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あなたの将来 ― それは脅かされていますか目ざめよ! 1983 | 3月22日
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あなたの将来 ― それは脅かされていますか
だれしも将来のことには関心があるものです。あと六,七十年は生きようという十代の若者であれば,前途にどんな人生が開けるか,あれこれ思い巡らすことでしょう。年のいった人々は,余生をできるだけ快適に送りたいと思っています。そしてそうした人々のほとんどは,子供や孫の将来がどうなるか心配しています。
そこで,老若を問わずすべての人々に,以下の質問に答えてみるようお勧めします。そして,お答えになる際に,ご自分がどうしてそのような答えを出すのか考えてみてください。
人間関係: 今日の人々は試験的に結婚をしたり子供をもうけたりしても構わないと考えています。古い考え方から解放されたと思っているのです。こうしたより大きな“自由”はより大きな幸福をもたらしてきたでしょうか。
健康: 今日の人間は病気の原因と治療法についてかつてないほど多くのことを理解しています。この点を考慮に入れ,自分がガンやその他の病気にかかって,身体障害者になったり若死にしたりすることはないとどれほど確信できますか。
経済的な安定: 多くの国々で,一般の人々は歴史上かつてないほど裕福になっています。では,あなたは今日の経済状態で満足していますか。ご自分の現在の生活水準を今後もずっと保てるとの確信を抱けますか。
身の安全: 200年前には今日知られているような警察官はほとんどどの国にもいませんでした。今ではまずどの国にも近代的な装備を持つ,よく組織された警察隊があります。このことからして,自分の家は決して泥棒に押し入られることはないとか,自分は抱きつき強盗や他の犯罪の被害者になることは決してないとの確信を抱けますか。
安全保障: 今日の世界の指導者たちは電話の受話器を持ち上げるだけで互いに話をすることができます。加えて,核兵器のため現代の戦争は正気の人間にとってもはや考えられない事柄になっています。こうしたことから,第三次世界大戦は決して起きないとの確信を抱けますか。今から50年後にも文明は存続しているとの確信を抱けますか。
こうした質問に対してどんな答えを出されましたか。他の大勢の人々と同じように答えたとしたら,人間社会に見られる幾つかの基本的な欠陥にお気付きになったでしょう。将来に対して幾らかでも現実的な確信を抱けるようになるためには,まずこうした欠陥を解消しなければなりません。では,これらの質問をもう一度考えてみましょう。
人間関係 ― そしてあなたの将来:
幸福というものは,他の人々とどれほどうまくやってゆくかにかなりの程度かかっています。申し分のない健康に恵まれ,あらゆる面で安全が保障されていたとしても,温かい人間関係がなければ,幸福にはなりません。わけても家族の中には最も親密で最も温かい関係がなければなりません。ところが,そうではないことが余りにも多いのです。
タイム誌に載せられた最近のある見出しは,「私生児の汚名が着せられなくなって,私生児が急増」と述べています。また,結婚に対して無責任な態度を示す夫婦は少なくありません。英国では今や,4件の結婚につき1件が離婚に終わっています。これは20年前に比べて400%の増加に当たります。ローマ・カトリック教会は離婚を禁じています。ところがローマ・カトリック教徒はしばしば無効宣告という手段によって自分たちの結婚を解消しています。この抜け穴によって,1968年に米国で338件の結婚が“解消され”ました。1980年には,その数は3万2,000件にまで達しました。
人間関係の別の重要な側面はお年寄りに対する敬意です。老齢の人々に対する敬意は従来自然にわきおこるもので,年老いてゆく親の世話をするのは神聖な務めとみなされていました。多くの場合,もはやそうした事態は見られません。今では成人した子供の多くが親の面倒を見たいとは思っていないのです。さらに悪いことに,年老いた親の多くは自分の子供から身体的な虐待を受けています。「お年寄りに対する家庭内暴力は深刻化する国民的スキャンダルである」と,米国の政治家マリオ・ビアッギは語りました。
