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ガン ― 恒久的な治療法に関してどんな希望がありますか目ざめよ! 1974 | 12月22日
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有名になりましたが,効果が証明されなかったので,なくなってしまいました。
しかし非難すべきは,ガン患者から金を取ることにしか関心のない無節操な人々が行なう「治療」です。普通そういう治療は専門家によってすぐに暴露され,処分されます。今日,ガンの「確実な療法」という主張はみな疑わしいものです。現在のところそのような療法はありません。ガンの専門医であるノーベル賞受賞者,サルバドール・E・ルリア博士は言いました。「3年,あるいは5年,または10年のうちに『ガンの根治』を約束するガン撲滅計画のビジョンは,迷想となり,危険にも民衆を誤導するものとなるだろう」。
現在用いられている,そして最も大きな論議の的となっている,「非正統的」療法のひとつは,アンズの種子からつくられたラエトライルという物質です。アメリカではそれをガンの治療に用いることは禁じられています。しかしメキシコでは許されています。その支持者は,それはガンとの戦いに勝つと心から信じています。その反対者も同じほど誠実に,それはだめだと考えています。
これを使うので最もよく知られている人のひとりであるメキシコのエルネスト・コントレラス博士は,これは「治す」ものではなくて「コントロール」するものであると主張し,糖尿病に対してインシュリンを使うことと比較します。しかし同博士はこう言います。「骨,筋肉,関節などの非常に悪性の腫瘍,ひどい脳腫瘍,急性白血病などは普通ラエトライル治療にあまりよく反応しない」。進んだガンにおいては,「鎮静作用が患者の約60%に見られ」,しかも「驚くべき鎮静効果とそう快感を生み出す」と同博士は言います。進んだガンのほんの一部,つまり15%ほどは,「病勢の進行が止まったり,後退することさえある」と彼は主張します。
この主張は,一部のラエトライル支持者の言うことにくらべると穏当ですが,それでもほとんどすべての医師から反対されています。最近この物質は,ニューヨークのスローン-ケターリング・ガンセンターで,実験動物を対象にテストされました。同研究所の所長ロバート・グッド博士は,「今のところ,ラエトライルに制ガン効果は全く見られない」と述べ,こうつけ加えました。「ラエトライルは腫瘍に対してどんな効果も及ぼさないようである。……これを取り囲むものは感情ばかりで,科学的証拠は少しもない」。もちろん,この治療法を支持する人々はそのような結論に反論します。
ガンの予防
ある人々が勧める別のガン治療法は,より良い栄養と関係があります。健康なからだは,ガンの侵入に対する防御力を維持するより良い備えがある,と考えられています。そしてそのような「予防薬」が有益であるかもしれないことを認める専門家がしだいにふえています。ナショナル・オブザーバーは,「ロジャー・J・ウィリアムス博士が国立科学アカデミーに対して,ガンの最善の予防策はもっと栄養のある食餌を取ることかもしれないと述べたとき,笑った人はひとりもいなかった」と伝えました。
予防の分野で多くの人がやれることは,たばこをやめることです。これをするなら,肺ガンによる死亡率は約90%大幅に減少するでしょう。国立ガン研究所のマービン・シュナイダーマン博士の忠告も健全です。「わたしは……すべてのことにおいて節度を守ることを勧める。たばこは吸わないこと。脂肪分の多い食物の摂取量を減らす。カロリーの高い食物もたくさん食べないほうがよい。男子の場合は確かに必要であるが,女子の場合もやはり,もっとよく活動し,もっとよく運動することが必要である」。この見解は,ガン研究者ボリス・ソコロフ博士の意見と似かよっています。同博士の指摘するところによると,ガン患者は平均して非ガン患者よりも体重が重く,「ガン患者にかんする記録を見ると,栄養過剰という点が著しく共通している」ということです。
定期検査を行なうことも勧められています。ガンの制御に成功するかぎは,多くの場合早期発見にあります。診断が早ければ早いほど治療が成功する率は高くなります。この点,七つの警告となる兆候に通じていることが大切です。一つかそれ以上の兆候があるなら,専門家の助けを得ることです。
恒久的な治ゆ
しかし,人がいかによくガンを予防し,またいかにうまく治療が行なわれても,人間的見地からすれば,完全な治療の見通しはたっていません。しかし,永久的にいやされる時が目前に来ていることは確かです。
人間の創造者であるエホバ神は,なぜ人間のからだが悪くなるか,すべての病気を永久になくするには何をしなければならないかをご存じです。そして神の天の王国はまもなく人類のために働きを開始し,その結果病気はガンをも含めてすべて永久にいやされるでしょう。
神のことばは次のように約束しています。神は「彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死もなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない。以前のものは過ぎ去ったのである」。(啓示 21:4)神の天の王国の王であるキリスト・イエスは,こうした治ゆが実現することを保証されました。地上におられたときイエスは,神より任命された者として何を行なうかを示すために,病人をいやし,死人をよみがえらせました。―マタイ 15:30,31。ヨハネ 11:38-44。
聖書の預言の成就を示すすべての証拠は,神の王国が,敵対する支配形態の全くない状態の下で地の事がらを管理する時が非常に近いことを物語っています。そのことは,神の新秩序における偉大な治ゆ計画の開始も近いことを意味します。そのときに,このひどい疫病のガンが完全かつ永久に根絶されるということを知っているとほんとうに勇気づけられます。ガンがもたらす恐るべき数の犠牲者も,苦しみや涙も,そのときには永久になくなるでしょう。
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死んで日のたった動物から蜜を集めて食べる目ざめよ! 1974 | 12月22日
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死んで日のたった動物から蜜を集めて食べる
■ サムソンが死んだライオンの体から蜜をかき集めたという聖書の士師記 14章8,9節の話を不思議に思った人がいるでしょう。死んだライオンがどのようにしてみつばちの巣に変わったのでしょうか。これは,メルボルン(オーストラリア)のエイジ紙に読者から寄せられた質問でした。“動物学者の日記”という題でその新聞に回答が掲載されました。筆者であるH・A・リンゼーは次のように述べました。
「わたしが与えうる唯一の説明は,それが全くの事実としての外観をすべてそろえているという点である。パレスチナでは,現在でも同じであるが,野生のはちが巣を作れるような,うろのある木が不足していた。その結果,はちは,岩の割れ目や洞穴の奥,そして地面の穴でさえ利用した。
「その地域の乾燥した気候では,特に夏において,厚い皮のある動物の死体は,埋葬されないままにしておくと,すぐに骨の上に革が覆いかぶさるだけになってしまう。ほかに良い所がないと,野生のはちは,胸腔部を巣作りに使う。
「これは,単なる推論というわけではない。なぜなら,それと対応する事例を挙げることができるからである。南オーストラリア州ブーボロウィーには,むらさきうまごやしの囲い地がたくさんある,広くて,樹木のない平原がある。馬のえさになるこの植物は夏の間たくさんの蜜を出す。
「1927年のこと,むらさきうまごやしの野原の南側斜面を歩いていると,数か月前に死んだ一頭の馬の死体に行き当たった。それは,すでに,干からびた革が骨の上に覆いかぶさるだけになっていた。わたしがアオバエの一群と思ったものは,実は,はちの飛群であった。……わたしは,3,000年前にサムソンがしたと同じことをすることができた。わたしは,死んで日のたった動物の死体に作られたはちの巣から少しの蜜を取って食べたのである」― 1960年11月21日,17ページ。
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