麻薬を使って自分の意識や創造力を鋭くしたので,以前よりもよい仕事をしている,と論ずる人もいます。しかし,事実はそれと正反対のことを示しています。国際的な弁護士として成功を収めていた人の場合を例に取って考えてみましょう。この弁護士は,LSDの効果を体験した後何か月間にわたって,その“体験”とそれが意味する事柄について考えながら,ひたすら砂漠をさまよっていました。
マリファナ吸煙の増加に伴う諸問題について一医師が経営陣に提出した報告の指摘するところによると,その使用は,「レベルの高い仕事を行なう際の能率に悪影響を及ぼす。それを用いる者は多くの場合,無気力になり,士気を失い,間違いを犯しやすく,重要な事柄の詳細を記憶する面で問題を抱え,将来について実際的に考えることができない」とのことです。知覚力を妨げるものによって,人の脳が助けられるというようなことが果たしてあるでしょうか。
別の例として,一医師は,かつては有望な学生で,法律学の学位と博士号を得るために勉強に励んでいた人がどう変わったかについて語っています。その変化はマリファナの使用によって引き起こされました。
やがて,思考がはっきりしなくなり,学業に集中することがますます困難になり,物事を成し遂げる能力にも問題が生じました。次に,敵対的な反応と,他の人々に対する不信感を見せるようになりました。その後間もなく,この学生の操縦する軽飛行機が墜落して,学生と二人の仲間が死亡しました。
コカインについて,「今日の心理学」誌の一記事はこう述べています。コカインは,「知力と身体的能力が向上したかのような気持ちにさせるが,それは大抵,人を欺くものである」。同誌はさらに次のように述べています。「コカインの引き起こす多幸感や自信のために,使用者は薬物の効果とは全く関係ないものをその効果と結び付けてしまうことがある。その結果,コカインの引き起こす変化を過大評価することになる」。アンフェタミンは覚せい剤なので単純な作業の能率を向上させるように思われますが,同じ雑誌の説明では,「複雑な作業になると,その能率を向上させるものにはならない」とされています。
麻薬を使った場合,それを用いた人は,実際には快調ではないにもかかわらず,自分がかつてないほど快調であると思うようです。この点で認識しなければならない人生の現実は,元々備わっていない才能や能力を魔法のような仕方で与えてくれる薬はない,ということです。
最近,医学関係者や多くの親たちの現実的な心配の種となっているのは,親が薬物を用いた結果として胎児に及ぶ影響のことです。胎児が滋養分を得る経路は母親の血液の流れです。ですから,飲食その他の方法で母親が体内に取り入れるものは,やがて胎児に影響を及ぼします。
サリドマイドという睡眠薬を母親が服用したために胎児に現われた悲劇的な結果を忘れられる人がいるでしょうか。四肢の形が異常な,あるいは手足のない赤ちゃんが生まれてきました。麻薬を使っていた母親から生まれてきた子供が誕生時に禁断症状を示していたとか,アルコール中毒の母親から生まれた子供が誕生時からアルコール中毒だったという事例も報告されています。現在では,精神安定剤も胎児にとって危険であると考えられています。
妊産婦やこれから子供を持とうとしている女性に対して,薬物や喫煙,はてはアスピリンや紅茶やコーヒーでさえ危険だとの警告が続々と出されているのはもっともなことです。カナダのバンクーバーにある聖パウロ病院精神科の医長,コンラッド・シュバルツ博士は,科学的な研究の結果,「妊娠すると,マリファナの活性成分は胎盤を通して胎児に伝わり」,さらに,「その成分は母乳を通しても伝わる」ことが分かった,と述べています。
それに加えて,バルビタール剤の乱用や様々な溶剤の蒸気を吸入する結果として腎臓や脳や肝臓に生ずる悪影響もあります。薬物を用いる女性は,自分の子供の人生のスタートを,実にみじめなものにしているのです。
薬物に手を出すと,必ずと言ってよいほど,やがてほかの薬物をも用いるようになります。ですから,ヘロインを使う人がマリファナをも使っていたり,“陶酔”するためにアンフェタミンを用いる人がその後に自分を“静める”ために精神安定剤やアルコールなどの鎮静剤を用いたりするのは珍しいことではありません。これらの薬物を混ぜ合わせることの危険性は次の説明から分かります。
