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健全な家族生活 ― 昔話ではありません目ざめよ! 1976 | 7月8日
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健全な家族生活 ― 昔話ではありません
家族生活はこの時代のうちに大きく変化しました。あなたはその変化にお気づきですか。その影響はあなたのご家族にも及んでいますか。
ある年配の紳士は言いました。「私か子供だったころ,家族はいつも一緒に食事をし,だんらんを楽しみました。レクリエーションも家族ぐるみで行ない,散歩や釣をしたものでした。また家の周りの仕事も一緒にやりました」。
あなたのお宅もそうですか。今日では,家族の者が互いにほとんど口をきかないという家庭もあります。食事さえ違う時間に,または別々の部屋でとります。健全な家族生活を破壊したのは一体何でしょうか。
その責任の大半は産業の発達にあります。今日人々は家よりもむしろ工場や事務所で働きます。多くの場合,家族ではなくて社会が病人の世話をし,子供たちを教育し,人々が食べる食物の多くを準備し,娯楽のことにまで気をつけます。それに最近は個人的満足を得ることが強調されるので,多くの人が家族生活から離れて,個人の目標や暮し方を追い求めます。
ではそれによって健全な家族生活の必要はなくなったでしょうか。
昨年の一ニュース記事によると,「生命保険会社の主催による新たな調査で,18歳以上のアメリカ人の80%が,第一目標として『幸福な家族生活』を選ぶことが分かりました。『個人の力を伸ばす機会』……『出世すること』……『たくさんお金をもうけること』よりも幸福な家族生活のほうが選ばれたのです」。
健全な家族生活はあなたの重要な目標ですか。その目標はどうすれば達成できるでしょうか。では家族の成員の基本的な責任を少し考えてみましょう。
父親 ― 一家のかせぎ手以上の者
人間の行動を研究する人々は,家族生活における父親の役割の重要さを繰り返し強調します。「ウィメンズ・ニュース・サービス」の記者アナ・ホーニグは,「ますます多くの研究が,父親を奪われた子供は感情的に不具になることがあると断定するようになっている」と述べています。
あなたは夫また父親でしょうか。あなたはご自分の家族を深く愛していらっしゃるに違いありません。家族に衣食住その他生活を楽にするものを与えるためなら,いわば『精力を使い尽くす』ことさえ辞されないでしょう。しかし,もし家族とのかかわりがそこで終わるなら,あなたは重大な間違いをしているかもしれません。なぜそうですか。13歳のある少年が新聞の特別欄執筆者にあてて書いた手紙の内容を考えてください。
「ぼくは[お父さんが]ぼくをどなりつけてくれるといいのに,と時々思います。どなりつけてくれれば,ぼくのことを心配してくれていることが分かります。どこかに行きたい,何かしたいと思っても,ぼくはお母さんに尋ねなければならないんです。わたしの仕事はお金をもうけることだ,とお父さんは言います。ぼくは,座って息子と話すお父さん,息子を連れて森に行ったり散歩に行ったりする時間のあるお父さんが欲しい。ぼくのお父さんは,ぼくの成績が落ちてもちっとも騒がないんです。『お母さんに見てもらいなさい』と言うのです」。
聖書も,父親が子供たちの成長に個人的な関心を示す必要を強調し,こう述べています。「父たちよ,あなたがたの子どもをいらだたせることなく,エホバの懲らしめと精神の規整とをもって育ててゆきなさい」。(エフェソス 6:4)あなたはその重要な「精神の規整」を子供に対して行なえるほど,聖書に通じておられますか。
母親の役割
母親の役割も特別に重要なものです。母親は家の中の様々な仕事を行なうほかに,一日のほとんどを子供と過ごすのが普通です。それでもし母親が幼い子供たちを優しく温かく扱い,子供たちもお互いにそうするよう励ましてやるなら,そういう温かいふんい気の家庭から逃げ出して自分の好きなことをしたいと考えることは恐らくないでしょう。
健全な家族生活における妻の役割について,セオドア・R・フォン・ディレン博士は,「ファミリー・ドクター」の欄に次のように書いています。
「良い妻というのは,家庭をいつも愛と信頼のみなぎる,静かで気分の休まるところにしておくよう努めるものである。彼女は結婚生活の感情的,精神的面が夫と子供の福祉に重要であることを知っているのだ。……
「職場で不愉快なことがあっても,それは彼女の権限外のことであるが,家庭においてはしっかりとコントロールする。社交上の約束を多くし過ぎないようにして,できるだけ夫を疲れさせないようにする。また夫が余暇を楽しむ計画を立てることに助力する。……妻たる者は,夫が自分の問題を話すとき,同情心にあふれた聞き手になって欲しい」。
子供たちも自分の分を果たすことができます。特に,何かをするよう言い付けられた時には,親に協力することによって自分の分を果たすことができます。聖書の次の助言を忘れないようにしましょう。「子どもたちよ,すべての事において親に従順でありなさい。これは主にあって大いに喜ばれることなのです」。(コロサイ 3:20)健全な家族生活のための優れた聖書的原則は,「おのおの自分の益ではなく,他の人の益を求めてゆきなさい」です。―コリント第一 10:24。
物事を一緒に行なう
