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  • 太りすぎの問題 ― その実情
    目ざめよ! 1980 | 5月8日
    • 太りすぎの問題 ― その実情

      やせ方を種にした商売は隆盛を極めています。それも不思議ではありません。現代の先進国に住む人のうち,五人に一人は太りすぎの問題を抱えているからです。特別な食物や美容食に加えて,太りすぎを扱った書籍やペーパーバック本や雑誌がどれを選んでよいか分からないほどあり,いずれも人目を引こうと互いに競い合っています。医師や心理学者やその他の“専門家”たちは,言いくるめたり,励ましたり,場合によっては脅したりして,人々をやせさせようと絶え間なく活動しています。

      それはうまくゆくでしょうか。太っていたり,ちょっと太り気味だったりすることが,本当にゆゆしい問題になりますか。実情はどうなっていますか。また,それはわたしたちの健康で幸福な生活にとってどれほど重要ですか。

      心配の種

      太った人々は,古くから,思いやりのない数々の冗談の的になってきました。しかし,太りすぎは決して笑い事ではありません。自分と同じ身長や体格の人の平均体重を7㌔上回るだけでも,多ければ4年も寿命が短くなることがあるのです。

      「肥満とその問題は今やガンよりも差し迫ったものになっている」と,スコットランドの家庭内科医イアン・リチャードソンは最近語りました。別の権威筋によれば,わずか4㌔太りすぎているだけでも,「一日に紙巻きたばこを25本吸うよりも大きな健康上の危険を身に負う」ことになります。高血圧・心臓病・糖尿病・背痛・静脈瘤・関節炎・胆石および他の種々の有害な病気は,体に脂肪の付きすぎている問題と直接関係していることがあります。もちろん,体重の多すぎることが必ずしもそうした身体上の機能不全の直接の原因であるわけではありません。しかし,そうした病気と太りすぎとの間にははっきりした相関関係がみられます。ですから,理由はともかく,余分の脂肪が身に付いているなら,問題,それもゆゆしい問題があるのです。

      しかし,かくも多くの人々が太りすぎの問題を抱えているのはなぜですか。

  • 問題は一体どこにあるのか
    目ざめよ! 1980 | 5月8日
    • 問題は一体どこにあるのか

      太りすぎの原因はどこにありますか。それは普通,遺伝や内分泌腺の機能低下やホルモンの不均衡など,当人にはどうしようもない原因によるのでしょうか。太りすぎと食べすぎの間にはどんな関係があるでしょうか。

      まず第一に,太っている人すべてが大食漢ではないということを述べておかねばなりません。ハーバード大学公衆衛生学部のジーン・メーヤー教授は,「肥満者の食欲や食物の摂取量がごく正常な場合も少なくない。場合によっては平均値以下のこともある」と言明しています。

      時には,体が体液をきちんと処理できないために余分の体重が付いてしまうことがあります。ホルモンの不均衡や遺伝も一因になるかもしれません。「実験動物の場合,肥満の多くは本来遺伝的なものである」と,メーヤー博士は述べています。人間の場合はどうでしょうか。「人間の場合も,遺伝が非常に重要な役割を果たしていることを示す確かな証拠がある」と同教授は述べ,さらにこう付け加えています。

      「脂肪細胞の数はあらかじめ定められているようである(生後一年間の栄養過剰の影響で幾らか増えることは例外となるかもしれない)。肥満は遺伝である。ボストン地方で,両親がやせている場合,その子供が高校のころに肥満体になる率は平均7%である。片親が太りすぎている場合,その率は40%になり,両親そろって太りすぎの場合,その率は80%になる。生まれてすぐに養子にされた子供の場合,その[養]父母の体重と上記のような相関関係を示すことはない。これは,家族の食習慣ではなく,遺伝が決定的な要因になっていることを示している(この結果は英国で行なわれた大規模な調査によって確証されている。)」― 下線は本誌。

      確かにその通りですが,内分泌腺の障害や遺伝を太りすぎの原因として挙げる人が余りにも多すぎるのも明らかです。ブリタニカ百科事典(1976年版,英文)は次のように述べています。「体の必要に応じて食物の摂取を調整する体の能力は,数々の要因によって妨げられることがある。そのうち,ホルモンの不均衡と内分泌腺の欠陥は最も重要度が低く,肥満者全体の約5%にしか認められない」。

      人間のエネルギー

      人体は,精巧に造られ,良く調整された機械になぞらえられます。どんな機械にも言えることですが,人体も行動を起こし,動き続けるにはエネルギー源を必要とします。人体は固形食と液体からのみエネルギーを得ます。

