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真に幸福な生活に通ずる道目ざめよ! 1974 | 1月8日
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た。神はすばらしい希望をお備えになりました。どのようにしてそれをされたでしょうか。
この奴隷状態から人類を自由にし,それと同時に神の義の正しい要求を満たすために,神のみ子は地上にいるあいだに,ご自分の命を犠牲としてささげました。人類の先祖アダムは,自分自身と自分の子孫全部の,完全な人間の命に対する権利を失いました。アダムの子孫はひとりとして,完全な人間の命をあがないとして支払うことはできませんでした。というのは,それを持っていた者はひとりもいなかったからです。詩篇 49篇7節が『たれひとりおのが兄弟をあがなうことあたわず これがためにあがないしろを神にささげ……ることあたわず』と述べているとおりです。しかしキリスト・イエスはそれをすることができ,また実際に行なわれました。イエスは自ら進んで,「自分の魂を,多くの人と引換える贖いとして」与えました。―マタイ 20:28。
したがってここに,人類が弱さと死へ下降するのを終わらせ,従順な人すべてを,完全性と命へもどる道を歩ませる重要な要素があります。だからこそキリスト・イエスは,将来における地の統治にかんして弟子たちに語ったさいに,それを「再創造」もしくは「世が改まる」時と言われたのです。(マタイ 19:28)キリスト・イエスの,生命を再興する支配は,墓から復活した人びとすべてを含め,その臣民すべてを義をもって教育し導きます。そして彼らを罪と不完全性から完全に自由にするために,キリスト・イエスのあがないの犠牲の益を施すでしょう。―啓示 20:12,13。
このことは,聖書の巻末の書の預言的幻の中で美しく描写されています。そこでは神の政府は,ワシントン,モスクワ,北京,ロンドン,パリといった,今日の強力な首都のどれかによって表わされているのではなく,天の首都である新しいエルサレムと呼ばれる象徴的な都市によって表わされています。王国の力が地に差し伸べられるときの影響を示して,記録は次のように述べています。「また神は彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死もなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない。以前のものは過ぎ去ったのである」― 啓示 21:2-4。
人間の老化の過程が逆転し,大祭司としての神のみ子の助けを得て人間が死と墓への道からもどり,若者の新鮮さと活力への道を再びたどり始めるときは,どんなにすばらしいでしょう。地の住民が,神のご意志と目的にいっそうよく調和した生活をするよう努力するとき,神の政府のかしらは彼らをやさしく導くことをわたしたちは確信することができます。というのは,ヘブライ人への手紙の4章15,16節は,キリスト・イエスの大祭司としての奉仕にかんし,キリストがこの地上で得られた経験を考慮に入れて,このように述べているからです。「わたしたちは,わたしたちの弱いところを思いやることのできないかたではなく,すべての点でわたしたちと同じように試され,しかも罪のないかたを,大祭司として持っているのです。それゆえ,時にかなった助けとしてあわれみを得,また過分のご親切を見いだすために,はばかりのないことばで過分のご親切のみ座に近づこうではありませんか」。
きたるべき政府は地球全体が祝福を得る道を開く
その政府は,全人類が罪と死から自由を得るための手段を備えて,彼らが最も必要としているものを供給しますが,また人類の他の問題もすべて解決します。人類が常に必要としながら得られなかったもの,すなわち全地を治めるひとつの政府です。
地の住民の持つ問題は複雑に入り組んでいます。わたしたちはみなこのひとつの地球を住みかにしています。ですからみんなが心を合わせてこの住みかを正しく用いるときにのみ,この住みかを十分に楽しむことができます。現在地球は,国境,変動する政治上の国境,また関税という壁やその他の障壁を持つ国家や王国に細分されていて,それらが真の世界的協力を妨害してきました。
神のみ子による神の王国は,それらの障壁をすべて打ち砕き,すべての政治的境界線を地図から消し去ります。そうなると,地の産物は神の祝福のもとにあって自由に,そして豊かに流通するでしょう。遠い昔のダビデ王の次の祈りは,キリストのメシア的政府の支配のもとでその最大の成就を見るでしょう。『かれは民のくるしむ者のために審判をなし ともしきものの子らをすくい 虐ぐるものを壊きたまわん……かれの世にただしき者はさかえ平和は月のうするまで豊かならん またその政治は海より海にいたり河より地のはてにおよぶべし……国のうち五穀ゆたかにしてその実は……山のいただきにそよ(ぐ)』― 詩 72:4-16。
この惑星は天の導きを受けて,全体が神の意図されたとおりの庭園になるでしょう。(創世 1:28)飢餓や,ききんや,手足が細長くて腹のふくれた子どもたちを見ることも,永久に過去のものとなります。すべての生残者が一致して一大人間家族となり,全地を何の妨害も受けずに自由に行き来し,国家的誇りや人種的偏見がなくなるのを見るのは,どんなにありがたいことでしょう。
