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社会改革,あるいは良いたよりものみの塔 1960 | 10月15日
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に生き残るよう,彼らに行動を起こさせます。―黙示 16:14。
イエスは「終りの時代」または「終りの時」における真のクリスチャンの仕事について話されましたが,その仕事とは,「社会主義」ではなく,御国の福音または良いたよりの伝道であることを示されました,「御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである」。(マタイ 24:14,新口)ハルマゲドンでこの世が「全き終り」をつげる前のいまは,御国の良いたよりを伝道すべき重要な時であります。御国の伝道は,従順な人類がこの世の終りを生き残つて,正しい新しい世に入ることを可能にします。神はこの古い世を改革するという目的をもつておられません。「しかし,今の天と地とは,同じ御言によつて保存され,不信仰な人々がさばかれ,滅ぼさるべき日に火で焼かれる時まで,そのまま保たれているのである」。この古い世の代りに,神は「新しい天と新しい地」をつくつておられます。神の御国は正しい新しい世を実現させます。―ペテロ後 3:7,新世。
社会改革のなしえぬことに成功
しかし,いまでさえ,御国の良いたよりは,最も実際的な方法で人類の利益に役立つています。それは人々から汚れをのぞきます。御国の伝道は,社会改革者たちの成し得ぬことを実際に成し遂げます。たとえばキリスト教が発足した時代の改革者たちは,事態を改善することができませんでした。ゴードン・クラークとT・V・スミスの編集した「リーディングス・イン・エシックス」は,改革者たちのあげた成果と,御国を伝道したクリスチャンたちのあげた成果とを比較してこう述べています,「つぎのことは驚きに価する。すなわち,一般のギリシャの学校は,特に教育のある上流階級の人々の心を引きつけただけである。そして,キングスレイの「ハイパシア」に描写されているように,たいていの場合彼らの支持にもかかわらず改革を成し遂げることができなかつた。また,ストア学派も比較的人気があつたが,大衆に影響をおよぼすことも,宮廷のだらくを防止することもできなかつた。しかるにキリスト教は,発足以来25年にして何千という人々に全く新しい生命を与えた。この新生命は美徳の中に最も著しく表わされた。……この美徳は,一般大衆の行動には確かになかつたものである」。
そうです。御国の伝道は,改革者たちのあげ得なかつた成果をあげたのです。これはどういうわけでしようか。なぜなら,神のすべてのいましめを守ることによつて汚れを除かない限り,だれも神の御国の中であるいは支配下で永遠の生命を得ることができないからです。使徒パウロは書きました,「それとも,正しくない者が神の国をつぐことはないのを,知らないのか。まちがつてはいけない。不品行な者,偶像を礼拝する者,姦淫をする者,男娼となる者,男色をする者,盗む者,貪欲な者,酒に酔う者,そしる者,略奪する者は,いずれも神の国をつぐことはないのである。あなたがたの中には,以前はそんな人もいた。しかし,あなたがたは……洗われ,きよめられ……たのである」。―コリント前 6:9-11,新口。
こうして御国の伝道は,結果として,姦淫とか泥酔のような清くない行いから人々を清めます。これはどんな社会改革計画もまねのできない方法です。この清めはどのように生じたのでしようか。イエスは言われました,「わたしにつながつている枝で実を結ばないものは,父がすべてこれをとりのぞき,実を結ぶものはもつと豊かに実らせるために,手入れしてこれをきれいになさるのである。あなたがたは,わたしが語つた言葉によつて既にきよくされている」。(ヨハネ 15:2,3,新口)そういうわけでクリスチャンは,イエスが伝道された「言葉」すなわち神の御言葉によつて「清く」なるのです。神の聖なる御言葉は清める力をもつていて,義に引かれる性質をもつた人々をして,「愛,喜び,平和,寛容,慈愛,善意,忠実,柔和,自制」などのクリスチャンにふさわしい美質の実を結ぶよう努力させます。―ガラテヤ 5:22,23,新口。
唯一の建設的な仕事を行なう
ですから神の御国の良いたよりの伝道は,いま,ごく実際にそくした方法で,人々を正しく高潔な生活へと転向させています。真のクリスチャンは,「曲つた邪悪な時代のただ中にあつて,傷のない神の子と」なります。(ピリピ 2:15,新口)他の方法でこういう結果をもたらそうと試みることは,失敗に終わるのみか,神の御旨と一致しません。神はこの世を改革しようとされているのではなく,滅ぼそうとされているのです。この悪い世は神の友ではありません,「おおよそ世の友となろうと思う者は,自らを神の敵とするのである」。(ヤコブ 4:4,新口)世界がたてた改革計画に参加して,御国の良いたよりの代りに「社会改革」を伝道することは自分を神の敵とすることになります。聖書の真の崇拝の代りに「社会改革」を自分の宗教とすることは,無益と破滅をもたらします。神は間もなくハルマゲドンで「地を滅ぼす者を滅ぼ」されます。「社会改革」は,神の御心を変えることもできませんし,ハルマゲドンで生命を救うこともできません。―黙示 11:18。
