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法人団体と異なる統治体ものみの塔 1972 | 3月15日
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月26日に至るまでその名称を用いましたが,同日,アメリカ,オハイオ州コロンバスで開かれた万国聖書研究生の大会で,エホバの証人という名称を採用する決議を採択しました。
統治体
今日,エホバの証人として知られるこれら献身してバプテスマを受けたクリスチャンは,西暦1世紀の使徒の模範にしたがって,1944年以後とくに指摘されているとおり統治体を持っています。この統治体は多年,「ものみの塔」誌の発行者,および現在ペンシルベニア州のものみの塔聖書冊子協会として知られる宗教法人の理事会と提携してきました。この法人団体はペンシルベニア州の法律にしたがって,同州ピッツバーグの登記された同法人事務所か,正式の票決で指定された他の場所で年次総会を開き,3年の任期の切れる理事の空席を埋めるとともに,必要なすべての責務を引き継ぐため理事を選出しなければなりません。また,献身してバプテスマを受け,霊によって油そそがれたクリスチャンだけで構成されている理事会の7人の理事全員の中から協会の役員を選出しなければなりません。
1971年の夏,世界の各地で開かれたエホバの証人の「神のお名前」地域大会で講演者が述べたことから考えて,ペンシルベニア州のものみの塔聖書冊子協会の理事たちは,エホバを自分たちの神として崇拝する献身してバプテスマを受けたクリスチャンの非法人団体である,エホバの証人の統治体と同一だろうかという質問が提起されてきました。また,ペンシルベニア州,バッキンガムにおけるような,ものみの塔協会の年次総会にさいして,協会の会員は当協会の理事会の理事を選出することによってエホバの証人の統治体の成員を自動的に選出するのだろうかという質問もありました。同総会の出席者はこうした質問に関心をいだいていました。
統治体は,献身してバプテスマを受け,神の霊で油そそがれて,神の霊的な子として神によって生み出され,栄光を受けたイエス・キリストと天の王国で結ばれるクリスチャンで構成されなければならないということを念頭に置いてください。また,そうでなければなりません。なぜなら,キリストの12人の使徒たちの場合のように,統治体は「忠実で思慮深い奴隷」級の一部であるとともに,霊的な牧者また監督としてその上に立つものだからです。この「奴隷」級は,霊によって生み出され,霊によって油そそがれた,イエス・キリストの追随者で成り立っており,それら追随者は地上におけるキリストの会衆を構成し,クリスチャン会衆のかしら,イエス・キリストのもとに神の複合の「奴隷」として一致して奉仕します。このことのゆえに,また前述の質問に答えるためにも,ものみの塔協会の理事を投票で選出する,ペンシルベニア法人の個々の会員の霊的身分を調べてみなければなりません。それら表決権を行使する会員はどんな人たちですか。
1944年に採択された定款の修正条項によって協会の会員数は最大500人に限られるとともに,それら会員は,イエス・キリストの献身してバプテスマを受けた弟子としてみずからを全くエホバ神にささげた男子であるべきことが定められました。それら会員は,ものみの塔協会の理事会によって選ばれます。しかしそれら会員の霊的身分も吟味しなければなりません。なぜですか。なぜなら,協会の現在の会員はすべて,「忠実で思慮深い奴隷」級の霊によって油そそがれた成員であるというわけではないからです。この記事をしるしている現時点で協会の会員はちょうど450人いますが,「奴隷」級の油そそがれた残れる者はそのうちの半数以下(つまり200人)です。ですから,天的希望をいだいていない,キリストの弟子たちが過半数を占めています。それらの人たちは,キリストの天の王国のもとで楽園の地で永遠の命を得る希望を持っている,キリストの「他の羊」に属しています。
したがって,次のような質問が生じます。そのような「他の羊」の人たちで成る,この過半数の会員は,ものみの塔協会の理事を選出することによって,それと同時に,「忠実で思慮深い奴隷」級の統治体の油そそがれた成員を選出しうるのでしょうか。聖書的にいって,そうすることはできません。なぜならそれは,単にそれら過半数の会員が神の油そそがれた相続者,またイエス・キリストの共同相続者でないという理由からだけでなく,「奴隷」級の統治体は決して人間によって任命されるものではないからです。統治体は,西暦1世紀に12人の使徒を任命したその同じかた,すなわち真のクリスチャン会衆のかしらで,「忠実で思慮深い奴隷」級の主また主人であられるイエス・キリストによって任命されるのです。―ヨハネ 15:16,19。