      人間の造ったエンジンは,その構造に応じて,動力源として幾つかの燃料のうち一つを選べます。人体も同じで,創造者が人類に与えてくださった実に様々な食物から選択できるような造りになっています。しかし,食物にしろ飲み物にしろ,そのエネルギー価はそれぞれ大いに異なり,それが体重をコントロールする鍵になります。

      食物のエネルギー価を量るには,異なった食物から生ずるエネルギーすべてを対照できるような共通の単位が必要とされます。その単位は“カロリー”と呼ばれますが,それはエネルギーの単位を意味しているにすぎません。ある食物が“燃焼する”,つまり活用されるときに,体にどれほどの熱,すなわちエネルギーを与えるかは,様々な科学的手法によって定めることができます。文字通りの燃料の場合,石炭や石油,まき,泥炭など種類によってその発熱量が大幅に異なりますが,わたしたちの食べる食物の場合も,各々の出すエネルギーの量は異なり,外見だけでは欺かれてしまいます。エネルギーという見地からすると,すべての食物は三つの基本的な種類に分類されます。

      炭水化物,脂肪およびたんぱく質

      炭水化物は主要なエネルギー源になります。それはいも類や甘い物に含まれる糖分やでんぷんの形を取ることもありますが,とりわけパンや小麦粉など穀類とその製品の中に含まれています。炭水化物が消化器系に入ると,ブドウ糖のような単糖類へ分解され,体の基本的なエネルギー源になります。ブドウ糖が余ると,体は,筋肉や肝臓内のグリコーゲン,および体脂肪という形でそのエネルギーを蓄えるようにします。

      脂肪には二つの種類,すなわち飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とがあります。飽和脂肪酸は動物から得られ,ラード,肉の脂身,牛乳とその製品などは飽和脂肪酸の例です。不飽和脂肪酸は魚や野菜から得られ,魚油,オリーブ油,トウモロコシ油,ヒマワリ油などがそれです。脂肪の場合も炭水化物と同じで,そのエネルギー源が活用されないと,体脂肪の形で蓄えられます。

      炭水化物や脂肪とは異なり,たんぱく質は通常エネルギー源としては用いられず,主に体の成長や補強のために吸収されます。人体はたんぱく質を分解した結果として得られるアミノ酸を大量に蓄えておくことはできません。ところが,それがないと,子供の発育は止まり,身体的に成熟しません。手足のつめ,頭髪,皮膚,筋肉線維それに赤血球でさえ,すぐに補充されることはなくなります。たんぱく質の主要な供給源は肉や魚や卵ですが,ダイズ,エンドウ,ヒラマメなどマメ科の植物からも得られます。もっともそのすべての栄養価が等しいわけではありません。

      自然のバランス

      食物から得られるエネルギーと太りすぎの問題との間にはどんな関係があるでしょうか。自動車に乗って旅をしていると仮定しましょう。その場合のエネルギー源はガソリンです。旅に出るときに入っていたガソリンは徐々に減ってゆきます。車がこのエネルギー源を消耗するにつれて,ガソリンタンクの中にある液体の重量も少なくなります。ある地点まで行ったら,エネルギーの供給を需要に見合うものにするため,燃料を補充することが必要になります。

      わたしたちの体も,多岐にわたる要求を満たすために,十分の“燃料”,つまりカロリーを必要としています。座っていることの多い仕事に就いている人は,24時間に約2,700カロリーを使うことでしょう。非常に活動量の多い人はその上さらに900カロリー余りを燃焼させるかもしれません。わたしたちは目を覚ましてから朝食を取りますが,その食物はすぐに吸収され,活用されます。その後,一日のうちにわたしたちはさらに食事を取り,間食をし,糖分の含まれる飲み物を飲むこともあるでしょう。余りに多くの場合に,体の必要とするよりも多くのカロリーが摂取されるのです。

      さらに多くのエネルギーを必要とすることに気づかせる役割を果たしているのは空腹感です。脳の中で食欲をつかさどる部分は視床下部と呼ばれています。実験によれば,動物の脳のこの部分が刺激されたり破壊されたりすると,その動物はむさぼるように食べて太るか,食物を食べなくなり無理に食べさせなければならなくなるかのいずれかになります。

      新陳代謝

      休息を取ったり,睡眠を取ったりしていても,心臓を鼓動させ,肺で呼吸をし,食物を消化するために人体は絶えずエネルギーを必要としています。これは基礎代謝と呼ばれます。“新陳代謝”というのは,人間が生きてゆくために体内で絶えず進行している化学作用全体を指す用語です。体型や体の大きさとは全く無関係に,すべての人には個々の代謝率があります。しかし,それがどのように調整されているかはまだ十分に解明されていません。

