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  • 天における神のメシア王国の誕生
    『その時,神の秘義は終了する』
    • の残りの時間に限りがあること,しかもその時間が短くなっていることの確実な前兆となりました。彼は長い間「人の住む全地を惑わして」きましたが,今度は,迫り来る大いなるバビロン(偽りの宗教の世界帝国)の滅び,およびそれに続く『ハルマゲドンの戦い』において,陸と海にいるすべての者を神のみ手にかけて滅びに遭わせようと決意しています。その事態を作り出すため,悪魔と悪霊たちは可能な限りの苦難と偽りの宣伝により,全人類を勝利を収める神の王国から引き離そうとします。さらに,「王国の良いたより」を宣べ伝える業に対しても戦いをいどみます。彼はその時以来,これらすべてのことを試みてきました。

      悪霊による迫害

      41 「大いなる龍」とその使いたちは,天から放逐されたことに対しどんな反応を示しましたか。この点,幻は何を示していますか。

      41 さて,「大いなる龍」とその悪霊の使いたちは,聖なる天から永久に放逐されたことに対しどんな反応を示しましたか。この質問に対し,二十世紀の歴史は,使徒ヨハネが幻で見た出来事と一致する答えを提供します。ヨハネはこう記しました。「さて,自分が地に投げ落とされたのを見た時,龍は,男の子を産んだ女を迫害した。しかし,大きな鷲の二つの翼が女に与えられた。荒野の中の自分の場所に飛んでゆくためであった。そこは,一時と二時と半時のあいだ彼女がへびの顔から離れて養われるところである」。(啓示 12:13,14)これは,今世紀の歴史の中でどのような成就を見ていますか。

      42 天から放逐されて以来,悪魔はどのように「女」を迫害して来ましたか。

      42 「龍」にとって,天から放逐されたことに対する「大きな怒り」を表明する一つの方法は,神の「女」を迫害することでした。彼女は,「男の子」つまり,神のメシアによる王国を生み出したゆえに,龍の放逐に重大なかかわりを持っていました。それで龍は,女を迫害するのです。今や天から永久に締め出されたとはいえ,卑しめられた地的場所にいる龍とその悪霊たちは,象徴的な「女」を構成する使いたちが,建てられた神の王国の関心事のため地の事態に介入しようとする度に,その介入をできるだけ困難にさせます。また,地上にいる『女の』胤,つまりその子孫の残りの者も彼女の一部であり,いわばその胎から出て来た者たちです。したがって,まだ地上にいる,キリストの油そそがれた追随者の残りの者たちを迫害することにより,龍とその悪霊たちは神の「女」つまり王国の母を迫害しているのです。龍と悪霊の地的活動に関する使徒ヨハネのその後の記録は,彼らがまさしくそうした行動を取ったことを確証しています。

      43 龍の放逐後,「女」は何をしましたか。

      43 龍が放逐された後,「女」は,太陽で身を装い,足の下に月を飾り,頭の回りに十二の星の冠を帯びた姿で占めていた天の場所を去ったようです。なぜなら,『女は神によって備えられた自分の場所がある荒野に逃げた』,と啓示 12章6節は述べているからです。いつ女は荒野に逃げ,へびから離れたその場所で養われたのでしょうか。

      44 「大きな鷲の二つの翼」は何を象徴していますか。聖書の例から証明しなさい。

      44 荒野に行き着くために,「大きな鷲の二つの翼」が彼女に与えられました。この飛翔方法は,西暦前十六世紀の古代のある事柄に似ています。西暦前1513年にエジプトで行なわれた最初の過ぎ越しの夕食の後,エホバ神に率いられたイスラエルの十二部族は,紅海の水を奇跡的に通過し,シナイ山の荒野に導き入れられ,そこに九か月以上とどまりました。エホバ神は後に,預言者モーセの歌の中でこのことに触れながら,次のように言われました。『わしのその巣びなを喚起しその子の上にまひかけるごとくエホバその羽を展て彼らを載せその翼をもてこれを負たまへりエホバはただ独にてかれを導きたまへり別神はこれとともならざりき』。(申命 31:30; 32:11,12)イスラエル人に十戒を与える前,シナイ山においてもエホバ神はモーセを通しこう彼らに言われました。「汝らはエジプト人に我がなしたるところの事を見我が鷲の翼をのべて汝らを負て我にいたらしめしを見たり」。(出エジプト 19:1-4)同じく,象徴的に言って,「大きな鷲の二つの翼」は,迫害の脅威にさらされている神の「女」が,サタンの放逐後,荒野に飛んで行くのを助けたのです。