念頭に置くべきことがもう一つあります。それは,現在,協会の理事の任期は3年で満了するので,毎年何人かの理事が任期満了となり,年次総会で協会の全員により交替させられるか,もしくは再選されるかが必要になるということです。同時に,協会の3人の役員,すなわち会長・副会長・会計秘書(それに今では会計秘書の補佐)の任期が毎年満了します。しかし,同様のことが「忠実で思慮深い奴隷」級の統治体の成員にもあてはまりますか。いいえ。統治体の成員は毎年選出されるのではなく,イエス・キリストの弟子として忠実を保つかぎり,終身その責任の立場に留まります。12人の使徒およびエルサレム会衆の仲間の長老たちの場合がそうでした。
統治体は,協会の理事会がもっているような役員,すなわち会長・副会長・会計秘書・会計秘書の補佐などを持ってはいません。それは,1世紀の統治体の場合のように司会者を持っているだけです。西暦33年のペンテコステの祭りの日の場合は,統治体の司会者は使徒ペテロだったようです。そして使徒行伝の記録によれば,イエス・キリストの異父兄弟,弟子ヤコブが後日,司会者を勤めています。このことや,入手できる歴史上の証拠からすれば,統治体の司会者の職は,おのおのクリスチャン会衆の長老会あるいは「長老たちの一団」の司会者の職が同格の長老たちの間で交替で占められたのと全く同様,交替制であったことがわかります。―テモテ前 4:14,新。
以上のことから,毎年,協会の理事会の一員がものみの塔協会の会長の職に選出されるさい,その人が同時にエホバの証人の統治体の司会者に選ばれるのではないということがはっきりわかります。統治体の成員はだれでも,ペンシルベニア州のものみの塔聖書冊子協会の現職の会長でなくても統治体の司会者となりうるのです。それはすべて統治体の司会者職の交替制によって左右されます。交替制の取り決めにしたがって司会者の職についた人が,時を同じくして理事会により会長の地位に選出された時だけ,当人は少なくとも1年間,司会者および会長の職を同時に兼任することになります。
統治体の規模
注目に値する点がもう一つあります。それは,統治体の成員数は協会の理事会の成員数すなわち7人に限定されてはいないということです。クリスチャン会衆つまり「忠実で思慮深い奴隷」級は西暦33年のペンテコスに,12人の成員でなる統治体をもって発足しました。そして,エルサレムにあったその統治体の成員はふえて,キリストの12人の使徒たちだけでなく,エルサレム会衆の他の長老たちをも含むようになりました。ですから,例の重要なエルサレム会議のさいの統治体は,キリストの11人の存命中の使徒たち,それにその時司会者を勤めたと思われる弟子ヤコブ,また「兄弟たちの中の重立ちたる者」,そうです,「預言者」であったユダ(バルサバ)とシラス,そしてまぎれもなくパウロおよびバルナバをも含んでいました。つまり,少なくとも16人の油そそがれたクリスチャンが当時エルサレムにあった統治体と関係していました。(使行 15:22,32)ですから,今日でも同様で,「忠実で思慮深い奴隷」級の統治体には,協会の理事会の成員である7人の油そそがれたクリスチャン以外の人びとも含まれています。この事実は,ペンシルベニア州のものみの塔聖書冊子協会の表決権を有する会員が「奴隷」級の統治体の成員を指名推薦し,選出するのではないことをいっそう明らかにします。それは統治体と理事会との違いをさらに強調するものとなります。
では,どうして統治体の成員がペンシルベニア州の当法人団体の理事になるのですか。それはものみの塔協会の表決権を有する会員の意志によるのです。それら会員は,霊感のもとにしるされた神のみことば聖書に導かれることを欲します。また,協会の理事に対する賛成投票をする事がらにおいてイエス・キリストを通してエホバ神から導かれることを求めます。協会の現行の定款(1944年に修正された)によれば,法人団体としての当協会はエホバの証人の用いる「単なる管理機関」a にすぎません。したがって,それはまたエホバの証人の統治体の用いる管理機関なのです。それで,協会の表決権を持つ会員は,統治体の成員を協会の理事会に加えることによって,この統治体がその「管理機関」を「忠実で思慮深い奴隷」級のわざのための器として最も直接的に行使できるよう取り計らっています。それら会員は,当協会は管理部ではなくて,物事を管理するための単なる機関にすぎないことを認めているのです。