      必要とするカロリーに見合うだけの食物を取ることができないと,どんなことが起きますか。そうなると,体は自らの蓄えに頼ることになり,そのために蓄えてあるグリコーゲンか脂肪を活用するほかなくなります。逆に,食べすぎれば,余分の潜在エネルギーは脂肪の形で体内に蓄積されてゆきます。

      体温を逃がさないためにも,腎臓のような特定の大切な器官を保護するためにも,ある程度の脂肪は必要とされます。すでに述べた問題と関係があるのは,余分の脂肪です。

      よく食べるのに太らない人も中にはいますが,そうした人々は生来代謝率が高いようです。場合によっては,代謝率が非常に低いために太りすぎるということもあります。しかし,肥満の原因として,すぐさまこれを引き合いに出すことがないよう注意しなくてはなりません。エール大学の心理学者,ジュディス・ロディン博士はこう語っています。「肥満者で極端に代謝率の低い人はまれである。自分が減量できないのは代謝率が低いためだと言う主婦の98%は間違っている」。

      乳児の問題

      人々は,太った赤ちゃんのことを悪くは言わないものです。ところが,西欧世界の乳幼児全体の少なくとも三分の一について,生後最初の一年間というものは太りすぎていると言われています。どうしてそのようなことになっているのでしょうか。赤ちゃんは自分で食物を選んで調整することができず,多くの親は良かれと思って赤ちゃんに食べ物を与えすぎるからにほかなりません。

      生後一年ほどの間に赤ちゃんが太りすぎるからと言って,それは大きな問題になるでしょうか。それがなるのです。著名な小児科医の中には,そのような初期の肥満の結果として体内の脂肪細胞の大きさと数が増大すると主張する人がいます。医師たちの話では,その結果,子供は生涯やせるために必死の努力をしなければなりません。

      乳児の肥満の対策として,母乳で子供を育てることを提案する人は少なくありません。それに加えて,英国栄養協会は,固形食(特に穀類)を早期に食べさせることに反対する運動を長い間繰り広げてきました。それは乳児にとって害になりかねないからです。英国諸島で売られるベビー・フードの容器には,現在,離乳食は普通生後四か月ないし六か月になるまで必要とはされないという表示が付いています。そうすれば,乳児は適正な代謝の水準に自らを合わせる時間の余裕が与えられます。

      自分の体を健康に保ちたいと願わない人はいないはずです。すでに考慮したとおり,それは定期的に摂取する食物の量と質によって大いに左右されます。ほとんどの場合,肥満を未然に防ぐことは可能です。しかし,その治療法についてはどうでしょうか。

      [6ページの拡大文]

      『体が体液をきちんと処理できないために余分の体重が付いてしまうこともある』。

      [7ページの拡大文]

      『ホルモンの不均衡や遺伝も太りすぎの問題の要因になることがある』。

      [7ページの拡大文]

      『ほとんどの場合,体の必要とするカロリーよりも多くのカロリーが摂取されているだけのことである』。

      [8ページの拡大文]

      『医師によれば,生後一年間に食べ物を与えすぎると,その子は一生太りすぎの問題をかかえる結果になりかねない』。

  • 様々な治療法
    目ざめよ! 1980 | 5月8日
    • 様々な治療法

      減量しようとする決意は極端へ走ることがあります。ひどい太りすぎに対する現代の療法は,上あごと下あごを針金で縛ってしまうものです。こうなると,物を食べなければ気の済まない人も流動食だけで生きてゆかねばなりません。

      さらに荒療治と言えるのは,食物が小腸の大半と大腸の一部を通らないようにするための手術です。養分は腸壁から吸収されます。ですからこの処置は,食物が同化されずに体内を通過することを意味します。幸いなことに,この手術は通常復元可能です。それでも,その手術には5%の死亡率がつきまといます。

      薬剤とやせ薬

      終戦直後,食欲を抑えるのにアンフェタミンが広く使用されました。しかし,事態は大きく変化しました。英国医師会により設けられた一特別調査委員会は1967年にこう報告しました。「肥満の治療にこうした薬剤を使うことはできるだけ避けるべきである」。なぜでしょうか。アンフェタミン剤を使うと容易ならぬ習慣性を引き起こすことがあり,その上,大抵の場合に有害な副作用があります。

      さらに最近になって,一般に“食欲喪失剤”と呼ばれる薬剤が開発されました。しかし,多くの人々はそれにひどく失望させられています。そうした薬剤は体組織がより多くのぶどう糖を利用するよう促す手段となるので,蓄積される脂肪の量が少なくなると宣伝されています。それには効き目がありますか。英国の内科医マイケル・スピラ博士は,「そのようなことが本当に起きるという証拠は余り説得力のあるものとは思えない」と述べています。