したがつてエホバの証者の新世社会は,今日の世界にある最も建設的な仕事 ― 設立された御国の良いたよりを,「すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝え」ています。(マタイ 24:14,新口)この仕事は神の御心と一致しており,かつ生命を救います。ものみの塔聖書冊子協会の発行の本「新しい天と新しい地」は,325頁でこう述べています,「今日の地上で,真に建設的なわざをしている唯一つの群れは,新しい世の社会だけです。他のすべての群れは,この世に属しており,この世の企てや,計画,そしてわざに参加しているために,『地を滅ぼす者たち』とその運命を共にしております。彼らは神の設立した御国と調和しない活動を行ない,そのためハルマゲドンの神の怒の日に自分自身の上に滅びと破滅をもたらします」。
新しい世は近づいています。それは,社会改革者たちの手を通して来るのではなく,神の御手から来ます。「義の住む」ところの「新しい天と新しい地」に関して神が宣言された御目的に一致して働く人々はさいわいです。(ペテロ後 3:13,新口)神の御国は,永遠につづく新しい世界の実現を可能ならしめるための神の道具です。ですから,イエスと使徒の手本に見習いなさい。神の御国のわざの拡大に参加して下さい。神の御国を愛するがために,悪い行いから良い行いへと方向を変える人々を見る幸福を楽しんで下さい。神の御心に従順でありなさい。御国の良いたよりからわき道にそれるのを拒否しなさい。そうすればあなたは,いかに多くの仕事をしてもしりぞけられる「不法を働く者」の中にいないでしよう。そうすればあなたは,命を救われてハルマゲドンを通過し,永遠の生命という将来のある正義の新しい世に入るでしよう。栄光はすべて,新しい世の創造者なるエホバ神に帰します。
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盲人は視力を得るものみの塔 1960 | 10月15日
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盲人は視力を得る
韓国の巡回の僕の妻は,次のような手紙を書き送つてきました,「いまから約6ヵ月前,夫といつしよに京城の一会衆を訪問して家から家のわざをしているとき,私は盲人の一善意者に会いました。私は,楽園の新しい地の祝福について聖書の話をしました。新しい地では,視力は回復され,完全な健康と幸福が存在するでしよう。その人は音信に深い興味を示しました。その人は文字を読むことができませんが,「ものみの塔」の1年の予約をすぐにしました。友人のひとりに読んでもらおうと思つたのです。その人は,知識欲が旺盛で,良い教育をうけています。自宅は盲人の友だちのための一種の社交の中心のようなものでした。
「翌日再訪問して,その場で家庭聖書研究はすぐに始まりました。その人は,早く進歩するために点字の出版物を得たいと言いましたが,韓国語の点字を使用している協会の出版物はありませんでした。
「夫と私が4ヵ月後にその会衆へ戻つたとき,この善意者はすばらしい進歩を示しており,会衆の全部の集会に出席し,友人たちに伝道していました。そして,1週に2回研究したい,そうすればもつと早く進歩して間もない中に浸礼をうけられるだろう,という希望を申し出ていました。
「ちようどその頃英文の「ものみの塔」のなかに,日本のひとりの人についての記事が出ていました。その人は殺人の罪を問われ,刑務所にいましたが,その間に聖書の真理を学んだのです。彼は1959年6月に処刑されるまで10年間刑務所生活をしていました。この期間の終り頃に彼は御国の音信に接しました。それから,エホバ神に献身して,刑務所内で水による洗礼をうけたのです。この人は処刑をうける前ありとあらゆる手段をつくして良いたよりを看手や囚人に伝え,また手紙によつて,殺害した人々の親族をも含む他の人々に伝えました。その人は点字を研究して,協会の数多くの出版物を点字になおし,日本の各地にいた人々に配布しました。盲人学校にも配布したのです。
「この韓国人の善意者は日本語の点字が読めるので,私たちは日本に手紙を送り,その出版物のいくらかを求めました。4月の地域大会のすぐ前に,数多くの点字の出版物を入れた箱が到着しました。すぐに夫と私は,それを彼のところに持つて行きました。私たちはその書物を渡す前に,点字になおした兄弟のことを話しました。彼の指がゆつくり点字の上を動いて,唇から『御国のこの良いたより』という言葉が繰り返し述べられるのを見ることは,なんというよろこびでしよう! その人はこう言いました,『ああ! やつと自分で研究できるもの,そして私の盲の友だちに真理を悟らせる助けとなるものを入手しました』。この人は,このような点字の出版物を準備した兄弟のことを更にたずねてから,次のように言いました,『新しい世で私はぜひともその人にお会いしてこのすばらしい贈り物をしてくれたことに私の感謝を伝えたい』。
「身体的には盲目なこの善意者はいまは霊的な視力を得て,御国の伝道者です。彼は暗やみから出て,いまではエホバのすばらしい光をよろこんでいます。」
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