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マルタ ― もてなしの精神のあふれる島目ざめよ! 1980 | 3月8日
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れたためだろうと考えられています。それはいつのことでしょうか。既知の事実に適合する唯一の説明は,ノアの日の洪水です。
マルタの生活様式は,様々な点で古代パレスチナの生活様式と似ています。イエスが言及されたように,群れの中に羊とやぎの混じり合っている様が見られます。(マタイ 25:32,33)建材として用いられているのは,3,000年前,ソロモンの神殿を建てるために使われた,切り出しの容易な石灰岩と同じものです。また,4月および9月ごろになると,詩篇 91篇3節の書かれた時代に用いられたような仕方で,猟師がそれと気付かれないように網を張り,数種の渡り鳥を捕らえる風景が今でも見られます。これはまた,鳥類学者が鳥の渡りに対する理解を深めるのにも一役買いました。―エレミヤ 5:26もご覧ください。
マルタでの使徒パウロ
西暦58,9年ごろのあの難船を生き残った人の中には,神のみ言葉の際立った代弁者で,熱意にあふれた使徒パウロがいました。この島に滞在した三か月間に,パウロが当時異教を信奉していたマルタの人々に聖書からの良いたよりを伝えるために一生懸命働いたことに疑問の余地はありません。確かに,パウロはいやしの業を行なったので非常に人気があったに違いありません。それは,パウロが立ち去るときに,感謝の表われである贈り物をたくさん受けた,と伝えられていることから分かります。(使徒 28:9,10)今日に至るまで,使徒パウロはマルタの人々の間で高く評価されています。しかし,パウロが伝道のよりどころとしていた聖書がマルタ語で入手できるようになったのはごく最近のことです。
喜ばしいことに,現行憲法の下では,ローマ・カトリックの支配的なマルタで信教の自由が保障されています。今日この島を訪れるなら,隆盛をきわめるエホバの証人の会衆が一つ,自分たちの王国会館で定期的に集会を開いていることが分かるでしょう。『王国の良いたより』を宣べ伝える業は,この島では19世紀前に使徒パウロによって始められましたが,引き続き繁栄し続けています。―マタイ 24:14。
使徒パウロや医師ルカ,およびその旅行仲間は,西暦1世紀当時,使徒たちの活動の記録に名を挙げられているポプリオのような官吏からだけでなく,一般の人々からも大いに歓待されました。今日でもマルタの人々は,昔,自分たちの先祖がしたと全く同じように,訪問者を歓待します。マルタでは,今でも,もてなしの精神が生活の道となっているからです。
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氷の中でくつろぐ目ざめよ! 1980 | 3月8日
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氷の中でくつろぐ
氷河の中で生活し,その上で成長することを想像してみてください。ところが,その氷もコオリムシと呼ばれる余り知られていない生物にとっては居心地のよい住みかです。氷の中に住む,環状動物の一つであるこの生物は,小さなミミズのような姿をしており,体長わずか1ないし3㌢です。コオリムシの氷河の住みかは,北米西部の沿岸部にある氷河に限られているようです。では,コオリムシはどのようにして生きているのでしょうか。
日中,コオリムシ氏はその氷の家の中深くに潜り込み,割れ目のない氷河の氷の中を驚くべき軽快さで動き回り,時には深さ2㍍の所まで潜り込むことがあります。夕暮れ時になると,この寒冷地の生物は,氷の家の中から表面へ出てきて,おなかに入れるおいしいごちそうを探します。そのごちそうは,雪藻,花粉の粒,ときには雪トビムシであることもあります。しかし,コオリムシのほうも,氷河に降り立つ,ユキホオジロやチドリなどに見つけられ,食べられてしまうことがあります。コオリムシは冷たい氷なら何ともないようですが,暑さは致命的なものとなります。事実,コオリムシは摂氏20度で形を失ってしまいます。北米西部の沿岸部にある氷河を歩く人は,生物の全く住まない氷の上に立っているにすぎないと思うでしょうが,その氷の中に生物が全くいないとは限りません。少なくともコオリムシにとって,そこは居心地のよい住みかなのです。
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