精神安定剤のような鎮静剤から人が得ようとする効果は,覚せい剤をほぼ同時に服用すれば相殺されます。例えば,カフェインを含むコーヒーを6杯以上飲むと,精神安定剤1錠分の“恩恵”は中和されます。一方,同種の薬物を二つ服用すると,つまり2種類の鎮静剤か2種類の覚せい剤を服用すると,その効能は促されます。とはいえ,その効能が2倍になるというだけのことではないのです。そして,極めて現実的な危険に遭遇するのはこの点です。アルコール飲料1杯にバルビタール剤1錠で,アルコール飲料五,六杯分の効き目を発揮することがあります。また,ある州の保健局の出したパンフレットは次のように述べています。「体重150ポンド(約68㌔)の人であれば,2時間に7杯のアルコール飲料を飲むと酔ってしまうであろう。かぜ薬やせき止めを併用していれば,意識を失ってしまうかもしれない。もしもバルビタール剤を1錠服用していれば,救急室か死体置き場へ送られることになりかねない」。
麻薬中毒者ではなく,『医師に言われるとおりの薬を服用している』にすぎない人はどうですか。そうした人々も,注意深くあり,事情に通じていなければなりません。精神安定剤を服用しているとか,近くの薬局でせき止めの薬を求めてそれを1回服用するということがあるかもしれません。そのいずれかを服用したうえでかんビール1本を飲めば,かんビール3本か4本分の影響を受けます。血圧・心臓病・糖尿病・てんかん・アレルギーなどの薬を服用している人は,自分の服用すべき処方薬をコーヒー・紅茶・アルコール飲料などと一緒に飲むと危険かどうか,医師か薬剤師に必ず尋ねてみなければなりません。また,別の薬の処方を書いてもらったり,近くの薬局で別の薬を求めたりする際には,自分がほかにどんな薬をすでに服用しているかを医師や薬剤師に話すようにします。2種類以上の薬物を同時に服用したために死亡した人のリストに載るようなことがあってはなりません。
薬物は,生命を維持してゆくように造られている体の機能を変化させます。生体化学を少しでも妨害したり変えたりするなら,危険な結果を招くことがあり,死をもたらすことさえあります。薬物は生体の調子を何らかの点で狂わせます。処方薬として注意深く用いれば,ある種の化学的な不均衡を相殺するのに有益な効果を発揮するかもしれません。しかし,実験のために,または娯楽として,あるいは医療以外の目的で薬物を継続的に使用するのは,自分の命でロシア式ルーレットをしているようなものです。そうしているとすれば,仕事や運転をしている人,あるいは母親になろうとしている人は,何の罪もない赤ちゃんをも含め,他の人々の命を危険にさらしていることになります。それは隣人を愛することですか。実際,昨今の薬物の乱用のまん延を正当なものとする理由があるのでしょうか。
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若者は何を第一にしているか目ざめよ! 1980 | 10月22日
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若者は何を第一にしているか
米国ミシガン州のグロス・ポイント南高校の上級新聞学科の生徒が実施した調査によって,現代の若者の多くが生活の中で何を第一にしているかを多少なりともうかがい知ることができるでしょう。その調査の明らかにしたところによると,普通の高校生は年間約4,400㌦(約100万円)のお金を使っており,たばこやアルコールや麻薬のために費やすお金は,昼食代や衣料費の約2倍になっています。普通の高校生の1か月間の支出は次のとおりです。アルコールと麻薬,80㌦84㌣(約1万9,000円); たばこ,37㌦60㌣(約9,000円); 衣料,46㌦29㌣(約1万1,000円); 昼食,21㌦12㌣(約5,000円); 自動車関係の費用,24㌦11㌣(約5,700円)。次の世代は何を第一にするでしょうか。
[7ページのグラフ]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
たばこ,アルコール, 1か月
麻薬のための支出 118㌦44㌣
昼食および衣服 1か月
のための支出 67㌦41㌣
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