      45 (イ)「大いなる龍」と悪霊たちの放逐は,いつまでに成し遂げられましたか。神の「ふたりの証人」は,世界大戦が行なわれている間何をしていましたか。(ロ)残りの者は西暦1919年の春に釈放された後,何を必要としていましたか。

      45 「大いなる龍」と悪霊たちの天からの放逐は,第一次世界大戦の終わりまでには完全に成し遂げられていたものと思われます。啓示 11章1,2節によると,「聖なる都市」は「四十二か月」,つまり1914年の秋から1918年の春に至るまで,異邦諸国民によって踏みにじられました。1,260日として語られているこの同じ期間に,神の「ふたりの証人」は「粗布を着」,自分たちを損おうとする努力にも屈せず預言しました。それら「ふたりの預言者」はその後に,底知れぬ深みから出てきた「野獣」に殺されたのです。しかし,三日半にも似た短期間の後,彼らは死の状態からよみがえらされ,天的な奉仕へと高められました。そしてその時,油そそがれた残りの者の釈放が生じました。(啓示 11:3-13)それは西暦1919年の春のことです。その時までには,油そそがれた残りの者たちにもたらされた第一次世界大戦中の迫害は終わり,今度は,戦後の迫害がこの忠実な残りの者たちを待ち受けていました。そのため,彼らは霊的食物によって強められる必要がありました。それで,この時は,地上における彼女の胤の残りの者によって代表される神の「女」が,荒野に逃げて養われるための適切な時期だったのです。

      46 (イ)イスラエル人がエジプトから出た時の型によると,「女」が飛ぶことを開始する適切な時は1919年のいつでしたか。(ロ)その時,霊的な強さを与える『養う』業はどのように始まりましたか。

      46 西暦前1513年,古代イスラエルがエジプトから出たのは,ニサン14日の過ぎ越しの直後のことです。それと対応して,過ぎ越しの時が西暦1919年の出発点となります。ユダヤ暦によると,1919年ニサン1日は3月31日の夜始まったので,ニサン14日は,1919年4月13日,日曜日の夜始まることになります。その時,国際聖書研究者たちは年ごとの主の夕食あるいは晩さんを祝いました。(「ものみの塔」誌,1919年5月15日号,151ページ)1919年3月25日,六人の仲間の囚人と共にアトランタ州の連邦刑務所から釈放され,翌日保釈の身となった,ものみの塔聖書冊子協会の会長と会計秘書は,この主の夕食の祝いにあずかりました。戦後最初の年に得られた部分的な報告によると,その年の記念式には1万8,000人以上の人びとが出席しました。そのすぐ後,公式雑誌「ものみの塔およびキリストの臨在の告知者」は,1919年4月15日号の誌上で,「キリストにおける自由」と題する主要記事(英文)および他の聖書的な資料を通して,時宜にかなった霊的食物を与え始めました。こうして始まった,養育計画はいつ終わりましたか。

      47 啓示 12章6節と14節の聖句を比較すると,「女」が「荒野」にいた期間について何が明らかになりますか。

      47 啓示 12章6,14節によると,神の「女」は,神が彼女のために荒野に備えてくださった場所に「千二百六十日の間」,または「一時と二時と半時」つまり三時半いることになっていました。b これは,各「時」が360日つまり,一月を三十日とする十二か月に相当するという意味です。ということは,この三年半が預言的な年であることを示しており,したがってこの期間は,随時十三の太陰月から成るうるう年または太陰太陽年を有する,ユダヤ太陰暦による三年半に相当します。