したがって,協会の表決権を持つ会員は,争いや分裂のもととなる事がらが何もないようにと願っています。つまり,「管理機関」がその行使者,すなわち「忠実で思慮深い奴隷」級を代表する統治体を支配したり,さしずしたりするような事態の生ずるのを欲しません。つまり,下克上といった事態が生ずるのを欲しません。カイザルの法律にのっとった宗教法人がその設定者を支配したり,さしずしたりしようとするようなことがあってはなりません。むしろ,その宗教法人の設定者が同法人を支配し,さしずをすべきです。それゆえ,神の聖霊と一致して,また統治体と法人団体の理事会との関係を最も有効かつ完全なものにするため,協会の表決権を持つ会員は賢明にも,「忠実で思慮深い奴隷」級の統治体の成員として知られている人を理事の職に選出してきました。
統治体はどのようにして存在するようになったか
このような統治体は近年どのようにして登場したのですか。明らかにエホバ神とそのみ子イエス・キリストの導きの下に登場しました。諸事実からすれば,統治体はペンシルベニア州のものみの塔聖書冊子協会と提携したことがわかります。19世紀の最後の四半世紀間,C・T・ラッセルは明らかに当時の統治体の成員でした。キリストを通して神に全く献身したラッセルは,自分の時間・精力・能力・富・影響力のすべてを投じて,霊感のもとにしるされた神のみことば聖書を擁護し,その音信を広める仕事に取りかかりました。その目的で1879年の7月に「シオンのものみの塔」誌を出版しはじめました。彼の信念は同誌上で明らかにされたとおり,そのわざはエホバの支持を受けているので,資金の懇願はしないということでした。ラッセルはテモテ前書 3章1-7節およびテスト書 1章5-9節に述べられている監督の資格にかなっていることを示したので,アレゲーニーのクリスチャン聖書研究生の会衆の要請により,同会衆の牧師つまり霊的な牧者として奉仕することになりました。その5年後,シオンのものみの塔冊子協会は法人化され,神を知り,そのみことば聖書を理解し,キリストを通して神との関係にはいろうと努める誠実な幾千人もの人びとに霊的な食物を供して仕える「機関」として働くことになりました。
献身してバプテスマを受けて油そそがれたクリスチャンたちはペンシルベニア州の協会の本部で同協会と提携するようになりました。同協会の理事会の一員であろうとなかろうと,それらクリスチャンは「忠実で思慮深い奴隷」級の特別のわざのためにみずからを役だてました。彼らは奴隷級を養い導くわざに助力したのです。こうして統治体が登場しました。それは明らかに,エホバの見えない活動力すなわち聖書の指導のもとに,また同時に,クリスチャン会衆のかしら,神のみ子イエス・キリストの導きのもとに登場しました。その統治体の成員が主イエス・キリストによって直接任命されたのでないことは確かです。この点では,1世紀のエルサレム会衆と提携していた統治体の成員も全員がそのように直接任命されたわけではありません。それでは,エレサルム会衆の「長老たち」で,12人の使徒の中にはいっていない人たちはどのようにして統治体の成員とされたのでしょうか。それらの人は明らかに,エホバの聖霊の指導のもとに行動した最初の12人の使徒から任命を受けて成員にされたのです。
このことを例証しているのは,エルサレム会衆内のある仕事を処理させるべくステパノとピリポおよび他の5人の男子を任命したそれら12人の使徒の講じた措置です。(使行 6:1-8)また,使徒パウロはエペソ会衆の長老たちに対する話の中で,神の霊的な羊の群れの監督たちは神の聖霊によって任命されているということを指摘しました。(使行 20:28)このようなわけで,19世紀にはキリストの使徒はいなかったにしても,やはり神の聖霊が「忠実で思慮深い奴隷」級の油そそがれた残れる者の統治体を形成すべく働いていたに違いありません。事実はおのずから明らかです。イエス・キリストの足跡に従い,マタイ伝 24章45-47節のイエスの預言に述べられているわざを遂行すべく努力する,献身してバプテスマを受けて油そそがれたエホバの民の事がらを管理する責任を引き受けた,油そそがれたクリスチャンの一団が確かに登場しました。ことばよりも事実のほうがいっそうはっきりしています。統治体は存在しています。エホバのクリスチャン証人は,これがひとりの人間の支配する宗教組織ではなくて,霊によって油そそがれたクリスチャンで成る統治体を持つものであることを知り,かつ断言できることを感謝しています。
