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地球は岩の塊 ― 生命が営めるように造られている目ざめよ! 1977 | 1月22日
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て両側に分かれてしだいに離れて行った,と考えている地質学者もいます。
海洋の水はマントルから出てきたとする説もあります。マントル上層部に水とカンラン石の化合物である蛇紋岩と呼ばれる鉱物の存在することが,こうした考えの根拠となっています。水の供給源はどうやらマントルにあるようです。『でも,海には莫大な量の水があるではありませんか』と言う人がいるかもしれません。確かにそのとおりですが,すべての海洋が地殻の部分に存在することと,マントルの体積が地殻のそれの50倍以上もあるという事実を考えると,それが十分可能であることが分かります。
このように,地殻は非常に高温のマントルの上に乗っているようです。そのマントルは少なくともある箇所では柔らかい状態にあるものと思われますから,地殻は事実上マントルの上に“浮いて”いることになります。地殻の上層部8㌔までの範囲では,深さが約18㍍増すごとに,温度が摂氏でほぼ0.5度上昇します。深さが増すにつれて圧力も大きくなります。地中に染み込んだ水は,高温に熱せられた地球内部の岩盤に到達するまでに摂氏145度ほどに熱せられるため,それが噴出すると,瞬時に蒸気に変わります。何千㍑もの水を地上30㍍以上の高さに噴き上げる,米国イエローストン公園のオールド・フェイスフルのような間欠泉があるのはこうした理由によります。同じような地下水の一部を利用した温泉は,湯治,洗たく,建物の暖房,あるいは発電用の蒸気源として,人間の生活に重要な役割を果たしています。
地殻中の気体の圧力の作用で,地中の水や石油が地表に噴き上げることがあります。また,こうした気体は燃料用の天然ガス源ともなります。マントルの深層部では岩石が溶融しており,それは“マグマ”(“練り粉の塊”を意味するギリシャ語に由来する)と呼ばれています。マグマは,大きな圧力を受けて地中の開口部や岩の裂け目を上昇し,地殻の中にマグマだまりを形成します。そしてこれが,火山活動によって噴出するのです。各種の有毒ガスとともに,大量の岩石や溶岩,蒸気,塵埃,灰などが,こうして地表に噴き上げられることになります。これには破壊的な作用もありますが,地殻を豊かにする物質を地表に運ぶ働きもあります。
このように,わたしたちの足下に横たわる地球は,生命のない無活動な岩の“山”のようなものではありません。人間が土や岩を山のように積み上げたとしても,それは,創造者の手による山々の優美な姿とは程遠いものです。人間の造る山は,土や岩の単なる“積み上げたもの”にすぎません。一方,神によって造られた実際の山の驚嘆すべき特徴のほんの一つだけでも考えてみてください。山腹にある数多くの泉から輝くばかりの新鮮な水が絶えず流れて供給されているのです。なんとすぐれた“配管システム”なのでしょう! 温泉や重曹泉,イオウ鉱泉,鉄泉などの鉱水も湧き出ており,その中には健康によいものも少なくありません。
磁場
地球の重い核によって大きく支配されていると思われるものに,地球の磁場があります。外核の中を流れる電流がこの磁場の主要な発生源であると考えられています。ちょうど棒磁石の周りを磁場が取り巻いているように,地球の磁場は地球を取り巻いています。この磁場は,宇宙から来る危険な放射線をしゃへいするので,地上の生物にとって不可欠な存在となっています。磁場は,電波が伝わることとも関係があり,ほかにも未知の有益な影響を生命に及ぼしているに違いありません。太陽や宇宙空間からやって来る荷電粒子は磁場に沿って曲る傾向があり,その結果壮観なオーロラ現象が生じます。長い間,航海者や旅行者は地球の磁場を頼りに磁石で方向を定めてきました。
未知の何らかの理由で,地球の磁場は少しずつ変化しています。磁極の位置は時々変わります。(地球磁場の北端である“地磁気”の北極と,磁針の指す“磁”北極とは同じではありません。地磁気の南極と磁南極についても同じことが言えます。)現在のところ,地理学上の北極(地軸の北端)は地磁気の北極および磁北極から数百㌔離れています。同様に,実際の南極は地磁気の南極および磁南極と同じ地点にはありません。
地球上の各所で岩石の残留磁気を調べた結果,はるか昔に,磁極が“さまよい”,数回にわたってその位置を入れ換えたと思われる証拠が得られました。わたしたちの住む驚嘆すべき地球にかかわる他の多くの事象と同様,この原因もまだ知られていません。現在,地球の内部は,宇宙空間の場合と同様に幾多の神秘に包まれています。この事実は,創造者であり主権者であられるエホバ神に関する預言者の次の言葉の真実さをひときわ輝かせるものです。
『だれが,たなごころをもって海をはかり,指を伸ばして天をはかり,地のちりを枡に盛り,てんびんをもって,もろもろの山をはかり,はかりをもって,もろもろの丘をはかったか。……見よ,もろもろの国民はおけの一しずくのように,はかりのうえのちりのように思われる。見よ,〔彼〕は島々を,ほこりのようにあげられる。……地球のはるか上に座して,地に住む者をいなごのように見られ,天を幕のようにひろげ,これを住むべき天幕のように張られる〔かたがおられる〕』― イザヤ 40:12-22,口〔新〕。
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人間の支配に関する教訓目ざめよ! 1977 | 1月22日
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人間の支配に関する教訓
オーストラリアの「目ざめよ!」通信員
「この国ではあり得ないことだ」。1975年11月11日,総理大臣解任のニュースを聞いたオーストラリアの人々のおおかたの反応は,このような驚きに満ちたものでした。解任された総理大臣はその属する党の党首であり,1972年そして1974年に再度,選出されて政権を担当していました。
解任はオーストラリアにおいて英国女王を代表する総督ジョン・カー卿の命令によるものです。総督は暫定内閣の総理大臣として“野党”の党首を宣誓の上,直ちに就任させました。
総督の措置は先例のない手続きを経てとられたものでした。彼は独断で上下院の両方を含むオーストラリア議会の解散に踏み切ったのです。これによって総選挙が必要になり,それは1975年12月13日に行なわれました。
議会解散と同時に開始された選挙運動は,オーストラリア史上「最も汚れた,不快で,そしてし烈をきわめた」ものであったと言われています。総督,暫定内閣の首相,クィーンスランド州の首相に手紙爆弾が送られました。激しいデモ,ストが行なわれ,産業界に無政府状態の出現する恐れが生じました。
しかし一昨年の出来事を持ち出すのはなぜですか。この出来事から何か有益な事を学べますか。そうです。しかしまずオーストラリアにおけるこの危機を招いた事情を幾らか考慮することにしましょう。
行き詰まりの要素
解任された政府は1972年以来,大規模な社会改革を計画していました。しかし上院ではこれらの案に不賛成者が多く,下院を二度通過した二十一の議案が上院で否決されています。メルボルンのヘラルド紙によれば,これらの議案に盛られた骨子は「あらゆる種類の権力を[議会の所在地であるオーストラリアの首都]キャンベラに大きく集中し,上院の力と個人,企業の力を減らす」ことです。
そのうえ,一部の閣僚は多くの人の目に汚職と
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