しかし,家庭生活を非常に楽しいものにするには,家族の成員が一緒に物事をしなければなりません。といっても,産業が家族の役目のほとんどを引き受けている大都会で,家族は一体何を一緒に行なうことができるでしょうか。ニューヨーク市に住む,二人の幼い男の子を持つある父親が行なって成功した事柄を少し考えてみましょう。
「私たち夫婦は子供に小さい時から家の周りの仕事をすることを教えました。それで気付いたのですが,子供たちは便所掃除のような汚い仕事でも,親が同じことをやっているのを見ると,進んでやります。
「十分理解できる年ごろになったときには道具箱のところへ連れて行って,一つ一つの道具の用途や使い方を説明してやりました。今では子供たちは楽しんで家の仕事をしています」。
あなたはそういうふうに一緒に働くよう家族のかたたちに勧めますか。しかし,仕事だけが健全な家族生活の基というわけではありません。前述の父親はさらにこう言っています。
「だれでもある程度のくつろぎが必要です。レクリエーションもできるだけ一緒にするのが良いことを私たちは発見しました。例えばニューヨーク市には,無料かまたはわずかの料金で楽しめるものがいろいろあります。よく植物園に散歩に行きますし,公園に野球をしに行きます。本屋を何軒かのぞいて歩いたり,博物館や無料の音楽会に行くこともあります。
「もちろん,外に出なければ家族が一緒に楽しめないというわけではありません。時には座って聖書や他の良い本,例えば古典などを一緒に読みます。先だって,私は息子たちと一緒にワゴンを作りました。これにはかなり時間がかかりましたし,手こずったところもありました。しかし,しだいに形が出来ていくのを見,また完成したものを見て,これを自分の手で作ったのだと思うとうれしいものです。こうした活動は,外に出たいという気持ちを子供に起こさせない,そして外で非行少年たちと問題を起こすようなことをさせない助けになります」。
あなたは機会を捕えていろいろな事を家族のかたたちと一緒にされますか。世界中の非常に多くの家族は,前に述べたような聖書の原則に従うことが家族に大きな幸福をもたらすことを知りました。あなたも聖書の助言をご家族に当てはめる方法を学んでごらんになりませんか。エホバの証人は,あなたのお宅で,またはあなたのご都合のよい場所で,あなたが聖書を勉強なさるのを喜んで,また無料でお手伝い致します。
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彼らはなぜテロに訴えるか目ざめよ! 1976 | 7月8日
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彼らはなぜテロに訴えるか
西ドイツの「目ざめよ!」通信員
全市にわたって設置された幾百もの選挙掲示板には見なれた顔がありました。じっと見おろしているその顔はベルリン市長候補者ペーテル・ロレンツです。論争点となったのは安全という問題でした。「安全を保障するためにもっと精力的な行動を」と,掲示板は訴えていました。ロレンツの政党が配布したビラには,「ベルリン市民の生活は危険にさらされており,……犯罪は増加しています」と説明されていました。
ところが投票日間近になってその同じ見なれた顔はうつろな目つきとなって市中の何千部という新聞に出ました。この度は疲れ果て,やつれた顔となって眼鏡も奪われています。「ペーテル・ロレンツ ― 6月2日運動の人質」。彼の前に置かれた捨札はこう宣言していました。テロに反対して運動していた当人がテロの犠牲者となったのです。ドイツ政府が誘かい者の要求を全部いれてのち,彼はようやく解放されました。
政治的テロと暴力は最近,世界の至るところで疫病のように続発しています。事実,ロレンツが誘かいされた週だけを見ても,各地にひろがる政治的な暴力行為がドイツの新聞に報ぜられていました。
アルゼンチン: 「過激派に誘かいされた米国領事ジョン・パトリック・イーガン射殺さる」。
南フランス: 「日曜日夜,六件に及ぶ一連の爆破事件で広範囲の被害」。
ケニア: 「かつては平穏であった首都ナイロビは恐怖のとばりに包まれる。大陸横断バスが爆破され,死者27人,負傷者36人を出す」。
ローマ: 「左右両派の過激派の若者同士が路上で[流血の]抗争事件を起こし,デモ隊に重傷者一人を出した」。
北アイルランド: 「休戦協定にもかかわらず昨夜のベルファーストでは死者二人,負傷者二人が出た」。
イスラエル: 「火曜日早朝テルアビブのホテルが過激派に襲われて血の海となる……死者十四人」。
このすべてがわずか一週間の間の出来事です。「このすべては今にどうなる事か」,「打つ手は何もないのか」といった声が聞かれるのも不思議ではありません。しかしドイツのヘルマット・シュミット首相はボン議会に次のように警告しました。「立憲国はテロ行為や無政府主義的な暴力からの保護を何ら保証できません。……たとえ軍事あるいは警察国家の独裁者であっても完全な保護を与えることはできないのです」。ベルリンの日刊誌ターゲスシュピーゲルは解決策を求めて次のように書きました。
「政治的な殺人犯や誘かい犯人,飛行機乗っ取り犯の引き渡し,あるいは少なくとも起訴を要求しないとあっては,国連のような国際機関また関係諸国の国際的な団結はどうなっているのか。問題の根底
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