お年寄りはまた若い暴漢のかっこうのえじきとなっています。「“老婆たたき”は国内犯罪のリストに入ってきた」と,ロンドンのデーリー・メール紙は伝えています。ですから,ウォール・ストリート・ジャーナル紙の見出しは,「不健康,犯罪への恐れ,孤独感と闘うお年寄りの女性が増える」と述べているのです。
このような傾向はあなたの将来,そして全人類の将来にとってよくない兆候だとは思われませんか。
健康 ― そしてあなたの将来:
医学の進歩にもかかわらず,自分の健康状態に関する限り,将来がどんなものになるか確かなことを言える人は一人もいません。しかし,見通しをより良いものにするためにわたしたちにできる事柄はあります。
例えば,「ワールド・ヘルス」誌によると,「人々が幾十年にもわたってかなりの数の紙巻きたばこを吸ってきた……国々では,ガンによる死者全体の約30%がたばこ,それも特に紙巻きたばこを吸ったために死亡している」とのことです。証拠はまた,かみたばこやビンロウジと口腔ガンとの間につながりがあることを示しています。
同様に,飲み過ぎは肝硬変やアルコール中毒を引き起こし,さらに数多くの犯罪,職場での事故や交通事故とも密接な関係があります。食べ過ぎは肥満を引き起こし,肥満には心臓や動脈の障害が伴います。性の不道徳は性病の世界的な流行を引き起こし,その中には治療不可能なものもあります。そして,(たばこやアルコールに加えて)薬物の乱用は様々な問題を一斉に引き起こしてきました。こうした習慣を避けることは,幸福な将来を享受するあなたの見込みをより良いものにするのではありませんか。
ところが残念なことに,わたしたちの健康は必ずしも自分たちの思い通りにはなりません。幾億人もの人が栄養不良のために病気になっていますし,汚染も健康を損なうものとなっています。
しかし,たとえ人々が健康を脅かすこうしたものを非常に巧みに回避したとしても,その将来についてはやはり疑問符が残ります。人間が自分の体や環境を誤用していることだけがすべての重病の原因ではないのです。そして最後に,死はすべての人に臨みます。このような状態がいつまでも続くのでしょうか。
経済的な安定 ― そしてあなたの将来:
自分や自分の家族にとって道理にかなった程度の将来の繁栄をどうしたら確かなものにできるでしょうか。若い人々であれば,学校で一生懸命に勉強し,将来のために備えることができます。年のいった人々は勤勉に働き,節約を旨とし,正直で信頼が置けるという評判を築くことができます。生命保険に入ったり,年金の計画をしたりする人もいます。これらはいずれも役に立ちますが,やはりここでもわたしたちの計画を無に帰してしまいかねない力が働いています。
食糧事情を考慮してみるとよいでしょう。1981年の国際連合人口活動基金は,食糧がそれを買うお金を持つ人々の手に渡ったことを伝えました。お金のない人々は空腹を満たせませんでした。
そしてさらにインフレの問題があります。これは希望を残忍な仕方で打ち砕くものになりかねません。英国ではポンド-スターリングの購買力が17年前の5分の1を下回っています。中には,年間インフレ率が毎年100%を超える国もあります。
忍び寄る失業は問題をいっそう難しくしています。仕事が見付からなければ,どうして幸福な将来に向けて計画を立てることができるでしょうか。
経済情勢が不確かなために,多くの人は将来が不確かであると感じています。あなたもそのように感じておられますか。
身の安全 ― そしてあなたの将来:
自分の身の安全を確かなものにするために,わたしたちにはどんなことができるでしょうか。正直なところ,打つ手はほとんどありません。できることと言えば,犯罪の発生率の高い地区に行かないようにし,家に盗難警報器を取り付け,犯罪者の注意を引かないように努めるぐらいのことです。
英国のエディンバラ公は犯罪の現状について語り,今日の世界は暗黒時代のようだ,と述べました。ロンドン警視庁の警視総監は,「無力感に打ち沈んでも,許してもらえるだろう」と本音を吐いています。また,英国首席裁判官はこう語りました。「端的に言って,我が国の道義心が損なわれており,それを正すことは法の力ではとても及ばない」。例えば,厳重な警備の目をくぐって,一人の侵入者が英国女王の寝室に入り込みました。言うまでもなく,こうした犯罪のジレンマに悩むのは英国だけではありません。
そして,あなたの身の安全を脅かすもっと大きな脅威があります。それは戦争の可能性です。カナダのジャーナリスト,デービッド・ランカシャーはこう警告しています。「兵器の複雑化に伴って,コンピューターの誤りによる偶発戦争の生じる可能性が強まっている。ここ18か月間に,米国のミサイル警報システムは誤った警報を147回出している」。ヘレン・カルディコット博士は,核兵器の現状を,「ほとんど人間の手に負えないもの」と呼んでいます。