      “やせ薬”はどうでしょうか。上記の薬の中にもこの部類に入るものがあります。また,市場には,ありとあらゆる種類また大きさの丸薬がはんらんしており,そうした薬には内分泌腺エキスやビタミン,メチールセルローゼ,ホルモン,などが含まれています。時にはただの下剤しか含まれていないこともあるのです! 薬の種類は確かにたくさんありますが,だれでも減量できる治療法として効き目があるかどうかはまだまだ疑問とされるところです。

      運動?

      減量の解決策は運動にありますか。ある程度まではそう言えます。結局のところ,わたしたちは労力を余り使わなくてもよい世界に住んでいます。階段を上るといった日常の出来事で普通に消費されるはずのエネルギーは,エレベーターに乗るためにしばしば使われずじまいになります。買い物にも学校の行き帰りにも足を使っていたのに,今は乗り物を使うようになっています。エネルギーを消耗する家事の大半は機械が肩代わりしてくれます。同様に,座っていることの多い仕事に就いていると,ほとんど体力を使いません。今日多くの国で,人々は体を余り使わなくなり,筋肉は締りがなくなり,体内のエネルギーの蓄えのほとんどが脂肪に変えられるようになっています。

      そのバランスを回復させるために,時々様々なアイデア商品が市場に出されます。以前,上腹部の出っ張りを取るのに,“フラフープ”が大流行したことがありました。室内運動用のローイング・マシンや自転車機器,マッサージ用のバイブレーター,およびロープや滑車を使った他の様々な道具はいつでも手に入りますし,保健クラブや健康クリニックへ行けばそうした器具を使えます。

      今日,非常に人気のある種類の運動はジョギングです。しかし,肥満者にとって激しい運動は非常に危険なものになりかねません。活動的な人でも,それなりの準備をせずに,無理なジョギングをすれば危険です。ジョギングをするような体調ではない人にとって,元気よく歩くことも有益でしょう。それでも毎日1.6㌔余計に歩いたとしても,その結果減量できるのは一か月に0.5㌔足らずであるという事実を直視しましょう。しかし,運動が減量に役立つことは明らかです。どんな運動であれ激しく体を動かせば,カロリーが脂肪として体に蓄積されずに,消耗されることになるからです。

      様々な減量法を提唱する多くの人々の意見は,概して,肝心なところで対立しています。減量法という迷路の中に共通の要素はないのでしょうか。それが一つあるのです。

      基本的な問題

      「太りすぎは食べすぎから」。この説得力のある言葉は,英国のロンドン大学の栄養学の名誉教授,ジョン・ユドキン著の「やせるというこの務め」と題する本の中に繰り返し登場します。前ページの表を見れば,説明は無用でしょう。

      摂取量 消費量 結果

      食物 2,000 エネルギー 2,000 体重は変わらず。

      (エネルギー)カロリー カロリー

      食物 2,000 エネルギー 2,500 不足している500カロリーを

      (エネルギー)カロリー カロリー 埋め合わせるために

      体が蓄えた脂肪を

      利用するので体重は減る。

      食物 2,000 エネルギー 1,500 余った500カロリーを

      (エネルギー)カロリー カロリー 体が脂肪の形にして

      蓄えるために

      体重が増える。

      ごくわずかな例外を除けば,太りすぎは食物の摂取量を減らすことにより解消できます。減量を志す人は食事の量を減らすか,甘い物などの高カロリーの食べ物を避けるかして,カロリーの摂取量を減らさなければなりません。体重のことで医師の忠告を求めるなら,自分のエネルギー消費量に見合ったカロリーを摂取できるようにする食餌療法を勧められることでしょう。しかし,自分の身長や年齢,体格などと釣り合った範囲にまで体重を下げるには,当初,比較的に厳しい食餌療法をしなければならないかもしれません。その数値は食餌療法の本や雑誌からすぐに得られます。

      食餌療法にも実に様々な種類があります。(自宅で果物や野菜を栽培しているのでないかぎり)菜食による食餌療法が比較的高くつくのは明らかですし,高たんぱく食も高くつきます。また,特別な“美容食”は普通,比較的に費用がかさむ上,一時的に腹を満たしておくのに役立つことを除けば,その価値はまゆつばものである,ということにも留意しておきましょう。“短期間でやせる食餌療法”計画には,どんなものであれ用心しなければなりません。そのような方法は非常に危険なものになりかねず,潰瘍のようなゆゆしい健康上の問題を引き起こすことがあります。

