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    目ざめよ! 1980 | 4月22日
    • ありません。時折りビールを飲む,などということもありません。21年以上前に退職してからこのかた,観劇はおろか,近所の映画館へ行ったこともありません。

      「人をもてなすことも,友人や親族に贈り物をするためにお金を使うこともありません。特別に重要な事があったときに,時折り好意を示すためのはがきを出すことで満足しています。今では定期的に新聞を買うこともありません。

      「私も家内も70代の半ばになっており,どちらも健康がすぐれず,働きに出ることもできません」。

      自分の賃金がインフレにかろうじて追いついているような労働者も損害を被っています。どうしてですか。インフレの牙は二つの仕方で襲って来るからです。物価が上がるために,汗水流して働いたお金の価値が下がるだけでなく,それに伴う賃上げで労働者はより高い課税区分に入れられ,その人たちの税負担は重くなるのです。その結果,購買力が実質的に低下します。

      多くの場合,貯蓄銀行に預金をする倹約家もインフレによって不利な立場に置かれます。ある国では,銀行預金の利率がインフレ率の約半分にすぎませんでした。ですから,一年たつと,預金は利子を含めても,目減りすることになります。さらに悪いことに利息は課税の対象になるのです。

      インフレの重圧の結果として,あらゆる種類の個人的な負債が増加しています。その一因は,人々が自分たちの望む物を買う前にお金をためようとしたがらないことにあります。そこで,望む物を手に入れるために借金をするのです。

      しかし,この負債の別の原因として無視できなくなってきているのは,インフレの絶えざる高進のために,自分たちの持つ物を維持してゆくだけの目的で借金をする人が多くなっているということです。アメリカ百科事典年鑑1979年版もこう述べています。「以前はめったに借金をせず,したとしても高価な品物を買うためであったような人が,時として,借りた金を必需品の支払いに充てているようなことがある」。

      さらに,前途の見込みはないと考え,『ただ食べたり飲んだりして楽しくやろう』という態度を取り,遅くなりすぎないうちに楽しめるだけ楽しんでおこうとする人もいます。これは,そのような態度を持つ人の一人が,「私は一種の終末論的な態度を持っている」と語った言葉に表われています。中には返すつもりもなく多額の借金をする人もいますが,それは盗みと変わりありません。

      US・ニューズ・アンド・ワールド・リポート誌は,借金に関するこの傾向を,「経済学者に新たな脅威を投げかけ」ている「津波」と呼んでいます。同誌はまた,「人々がこれほど借りた金を当てにした時代はない」と述べました。深刻な経済上の後退があれば,こうした人々のうち幾百幾千万もの人々は破産の憂き目を見るでしょう。

      今日の世界の至る所で猛威をふるう,この種のインフレの原因となっているのは何ですか。権威者たちはこの問題に関してすべての面で意見の一致を見ているわけではありません。しかし大抵の権威者は,収入より支出が多くなり,その支出を埋め合わせるために負債を抱えるということが主な原因の一つである,という点では意見の一致を見ています。ロンドンのタイムズ紙が次のように伝えるとおりです。「結局のところ,インフレとは一体何であろうか。……それは,過剰消費を,収入以上の生活をすることを,貯金箱に入れる以上のお金を取り出すことを意味する,経済学者の用語である」。

      政府が税金による収入を上回る支出をする場合,政府はその赤字を埋め合わせるために貨幣を“造り出さ”なければなりません。ハーパーズ誌はそれをこう表現しています。「税金ではまかない切れない政府の歳出の生み出す負債は,真新しいドル紙幣を造り出すことによって埋め合わされる」。ウォール・ストリート・ジャーナル紙もこう述べています。

      「物価を突き上げる圧力の中でも断然大きな部分を占めているのは……文字通りの意味でのインフレである。すなわち,政府の度を過ごした赤字が年々続き,その資金を調達しようと貨幣や債券を造り出すために通貨供給が大きく膨張することによって引き起こされるインフレである。それは現代において……印刷機を動かすことによって行なわれる」。

      インフレのこうした源の一例は,米国の内国債です。同国政府は過去18年間のうち17年間に赤字を出しました。国債の額が初めて1,000億㌦(約24兆円)に達するまでに167年間かかったのに対し,現在では毎年それと同じ額で債務が増えています。その累計は間もなく1兆㌦(約240兆円)を超すものと思われます。そして,この債務に対する利息は今や年間600億㌦(約14兆4,000億円)に達し,政府歳出の第三位を占めています。このすべては品物やサービスを得るためのものとして金銭が多く出回り,競売のときのように価格をつり上げていることを意味しています。

      事態をさらに悪化させているのは石油問題です。自国の需要を上回る石油を生産するのは,ほんの一握りの国々に過ぎません。これらの国々は,OPEC,つまり石油輸出国機構の下に団結しています。これらの国々は石油価格を十年前の10倍以上に引き上げました。ガソリン・灯油・プラスチック・化学製品など多くの物品は石油を原料としているので,それらの物品の価格は石油に対応して上がります。

      こうしたことが原因となって多大の債務を抱え込むようになり,さらに膨大な額の債券を導入することにしか経済的な活路を見いだせない国もあります。そうした国の中には,債務そのものはおろか,自国の財源ではその債務に対する利息さえも払い切れない国があります。

      どうしたらインフレを正すことができるでしょうか。数多くの経済学者たちは,事態が矯正不能なところまで行ってしまったのではないかといぶかっています。そうした学者たちは,その事態を,症状を和らげようとしてさらに多くのヘロインを要求する,手のつけられなくなったヘロイン中毒患者になぞらえています。当人がそれを続ければ,麻薬のために命を失うことになります。たとえそれから抜けだしたとしても,麻薬を使用した結果,やはり寿命は縮まるでしょう。

      インフレに歯止めを掛けるには,政府,企業,個人による,収入以上の支出を厳しく削減しなければなりません。ところがそれは人々の購入する物が減ることを意味し,ひいては企業の生産が減少することになります。そうすると多くの人は職を失い,その結果,深刻な景気後退や不景気が起こります。世界の経済体制は現在,収入以上に支出する生活様式が原因で,生産状態が余りにも高められています。そのため,生産を思い切って削減するには時すでに遅く,もしそうするなら,インフレそのものの害と同程度の害が生じることは必定だ,と断言する評論家もいます。

  • インフレにどう対処したらよいか
    目ざめよ! 1980 | 4月22日
    • インフレにどう対処したらよいか

      世界的なインフレをとどめるため一個人にできることはまずありません。政府の予算や増大する借金,国の経済政策などを左右することはできません。しかし,インフレの重圧に対処するのに役立ち,あなたにできる事柄があります。

      一つの点として,先進国に住んでいる人々なら,一段低い生活水準で満足することがそれに相当するかもしれません。そうなると,自分にとっては当たり前のものになってはいても,貧しい国々ではほとんどの人がまず持っていないような物はなし

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