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メシアに関する他の秘義が啓示される人間の益のために今や勝ち誇る,神の「とこしえの目的」
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ヤコブの肉身の子孫のために『有効なものとして保たれて』いた『第七十週年』の期間を生来のユダヤ人の多くの人々が活用した訳ではありません。(ダニエル 9:27,新)そうしたのは,ただ少数の残りの者だけでした。西暦36年に『第七十週年』が終わる以前にエルサレムでメシアなるイエスを受け入れたユダヤ人の人数で,最後に記録されているのは約五千人でした。―使徒 4:4。
18 神は霊的なイスラエル人を何人持つことを意図されましたか。それで,『第七十週』の終わりにさいし,どんな疑問が生じましたか。
18 神は新しい契約によって生み出される,ご自分の「祭司の王国,聖なる国民」のために,それよりもはるかに大きい人数をあらかじめ定めておられましたが,西暦70年にエルサレムが滅ぼされた後,それも一世紀の終わりごろになるまでは,ご自分の意図された正確な人数を啓示されませんでした。次いで,神は生き長らえて年老いた使徒ヨハネに対して,ご自分の意図して選定された,霊的なイスラエル人の人数は14万4,000人であることを啓示されました。(啓示 7:4-8; 14:1-3)西暦36年の秋に『第七十週』が終わったとき,イエスをメシアとして受け入れて,聖霊でバプテスマを受けたユダヤ人の数は,明らかに14万4,000人をはるかに下回っていました。では,どうなりましたか。神の目的は潰えましたか。それとも,神は今や,キリストにかかわるご自分の「とこしえの目的」を潰えさせないようにするため,どんな驚くべき措置を取ることになりましたか。
19 メシアなるイエスを頭として戴く,バプテスマを受けた信者たちの集団に関して,神は今やどんな啓示をお与えになりましたか。
19 メシアなるイエスの,バプテスマを受けた追随者の会衆は,西暦36年の秋に至るまでは,専ら生来のユダヤ人や割礼を受けたサマリア人,それに割礼を受けてユダヤ教の改宗者になった他の人たちだけで成り立っていました。(使徒 2:10; 8:1から9:30; 11:9)残りの人類は,「キリストを持たず,イスラエルの国家から疎外され,約束にかかわる数々の契約に対してはよそ者であり,希望もなく,世にあって神を持たない」不信者でした。(エフェソス 2:11,12)さて,啓示が到来しました。メシアなるイエスを頭として戴いていた信者たちの集団は,もはや専らユダヤ人およびユダヤ教の改宗者のなかから取られた人々だけで構成されるのではなくなったのです。したがって,神がアブラハムを召し,次いで彼と契約を結び,ご自分との交友関係を持つことを信仰ゆえに彼に認めた時のそのアブラハムと全く同様,割礼を受けていない人々,つまり割礼を受けていない信者が,メシアを信ずる人たちの集団に入れられることになりました。ゆえに,それら受け入れられた非ユダヤ人もやはり信仰を持っていました。
20 (イ)それで,何がもはやユダヤ人と非ユダヤ人との間に障壁として介在すべきものではなくなりましたか。(ロ)ゆえに,神は今やだれに好意的な注意を向けましたか。
20 西暦33年における『第七十週』の半ばに,神はモーセの律法契約を廃止し,霊的イスラエルとの,より良い「新しい契約」を創始されました。ゆえに,古い律法契約はもはやユダヤ人と異邦人との間の障壁として介在すべきものではなくなりました。それで,エホバ神はエフェソス 2章13-18節に述べられているように,障害の取り除かれた道を下って,『ご自分のみ名のための民を取り出す』ため,割礼を受けていない異邦諸国民に好意的な注意を向けられました。―使徒 15:14。アモス 9:11,12,ギリシャ語セプトゥアギンタ訳。
21 次いで,神はだれにみ使いを遣わしましたか。そのみ使いは何をしましたか。
21 第七十週年の終わりにエホバ神はみ使いをだれに遣わされましたか。ユダヤ州を治めるローマ知事の首都にいた,割礼を受けていないある異邦人に遣わされました。その異邦人とはイタリア隊の百人隊長コルネリオでしたが,彼は「篤信の人であり,自分の家の者たちすべてとともに神を恐れ,民にあわれみの施しを多くなし,絶えず神に祈願をささげて」いました。コルネリオは南の沿岸都市ヨッパに人をやって,シモン・ペテロを連れて来させるよう命じられました。シモン・ペテロは,彼を連れて来るよう遣わされた三人の人たちと同行しました。ペテロは,『神が清めた物を汚れていると呼ぶ』のをやめて,それら三人の人々と同行するよう指示されていたのです。
22 その異邦人の家で,ペテロは集まった人々に何について宣べ伝え,罪のゆるしについて何と言いましたか。