こうして振り返ってみると,わたしたちすべての将来の幸福は諸国家の不穏な情勢によって脅かされていることが分かります。そしてそれについてわたしたち個人にできることはごく限られています。しかし,絶望感に打ちひしがれることはありません。全人類を脅かしている現下の危険のかなたには,別のものがあるのです。続く記事をお読みになり,あなたの将来がどのようにして幸福なものになり得るかを知ってください。
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あなたの将来 ― 幸福なものとなり得ます目ざめよ! 1983 | 3月22日
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あなたの将来 ― 幸福なものとなり得ます
この短い論議から,わたしたちの将来を幾らかでもより安全なものにするためにできる事柄が幾つか分かりました。しかし,わたしたちには全くどうすることもできない事柄も数多くあります。中には世界の支配者たちの手にも負えない問題さえあります。そうした問題は確かにわたしたち個人ではどうにもならない事柄です。わたしたちは人類を超越したところに目を向けなければなりません。どうしたらそのようなことができるでしょうか。
人間の諸問題に対する超人間的な解決策を差し示す一冊の本が幾千年も前から存在しています。その本は聖書です。そして聖書は,人間に安全な将来を与えることのできる方として,創造者にわたしたちの目を向けさせています。
あなたは聖書を信じておられないかもしれません。あるいは,受け入れてはいても,聖書は今日の諸問題とは関連がないと感じているかもしれません。ところが実際には,聖書はこれまで記録されたもののうちでも最も包括的で効果的な,生活の指針を与えているのです。
この論議の冒頭で提起した問題をもう一度取り上げ,それについて聖書がどんなことを述べているか考えてみましょう。
人間関係:
年老いた親の世話をすることに関して,聖書はこう述べています。「自分に属する人々,ことに自分の家の者に必要な物を備えない人がいるなら,その人は信仰を否認していることになり,信仰のない人より悪いのです」― テモテ第一 5:8。
聖書はまた,親として責任感を持つことや結婚関係における責任についても教えています。「結婚はすべての人の間で誉れあるものとされるべきです。また結婚の床は汚れのないものとすべきです」と,聖書の一筆者は勧めています。(ヘブライ 13:4)聖書の別の書の中で,この同じ筆者はこう述べています。「キリストへの恐れをもって互いに服し合いなさい。妻は……自分の夫に服しなさい。……夫たちよ,妻を愛し続けなさい。……子供たちよ,……あなた方の親に従順でありなさい。……父たちよ,あなた方の子供をいら立たせることなく,エホバの懲らしめと精神の規整とをもって育ててゆきなさい」― エフェソス 5:21,22,25; 6:1,4。
このような助言は優れたものではあっても,理想主義的であると思われるかもしれません。しかし実際には,わたしたちに目指すべき高い基準を与えているのです。そして事実からすれば,このような基準に従って生活しようと懸命に努力している人々が今日幾百万人もおり,そうした人々の生活はその結果としてより幸福なものになっています。
あなたの健康:
この助言について考えてみてください。『淫行の者,貪欲な者……大酒飲み……がいれば,交友をやめなさい』。(コリント第一 5:11)また,「肉と霊のあらゆる汚れから自分を清め……ようではありませんか」という助言を考慮するとよいでしょう。(コリント第二 7:1)この助言に従う人はだれでも,性病をはじめ先に挙げた他の様々な病気にかからないですむでしょう。
避けることのできない病気について言えば,聖書は別の解決策を挙げており,それについては後で述べることにします。
経済的な安定:
経済的に困難なこの時期にあって,わたしたちを助ける助言も豊富に見いだされます。例として聖書の諭しを二つだけ挙げることにしましょう。「働こうとしない者は食べてはならない」。および,「何をしていても[世俗の仕事を含む],人にではなくエホバに対するように魂をこめてそれに携わりなさい」。(テサロニケ第二 3:10。コロサイ 3:23)この助言は,どんな経済状況のもとに置かれようと,わたしたちがその状況を最大限に生かすのに役立ちます。
