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共産主義者の指導者達に請願するものみの塔 1957 | 6月1日
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ようお願いいたします。
敬具
ヱホバの証者
カレ・サラバラ
1956年6月30日,フィンランド,ラプランド,ケミで,大会責任者マッチ・ケイ・チァイネンにより,この決議の採決が動議さる。大会司会者エルッキ・カンカッパにより贊成さる。ケミ地域大会により満場一教採決さる。公共関係役員バイノ・パラリにより証明さる。
どのように受け取られたか
どの大会の時でも,4人のヱホバの証者は出席者を代表して,3通の請願に署名しました。その1通は,直接モスコーのブルガーニン首相のところに送られ,1通は大会の行われた国に駐在しているロシヤ大使のところに郵送され,もう1通はものみの塔協会の本部に送られました。そして,余分のものは,新聞社に廻されましたが,新聞社はだいたいにおいて良い記事を載せていました。
ロシヤの政府は,この請願に対してどう応じましたか。今日にいたるまで,ロシヤの政府は,その請願を無視しました。一言も聞かれません。しかし,すくなくとも1通はモスコーで受け取られました。そのことは,アメリカ合衆国の郵便局の受取りから,請願がロシヤの政府に届けられて受理されたことが分ります。
また,各国に駐在しているロシヤの大使に請願を個人的に手渡す努力もなされました。しかし,ほとんどの場合,大使自身に会うことは不可能でした。ウルガイにいる大使の秘書は,その請願が嘘であると言つて,そのことに関係するのを全く拒絶しました。そして,ロシヤでは崇拝の自由が保証されている,と主張しました。オーストリヤ,ネーデルランド,スイスのような国々でも,同様な努力が払われましたが,その結果は大同小異のものでした。
フランス駐在の大使の秘書は,その請願を受理しました。しかし,「フランスにいるフランス人が,ロシヤにいるロシヤ人について心配懸念する理由」が分らなかつたのです。忠節は,国家的な障壁や相違を乗り越えます。しかし,共産主義の訓練を受けたこの人には,そのことがとうてい理解できなかつたのです。
アメリカでは,大使が不在であつたため,次席のストリガノフ氏と会見する取り極めがなされました。会話中に,証者はその訪問の目的や,ヱホバの証者の採つた立場を述べ,そして証者たちと和合することはロシヤ政府の為になる,と告げました。そして又,おそらく誤解や虚報の故にロシヤの政府はそのような処置を取つたのであろう,と指摘し,かつポーランド政府の採つた道をすすめました。ポーランドの政府は,証者たちを調査して,証者に対する告訴が事実無根なることを知るや,証者たちを牢獄から釈放したのです。
しかし,ストリガノフ氏は,次のように述べたのです。つまり,ロシヤについては実に多くの偽りがひろめられており,もしロシヤ内に投獄されている人がいるとすれば,その理由は宗教の故によるのでなく,法律に違反したからだ,というのです。そして,戦争についての証者の立場は間ちがいであつて,ロシヤの法律はヱホバの律法よりも高く,ロシヤではロシヤの法律に従わねばならぬ,と語りました。ヱホバの御名を耳に聞くや,再三再四嘲笑し,請願受理を拒絶しました。請願を恰も爆薬のように見なして,手に触れることすら欲しなかつたのです。
しかし,ヱホバの証者はすぐに失意しません。ヱホバの証者は,戦をあつさりと断念しません。鉄のカーテンの背後にいて圧迫を受けている兄弟たちを助けようと,証者たちは,絶えず誠実な努力を払つて来ました。1957年3月1日,共産主義者の指導者たちに次のような合同の請願を送りましたが,それはその努力を表明するものです。
社会主義ソヴェット共和国,モスコー
ソヴェット連邦閣僚会議議長
ニコライ・エイ・ブルガーニン首相へ
謹啓
ヱホバの証者と呼ばれる世界的なクリスチャンの群の統治体は,貴下に書状を送ります。
今日,ペンシルバニヤのものみの塔聖書冊子協会の指導の下に,不断に発展するクリスチャン奉仕者の制度,ヱホバの証者は,全世界162の国々や,共和国や,植民地で宇宙の全能の神にして創造主なるヱホバの御言葉を教えています。彼らは,真のクリスチャンであつて,聖書に述べられている正義の標準や原則に従い,ヱホバ神の真正な崇拝を行つています。
ソヴェット社会主義共和国内には,苦しい状態の下にいながらも最高の神ヱホバに奉仕を捧げようと忠実に努めているヱホバの証者が幾千人もいます。その多くは,逮捕されて投獄されています。他の者たちは,自分の家からはずつと遠いシベリヤに流刑されています。その理由は,犯罪をしたとか,またはなんらかの政治的な活動を行つた,というのでは決してありません。ヱホバの証者は,地上にいる民の中でも最も平和を愛する群で,かつ法律を守る群です。彼らが罰を受けている理由は,証者たちがイエス・キリストのいましめにしつかり従う献身したクリスチャンである,という事実によるのです。たしかに,彼らは神の御国と神の義を先ず求めます。マタイ伝 6章33節のところで,すべてのクリスチャンたちは,そうせよ,とキリストが命ぜられていたからです。しかし,そうする傍わら,証者は自分の住んでいる国 ― 創造主の最高の法律とは反対の法律をつくる国を除いて ― の法律全部にも従います。ヱホバの証者は,良心的であり,注意深く行つて『カイザルのものはカイザルに,神のものは神に返し』ます。―マタイ 22:21,新口。
長年にわたつて,ソヴェット連邦内にいるヱホバの証者は非常な艱難とつらい迫害を耐え忍んできました。彼らは奉仕者たちの中より委員と代表をつくり,実施されている規則に従つて自分たちの宗教制度を登記しようとしました。ところが,どの場合もヱホバの証者は拒絶されており,そのクリスチャン制度の登記が許可せられる代りに,代表の奉仕者は逮捕されているのです。幾千人というヱホバの証者が,クリスチャン崇拝をするという理由で,ソヴェット連邦中で投獄されているか,シベリヤに流刑されているのです。そのことは,ひろく世界中に知れ渡つています。
