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深刻化するインフレ目ざめよ! 1980 | 4月22日
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占めているのは……文字通りの意味でのインフレである。すなわち,政府の度を過ごした赤字が年々続き,その資金を調達しようと貨幣や債券を造り出すために通貨供給が大きく膨張することによって引き起こされるインフレである。それは現代において……印刷機を動かすことによって行なわれる」。
インフレのこうした源の一例は,米国の内国債です。同国政府は過去18年間のうち17年間に赤字を出しました。国債の額が初めて1,000億㌦(約24兆円)に達するまでに167年間かかったのに対し,現在では毎年それと同じ額で債務が増えています。その累計は間もなく1兆㌦(約240兆円)を超すものと思われます。そして,この債務に対する利息は今や年間600億㌦(約14兆4,000億円)に達し,政府歳出の第三位を占めています。このすべては品物やサービスを得るためのものとして金銭が多く出回り,競売のときのように価格をつり上げていることを意味しています。
事態をさらに悪化させているのは石油問題です。自国の需要を上回る石油を生産するのは,ほんの一握りの国々に過ぎません。これらの国々は,OPEC,つまり石油輸出国機構の下に団結しています。これらの国々は石油価格を十年前の10倍以上に引き上げました。ガソリン・灯油・プラスチック・化学製品など多くの物品は石油を原料としているので,それらの物品の価格は石油に対応して上がります。
こうしたことが原因となって多大の債務を抱え込むようになり,さらに膨大な額の債券を導入することにしか経済的な活路を見いだせない国もあります。そうした国の中には,債務そのものはおろか,自国の財源ではその債務に対する利息さえも払い切れない国があります。
どうしたらインフレを正すことができるでしょうか。数多くの経済学者たちは,事態が矯正不能なところまで行ってしまったのではないかといぶかっています。そうした学者たちは,その事態を,症状を和らげようとしてさらに多くのヘロインを要求する,手のつけられなくなったヘロイン中毒患者になぞらえています。当人がそれを続ければ,麻薬のために命を失うことになります。たとえそれから抜けだしたとしても,麻薬を使用した結果,やはり寿命は縮まるでしょう。
インフレに歯止めを掛けるには,政府,企業,個人による,収入以上の支出を厳しく削減しなければなりません。ところがそれは人々の購入する物が減ることを意味し,ひいては企業の生産が減少することになります。そうすると多くの人は職を失い,その結果,深刻な景気後退や不景気が起こります。世界の経済体制は現在,収入以上に支出する生活様式が原因で,生産状態が余りにも高められています。そのため,生産を思い切って削減するには時すでに遅く,もしそうするなら,インフレそのものの害と同程度の害が生じることは必定だ,と断言する評論家もいます。
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インフレにどう対処したらよいか目ざめよ! 1980 | 4月22日
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インフレにどう対処したらよいか
世界的なインフレをとどめるため一個人にできることはまずありません。政府の予算や増大する借金,国の経済政策などを左右することはできません。しかし,インフレの重圧に対処するのに役立ち,あなたにできる事柄があります。
一つの点として,先進国に住んでいる人々なら,一段低い生活水準で満足することがそれに相当するかもしれません。そうなると,自分にとっては当たり前のものになってはいても,貧しい国々ではほとんどの人がまず持っていないような物はなし
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