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世界をあざむく宗教の基礎をすえたバビロンものみの塔 1964 | 9月15日
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も,たとえばラバートウ,ラバス,アクハズなどの三位一体が存在した。その最初の悪鬼は子供を害し,第二のものは病気をおこし,第三のものは人の顔を黄色にし,また黒くした。別の三位一体はリル,リリツ,アルダット・リリから成っていた……バビロニアの祭司はしばしば神の如く振舞い,じゅもんによって悪鬼をはらった……。―146,147頁(1925年版)。国際スタンダード聖書百科,1955年版第1巻373頁。
魔術,うらない,占星術が発達し,王から賤民に至るまでこれにふけっていました。人々は「杖にまたがって空中を飛ぶ力のある」魔女の存在をさえ信じていました。メイヤース,古代史,その1,72頁。
聖書はベルとメロダクの偶像のことを述べており,それが砕かれることを述べています。(エレミヤ 50:1,2)イザヤ書 47章12,13節は,女にたとえられたバビロンに次のことを告げています,「あなたが若い時から勤め行ったあなたの魔法と,多くの魔術とをもって立ちむかってみよ……かの天を分かつ者,星を見る者,新月によって,あなたに臨む事を告げる者を立ちあがらせて,あなたを救わせてみよ」。
魔術を発明したのは,バビロニアのカルデヤ人でした。魔術とうらないがバビロンに深く根をおろしていたことは,ニムロデより何世紀も後の王ネブカデネザルが,エルサレム攻略に先立ってうらないをした事からもわかります。そのことについて,エホバはエゼキエルに次のように告げました。
「バビロンの王は道の分れ目,二つの道のはじめに立って占いをし,矢をふり,テラピムに問い,肝を見る。彼の右にエルサレムのために占いが出る。すなわち口を開いて叫び,声をあげときを作り,門に向って城くずしを投げ,塁を築き,雲梯を建てよと言う」― エゼキエル 21:20-22。
ネブカデネザル2世の時にバビロンの都は最も栄え,聖書歴史上で3番目の世界強国となりました。それでバビロンは滅亡の少し前に最盛期に達したことになります。その最も偉大な王でさえ魔術の信奉者であったことを考えれば,その滅亡を預言したことばの中でイザヤが魔術師,星を見る者,新月によって,臨む事を告げる者を立ちあがらせてバビロンを救わせてみよと述べているのも,不思議ではありません。しかしそれは無駄なことでした。エホバはバビロンを滅びに定めたからです。
バビロンの宗教的な塔
歴史的に見ると,バビロンの偽りの宗教ははじめバベルの塔の建設にあらわれました。この宗教のために,バビロンははじめから滅びる運命にあったと言えるでしょう。その最盛期の王ネブカデネザル2世の時代のバビロンには,宗教的な建造物である塔がありました。それはエホバ神が建設者のことばを乱して完成を阻止した塔の土台の上に建てられていたに違いありません。それは市の南部,ユーフラテス河の東の堤からほど遠くないところにありました。ネブカデネザル王や,その前の王はこの塔をジクオラット・バビリすなわちバビロンの塔と呼びました。それはバビロンの主神メロダクとその后ゼル-パニタムにささげられました。
塔は正方形で,その大きな士台の上に六つの階が重ねられ,いちばん上に聖所がありました。それはベル-メロダク神にささげられたものです。この神は,かの力ある猟人ニムロデを神格化したものと考えられています。塔の周辺には,バビロンの他の神々にささげられた寺院が立ちならんでいました。
魂に関するバビロンの教えのために諸国民は病む
バビロンの宗教に見られる別の著しい特色は,人間の魂の不滅を教えたことです。バビロンの最初の王ニムロデがどのように死んだかは聖書に述べられていませんが,バビロンは死んだニムロデを神格化しましたから,ニムロデすなわちメロダクの魂を不滅なものにすることが必要でした。ある研究者からはニムロデと同一視されているギルガメシュに関するバビロニア神話の中で,半神半人のギルガメシュは,地上に生きる人間としての不滅性を求めています。ギルガメシュ叙事詩第12巻の中で,ギルガメシュは死んだ,かつての仲間と会うことを許され,その仲間は死後の灰色の世界と,死者のあうさまざまの運命について語っています。―アメリカナ百科辞典,1929年版,第12巻,654頁。
バビロニアの宗教において,ネルガルはあの世の神,その妻エレシュキガルは女神となっています。バビロニア人は人間のからだの不滅を信じませんでしたが,ギリシャ人が「魂」と呼んだものの不滅を信じました。バビロニア人の理解したものについて,次のように書かれています。
人間が死んだのちも魂は生きつづける。しかしそれは生命とは呼び難いものである。魂の行くところは「帰らざる国」と呼ばれ,魂はネルガルおよびエレシュ・キガルの支配下におかれて,こうもりの飛びかう,ほこりだらけの暗い部屋に住む。魂が死者の中に到着すると,死人を裁くアニュナキに裁かれる。しかしその詳細は不明である。死者が生命に戻る可能性の考えられたこともあったようだ。死後の世界には生命の水があって,それは神タンムズが地に戻る時に用いられたからである。バビロニア人は,死人の用に供するため,死人のかたわらにいろいろな物を置いた……来世において,すべての死者が同じ待遇を受けるのではない。戦いに出て死んだ者は特に恵まれていたようだ。彼らは飲み水を得たが,墓に供えものをする縁者のない死者は苦しんだ……人間は神から出たものであるが,不滅性〔すなわち肉体の不滅〕という神の性質には与っていないというのが,バビロニア人の考えであった」― 国際スタンダード聖書百科,第1巻373頁。
占星術,悪鬼のおそれ,三位一体と共に,バビロンから始まって世界中の人々の間にひろまったこの教えを基にしてその上に,火の地獄,錬獄,霊魂再来,輪廻,霊媒術など,聖書と相容れない教義が成り立っており,これらの教えのためにすべての国とその宗教家の大部分は死に至る霊的な病いにかかっています。あなたの宗教にこのような教えがあるならば,それはバビロン的な宗教であり,それが反逆の都バビロンから出た偽りの宗教のとりでの一部であることに間違いはありません。
これは悪鬼に支配された古代バビロンに根ざす欺きの一部に過ぎません。目に見えないサタン悪魔はこのような欺きの上に宗教を築きあげ,全世界を欺いているのです。エホバ神がバベルの塔の建設者のことばを乱したとき,バビロンは倒れましたが,それでもその時に滅ぼされたわけではありません。後にバビロンの支配はハム人種からセム人種の支配者の手に移りましたが,神によって滅びに定められていることに変りはありません。預言された通りの都には滅びが臨み,その在り場所さえもわからなくなりました。しかし激しく倒されることが聖書に預言されている大いなるバビロンとは何ですか。それは聖書をさらにしらべることによって明らかになります。
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