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  • 彼らは以前のままの人間として戻って来ますか
    目ざめよ! 1982 | 11月8日
    • の心理学」誌の中で研究者のアーチャーとガーナーは次のように説明しています。

      「この増加は,殺人が社会全体の目にそれほどゆゆしいものと映らなくなったために生じたのかもしれない。戦争は殺人が許容されるものであることを示す具体的な証拠を提供するものとなる。殺人を禁ずることに逆行するこうした現象は,日常生活の紛争を解決する手段として殺人に訴えることをだれにとっても容易なものにしかねない」。

      ですから,実際のところ,復員軍人だけでなく,社会全体が精神的に戦争の影響を受けているのです。1914年に始まった第一次世界大戦以来地上に見られる状況は,聖書の言う「終わりの日」にわたしたちが生きていることをはっきり示しています。聖書はその時期を示す特徴を挙げていますが,その中には次のようなものがあります。「人々[一般,復員した兵士たちだけではない]は……自制心のない者,粗暴な者……とな(り)……いよいよ悪に進(む)でしょう」― テモテ第二 3:1-5,13。

      実戦を経験した復員軍人について,特に神経症の兆候がひどい兵士の幾人かの治療に当たっている,米国ニューヨーク州オールバニーの復員軍人援護局付属医学センターの研究者であるコルブ博士は次のような点を明かしています。「現在私が治療に当たっている集団の間でさえ,大半の者は一度も入院したことがありません。職を維持している人も少なくありません。その多くは良心的で,勤勉で,ひたむきな人々です。大抵の場合に,この人たちの価値大系はごく普通の一般人よりも優れています」。

      それでも,これらの人々にはやはり専門家の助けを必要とする精神面での傷跡が残っているのです。1981年に行なわれた一調査は,ベトナムで激しい戦闘を目撃した人々の3分の1以上が外傷後ストレス疾患を経験していることを示しています。通常,助けとして差し伸べられているのは出先センターでの集団精神療法です。そこで復員軍人は,他の復員軍人や考え方を調整しようと努める訓練を受けたカウンセラーとの討論会に参加できます。時には薬物が用いられることもありますが,それは普通,精神安定剤か睡眠薬です。しかし,戦争で精神的な苦しみを経験した復員軍人の多くは別の解決策を見いだしました。前述の,容易ならぬ外傷後ストレス疾患を抱えてベトナムから戻って来た人もその一人です。

  • あの人が戻って来た時には別人のようでした
    目ざめよ! 1982 | 11月8日
    • あの人が戻って来た時には別人のようでした

      「デービッドは別人のようになってベトナムから帰って来ました」と,奥さんのイレインは説明しています。「出征前は,彼の温かさと優しくて純情な熱意とに引かれていました。彼は私のことを非常に信頼しており,二人の間にはすばらしい関係がありました。ところが,復員した時には,彼の持っていた愛すべきところがすべてなくなってしまっていたのです。見たところは同一人物のようでした。同じようなほほえみを浮かべ,同じ大きな茶色の目をしていました。でも,温かみや信頼感はありませんでした。まるで別人のようでした。それは恐ろしいことでした」。それからイレインは,「彼は怒り以外のものは何も入っていない貝がらのようでした」と付け加えています。

      帰って来た時に自分がどんな風に感じたかについて,デービッドはこう述べています。「戦場での生活がどんなものか十分に理解していない人々,理解できない人々と一緒にいるのがたまらなくいやだったのです。私は戦友の幾人かが極めて悲惨な死に方をしたのを見ました。イレインに自分の気持ちを,自分の見たものを理解してもらいたいと思いました。ところが,だれも本当に理解したいとは思っていないようでした。それで,この敵意をすべて内に秘めるようになったのです」。

      戦争の引き起こす,心に痛手を残すような,個人的な価値基準の逆転をほとんどの人は本当に想像することができず,またそれが精神に及ぼす破壊的な影響を感じ取ることもできません。デービッドはこう説明しています。「戦場では絶えず自分の身を気遣っていなければならないことを学ばねばなりませんでした。他の人との個人的な関係はほとんど意味をなさないことも学びました。次の瞬間にはその人たちは殺されてしまうかもしれないのです。もう一日生き延びることさえできるならば,どんな行為も正当化されると自分の頭の中で言い聞かせていました」。それに加えて,イレインはこう述べています。「家へ帰って来ると,任務に就いていた時,貴重だと思っていた事柄すべてが結局は何にもならないということにほどなくして気付きます。そして,他の人との関係など自分が何の意味もないと思っていたものすべてが,民間人の生活の中では非常に貴重なものになるのです」。

      その結果,デービッドは帰還した兵士の多くと同様,自分が感情的にのめり込むような,他の人との信頼関係を結ぶことをちゅうちょします。当然のことながら,これは結婚生活を混乱させます。

      聖書の教訓の価値

      二人の関係が緊張してほぼ限界に達していた時,デービッドとイレインはエホバのクリスチャン証人と聖書を研究するようになりました。デービッドはこう語っています。「それは本当に大きな助けになりました。やがて,生まれて初めて,神と親密な関係を持っていると感じ,自分の気持ちすべてを神に申し上げることができるようになりました。自分のしたことすべてに対してどんなに申し訳なく思っているか本当に語ることができ,神は私のことを進んで許してくださったと信じています」。

