「地の最も遠いところにまで」証言する
エホバの証人の1971年度年鑑より
中華民国,台湾
人口: 14,00万人
伝道者最高数: 1,135人
比率: 1万2,335人に1人
台湾における昨奉仕年度は,支部を兼ねた宣教者の家を新たに取得,献堂することから始まり,続いて10月には記念すべき台北国際大会が開かれました。この大会はすべて中国語で行なわれたため,アミ語の地域大会が12月に開かれました。1,400名を上回る出席者を迎えたこの大会は,アミ族の地域で1963年に開かれた世界一周大会以来,最も大きな大会になりました。以上の事柄すべてに加えて,王国宣教学校が1970年5月に再開されたことにより,昨奉仕年度中,台湾では過去8年間で最も著しい発展が見られました。多くの経験が示しているように,「とこしえの命に導く真理」と題する本の中国語版による,6か月の聖書研究課程を実行に移したことも,そうした進歩に大きく貢献しました。たとえば,雑誌を配布する奉仕をしていたひとりの宣教者は,ある婦人に2冊の雑誌を配布しました。婦人は以前,その雑誌を読んだことがあると言いました。その宣教者が家庭聖書研究を勧めたところ,直ちに研究が始まりました。婦人は仏教の家庭の出でしたが,一週間に1章の割合で研究を進め,最初から集会に出席し,また,聖書の真理を喜んで受け入れました。なぜなら,その婦人の話によれば,将来に関して「仏教は何も与えるものがなく」,また,二,三の教会に行ったものの,教会は,聖書に対する彼女の好奇心を少しも満たしてくれなかったからです。8か月で「真理」の本と他の資料を学び終えた後,この婦人はキリスト・イエスの真の弟子としてバプテスマを受けました。
アミ族の地域でさえ,中国語と日本語の「真理」の本は,良い実を生み出すのに役だっています。ひとりの姉妹は10年以上のあいだ,夫の激しい反対に会い,集会に出席したり,奉仕に出かけたりするので,たたかれたこともしばしばありました。ある日,夫は,「真理」の本がテーブルの上にあるのをみつけて,それを読みはじめました。それを読んで興味をそそられた夫は,その地区の開拓奉仕者とともに聖書研究をすることに同意したのです。急速な進歩を遂げた彼は,一昨年の12月にバプテスマを受け,今では家族に聖書を教えることはもとより,他のクリスチャン活動の面で率先しています。
パイワン族の地区には,現在,三つの会衆だけがあります。そのうち最も新しい会衆は,長いあいだ孤立した群れのあった土地に設立されました。その村に派遣された特別開拓者は,まもなく,村の新教の教会の『指導者』ふたりとともに家庭聖書研究を始めることができました。そのふたりの婦人はすばらしい進歩を遂げ,ひとりは昨年台北で開かれた「地に平和」大会で,また,もうひとりはその後のある巡回大会でバプテスマを受けました。そのことは村の人々の間にかなりの反響を巻き起こしました。バプテスマを受けたふたりの婦人や,聖書研究をしている他の人々が真理によって良い変化を遂げたのを見て,さらに多くの人が聖書研究を始めました。新たに設立されたその会衆は,すべての集会の出席率が平均約200%で,たいへん恵まれています。このように,宣教のわざは比較的小さな部族の間でも拡大しています。
何人かの幼い子どもたちは,エホバに対する堅い信仰を表わしています。小学校3年生のひとりの子どもは,ダニエルの3人の友だちの場合と同様の問題に直面しました。3人のヘブル人と同じ立場を取ったその少女は,おどかされたり,おだてられたり,また,たたかれたりしたうえに,ついには,熱帯の炎天の下で半日のあいだ立たされました。しかし,少女は信仰を堅く守り,とうとう許されて家に帰りました。両親は,少女がなぜたたかれたのかを知りたいと思いました。両親は少女の説明を聞きながら,そうした経験が少女の信仰にどんな影響を及ぼしたかを知ろうと,いくつかの質問をしましたが,少女がエホバの忠実なしもべになりたいとの決意をいっそう固めていることを知って,感激しました。
アメリカ人の一夫婦は,その夫の世俗の仕事の関係もあり,また,必要の大きな所で奉仕する目的を持って台湾に来ました。英語で行なわれる家庭聖書研究2件がその夫婦に引き継がれました。その一方は研究中,しばしば来客がありました。が,客がいても研究は続けられました。そうした来客のひとりは数回その家を訪れましたが,ある日,研究を閉じる祈りが終わった時,その客は目に涙を浮かべていました。続いてその客と話し合いが行なわれた結果,その婦人は聖書研究に応じました。3週間後,反感をいだいた婦人の客が研究に同席しました。その婦人は3週間続けて訪れましたが,その間に,婦人の態度は少しづつやわらぎました。そして,1914年という年を聞いて,それが何を意味するのかを知りたいと思い,聖書研究に応じました。それらふたりの聖書研究生は6か月で,「真理」の本を終え,今では,それら3人の婦人は,奉仕に参加して,近いうちにバプテスマを受けたいと願っています。現在,最初のふたつの聖書研究は八つにふえ,そのうちの7人が,台北で開かれている英語の集会に出席しています。人口200万に近いこの台北で,英語によって行なわれている,わずかふたつの家庭聖書研究の一つに,羊のような人々を導いて,必要の大きな土地で奉仕する,こうした努力をエホバは確かに祝福しておられます。
台湾の伝道者や宣教者は,ものみの塔協会ならびに世界各地の兄弟たちに感謝のことばを述べたいと願っています。なぜなら,そうした寄付のおかげで,広々とした王国会館と18名の宣教者を収容できる施設を備えた,りっぱな新しい支部の建物をここ台北に持つことができたからです。また,宣教者全員は,昨年の「地に平和」大会の一つに出席できるよう,愛ある援助を受けたことに対して,すべての兄弟に感謝していただきたいと申し出ています。