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人間 ― どうしてそのように行動するのか目ざめよ! 1980 | 7月8日
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ことになります。それは間違っている,と他の科学者たちは異議を唱えます。人類学者であるアシュレー・モンタギューは次のように書いています。
「攻撃的な行為に携わるどころか,驚くほど穏やかで,協力的な社会は少なくない。例を挙げれば,ミンダナオ島のタサダイ族,南インドのトダ族,タヒチ島民,タンザニアのハザ族,太平洋のイファラク族,西太平洋のヤミ族,ラップ人,ニューギニアのアラペシおよびフォア族などがある。……
「人類学者がそのような攻撃的ではない社会を調査すると,その住民の間に協力的で穏やかな人格が生み出されるのは,主にその子育ての習慣を通してであることが分かる。子供たちには深い愛情が惜しみなく注がれる。幼い子供は乳児のころから,ほとんど例外なく,自分を抱き締めたり運んだりしてくれる人との体の接触を持つ。……
「攻撃性の有無は,いずれも習得した行動様式である。どんな社会にもそこで好まれる行動形態を生み出す規範がある。その規範は個人の行動を絶えず強化する。アメリカは子供の前に最も攻撃的な規範を置いている。それでいて,どうしてこんなに暴力的な犯罪が多くなっているのかと不思議に思っているのである」。
ジョン・リンド博士は,赤ちゃんを優しく揺すってやったり,子守歌を歌ってやったりすることに帰るよう勧めています。それは,「脳の発達を早める」からです。1979年12月号の「今日の心理学」誌はこう述べています。「脳の成育の形成期間中に,ある種の感触を与えられないと ― 例えば,母親が接触したり,揺すったりしないと ―,愛情を制御するノイロン系統の発育が不全に終わったり破壊されたりする」。その記事はさらにこう述べています。「この同じ系統が暴力と関連のある頭脳中枢に影響を及ぼすので,その種の感触を与えられなかった幼児は,大人になってから暴力的な衝動を抑えるのに困難を覚える」。
リチャード・レスタク博士は,その著書,「脳 ― 最後のフロンティア」(1979年)の中で,次のような点を指摘しています。実験は,「大脳辺縁系が脳の中でも特に感情と関係のある部位であることを示す決定的な証拠を提出して」います。この部位を破壊したり刺激したりすると,行動に変化が生じます。電気刺激で,喜びや怒りを引き起こすことができます。「未発達の脳が正常に成育してゆくかどうかは,感覚の刺激にかかっており」,「乳幼児を揺すってやったり,抱き締めてやったりすると,小脳が刺激され,それが小脳の発達を促す」のです。これは重要なことです。というのは,小脳は運動をつかさどっており,上記のような快い刺激が与えられないと,十分な数の神経接合部<シナプス>が形成されないので,発達は異常なものになるからです。その結果,衝動的で,制御されない,粗暴な人格が形成されることがあります。
前の二つの節から,人間の行動の仕方に影響を及ぼすのは遺伝や環境,そして社会がわたしたちの前に置く規範だけではないことが分かります。無力な赤ちゃんのときに受けた扱いも,脳の発達や感情の状態,そして結果として生じる行動に影響を及ぼすのです。
しかし,さらに別の要素も働いています。多くの人はその存在にさえ気づいていません。とはいえ,ウォール・ストリート・ジャーナル紙はその存在に気づいています。「テロリストを動かす衝動」と題する,1977年10月28日付の社説の中で,同紙は狂ったような怒りと暴力に疑念を投げかけています。社会に責任を転嫁する風潮がありますが,その社説は,「悪そのものに魅力を感じる」人々の内にある「根深くて,不条理な衝動」を不思議なものとしています。その結論となる文は次のとおりです。「社会を責めるよりも,サタンを責めるほうが真理に近いと言えよう」。
聖書はサタンを「この事物の体制の神」と呼び,「天の場所にある邪悪な霊の勢力」を真の敵とし,「悪魔が,自分の時の短いことを知り,大きな怒りをいだいてあなたがたのところに下ったから」地には災いが来る,と述べています。(コリント第二 4:4。エフェソス 6:12。啓示 12:12)エデンでの問題の根となったのはサタンでした。その時,サタンはエバを誘惑し,神の『像』と神に『似た様』を捨てさせたのです。サタンは今日でも,人々を怒り狂った暴力的な行動へと駆り立てる面で,強力な勢力を成しています。
人間がどうしてそのように行動するかを説明する要素は,知られているものだけでも数多くあります。遺伝,環境,選択の自由,必要が満たされないことなどは,いずれも行動に影響を及ぼします。幼児期の脳の発達は重要な役割を果たします。しかし,脳に対する人間の理解も,まだ幼児期の段階にあります。脳はしばしば,この神秘的な宇宙にあって,最も神秘的なものと言われます。そしてその上,サタンの影響もあるのです。
では,人間がどうしてそのように行動するかをわたしたちは本当に知っているでしょうか。細かい点で分かっている事もありますが,詳しい事の多くは分かっていません。しかし,根本的な理由は分かっています。それは,『神の像』と神に『似た様』を完全に反映している者は一人もいない,ということです。
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人間 ― 神に似た様に戻る目ざめよ! 1980 | 7月8日
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人間 ― 神に似た様に戻る
「古い人格をそのならわしとともに脱ぎ捨て,新しい人格を身に着けなさい。それは,正確な知識により,またそれを創造したかたの像にしたがって新たにされてゆくの(です)」― コロサイ 3:9,10。
エホバは地球を永続するもの,いつまでも人の住む所として創造されました。そしてそれを人の子たちにお与えになり,地の温和な者がそれを受け継ぐようにされました。また,イエスが追随者たちに教えた祈りの言葉どおり,神のご意志は天におけると同じように,地上においても成されます。最初から,人間が地球の管理者として働くようになることが神のお目的でした。その目的は今でも変わっていません。しかし,この特権を享受するのは神に似た様に戻る者たちだけです。―詩 104:5; 37:29; 115:16。マタイ 6:9,10。
そのような人は,古い人格をそのならわしとともに脱ぎ捨て,新しい人格を身に着けなければなりません。(エフェソス 4:22。コロサイ 3:9)どのようにして? 正確な知識,すなわちエホバ
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