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サイ ― 人間の迷信の犠牲者目ざめよ! 1972 | 8月22日
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も,恐れのためらしく,攻撃的であるよりむしろ防御的である。
とはいっても,体重1,400㌔のサイがびくっとして,時速40㌔から60㌔の速さで突進してくれば,恐ろしい敵となる。昔,一頭の巨大なサイが機関車を脱線させたことがあった。ところで,彼が満足そうに若芽を食べている様子を見ていただきたい。サイはかまわれるのがきらいだから,そっとしておくことにして,彼のいとこに当たる,四角な口びるをしたサイがいないか見てみよう。
四角な口びるをしたサイはサイの中でも最も大きな種類で,4㌧もの体重をもつものまでいる。このサイは草を常食とする草食動物である。しかし,むこうを見てほしい。彼が「四角な口びるをした」サイと呼ばれる理由がわかる。口が平らで口の幅は25㌢ほどであるから,草を常食とするのに都合がよい。このサイの角の最長記録は1㍍55㌢である。幸いなことに,彼はたいへんおとなしいので,わたしたちがそばにいることを知ると,たいていは逃げる。つまり,危険に対する彼の反応は,一般に,かぎ型の口びるをしたサイとは異なっている。
さて,サイは泥地のほうに向かって歩き出した。泥は熱を取るほかに,もう一つの目的を果たす。サイがからだに泥をぬると,血を吸う小さな寄生虫,ダニがサイの皮膚から離れる。それからサイは石とか木の株でこすって泥といっしょにダニを落とす。一方泥地はサイが使うたびにだんだん深くなり,やがて乾期には他の多くの動物たちに水を供給する,半永久的な水たまりになる。
雄のサイはだいたい2平方㌔の土地を自分の縄張りにしようと努める。そしていろいろな方法で,その区域が自分の縄張りであることを示し,侵入者からその縄張りを守る。縄張りにしるしを付ける一つの方法は,小さなかん木をみつけ,後足を交互に硬直させたままひきずるようにしてかん木の上を歩き,かん木をつぶし,そのあとかん木全体がにおうように尿を十分にふりかけるのである。さて,他のサイはそのようなかん木のところにやって来ると,自分がだれかの縄張りの中にいることをすぐに気づく。しかし,雄のサイは何者かが自分の縄張りに来たことをどうして知るのだろうか。
雄のサイにはくそ山,つまりふんの山を作る習性がある。来訪したサイがそのくそ山を使うと,それが証拠として残る。縄張りの主はくそ山を点検して回り,そのにおいから来訪者がだれか,めすのサイかおすのサイか,近隣の者か未知の者かを知る。彼は後足でくそ山のふんをけちらし,次に点検に来る前にその来訪者のあとを消してしまう。
現在減少しつつあるこの巨大な角を持つ動物には,実際,数多くの興味深い習性がある。確かに彼らの生活は,過大評価されている角よりも多くの意味がある。人間が,迷信のために地球とその上に住む驚くべき生物の真価を見落としているとは,実に悲しいことである。
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昆虫の数はどれほどですか目ざめよ! 1972 | 8月22日
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昆虫の数はどれほどですか
◆ 科学者が生存している昆虫のそれぞれの形態を分類することさえ実際にはできないことを知り,多くの人は驚くであろう。なぜであろうか。200万から400万もの異なった種類の昆虫がいると見られているからである。しかも科学者がその学術用語の中で用いているのはわずか26万5,000種ほどである。
現在世界中でどれほどの数の昆虫が生息しているか計算してみるなら,その数は人間の考えでは想像もできないほど大きくなるであろう。一定区域内にどれほど多くの昆虫がいるかを科学者が計算する唯一の方法は1平方㍍の湿土中の昆虫すべてを数えることである。その数はどこでも600から2,500になるであろう。ご想像いただきたい。良質の土壌1㌶につき,昆虫の数は1,000万にもなるのである。
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