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人の心を魅了するチンパンジー目ざめよ! 1985 | 4月8日
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たことはわずかでしたが,それでも,野生の生息地でサルを研究しようとする誠実な努力が払われたのです。
小規模な別の研究が1930年に行なわれましたが,野外でのさらに深い研究が始まったのは1960年代になってからでした。タンザニア西部で活動する研究者,ジェーン・グドール博士はおりの中で座ってはいませんでした。同女史が考えたのは,チンパンジーのそばに近づき,チンパンジーをそばで観察し,チンパンジーに受け入れられることでしたが,それは楽なことではありませんでした。チンパンジーは最初,この女性の姿を見ると逃げてしまいましたが,忍耐とたゆみない努力は報われ,1年もしないうちに同女史はチンパンジーの中に座ることができるようになりました。
次の20年間に,グドール博士はチンパンジーの行動,およびその社会構造と家族構造について多くを学びました。チンパンジーは,興味深い方法で互いに意思を伝え合います。しばらく離れていたあとなど,手をたたき,キスをしてあいさつを交わすようです。互いに毛づくろいもし,いがやダニを取ります。しかし,チンパンジーの意思の伝え方はいつでも非常に利他的だというわけではありません。殺し合い,共食いをすることもあるのです。
グドール博士は最近「WWFニューズ(世界野生動物基金)」誌のインタビューを受け,チンパンジーの研究によって,『人間がいかにチンパンジーとは異なっているかということが,おそらくほかの何にも増してよく理解できるようになった』と語りました。具体的にどう違うのかと尋ねられて,同女史はこう語りました。「人間のほうが同情心があります。チンパンジーの場合,母親と子供の間には同情心がありますが,ほかのところではほとんどそれが見られません。同情心はごくごく人間的な特質なのです」。同女史は22年間チンパンジーと共に過ごし,今なお仲間と共にチンパンジーに関する新しい事柄を学んでいます。
チンパンジーが人間の世界にいようと自分たちの世界にいようと,確かに際立った動物であることに疑問の余地はありません。そのことは一度自分のひざの上にチンパンジーを載せてみれば,人に言われなくてもすぐに分かるでしょう。
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なぜグラスをカチンと触れ合わせるのか目ざめよ! 1985 | 4月8日
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なぜグラスをカチンと触れ合わせるのか
パーティーやレストランで,人々が飲み物の入ったグラスを飲む前にカチンと触れ合わせることにお気づきですか。なぜそのようにするのかと尋ねても,大半の人々は答えられないでしょう。あるいは,友人の間でやることで別段害はないと感じているかもしれません。
しかし,そうすることが古代の迷信的な習慣であることを知ったら,その人たちは驚くことでしょう。米国図書館協会によると,幾千年も前の人々は,飲み物を飲むときには悪魔がその開いた口から体に入るというばかげた考えを抱いていました。そして実際に人々は,この悪い霊が大きな音によっておじけ付くと信じていたのです。それでこの危険を避けるため,人々は酒の入った器を触れ合わせて大きな音を出すのです。ヨーロッパでは,酒を飲む人々は今でもビールのジョッキを強くたたいたり,十字を切ったりします。そして,あるアフリカ人を含め,未開人の中には,飲み物を飲み干す前に鐘を鳴らす人々もいます。
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