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権利を獲得するための人間の闘い目ざめよ! 1979 | 12月8日
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武器を捨てるよう勧めました。小作人たちがそれを拒否すると,ルターは君主たちに,農民を「狂犬と同じように」打ち殺し,刺し殺すよう進言したと言われます。君主たちはその進言に従いました。
キリスト教世界が今日のいわゆる“人権”に敵対して暴力的な態度に出たことは,数え切れないほどあります。新教徒のクロムウェルはアイルランドのカトリック教徒を虐殺し,フランスのカトリック教徒は同国の新教徒であるユグノーを大量殺りくしましたが,これら二つの例は,キリスト教世界の国々における,他の人々の権利を容認しない暴挙のほんの一部にすぎません。さらに例を挙げるとすれば,血に飢えた十字軍や異端審問,霊的な指導者の祝福の下に世界各地で殺りくと略奪行為に携わったスペインのコンキスタドーレスの不行跡があります。また,忘れてならないのは,推定10万人の女性たちが,中世に魔女であるとの嫌疑をかけられ,杭に付けられて焼かれたことです。
そうです,歴史上どの時代を取ってみても,人権に関する人類の記録は意に満たないものです。国の法律のように人間の向上に役立つはずの力も,人類にとって不備な点が多いか,さもなくば危害を及ぼすものでしかありませんでした。キリスト教世界の法もその例外ではありません。自分たちの権利を奪われてきた階層は数多く,人間の利己的な傾向に災いされて,それらの階層の人々は圧制からの救済を見いだせないでいます。遠い昔に聖書の伝道の書が述べていたとおりのことが余りにも多く起きています。その中には,「人が人を支配してこれを害した」と記されています。―伝道 8:9,新。
これは,今日のわたしたちにとって何を意味するでしょうか。物事は変化したでしょうか。人権が保障されるという希望は以前にも増して強められているでしょうか。事実は何を示していますか。
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今日人権はどうなっているか目ざめよ! 1979 | 12月8日
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今日人権はどうなっているか
「人権の蹂躙が世界中で増大し,それに伴って国家間の倫理が至る所で侵されているため,我々は人権の危機に直面している」。
これは米国のドナルド・M・フレーザー下院議員の言葉です。
この言葉を読んで驚かれるかたもいることでしょう。人権についての報道や人権擁護の面で現代の世界は大きな進歩を遂げたのではないかと考えておられるかもしれません。どちらの見解が正しいのでしょうか。
現代における進歩
今の世代は,異なったグループの権利を守るための国際的な活動を数多く目撃してきました。それは確かに,これ
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