      48 グレゴリオ暦によると,「千二百六十日」はいつ始まりましたか。そしていつ終わりましたか。

      48 ユダヤ太陰暦によれば,1919年ニサン14日の過ぎ越しの日から三年半の期間は,1922年ティシュリ13日,つまり1922年10月5日の日没時に終わります。(太陽暦によるとこの期間にはうるう年が一度[1920年],ユダヤ太陰暦によると,十三か月の年つまり太陰太陽年が一度[1921年]含まれています。)ですから,「へびの顔から離れ」,象徴的な荒野で特別に養われるこの期間は,1919年4月13/14日の過ぎ越しの時に始まり,ユダヤ暦の新年(ローシュ ハシャナー)から十三日目に当たる1922年10月4/5日に終わったわけです。この期間は本当に霊的な養育の時でした。

      49 この養育期間の始まりに引き続いて,どんな出来事が直ちに起こりましたか。

      49 「女」を養うこの時期の初めに,国際聖書研究者協会は,アメリカ,オハイオ州における第一回シーダーポイント大会を開きました。1919年9月1-8日にわたるこの大会で,新しい雑誌「黄金時代」の出版計画が9月5日,金曜日に発表されました。翌月,1919年10月1日,「ものみの塔」誌に加えて,雑誌「黄金時代」(今日「目ざめよ!」誌として知られている)の出版が始まりました。1919年10月1日号の「ものみの塔」誌は,その時の国際大会に関し9ページにわたる報告を掲載しました。また,ある国々では,ものみの塔聖書冊子協会の全部の出版物または種々の文書に対する禁止処分が解かれ始めました。

      50 この養育計画の初期に啓示された真理にはどんなものがありますか。

      50 極めて適切なことに,1920年3月,ものみの塔協会は,「死者と話す」(後に「生きている人は死人と話すことができるか」に変更)と題する本(英文)を出版しました。これは,当時全地にはびこっていた心霊術,悪霊崇拝を,豊富な資料を裏付けとして暴露したものです。それから間もなく,1920年7月1日号の「ものみの塔」誌は,「王国のこの良いたより」を宣べ伝えることに関するマタイ 24章14節が,1914年の王国の誕生以降特に適用されるとの説明を載せました。その六か月後,1921年1月1日号の「ものみの塔」誌は,第二記事の中で,啓示 13章14,15節の不可思議な「野獣の像」が,当時存在していた,世界の平和と安全のための国際連盟を象徴していることを明らかにしました。連盟は現在,国際連合に受け継がれています。

      51 「千二百六十日」間の霊的な養育計画の中で,どんな手段が重大な役割を演じましたか。

      51 1921年の終わり近い10月,「神のたて琴」(英文)と題する,聖書研究を助ける新しい本が出版され,同年12月1日,注文者への発送が開始されました。「聖書研究」第七巻の摘要を目的としたこの384ページの本は,最終的には,22か国語で581万9,037冊配布されました。必要な霊的食物を供給する手段となるこの本や他の出版物が,引き続き発行され,配布されました。

      52 霊的に特別な意味で築き上げることを目的とした三「時」半は,いつ最高潮に達しましたか。

      52 やがて,三「時」半つまり1,260日の終わりごろ,壮大な最高潮が訪れました。それは,1922年9月5-13日の間,国際聖書研究者協会がオハイオ州シーダーポイントで開いた,第二回国際大会という形で訪れました。(1922年11月1日号の「ものみの塔」誌は,エホバの油そそがれた残りの者によるこの際立った大会の報告に全部の紙面を割いています。)それから間もなく,すなわち1922年9月22日に,その年のユダヤ太陰年は終わりました。次いで,ティシュリ13日,1922年の10月4/5日が来ました。それは,同年におけるユダヤの「仮庵の祭り」の少し前に当たり,荒野の状態にある神の「女」を特別に養う期間の終わりを表示するものでした。この時までには,地上にいる彼女の胤の油そそがれた残りの者は十分に養われており,前途の神の業のために霊的に強められていました。そのわずか26日後(1922年10月31日),彼らは,シーダーポイント大会における「挑戦」と題する決議を,全世界で4,500万部配布する業を開始しました。