理事会内の役員の職は交替制か
統治体の成員の間では司会者の職は任期1年の交替制です。ということは,ペンシルベニア州のものみの塔聖書冊子協会の理事会内の役員の職は毎年選挙の時期に交替されねばならないという意味ですか。そうではありません。協会の定款はそうした交替制を要求してはいません。
会長の任期に左右されない司会者の職
「忠実で思慮深い奴隷」級の統治体の成員の間では司会者の職は確かに交替制です。b 「奴隷」級の統治体は,ペンシルベニア州のものみの塔聖書冊子協会として知られる法人団体に先立って存在してきたのですから,統治体の司会者の職は協会の会長として年毎に選出される人に左右されたり,依存したりするものではありません。では,どういうことになりますか。たとえ会長の職にある人が適任者であるがゆえに,非常に責任の重いその職に何年も留任する場合でも,「奴隷」級の統治体内の司会者の職の交替制は妨げられません。統治体は厳密な意味での霊的な分野で活動します。非営利法人団体である協会はエホバの証人の管理機関として,前述の分野に付随する数多くの責務を負っています。c
統治体は,宗教団体である当協会をエホバのクリスチャン証人の機関として用いうることを神に深く感謝しています。非営利法人団体である当協会は,協会の管轄下で働く,イエス・キリストの献身してバプテスマを受けた,忠実な弟子たち,つまりエホバ神に直接行なうように自発的に奉仕する,すべての任命された奉仕者たちの活躍によって,今日の地上における最大のわざの遂行を大いに促進させてきました。そのわざとはすなわち,この事物の体制の終わりが今や間近に到来する前に,樹立された神の王国の良いたよりを人の住む全地で諸国民すべてに対する証のために宣べ伝えることです。ですから,宗教法人としての協会のこうした機能のおかげでエホバの証人は,この邪悪な世界の商工業界の営利会社の労使双方を悩ましているやっかいな問題や障害,妨害となる事がらや論争をかかえずにすんでいるのです。それもそのはずで,93の支部事務所を有する宗教法人である当協会は提携する他の協会とともに,世界中の献身した幾千人もの働き人の自発的な奉仕を受けてきました。それら働き人は2億3,000万冊の聖書の手引きの本および5億3,000万冊の小冊子を生産し,宗教雑誌である「ものみの塔」および「目ざめよ!」両誌を40億冊余印刷,頒布しました。しかも印刷物はごく少額の価格で提供して,そのわざを160余の言語で行なったのです。こうして過去30年間に,つまり1942年以来,それら献身した働き人たちが聖書や本,小冊子や雑誌を合計49億4,261万9,411冊も生産したのは驚くべきことです。この世の事物の体制が終わるとともに,政治諸国家の法律のもとに組織された,世の多くの法人団体はその機能を停止しますが,エホバのクリスチャン証人はまちがいなく存続します。
興味深い問題
1971年10月1日,ペンシルベニア,バッキンガムで開かれた,ペンシルベニア州のものみの塔聖書冊子協会の年次総会で前述の事がらが論じられ,その終わりにさいして,聴衆に,それも特に同協会の表決権を有する会員の出席者に向かって興味深い問題が提起されました。それはこういう問題でした。19世紀前当時の「忠実で思慮深い奴隷」級は統治体とともに,カイザルの認可を受けて設立された法人団体を持たずに活動し,しかも首尾よく堂々と活動しました。現代の「忠実で思慮深い奴隷」級の統治体についてはどうでしょうか。d それも,ペンシルベニア州のものみの塔聖書冊子協会として知られる非営利法人団体なしに活動でき,そして功を奏しうるでしょうか。この質問については,西暦1世紀当時の使徒たちおよびエルサレム会衆の仲間の長老たちが確立した先例に照らして答えを考慮するよう読者におまかせします。
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主の晩餐ものみの塔 1972 | 3月15日
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主の晩餐
主の晩餐の祝いは,歓迎のことばと会衆が歌う賛美の歌で始まり,そのあと祈りがささげられます。それから出席者は,この祝いの意義と目的,またそれから得られる益について励ましを与える聖書の話を聞くことができます。それに続いてパンとぶどう酒に祈りがささげられ,まずパン種のはいっていないパン,それから赤いぶどう酒が出席者にまわされます。
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