エホバとそのお名前に対する愛を表わす

ミクロネシアのパラウに住むある宣教者は，セブンスデー･アドベンチストの熱心な婦人の執事に出会い，家庭聖書研究を取り決めました。最初，いろいろな教理についての真理を受け入れることは困難でしたが，その婦人は裏付けとなる聖句を念入りに調べました。三位一体の教理に関する真理を学んだ時，婦人は自分の教会がそうした異教の教えを説いていたことを知って非常に驚きました。真のクリスチャンは神のお名前を使わねばならないことを学ぶと，「わたしたち[アドベンチスト]はエホバというお名前を使いませんが，それがなぜだかわかりません」と答えました。そしてそのことを牧師に尋ねました。牧師は，神のお名前は非常に神聖だからそれを口にすべきでないこと，また人間は神のお名前についてふれる資格さえない者だと答えました。婦人はクリスマスやその他異教に由来する世俗の祭日に関する真理をただちに受け入れ，自分の教会がそうした祝いを認めていることについて，「わたしたちの教会は自分たちがこの世とは異なっていると言っていますが，実際は異なっていないということが今わかりました」と言いました。婦人とふたりの娘は集会に出席しはじめ，教会の友人たちからの嘲笑にもかかわらず一度も欠席したことがありません。巡回する監督奉仕者の訪問中，婦人は集会に6名の人を連れて来ました。そのうちの3人は現在家庭聖書研究をしています。教会の牧師は何度も彼女を訪れ，集会に出席するのをやめるよう要請しましたが，むだでした。牧師は，「わたしにほんとうのことを言ってください。あなたはあの人たちが何を教えているかを単に知るためにあの人たちと研究しているのですか，それともあなたは信じているのですか」と尋ねました。それに対して婦人はこう答えました。「ほんとうのことを申しますと，わたしはあの人たちの言うことを信じています。あの人たちが教えている事柄は理にかなっていて，その教えには聖書的な裏付けがあるからです」。婦人は教会との関係をいっさい断ち切り，野外奉仕に参加しはじめ，エホバの証人になりたいとの希望を表明しています。

同じくパラウでのことですが，カトリックの信者で真理に反対していたある看護婦は，霊的に十分の糧が得られないのでカトリック教会に満足していないと宣教者に語りました。1回目の聖書研究の後，その人は集会に出席しはじめました。この人も多くの反対に会いました。まず職場つまり病院で反対されました。仕事の同僚は彼女を説得して研究をやめさせようとしました。しかし彼女はきっぱりとこう答えました。「わたしはエホバ神を愛しています。聖書研究も集会もすきです。どうしてやめなければならないんですか」。次は近所の人たちが反対しました。多くの友人の客がいつもあったからです。ついで母親からの反対がありました。母親は彼女に，おまえは思い違いをしているのだからカトリック教会に戻ったほうがよいと言いました。しかし，最大の試みは夫からのものでした。ある晩，集会に出かける準備をしていると，夫はおまえを殺してやるとおどしました。夫が台所へ包丁を取りに行っているすきに，彼女は逃げて集会に行き，夫の怒りがおさまるまで親せきの家で過ごしました。2週間後，夫はまたもや殺すとおどしました。今度は逃げるすきがありませんでした。彼女は夫に「殺される前に，まずお祈りをさせてください。エホバにあなたをお救いくださるようお願いしたいのです」といいました。これを聞いた夫は家を出ていき，今度は夫のほうが親せきの家で一晩泊まりました。しかし，その後，夫が集会に出席するようになったことは大きな喜びです。現在，夫は家族の聖書研究に参加し，多くの質問をしています。また，妻が次の巡回大会に行くのを許しました。最後の反対はカトリックの司祭から来ました。彼女の家で3時間にわたって討議した後，婦人がエホバに仕える決意をしていることを知った司祭は，エホバの証人との研究を続けるよう励ましました。しかし，欽定訳聖書はまちがいが多いから新世界訳を使用するように言いました。6か月以内に，婦人は戸別伝道に携わり，2つの家庭聖書研究を司会するようになり，ときには朝の3時ごろまで友人や隣人また親せきに偶然の証言をすることもあります。彼女の希望は早くバプテスマを受けることです。

― エホバの証人の1971年度年鑑より