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筋肉を働かせる目ざめよ! 1982 | 4月22日
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筋肉を働かせる
エレベーターが手近にあるときに階段を上るのは不必要な大仕事のように思えるかもしれませんが,米国フィラデルフィアの一研究者は,それが体に最も良い運動の一形態であることを発見しました。
「階段を上る時には,丸太棒を引っぱったり全力疾走したりするような激しい運動を別にすれば,ほかのどんな運動よりも1分当たりの消費エネルギーは多くなる」と,米国ペンシルバニア大学医学部のケリー・ブローネル博士は述べています。
カロリーの消費という点から見ると,階段を上ることは,水泳より250%,テニスやボーリングより150%,ランニングより23%も効率がよくなっています。
普通の人であれば,1日に2階分の階段を歩いて上るだけで,1年に約2.7㌔,太り過ぎの人なら4.5㌔から5.4㌔体重を減らすことができます。
ですから健康に関心をお持ちであれば,エレベーターに乗ることを避けましょう。そして最大限の益を得るために,一時に2段ずつ階段を上りましょう。
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切り換えがきかない筋肉のれん縮目ざめよ! 1982 | 4月22日
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切り換えがきかない筋肉のれん縮
「短距離走者を訓練して長距離走者に変えることはできるが,長距離走者を短距離走者に変えることはできない」。こう言っているのは,デンマークの生理学者ベングト・サルティン博士です。同博士は運動競技の方法ではなく,「れん縮」について語っていました。
「れん縮」とは,筋肉繊維が必要なエネルギーを生み出そうとして動くその動き方のことです。ある繊維は速く動いて多量のエネルギーを放出しますが,すぐに疲れ切ってしまいます。別の繊維は動きが遅く,その活動は長続きします。速くれん縮する繊維と遅くれん縮する繊維については,ニワトリや七面鳥の白身の肉(速くれん縮する部分)と赤身の肉(遅くれん縮する部分)の方がなじみがあるかもしれません。
大多数の人々の筋肉組織には,この2種類の筋肉がほぼ同量ありますが,第一線の長距離走者の足の筋肉繊維の80%は動きの遅い繊維であり,完成された短距離走者の場合には,普通その筋肉の75%以上が動きの速い繊維でなっています。この割合は,遺伝子中で定まっているものと見られ,練習によって変えることはできません。興味深いことに,練習を続けて速くれん縮する繊維を遅く動かしたりその働きを長引かせたりすることはできますが,れん縮の遅い繊維の場合には同じ効果は見られないようです。こうしたれん縮は切り換えがきかないのです。
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忙しいハチのもう一つの仕事目ざめよ! 1982 | 4月22日
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忙しいハチのもう一つの仕事
カナダのブリティッシュコロンビア州の一科学者は,鉱床の調査を助けるものとしてハチを挙げています。
ブリティッシュコロンビア大学のハリー・ワレン博士は,モリブデン鉱山付近のハチが集めた花粉を調べ,他の場所で集められた花粉の40倍も金属が多く混入していることを突き止めました。同様に,銅山や亜鉛精錬所付近で集められた花粉にも,通常の花粉の4倍から6倍も多い銅や亜鉛が含まれていました。
ワレン博士はこう説明しています。「植物は空気や土壌から金属を吸収する。これらの金属はその生殖器官や花粉を含め,植物の組織の中に入り込んでゆく。……ハチがどこで花粉を見付けたのかが分かれば,その鉱床のありかが分かる」。こうした分析を行なうには,わずか0.5㌘の花粉で十分です。
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