それに加えて,イエスはかつて驚くべき約束をされました。十分の衣食を得るという問題について話した際,イエスはこう言われました。「ですから,王国と神の義をいつも第一に求めなさい。そうすれば,これらほかのものはみなあなた方に加えられるのです」。(マタイ 6:33)これはご自分の僕たちの世話をしてくださるという神の約束です。神はご自分の約束を守られるでしょうか。幾百万もの人々は神が約束を守られると証言しています。
身の安全:
聖書はこの危険な時代にあってどのように賢明に身を処していけるかについて諭しを与えています。しかし,犯罪について語る場合も戦争の脅威について語る場合も,安全にかかわる問題の大半が個人よりも政府によって解決されるべきものであることは否めません。この点に関しても聖書は解決策を差し伸べています。聖書は,助けを得ずに自らを治める能力が人間にないことを率直に認め,こう述べています。「自分の歩みを導くことさえ,歩んでいるその人に属しているのではありません」。(エレミヤ 10:23)そして聖書は,優れた成果を収める政府として神の王国に頼るようわたしたちに勧めています。
別の種類の政府
実を言えば,人々は神がこの地の支配権を執るよう長い間祈ってきました。よく知られている主の祈りを唱える時,人々はこう祈ります。「あなたの王国が来ますように。あなたのご意志が天におけると同じように,地上においてもなされますように」。(マタイ 6:9,10)これは,人間に代わって神が地上を支配することを願う祈り以外の何だというのでしょう。聖書はその祈りの言葉の成就を示す次のような幻をも与えています。「世の王国はわたしたちの主とそのキリストの王国となった。彼は限りなく永久に王として支配するであろう」― 啓示 11:15。
その王国のもとで,今日ではごくありふれた事柄になっているものの多くが消え去ります。「悪を行なう者たちは断ち滅ぼされるが,エホバを待ち望む者たちは,地を所有する者となる(の)である」。(詩編 37:9)「地には穀物が豊かに実り,山々の頂であふれんばかりに実ります」。(詩編 72:16)「神は地の果てに至るまで戦いをやめさせておられる」。(詩編 46:9)この支配権のもとでは,もはや戦争も犯罪も飢えもなくなるのです!
病気と死はどうでしょうか。次の約束の言葉に耳を傾けてください。「神は彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死はなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない。以前のものは過ぎ去ったのである」。(啓示 21:4)これが聖書の約束している将来です。それは単なる夢にすぎないと思われるかもしれません。しかし考えてみてください。人間の支配者たちが今世紀の様々な危険な問題を解決できないのであれば,人類にはどんな将来があるというのでしょうか。神の王国が信頼の置ける希望でないとしたなら,それに代わるものがありますか。
使徒たちの時代にクリスチャンたちは安全な将来を指し示す唯一の希望として神の王国にすべての人々の注意を引きましたが,今日ではエホバの証人が今の世代の人々にその同じ音信を宣べ伝えています。彼らは自分たちの日々の生活に聖書の原則を当てはめようと努めており,それが良い結果をもたらすことを悟っています。難しい問題に直面して神に助けを求めると,神はその助けを与えてくださるのです。エホバの証人は,聖書の預言の光に照らして見る時に神の王国が現実のものであることを証明する,今日の数多くの出来事に通じています。そして,自らをその王国の臣民とみなしています。エホバの証人はまた,神がその王国に行なわせると言われた事柄すべてをその王国が行なうことをも知っています。
ここに引用した聖句があなたの見たいと思っている将来を描き出しているのであれば,それについてエホバの証人と話し合ってみてはいかがですか。善意の人々すべてに差し伸べられている真に幸福な将来について学んでください。聖書は「とがめのない者に注目し,廉直な者を見つめよ。その人の将来は平安だからである」と述べていますが,どうしたらここに言及されている人々の一人になれるか,お調べになってください。―詩編 37:37。
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