      幾つかの実際的な提案

      食べ物によるエネルギーの摂取を制限する一つの方法は,間食を含めて毎日自分の食べる物すべてを記録することです。自分の食べたり飲んだりした物に含まれるカロリーの総量を調べます。食品の栄養価を理解するよう自らを訓練し,それから,毎日どのようにして減食するかをきちんと計画します。この方法には一つの危険が伴います。それを行なうことに夢中になりすぎないよう用心する必要があります。さもなくば,他の大切な事柄を行なうための時間が取られてしまうでしょう。

      多くの人はカロリー計算が余りにも大変でうんざりしてしまい,やがて関心を失ってしまいます。もっと簡単な減量法は,普通どおりの食事を取り,おいしい物を食べても,食べる量を減らすことです。パンを三枚食べる代わりに二枚にしておくのです。主食として食べるジャガイモを一つ控えます。紅茶やコーヒーに砂糖を茶さじ二杯入れるところを,一杯だけにするのです。もし一日にそうした飲み物を五杯飲むとすると,これで一週間に約1,000カロリーを減らせることになります。これは決してわずかな量ではありません。晩に摂取するカロリーの量を減らすよう特に心掛けるとよいでしょう。普通,晩には肉体の活動が限られてくるものだからです。この方法では目ざましい成果を期待してはなりません。しかし,時たつうちに,少しずつ減量してゆくことでしょう。そして,それが最善のやせ方なのです。

      問題に対するそのような取り組み方は,『歓びのうちに食べ,また飲みなさい』,と述べる一方で「食べ過ぎや飲み過ぎ」を避けるよう戒める聖書の助言と調和しています。そのような暴飲暴食は,身体面だけでなく,人生における霊的に重要な事柄に対する反応にも悪影響があるので,聖書はそれを戒めています。―伝道 9:7,新。ルカ 21:34。

      ここで,ある場合に有益であることが実証された幾つかの提案を考慮してみると役に立つかもしれません。空腹でない時には食べない。時折り,食事をたっぷり取る代わりに軽食ですませたとしても害はない。テレビを見たり,本を読んだり,ただ友人と話したりしながら“物を食べる”のをやめる。食事の30分ほど前に何か飲めば,食欲を鈍らせることになる。また,食事中に少し水分を取ればわずかな量の食物でも満腹感を味わえる。物をよくかめば食べることからより大きな満足を得,そうすることによって食べる量も減ることになる。食事を楽しむ時間を取る。ゆっくり食べることは余分の脂肪を取り除くのに役立つ。肥満の問題の専門家,セオドア・バン・イタリエ博士は,「今日の心理学」誌に掲載されたインタビューの中で次のように語っています。「食べる速さも一要素と言えるかもしれない。中には,食物を非常に速くのみ込んでしまう人もいる。ある研究者たちによれば,食べ物をかき込むと,最終的に食べるのをやめるよう指示を与える満腹信号の働く間がなくなってしまう」。

      減量に向かって歩を進めるには決意と自制がどうしても必要とされます。その問題に関する書物を読んだり,医師に相談したりしたところで,個人的に払う努力の代わりにはならないのです。

      [9ページの図版]

      やせ薬

      [9ページの図版]

      運動

      [11ページの図版]

      食べる物を減らす

  • 行くところのないアジアの“漂流難民”
    目ざめよ! 1980 | 5月8日
    • 行くところのないアジアの“漂流難民”

      香港<ホンコン>の「目ざめよ!」通信員

      水平線上に最初に見えるのは,小さな黒い点に過ぎません。しかし水上警察が近づくにつれ,予期していたものであることが判然としてきます。水上警察はこうした悲惨な情景を幾百回となく繰り返し見てきました。香港<ホンコン>に近づいて行くと幅が狭く,全長約18㍍の,申し訳程度の船が見えて来ます。その船は風雨にさらされ,老朽化していますが,その中には,食糧にも事欠き,2週間から1か月以上も漂流していたと思われる,行くところのない180人の人々がひしめき合っています。彼らは座る余地もないような状態で,ベトナムから約1,000㌔も,南シナ海を航行してきたのです。

      こわれそうなその船は,慎重な上にも慎重に検疫停泊所へと引いてゆかれます。そこには係官が待ち受けており,政庁の造船所に接岸できるよう取り計らってくれます。“漂流難民<ボートピープル>”は確かに最悪の体験から脱出できることを知り,解放の吐息を漏らします。しかし,理想からは程遠い状態でこれから何か月も待たなければ,故郷と呼べる場所

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