      イレインはそれに付け加えて,こう述べています。「当然のことながら,デービッドにはまだ波がありましたが,それほどひどくはなくなってゆきました。今でも時には抑うつ状態にさいなまれることがありますが,聖書の教訓は私が結婚した時のデービッドを取り返してくれ,それ以上のものをもたらしてくれたのです。聖書の教訓は良いものを引き出しくれました。聖書は利他的な愛や同情心,与える精神を鼓舞しているからです。私は自分の夫を再び見いだしたような気がしました!」

      確かに,聖書はデービッドや他の人々が愛のこもった信頼関係を築き上げるのを助けてきました。どのようにしてですか。聖書は,真の愛が「自分の利を求めず」,また「傷つけられてもそれを根に持た(ない)」と述べています。聖書は優しい同情心を推奨します。また,どうしたら仲間の人間に対する真の愛を培うことができるかに関して実際的な提案をしています。デービッドは本当のところをこう述べています。「それでもやはり容易ではありませんでした。今でも,人が私の信頼を踏みにじったり私に不公正な扱いをしたりすると,自分の内部で怒りが燃え上がります。しかし,そのような時には黙って,力を与えてくださるようエホバに祈り,その場を離れるようにします」。―コリント第一 13:4,5。ペテロ第一 3:8,9。

      家族の役割

      イレインはこう説明しています。「聖書の知識の活用は,デービッドにとって助けになっただけでなく,彼に接する私にとっても助けになりました。というのは,デービッドは言い争いを始める際に,『イレイン,僕はベトナムのことで敵意を抱いているから,今から君に怒りをぶちまけるぞ』などとは言わなかったのです。そうではなくて,『この腐りかけた食べ物は何だ? お前は家をろくに掃除しないし,母親としても失格だ!』というようなことを言うのです。別の時には,だんまり戦術に出て,幾週間も話をしてくれません。その間ずっと,私はどんな悪いことをしたのかしら,と思い悩んだものです。

      「しかし,従順で敬意を示す者になり,思いやりを示し合い,『不満の理由がある場合でも,相手のことを忍ぶ』ようにということを聖書から学びました。こうした聖書の真理を知ったことは助けになりました。もちろん,デービッドが怒った時に,私が示してはいけない激しい反応を示してしまったこともありました。時には,私のほうが聖書の言葉に十分に従っていないこともありましたが,二人がそろってそれに従うときには,聖書の助言は確かに効を奏しました。それは容易なことではありませんでしたが,デービッドの行動がひどいので離婚したくなる時があっても,それをしませんでした。今では,事態ははるかによくなっています」。―コロサイ 3:13,18。

      コルブ博士によると,家族の理解と同情心は,「社会的に受け入れられる者になるよう人を助けるのに非常に重要」です。博士によると,「結婚関係を維持している人はそうでない人よりもうまく行っています。一方,多くの場合にそうであるように,妻が“いたたまれなくなる”なら,結婚は長続きしません」。

      しかし,聖書は理解や思いやりについて教えるだけでなく,将来に対する真の希望をも差し伸べています。

      貴重な約束

      「あなた方は来て,エホバの働きを見よ。……神は地の果てに至るまで戦いをやめさせておられる」。(詩編 46:8,9)戦争が引き起こす驚くべき数の苦しみを考えると,このような約束は実にすばらしいものです! 神はご自分の天の政府,ご自分の王国によって,戦争を助長する諸国すべてを「終わらせ」,地上に恒久平和をもたらされます。―ダニエル 2:44。

      生き残る柔和な者たちは,神がわたしたちの地球にご自分の注意を十分に向けてくださる時,精神的にも,感情的にも身体的にも完全にいやされます。(啓示 21:3,4。詩編 37:10,11)この希望を学んで,多くの復員軍人は心を動かされました。イレインは次のように話しています。「これはデービッドに生きる真の目的を与えるものとなりました。またこのおかげで,私にとっても彼を励ますのが容易になりました。例えば,外部のだれかのちょっとした思いやりのない言葉に彼が憤慨するようなことがあると,『ほら,「復しゅうはわたしのもの,わたしが返報する,とエホバは言われる」という言葉を思い出して』とよく言ったものです。何度も抑うつ感にさいなまれてデービッドががっかりしている時には,彼がすでにどんなに進歩したかを示し,将来神がその精神的な傷を完全にいやしてくださる時のことを話しました」。―ローマ 12:19。イザヤ 65:17と比較してください。

      イエスは,「記念の墓の中にいる者がみな,[イエス]の声を聞いて出て来る時が来ようとしている」と約束されました。(ヨハネ 5:28,29)戦争中に殺された無数の人々が生き返り,神についての真理を学ぶ機会を与えられるのを見るのは,本当に胸の躍るような見込みではありませんか!

      ハーレーも,聖書の教訓が大きな助けになることを悟った復員軍人の一人です。第二次世界大戦が終わってから37年が過ぎましたが,幾人かの戦友の死を思い起こして激しい感情に襲われ,こみ上げる涙をこらえながら,「あの連中が復活してまた会えるとは,本当にすばらしいことです。この希望は心の痛みを本当に和らげてくれます」と,ハーレーは言いました。

      確かに,聖書教育は,さいなまれた精神に本当に役立つ助けを与え,将来に対する真の希望を差し伸べるものとなります。

      [21ページの図版]

      聖書研究はさいなまれた精神に助けを与え,真の希望を差し伸べる

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