また,大規模の軍隊を維持する人間製の政府の支配をもはや受けなくなることも大きな祝福です。現在など人類は年間2,000億㌦(約52兆円)にのぼる重税にあえいでいます。地球の資源すべてを,人類に損害となることに用いずに,建設的で有用な目的のために用いたら,どんなに多くのことが行なえるでしょう。その時神のひとつの政府のもとで生活する資格を持つ人はそれまでに,ミカ書 4章3,4節の預言を個人的に成就していなければならないでしょう。
『彼らはその剣をすきに打ちかえ そのやりをかまに打ちかえん 国と国とは剣をあげて相攻めずまた重ねて戦争を習わじ 皆そのぶどうの樹の下に座しそのいちじくの樹の下におらん これをおそれしむる者なかるべし 万軍のエホバの口これを言う』。
経済戦をしかけて,実戦を招く場合の少なくない貪欲な精神や無情な野望を育てる巨大な商業体制も過去のものとなります。彼らが私欲のために地を汚すことはなくなります。神の義の政府のもとに住む人びとはみな,利己的な競争を行なう代わりに愛をもって協力します。神の王国の臣民は,神と隣人に対して愛を持っていますから,この地球とその上での生活をよりよいものにするために,現在の世界の工業や科学技術や科学の体制がしてきたことより千倍もすばらしいことを行なうでしょう。
したがって仕事は,それが実際に至高の神の誉れとなり,同胞の永続的益となることがわかっていますから,真に満足できるものとなるでしょう。なかでもいちばんよいことは,そのとき人びとは,自分が正しい,そしていちばん良いことをしているという確かな保証を持っていますから,自分の創造者と実際に密接な,意義ある関係を享受できることです。
神の義の支配のもとで,イザヤ書 32章17,18節はかつてないすばらしい成就を見るでしょう。『かくて正義のいさをは平和 せいぎのむすぶ果はとこしへの平穏とやすきなり わが民はへいわの家におり 思いわずらいなき住所におり 安らかなる休息所におらん』。そのように安全であること,昼夜を問わずいつでも,ドアをノックする音が聞こえたら,ノックしている人がだれであろうとも,その人は自分の友だちであることがわかっているので何の心配もなくドアがあけられるということは,なんとありがたいことでしょう。
この世界 ― 惑星である地球ではなくて多数の人間 ― はかたくなに,盲目的に滅びしかない道を歩みつづけています。その道は天的力を持つ神の政府との破局的な衝突にのみ通ずる道です。にもかかわらず大多数の人びとは,予告されていたしるしを無視することを好み,危険をみくびり,神の約束に全き希望を置く人びとが現在全世界で発している警告に耳を閉じます。しかしあなたはどうしますか。
あなたは,人間が長年,人間的な方法で行なってきた平和と安全の追求が徒労であったことにお気づきですか。人間の作った政府や制度が,すべての人間の直面する最も重大な問題を解決し得なかったことにお気づきですか。神の道を歩むことの賢明さと,なぜそれが真に幸福な真実の生活につながる可能性のある唯一の道でなければならないかがおわかりですか。ではあなたは今果断な行動を取らねばなりません。
あなたは,神がわたしたちの前に置かれたすばらしい目標に到達することを望む人びとのために,神がご自分のことば聖書の中に示されたその道について,さらに多くのことを学ばねばなりません。まだそうしていないかたは,あなたのいろいろな質問に答えられるよう,あなたのお宅で無料の聖書研究をすることをすすめるエホバの証人といっしょに勉強なさるのはいかがですか。時間が許すあいだに命に至る道を見つけ出してください。それはあなた自身と,あなたが愛する人びとの永遠の福祉のためです。
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聖書の第四十番めの本 ― マタイによる書目ざめよ! 1974 | 1月8日
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『聖書全体は神の霊感を受けたものであり,有益です』
聖書の第四十番めの本 ― マタイによる書
筆者: マタイ
書いた場所: パレスチナ
書き終えた時期: 西暦41年ごろ
含まれている時代: 紀元前2年から西暦33年
1 (イ)エデンの時以来エホバは人類の前にどんな約束を差し伸べてこられましたか。(ロ)この希望はユダヤ人の間でどのようにして強固なものとなりましたか。
エデンにおける反逆の時以来,エホバは,ご自分の「女」の胤によって義を愛するすべての者に対する救出の道を備えるという慰めの約束を,全人類の前に差し伸べてこられました。エホバはこの胤すなわちメシアをイスラエル国民からもたらすことを意図されました。年月の経過とともに,エホバは霊感を受けたヘブライ人の筆記者たちを用いて幾十もの預言を記録させ,その胤が神の王国の支配者となり,またエホバのみ名の立証のために行動してそれに浴びせられた数々の非難を永久に除き去る者となることを示されました。エホバのみ名の立証者となり,恐怖・圧迫・罪・死などからの救出をもたらすこの者に関しては,それら預言者たちによって多くの詳細な点が語られました。こうして,ヘブライ語聖書の完成とともに,ユダヤ人の間では,メシアに対する希望が強固なものとなりました。
2 メシア出現の時,周囲の条件がその良いたよりを広めるのに好適なものとなっていたことを述べなさい。
2 その間に,世界の情勢も変化を遂げていました。神はメシアの出現に備えて諸国民を動かし,そのできごとを遠く広く知らせるに好適な状態が整えられてい
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