すべてのヱホバの証者は,ヱホバ神の奉仕者として奉仕する厳粛な誓を立てており,この道より決して離れないでしよう。ヱホバの証者は,神の御国の良いたよりを伝道せよ,という大切ないましめを受けています。彼らは神に忠実でなければならず,また模範を残したイエス・キリストの使徒たちのごとく,同じ神権的な律法に導かれねばなりません。使徒たちは,その崇拝の故に多くの反対と身体上の苦しみを受けました。聖書の使徒行伝 5章17-40節には,初代クリスチャンの受けた多くの試錬の一つが記されています。その時,クリスチャンではない著名な弁護士ガマリエルは,今日にも適用する裁定の原則を述べました。今日,ソヴェット連邦内にいるヱホバの証者の逮捕と関連して,貴下がそのことに留意せられるよう望むものです,『その企てや,しわざが,人間から出たものなら,自滅するだろう。しかし,もし神から出たものなら,あの人たちを滅すことはできまい。』
ヱホバの証者は神の僕です。彼らの業は神のものです。それで,ソヴェット連邦を含むすべての国で,ヱホバの証者は,クリスチャン生活をなして,最高者を崇拝しなければなりません。そしてヱホバ神の助けを受けることにより,そのことをなし行うでしよう。真のクリスチャンたちは,互に愛し合い,友なるクリスチャンたちの安否を深く気づかいます。危急の場合には,真のクリスチャンは物質的にも,霊的にも援助し合います。ヱホバの証者は,そのような真のクリスチャンであります。そのわけで,過ぐる9ヵ月のあいだ全世界のヱホバの証者は,ソヴェット連邦の高職につかれている貴下に請願状を送り,貴下の国に住む友なるヱホバの証者に対する虐待を調査すると共に,キリストにある私たちの兄弟たちに崇拝の自由を許されるよう,お願いしたのです。
その請願は,199のヱホバの証者の大会より,幾十という言語に書かれて貴下宛に送られました。どの請願状も,書留航空便で送りました。更に,この重大な事柄を間ちがいなく貴下に御知らせする為,各請願状はそれぞれの国の外交代表者を通して貴下に届けるようにしました。
全世界では,合計46万2936人のヱホバの証者が,この請願を是認しました。そして,ソヴェットに住んでいて苦しみを受けたヱホバのクリスチャン証者たちを釈放するという,ソヴェット社会主義共和国政府の取る処置についてのニュースを待つています。
全世界のヱホバの証者の統治体として,我々はソヴェット連邦内にいるヱホバの証者の諸問題についての合同の請願を送る権威を有しています。かつ,最高至上の神ヱホバの奉仕者として,この重大な問題について貴下の御配慮を願う,という責務を神の前に有しています。話合をする為にモスコーに何時でも代表団を送る用意が整つています。
請願を述べている46万2936人のヱホバの証者を代表する我々は,貴下の至急の御返答を要求するものであります。いまや,最高の神ヱホバの御前にあつて,責任は貴下に課せられているのです,『恐らくは,汝ら神に敵する者とならん。』― 使行 5:39。
ペンシルバニアのものみの塔聖書冊子協会の理事の提出
会長,エヌ・エッチ・ノア
副会長・エフ・ダヴリユ・フランズ
会計事務長,グラント・スーター
会計事務長補佐,エッチ・エッチ・リーマー
理事,ティ・ジェー・スリバン
理事,エル・エイ・スウィングル
理事,エム・ジー・ヘンシェル
この事柄を推し進めることによつて,ヱホバの証者は3つの義務を果しました。証者はヱホバの至上権に証を立てました。また,ヱホバの敵に対して,その行の悪を指摘すると共に,鉄のカーテンの背後にいる兄弟たちを助けようと努力しました。
証者たちは,イエスの次の約束に信頼しています,『神は,日夜叫び求める選民のために,正しいさばきをしてくださらずに長い間そのままにしておかれることがあろうか。あなた方に言つておくが,神はすみやかにさばいて下さるであろう。』― ルカ 18:7,8,新口。
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共産主義者の偽善ものみの塔 1957 | 6月1日
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共産主義者の偽善
1905年,ニコライ・レーニンは『なぜ我々は無神論者なることを宣伝の中で言わないのか』とたずねていました。共産主義者たちは,もちろん無神論を提唱しないならば帰依者を更に多く得られると考えていたのです。ところが,自分たちに都合の良いとき,そして自分たちの宣伝を効果的にするためなら,共産主義者は神を呼ぶのになんのためらいもしません。最近,ソヴェットの指導者ニキタ・エス・クルシチョフは,スターリンは間ちがいをしたがその間ちがいは肝要のものでないと語り,更に『どの共産主義者もスターリンのごとくに戦い得るように神の承認を求む』と語りました。すべての共産主義者をスターリンのごとくにしてもらいためにクルシチョフは神の承認を求めています。いま,ロバート・イノ・シャーウッド著『ルーズベルトとホプキンス』という本からの1節を引用しましよう,『とつぜんスターリンは「神の助けによりこの計画が成功しますように!」(チャーチルがルーズベルトになした訳によると,「神がこの企てを栄えさせますように!」)と叫んだ。余の聞いたことによれば一時のあいだ宗教学校で教育を受けたスターリンが神の助けを願うことは,なにも新しい異例のことでない,とのことだ。』共産主義の世界では偽善は際限なく行われているのです。
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