22 それで,シモン・ペテロは異邦人の家に入るのを嫌う偏見を抑えて,カエサレアのコルネリオの家に入りました。招きに応じたペテロは,その異邦人と彼が使徒ペテロの話を聞かせようとして自宅に集めておいた人たちにみことばを宣べ伝えました。ペテロは,神がイスラエルに遣わされたメシアについて彼らに宣べ伝えました。そしてペテロはこう続けました。「また彼は,民に宣べ伝えるように,そして,これが生きている者と死んでいる者との審判者として神に定められた者であることを徹底的に証しするようにと,わたしたちにお命じになりました。彼についてはすべての預言者が証しをしています。彼に信仰を持つ者はみな,その名によって罪のゆるしを得るとです」― 使徒 10:1-43; 11:4-14。
23 どんな奇跡に接したとき,ペテロは話を聞いていた人たちに,バプテスマを受けるよう命じましたか。だれの名においてそうしましたか。
23 これらの言葉は,コルネリオおよび彼と一緒に耳を傾けていた人たちにとって十分なものでしたし,そのうえ神も彼らの心を読み取って行動を起こされました。こう書かれています。
「ペテロがまだこれらのことについて話しているうちに,聖霊がみことばを聞いているすべての者の上に下った。そして,割礼のある人びとで,ペテロといっしょに来ていた忠実な者たち[割礼を受けた六人のユダヤ人の信者]は驚嘆した。無償の賜物である聖霊が諸国の人びとの上にも注ぎ出されていたからである。彼らがいろいろな国語で話し,神をほめたたえているのを聞いたのである。これに応じてペテロは言った,『わたしたちと同じように聖霊を受けたこの人びとに,だれか水を禁じてバプテスマを受けさせないようにできるでしょうか』。そうして,イエス・キリストの名においてバプテスマを受けることを彼らに命じた。それから彼らは,幾日かとどまるようにと彼に頼んだ」― 使徒 10:44-48; 11:1-17。
24 ペテロの説明を聞いた,エルサレムのそれらのユダヤ人は,それにどう答え応じましたか。
24 後日,エルサレムに戻ったペテロは,その地の,割礼を受けたユダヤ人の信者たちに経過を説明して言いました。「それゆえ,神が,主イエス・キリストを信じて頼ったわたしたちに与えてくださったと同じ無償の賜物を彼らにもお与えになった以上,どうしてわたしなどが神を妨げえたでしょうか」。今日のわたしたちも,ペテロの説明を聞いた当時の人々のようであるべきでしょう。「さて,これらのことを聞くと,彼らは黙って同意し,それから神の栄光をたたえてこう言った。『それでは,神は命のための悔い改めを諸国の人びとにもお授けになったのだ』」― 使徒 11:17,18。
25 次いで,割礼を受けたユダヤ人の信者は,復活させられたイエスのどんな命令を履行しましたか。
25 その時以来,使徒および仲間のユダヤ人の信者たちは,自分たちの活動を単にユダヤ人とその改宗者だけに限定せず,復活させられたイエスから行なうよう次のように命じられた事柄を行ないました。「それゆえ,行って」― だれを?―「すべての国の人びとを弟子とし,父と子と聖霊との名において彼らにバプテスマを施し,わたしがあなたがたに命令した事がらすべてを守り行なうように教えなさい。そして,見よ,わたしは事物の体制の終結の時までいつの日もあなたがたとともにいるのです」― マタイ 28:19,20。
26 特にどんな使徒が,信仰の厚い異邦人に関連した神の秘義について書きましたか。
26 コルネリオがメシアの弟子として改宗するに先立って,メシアを信じた同胞のユダヤ人を良心上の理由で迫害していたタルソスのサウロ自身も改宗しました。彼は早速,割礼を受けた他のユダヤ人に宣べ伝えるわざを開始し,ダビデの子であるこのイエスこそ予告されたメシアつまりキリストであることを,霊感を受けたヘブライ語聖書から彼らに示しました。やがて彼は使徒としての身分を与えられてパウロと呼ばれ,特に「諸国民への使徒」とされました。彼は特に,西暦36年当時,信仰の厚い異邦人が「アブラハムの胤」の成員としてキリストの弟子たちの集団に入るのを神がお許しになって啓示されたことがどんなに驚嘆すべき秘義つまり「神聖な奥義」かについて書きました。―ローマ 11:13。
27 パウロは異邦諸国民のなかでどんな壮大な「神聖な奥義」を知らせていましたか。
27 例えば,パウロは長年奥義とされてきたメシアの会衆の特色に関してこう書きました。「わたしは,神から受けた家令職にしたがってこの会衆の奉仕者となりました。それは,あなたがたのため,神のことばを十分に宣べ伝えるために,わたしに与えられたものです。すなわち,過去の事物の諸体制から,また過去のもろもろの世代からは隠されてきた神聖な奥義[あるいは秘義]を宣べ伝えるためにです。それは今,神の聖なる者たちに対して明らかにされたのであり,神は,諸国民の間におけるこの神聖な奥義の栄光ある富がどんなものかを彼らに知らせることを喜びとされたのです。それは,あなたがたと結ばれたキリスト,その栄光の希望です」。(コロサイ 1:25-27)これほどの長期間を経た後に,異邦諸国民のなかから来る信者にもメシアつまりキリストと共に栄光を受ける天的希望が与えられるとの何と壮大な「神聖な奥義」が啓示されることになったのでしょう。そのような希望を持つ会衆の奉仕者であることは本当に名誉であり,特権でした!
