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『緑の革命』だけで十分か目ざめよ! 1972 | 10月22日
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「餓死についての唯一のわかりやすい定義 ― 適度の食事を取っていれば決して死ぬことはなかったはずの人の死を餓死とする ― を採用するなら,世界中で餓死する人の数は,年間500万から2,000万という恐るべきものになる」。つまり,一日に5万5,000人近い人が飢え死にしていることになります。
もちろん,官吏の中にはそうした状況判断に反対する人もいます。それにしても,自国の民が飢えのために死んでいるのを認めたがる政府当局は少ないことを忘れてはなりません。しかし,貧しい国々では,病気による死者とされている人の中に,実際には飢えが間接的な原因となって死ぬ人が非常に多くいます。十分な食事ができていたら,早死にすることはなかったはずなのです。
しかし「緑の革命」はどうなのですか。この問題を調べているエールリッヒのような人たちは,今までになされた進歩を無視しているのでしょうか。彼はこう答えています。
「現代は,アイオワ州をみごとに耕作できる農業者,みごとな新聞発表を出せる農業者の世代を生んだ。しかし彼らは世界の実状を勘定に入れることができないし,それを知ってもいない。…
「彼らは会合の席上で言う。『だが,われわれはこれも増収できる,あれも増収できる』と。わたしは答えよう。『現在生まれている35億の人々を養うことができるなら,その時は戻ってきなさい。そうしたら,70億人をどうすべきかについて話し合おう。それまでは,自分の席について黙っているがよい。あなたがたは少しも助けになっていないではないか』と」。
これは,二人の農業経済学者ウィリアム・パドックとポール・パドックが数年前に行なった予言を思い起こさせます。共著「ききん ― 1975年!」の中でふたりは1970年代の半ばに世界的なききんが臨むのは必至と述べています。しかし「緑の革命」が始まり,当初はそれが楽観主義をもたらしたため,多くの人はそうしたききんの予言を軽視しました。
ところが現在では,権威者たちは嘲笑していられなくなりました。国連食糧農業機構のある職員は,次のような現実的な評価を下しています。「まだ確かなことはわからない。…パドックたちが結局まちがっていなかった ― 年代の点で早過ぎただけであることを思い知らされるかもしれない」。
多くの人はエールリッヒの言うように感じています。「実際の年代はいつかということは問題外であると思う。…率直に言って,わたしは徹底的な悲観論に傾いている。人はわたしに,『[世界的なききんを避けられる]可能性はどれ位だと思うか』と聞く。わたしは,その可能性は今のところ2パーセント,一生懸命努力してもやっと3パーセントにこぎつけるところだろうと答える」。
こうした予言が,「緑の革命」のさなかになされているという事実は意義深いことです。また,過去数年間は雨量に恵まれ,作物にとって比較的良い条件が続きました。しかし,自然が好条件を引き続きくり返すとは限りません。1965年と1966年にインドで見られたようなかんばつが時として起こります。その時から世界人口,特に,貧しい人が非常にふえているので,同様なかんばつが将来に起きると,恐ろしい災害がもたらされることでしょう。
答えとなるのは何か
「緑の革命」はこの世界の飢えの問題に対する答えとはなりません。それを認めているのは農業問題の専門家だけではありません。それよりもはるかに高い源である,人間の創造者エホバ神が,それは答えとはならないと言っておられるのです。
神ご自身のことば聖書には,将来がどうなるかについて多くの預言が含まれています。聖書の預言はわたしたちの時代を「末の世」と呼んでおり(テモテ後 3:1),人類史のこの注目すべき時をしるしずける多くの証拠をあげています。その一つの証拠は,「処々に飢饉…あらん」というものです。―マタイ 24:7。
したがって,穀物の新しい品種がどれほどの成功をもたらそうと,それは永続するものではありません。諸国民の間に今日見られる支配体制は,食糧不足を長期間くい止めておくことはできません。
しかし食糧不足はくい止められるのです。しかも間近にです。エホバ神はご自分のみことばの中で,飢えの問題を含めて人間の諸問題を永久に解決するという保証を与えておられます。
まず必要なのは,地とその民を支配するための新しい行政機関です。地球の資源が正しく用いられるよう,人を分裂させ国家主義,利己的な商業主義,無意味な戦争は取り除かれねばなりません。
どのようにして神はそれを成し遂げられるでしょうか。人間の事態に直接介入されることによってです。神はご自分のみことばの中で,現在の事物の体制の政治制度や経済制度すべてを除き去ると約束しておられます。それによって地上に全く新しい秩序の置かれる道が開かれます。その新しい秩序は,イエス・キリストがご自分の追随者に祈り求めるようにと教えられた天的な政府,すなわち神の王国によって支配されます。事実,神はこの天の王国を用いて,今日存在している『諸の国を打破りてこれを滅する』のです。―ダニエル 2:44。マタイ 6:9,10。
神の王国の支配の下で,その時地上の民は,「国は国にむかいて剣をあげず 戦闘のことを再びまなば(ない)」時代に住み,「肥たるものをもて宴をまうけ」ていただけることを約束されています。この天の神の政府は,地の富が正しく分配されることを確実にします。―イザヤ 25:6; 2:4。
ですから,今日の食糧に関するとてつもない難問題を人間が解決しうるという考えにだまされないようにしてください。人間は解決することができません。全人類の必要を満たすのは,科学者でも彼らの「緑の革命」でもなく,「天と地の造り主」です。(詩 146:6,7,新)それはいつのことですか。神のみことばは,それがごく近いことを約束しています。実にこの世代のうちに,神の王国はだれにも対抗されずに支配し,真の神を崇拝するすべての人にとこしえの祝福をもたらすのです。―マタイ 24:34。
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ブラジルのインディアンには何が起きているか目ざめよ! 1972 | 10月22日
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ブラジルのインディアンには何が起きているか
ブラジルの「目ざめよ!」通信員
ブラジルの広大な内陸部が網の目のように走る高速道路で切り開かれるにしたがい,インデアンたちが人々の注目を浴びるようになった。生き残っているインデアンの大半は,ジャングルの奥深くに住んでいるので,文明と多く接触することをかろうじて免れてきた。
しかし,現在の政府は,彼らをブラジル国民に統合する政策を立てていて,インデアン部族を近くの指定保留地に誘致する努力を払っており,高速道路が統合計画に役だつことを期待している。新高速道路の施工者には,インデアンと親しくなって衝突を避ける仕事をする特別のグループがついている。
ブラジルのインデアンには四つのおもな言語グループ,
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