-
遺伝子工学 ― 人類の進歩に寄与するか目ざめよ! 1979 | 3月8日
-
-
者たちが行なった実験について報じています。彼らは,コバルト60を使って,蚊に致死量以下の放射線を浴びせ,遺伝物質を破壊しその位置を変えようとしたのです。脳の炎症(脳炎)を引き起こすある種のウイルスに対して免疫を持つ新種の蚊を作り出すことがその目的です。科学者たちは,これらの免疫を備えた蚊の群れを放つ計画を立て,この蚊が「付近一帯の通常の蚊と交尾し,脳炎に対して免疫性を持つ遺伝形質が子孫に伝えられ,病気を媒介する蚊が一匹残らず除き去られること」を願っています。生殖力のない蚊を放つことも,この病気と戦う別の方法として考えられています。十分の数の雌の蚊が生殖力のない雄の蚊と交尾すれば,蚊の総数が減り,人間が病気に感染する危険も少なくなります。
この計画に参加して実験を行なっているウイリアム・C・リーブス博士は,こうした試みの効果について次のような疑念を表明しました。「十分に開発された効果的な方法をもってしても,時には幸運に恵まれないことがある。育てるのに三年もかかった幾十万匹もの蚊を放っても,強い風や炎暑にさらされて,交尾する前に死んでしまうという結果に終わるということもあるだろう」。
リーブス博士はさらにこう語りました。「実験室や実験用のテントでは良い結果が得られたが,自然の環境の中で同様の成果が上がると必ずしも期待できるわけではない」。
より勝った希望
ですから,遺伝子工学が現在の人類に希望を差し伸べているとしても,それははかない,実に疑わしい希望であると言えるでしょう。それは,創造者が,ご自分を愛する人々に差し伸べておられる,より勝った永続する命の希望とは比較にならないほど貧弱なものです。イエス・キリストの使徒の一人,シモン・ペテロはこう書きました。「神の約束によってわたしたちの待ち望んでいる新しい天と新しい地があります。そこには義が宿ります」― ペテロ第二 3:13。
使徒ヨハネもこうした希望を差し伸べています。ヨハネは,啓示もしくは黙示録と呼ばれる聖書巻末の書の中に,イエス・キリストによって与えられた幻を記録しています。ヨハネはこう書いています。「わたしは,新しい天と新しい地を見た。……それとともに,わたしはみ座から出る大きな声がこう言うのを聞いた。『見よ! 神の天幕が人とともにあり,神は彼らとともに住み,彼らはその民となるであろう。そして神みずから彼らとともにおられるであろう。また神は彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死もなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない。以前のものは過ぎ去ったのである』」― 啓示 21:1-4。
このように,遺伝子や細胞の他のすべての部分,および人体の働きを正確にご存じで,人間の益を心に留めておられる創造者は,単にこれから生まれる者だけでなく,現在生きている人々にとっても現実のものとなる真の希望を明らかにしてくださっています。さらに創造者は,どんなに想像力豊かな科学者でさえ希望を与えることができなかった人々,つまり死者に対しても助けを与えると約束しておられます。イエス・キリストご自身,こう語っておられるからです。「このことを驚き怪しんではなりません。記念の墓の中にいる者がみな,彼の声を聞いて出て来る時が来ようとしているのです」― ヨハネ 5:28,29。
老化に関する疑問
死をなくすということは,老化現象を終わらせることを意味します。科学者は,老化の原因を正確には知りません。細胞の分裂する様子を見る時,彼らは困惑します。カリフォルニア州オークランドにあるブルース・ライアン記念研究所の微生物学者レナード・ヘイフリックは,あらゆる動物の細胞に老化と死の過程が「組み込まれている」ことを示唆するような実験結果がある,と報告しています。実験室の試験管の中で培養された人間の正常な胚の細胞は,細胞群の倍増(個々の細胞が分裂することによって行なわれる)を50回繰り返した後,分裂を停止しました。異常なガンの細胞はいつまでも分裂を続けました。細胞群の倍増が行なわれている間も,正常な細胞は幾分衰えます。ですから,実際の生命活動の中では,それが50回繰り返される前に,老化して死ぬようです。これは,人間が最初の先祖アダムから不完全性を受け継いでいるという聖書の説明と調和します。―ローマ 5:12。
すべての哺乳動物の寿命が一定のパターンに従うことを示唆する調査結果もあります。哺乳動物の寿命は,主に体の大きさに比例し,鼓動や呼吸の数に反比例するようです。例えば,小さなトガリネズミは,“せかせか”した生活を送り,短期間しか生きません。代謝が激しいため,多くの食物が必要であり,心臓の鼓動や呼吸も早くなっています。象はもっと“のんびり”した生活を送り,代謝活動もゆっくりしていて,ずっと長く生きます。ところが,不思議なことに,人間の体はこのパターンに従っていないのです。人間は,このパターンから“予想”される期間より長く生きます。米国ハーバード大学のスティーブン・ジェー・グールドはこう語っています。「ホモ・サピエンスが哺乳動物の中で際立っているのはその知性の面だけではない。人間は,人間と同大な哺乳動物から“予期”される寿命の約三倍は生きるが,呼吸の割合は“正常”であるため,人間と同大な哺乳類全般の三倍も呼吸していることになる」。
この外見上の不規則性も聖書によって説明できます。というのは,聖書は,動物が限られた寿命を持つように造られたことを示しているからです。ところが,人間は違います。聖書の記録は,人類史の初期において,創造時の完全な状態からさほど離れていなかったため,人間が700年から900年も生きたことを示しています。―創世 5:3-31。
驚くべき秩序を保って運行する宇宙と,互いに依存する無数の生物の住む地球を生み出した創造者の存在を示す証拠を認める良識ある人にとって,こうした創造者が,人間の命を永遠にわたって支えてくださることを理解するのは難しいことではありません。創造者は,キリストの王国の支配を通して,人類を完全な命に回復することを約束しておられます。その方は,創造者なのですから,当然のことながら,個々の分子や細胞活動のあらゆる段階をすべてご存じであり,それを制御する力をお持ちです。宇宙に表明されている天文学的な量のエネルギーについて考える時,無限のエネルギーを内に秘めておられるその方にとって,遺伝子の異常を治すことも,老化や死を終わらせて,人間の生命活動のサイクルがいつまでも続くようエネルギーを供給することも全く問題でないことが分かります。『いのちの泉はあなたのもとにあります』と詩篇作者が祈りの中で創造者に語りかけた通りです。―詩 36:9,口。
-
-
驚くべきブラインシュリンプ目ざめよ! 1979 | 3月8日
-
-
驚くべきブラインシュリンプ
ブラインシュリンプの名は,高濃度の塩水中でも生きられるその能力に由来しています。(英語で,ブラインは塩水をシュリンプはエビを意味する。)その塩水中では,塩分の濃度が高すぎて,捕食動物は生きていられません。しかし,それにも増して舌を巻くのは体長がわずか1.3センチにも満たないこの小動物の卵の生存能力です。ほぼ一滴の水気もないように乾燥させた後,摂氏マイナス190度にまで冷やしても,適当な温度の塩水中に戻すと,卵はふ化します。逆に,完全に乾燥させた後,沸騰点以上の高熱に二時間さらしても,ブラインシュリンプの卵はふ化能力を失いません。これは,創造者エホバ神がこの生物に付与した驚くべき耐久力を如実に物語るものです!
-