28,29 (イ)異邦人の信者に対するこうした愛ある思いやりは,だれに関連して立てられた神の目的に含まれていましたか。(ロ)このことに関連して自分の役目に対する,感謝を表わしたパウロは,神の「とこしえの目的」について何と書きましたか。
28 ああ,考えてもみてください。神がご自分のメシアに関連してお立てになった高遠な目的には,異邦人の信者を全人類を祝福するアブラハムの霊的な「胤」の一部にするための,こうした愛ある思いやりがすべて含まれていたのです! 愛ある神がご自分の意志のこの際だって寛大な面を,それがご自身の「とこしえの目的」の一部であるゆえに堅持してこられたのは,何と賞賛すべきことなのでしょう。このことに関連して神から与えられた自分の役目に対する感謝の意を表わしたパウロは,こう言いました。
29 「すべての聖なる者たちの中でも最も小さな者よりさらに小さな者であるわたしにこの過分のご親切が与えられ,こうしてわたしは,キリストの測りがたい富に関する良いたよりを諸国民に宣明し,定めのない過去から,すべてのものを創造された神のうちに隠されてきた神聖な奥義がいかに管理されるかを人びとに示すことになりました。これ[この処置]は,天の場所にあるもろもろの政府と権威に対して,きわめて多様な神の知恵が,今や会衆を通して知らされるためであり,それは,キリスト,すなわちわたしたちの主イエスに関連して神がお立てになったとこしえの目的[ギリシャ語,プロセシス]にかなうところでした」― エフェソス 3:8-11。
30 (イ)神はご自分の「とこしえの目的」にしたがって,ご自身の『きわめて多様な知恵』をどのように明らかにされ始めましたか。(ロ)現代に生を享けたわたしたちは,たいへん恵まれています。なぜですか。
30 このようなわけで,神はこうしてご自分の「神聖な奥義」の管理を続行されたので,『キリストに関連して神がお立てになったとこしえの目的』にしたがって,今や現時点までには,天の場所における政府や権威に対し,「きわめて多様な神の知恵」が,その例証としてのクリスチャン会衆を生み出すことによって明らかにされていることでしょう。神の「とこしえの目的」にしたがって神の「神聖な奥義」を理解できるこの現代に生を享けたわたしたちは,たいへん恵まれているのではないでしょうか。パウロは述べています。
「ほかの世代において,この奥義は,今その聖なる使徒や預言者たちに霊によって啓示されているようには,人の子らに知らされていませんでした。すなわち,諸国民が良いたよりによってキリスト・イエスと結ばれて,共同の相続人,同じ体の成員,わたしたちとともに約束にあずかる者となる,ということです」― エフェソス 3:5,6。
31,32 (イ)キリスト教時代以前のだれが,これらの事柄を理解することに関心をいだいていましたか。(ロ)ゆえに,キリストの「体」はだれによって構成されますか。
31 キリスト教時代以前の古代の預言者たち,いや,み使いたちさえ,この「神聖な奥義」がエホバ神によっていったいどのように管理されるかに関心をいだいていました。
「ほかならぬこの救いに関して,勤勉な探究と注意深い調査が,あなたがたに向けられた過分のご親切について預言した預言者たちによってなされました。彼らは,自分のうちにある霊が,キリストに臨む[定められていた,待ち受けていた]苦しみとそれに続く栄光についてあらかじめ証しをしている時,それがキリストに関して特にどの時期あるいはどんな時節を示しているかを絶えず調べました。彼らは,天から送られた聖霊をもってあなたがたに良いたよりを宣明した人びとを通し今あなたがたに発表されている事がらに奉仕しましたが,それが,自分自身のためではなく,あなたがたのためであることを啓示されました。み使いたちは,実にこうした事柄を熟視したいと思っているのです」― ペテロ第一 1:10-12,新; アメリカ訳。
32 ゆえに,キリストの「体」の全成員はユダヤ人はもとより異邦人からも取られる人たちによって構成されることが,神のご予定の時に啓示されました。最初にエデンの園で立てられた神の「とこしえの目的」には,メシアを頭として戴くこの会衆のことが考慮に入れられていたのです。その会衆のなかでユダヤ人と異邦人は一体となりました。
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「とこしえの目的」のための勝利人間の益のために今や勝ち誇る,神の「とこしえの目的」
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14章
「とこしえの目的」のための勝利
1 神の「とこしえの目的」に反対する霊者となったのはだれですか。それはいつからですか。
神の「とこしえの目的」については,天にも地上にもそれに反対する者がいます。それらの者はその「とこしえの目的」の究極的勝利をはばもうとして戦ってきましたし,なおも戦い続けています。神はエデンの園で大いなるへびや罪深いアダムとエバの聞こえるところでご自分の「とこしえの目的」を発表したとき,そのへびに向かって言われました。「わたしはおまえと女との間に,またおまえの胤と女の胤との間に敵意をおく。彼はおまえの頭を砕き,おまえは彼のかかとを砕く」。
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