世界展望
釈放された,スペインのエホバの証人
◆ エホバの証人の奉仕者として,良心的兵役拒否のため,11年余,投獄されていたアルベルト・コンチジョク・ベレングエールは,去る4月23日,スペイン国家元首の恩赦により釈放された。現在,33歳のアルベルト・コンチジョク・ベレングエールが,初めて徴兵の通告を受けたのは,1959年3月12日であったが,……良心的兵役拒否の立場を貫いたため,懲役刑の判決を4回受け,刑期は合計19年と2日に及んでいた。現在,スペインでは,同様の理由で,160名のエホバの証人の奉仕者が服役しており,そのうち73名は,3年ないし10年もの長期間服役している。
辞職する,ラテン・アメリカの司祭たち
◆ 最近,ラテン・アメリカでは,ローマ・カトリック教会司祭の辞職者が増加している。ローマ・カトリックの優勢なラテン・アメリカには,現在,人口5,800人につきひとりの司祭がいるにすぎず,この比率は,ヨーロッパのカトリック諸国のそれよりかなり低い。スペインには,人口880人にひとりの割合で司祭がいる一方,人口9,000万余りの,世界最大のカトリック教国ブラジルには,およそ,8,000人にひとりの割合に当たる,わずか1万1,200人の司祭がいるにすぎない。1960年ブラジルには,1万3,100人の司祭がいたが,1969年までには,1万1,200人に減少した。1961年から1968年のあいだに,約643名の僧職者が結婚するために辞職した。これとは対照的に,ブラジルのエホバの証人は急速に増加し,現在,平均,1,600人につきひとりの割合で,エホバの証人が活発に奉仕しており,宗派の別にかかわりなく,霊的な必要を与える面で喜んで人々を援助している。
アメリカ人のかかえている負債
◆ 今日,アメリカの家庭は,3軒につき2軒の割合で多額の負債をかかえている。それらの負債は総計3,000億ドル(100兆円)を優に上回る,恐るべき金額に達している。35歳以下の成人10人につき8人は,分割払いで物品を購入する生活をしており,その支払いに生涯追われるはめに陥っている。連邦準備制度理事会の行なった,アメリカ人の購買傾向に関する広範な調査によれば,アメリカ人の家庭のかかえている負債は3,870億ドル(およそ139兆円)で,連邦政府の約2年分の経費をまかないうる額に達した。これは,一般家庭の負債額が,総計わずか350億ドル(12兆6,000億円)であった1946年以来,10倍以上に増加したことになる。連邦準備制度理事会の発表によれば,中級所得者層の大多数が負債をかかえているとのことである。中でも多いのは,年収7,500ドル(270万円)から9,999ドル(360万円)の所得者で,そのうちの84%は金を借り,また,普通の家庭は,破産6週間前に等しいことが示された。
騒音のために健康が害されているか
◆ 昨今,好ましくない騒音のため,健康のそこなわれる危険が著しく増大している。現在,産業面における騒音による損害は,年間,数億円に上ると推定されている。それはひどい騒音がもたらす疲労・緊張・興奮による能率と生産性の低下のためである。しかし,最もいたましいのは,金銭上の損失ではなく,人体がこうむる影響である。過度の騒音に長時間さらされると,聴力の喪失を招く。騒音は都市生活者の暴力行為を誘発するといわれているが,高血圧・コレステロールの蓄積の増大・精神的緊張・脳溢血の発作・精神異常・欠陥児,また子どもの脳障害などにも関係していると考えられる。
性病の驚くべき増加
◆ 最近,アメリカの公衆保健当局は,かつて抑制されたと考えられていたりん病が,全国的にまん延している実情に驚いている。梅毒もアメリカの一地区を除く全域で増加している。アメリカでは,普通のカゼを別にすれば,性病が最も一般的な伝染病となっており,一部の大都市では,りん病患者が200%以上もふえた。保健当局によれば,特に年少者間でふえている性的乱行が,りん病患者のこうした増加をもたらしているとのことである。昨年,フィラデルフィア州で届け出のあった,りん病患者中,50人は10歳以下の子供であった。
「とにかく複雑すぎる」ニューヨークの諸教会
◆ アメリカの14都市における,教会の資産と免税の調査を依頼することに決めた,ある団体は,「とにかく複雑すぎる」という理由で,ニューヨークを除外した。ニューヨークの五つの自治区には,4,883の教会・ユダヤ教の会堂・修道院・僧院などがあるとされており,それら諸教会の敷地は内輪に見積って,2,600万円相当とされている。しかし,この中には,1,383軒の牧師館や僧職者の住宅931戸,また病院・墓地・大学・神学校など,少なくとも総額3兆6,000億円ほどの資産は含まれていない。
注意を喚起された医師たら
◆ 最近,カナダのウィニペグで開かれた,団体医療制度に関する第1回国際会議の席上,医師が治療をする疾病のうち,4分の3は自然に直るということが発表された。アメリカ,ニューオーリンズからのアルトン・オクスナー博士は次のように語った。「患者は医者を崇拝し,実際には,医師がもたらした結果ではないことをもその功績としているため,医師は,自分がそうしたお世辞や信望に価していると考えるようである」。さらに同博士は,「施される処置にはかかわりなく,疾病のおよそ75%は,経過の一定したもの」であり,このことを自覚しない医師は,「自分を重視する誤った考えをいだくようになる」。
真理は存在するか
◆ 最近,ロヨラ大学の若い学者,ゲーリー・リース博士は,既成諸教会は,今後何年かのうちに崩壊するであろう,と予告した。同博士によれば,諸教会は世界の現実を十分に説明しえないという見方や,「真理」とりわけ,既成諸教会の有する「真理」は絶対不変のものではないという見方が,しだいに広まっている。リース博士自身,イエズス会派のロヨラ大学の卒業生であるが,絶対不変の真理という概念は放棄せざるをえないと考えている。しかし,イエス・キリストは,神のみことばである聖書に関し,神に向かって,無条件に,「あなたのみことばは真理です」と言われた。(ヨハネ 17:17,新)真のクリスチャンは,イエスと同様の見解を取っている。
教会員を見捨てる牧師
◆ 教師が教会員を見捨てるのはなぜか。現在,渉外部の代表者として働いている,長老派教会の一牧師は,「これまでの10年間に,教会との間で見出した以上に,クリスチャン的な関係を市の関係機関に見いだしたと答えた。制度化された教会に失望して,教会に行かなくなった別の牧師は,「世の中で一番悩んでいる人間が,教会の運営に最も活発に携わっている場合がある」と語り,さらにこう付け加えた。「神学校を優等で卒業した,われわれ7人のうち,今なお教会で奉仕しているのは,ただひとりである」。