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寝ている間にサメを捕まえる目ざめよ! 1978 | 10月8日
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に近付きながら,それが間違いなくつり針に掛かったかどうか確かめるために注意深く進んで行きました。ところがその大きさを見たとき,こんな小さな舟でしかもたった一人でこのサメを扱えるだろうかと,幾分心配になりました。しかし,そのくらい大きなサメなら,二月分の給料(この辺の通貨では700㌦,約6万7,000円)と同じほどのお金になると考えると,元気が出てきました。もう一度状況を見渡した後,私はサメの掛かっているロープを浮きから外して海岸まで引いて行くことにしました。
これからが重労働でした。その怪獣を引いて行くために私は92㌔の体重すべてを傾けて,460㍍ほど先の一番近い入り江に向かってこぎ出しました。初めのうちほとんど問題はありませんでした。サメはおとなしくついて来ました。ところが浜から90㍍くらいの所へ来たとき,この魚は,小さな舟をジグザグにぐいぐい引っ張ったり水を乱暴にかき混ぜたりして,がん強に抵抗し始めました。サメが舟を引っ張れば引っ張るほど,私は必死になってオールを動かしました。
水際から4㍍の所まで来ると,私はサメの掛かっているロープをしっかりつかんだまま腰の高さの水の中へ飛び込みました。そして腰と腕にロープを巻き付け,水際から60㌢ほど手前の砂の上までサメの頭を引っ張って行きました。それから舟を波打ち際に引き上げ,ロープを舟にしっかり結わえ付けると,巨大な魚を殺すための道具を夢中になって探し始めました。しかし,周囲には何も見当たりませんでした。410㍍ほど走り回った末,やっと大きな流木が見つかりました。その木切れは腹立たしくも一度サメを殴っただけで折れてしまい,巨大な魚は水と砂の中をのたうち始めました。
私は死にもの狂いで再び武器を探しに出掛け,このときは少なくとも550㍍も走り回りました。がっちりした木の棒をもって戻り,何とかそのキングフィッシャーを征服することができました。疲れきっていた私は手を貸してくれる人のいるところへ運ぶため,この290㌔の巨体を舟の中まで転がして行くつもりでした。ところがサメは少しも動かないのです。そこで最後の手段として,これを舟の後ろにつなげて再び水に浮かべ,もっと助けの得られるところまで1.2㌔ほど引いて行くことにしました。
極めて有用
この危険な海生生物の体のうち食用にならない部分はその鋭い歯以外一つもありません。サメが捕まえられると,そのニュースは島にすぐ知れ渡り,主婦たちは食用の肉片を買うために直接舟までやって来ます。サメはシチューや蒸焼なべ料理,ステーキなどにして食べます。もしかしたらあなたにはサメのヒレのスープのほうが好みに合うかもしれません。
サメの中には肝臓が全体重のほぼ10%を占めるものがいるのですから驚きです。私は長さが1.5㍍,幅が1㍍近くもあるサメの肝臓を見たことがあります。それらは,肝臓の中にあるビタミンに富む貴重な油をしたたらせるために太陽に当ててつり下げられていたものでした。肝臓から油を完全に抜き取るには約二週間かかります。しかし煮沸法を用いるなら,時間ははるかに短縮されます。非常に不快なにおいがするので,人のいない場所でこれをする漁師もいます。このくらいの大きさの肝臓からは,普通28㍑から38㍑もの油が採れます。島の人々は急性鼻カタル,てんかん,肺炎,リューマチその他の多くの病気と闘う際にこの油を使います。
いいえ,私は今までのところサメにかまれたことはありません。しかし,一度サメを殺しているときにその歯で指をひっかかれたことがあります。その小さなひっかき傷はその後幾時間も痛みが消えず,サメにかまれたら死は覚悟せねばならないだろうと考えたものです。
この辺りでは最近,「サメだ!」という叫び声が余り聞かれなくなりました。私たちが大きなサメをほとんど捕まえてしまったからでしょう。あるいは,私の“睡眠漁法”についての警告がサメたちの間に行き渡ったのかもしれません。
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ただスプレーするだけのこと?目ざめよ! 1978 | 10月8日
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ただスプレーするだけのこと?
エアゾール噴霧器はすばらしく便利なものと言われて現在では,塗装,髪の手入れ,天火の掃除,また有害動物の駆除などに使用されており,中でも人が体に“良いにおい”をさせるために最もよく利用されています。しかし流行してはいるものの,エアゾール容器は危険であるという批判も高まってきています。なぜでしょうか。
かんは熱せられると爆発する恐れがあることは,ずっと前から理解されてきましたが(大抵のエアゾールのかんには注意書がある),最近ではその霧(もや)と中身の化学物質に非難が向けられています。「ある化学薬品を体内に吸収するのに最も手っ取り早い方法は(静脈に直接注射することを除けば)それを吸い込むことである」と,ある報告は述べています。エアゾール噴霧器には大抵推進剤つまりガスとしてフルオロカーボンが使用されており,一部の権威者は,それを吸い込むことは特にアレルギー体質の人や肺や心臓に疾患のある人に危険であると考えています。米国では,ある推進剤(塩化ビニルガス)と肝臓がんのまれな型との関連が指摘されたため,それを使用している100余りのエアゾール製品が禁止され,あるいは自主的な販売停止が行なわれています。
さらに,脱臭用スプレーを使う際にスプレーを皮膚に近付け過ぎたりすると,推進剤のために露出部分がひりひりしたり,はれ上がったりすることがあると言われています。目に入ればいつまでも消えない傷跡が残る恐れがあります。
健康上危険であるばかりでなく,簡単な容器に入れた同じ製品に比べ,エアゾール製品は値段が二倍も高いという点を批評家たちは指摘しています。買い手は丈夫なかんやスプレー装置,推進剤の費用も払わねばならないからです。
こうしたスプレーを全面的に禁止すべきかどうかが議論されている現在,もしそれを使う場合にはどのように扱うべきでしょうか。専門家の意見はこの点で一致しています。換気のよくきいているところでスプレーしてください。目にスプレーを入れないように注意し,またスプレーした場所からできるだけ早く離れてください。
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