      「女」を飲み込もうとする試み

      53 「龍」が「女」に向かって吐き出したものは,「かえるのように見える三つの汚れた霊感の表現」の宣伝ではありません。なぜですか。

      53 1922年9月,オハイオ州シーダーポイントの第二回国際大会開催と共に,一連の「七つのラッパ」が吹かれ始めました。(啓示 8:1-7)それは,龍が,卑しめられたことに対して怒り,行動を起こす時でもありました。1914年に彼女の「男の子」を飲み込むことができなかったと同じく,神の「女」を飲み込むことのできなかった大いなる龍は,「女」の後ろに何物かを吐き出しました。それは,「かえるのように見える三つの汚れた霊感の表現」の一つによって表わされる,龍の悪魔的宣伝のようなものではありませんでした。そのような宣伝は,「人の住む全地の王たち」を,ハルマゲドンにおける「全能者なる神の大いなる日の戦争に」集めるのに龍が使うものです。(啓示 16:13-16)しかし千二百六十日(三「時」半)の後に龍が吐き出したものは,まだ地上にいる「女」の胤の残りの者,今や十分に養われたその残りの者を除き去るための何かでした。龍はこの試みに成功したでしょうか。

      54,55 「女」を「おぼれさせるため」に,「龍」が吐き出した象徴的な「川のような水」について説明しなさい。

      54 使徒ヨハネはその点に関して見た幻を次のように告げています。「それから,へびは口から川のような水を女の後ろに吐き出した。彼女をその川によっておぼれさせるためである。しかし地が女の救助にまわり,地は口を開いて,龍が自分の口から吐き出した川をのみ込んだ」― 啓示 12:15,16。

      55 象徴的なへび,つまり龍は,地上でその胤の油そそがれた残りの者によって代表される神の「女」に対し,いわば“人類の海”とも言うべきものによる攻撃を試みました。へびなる龍が吐き出した「川のような水」は,「大水のなりひゞくが如く」自分の主義・主張のために騒ぎ立つ人類,あるいは男女の集団から成っていました。(イザヤ 17:12,13)殺害による死とシェオールつまり墓が待ち受けているとの威嚇をもって,「女」の胤の油そそがれた残りの者たちを恐怖に陥れようとする,「悪のみなぎる流」があったのです。(詩篇 18:4,5,16,17)その結果,油そそがれた残りの者は,狂信的なファシスト党員,共産主義者,ナチス党員,カトリック信徒会,また,ファシズムおよびナチズムによる神聖ローマ帝国再建を切望する宗教家たちの象徴的な水により,脅威にさらされました。同じく,軍国主義や国家主義的愛国者,また攻撃的な帝国主義者の「水」によってもです。そうした「水」は,「川」のようになりました。

      56,57 象徴的な水が地の色々な場所で発生した様子を説明しなさい。

      56 1922年10月,ペニート・ムソリーニは黒シャツ隊を率いてローマに進軍し,二十年以上も存続したファシスト政府をイタリアに樹立しました。同年,教皇の支配権を促進させるため,教皇ピオ十一世によりカトリック信徒運動が組織されました。

      57 1924年1月21日,共産国ロシアのレーニンが死ぬと,スターリンによる残忍な独裁制と共産主義による侵略が表面化してきました。1931年,日本の帝国主義者たちは,アジア本土の多くを手中に収めようと侵略を開始しました。1933年,アドルフ・ヒトラーはドイツで政権を握り,間もなくナチスの世界制覇に対する恐れが人類に脅威を与えました。1936年,スペインの共和制に敵対する国家主義“運動”が起こり,カウディーヨつまり“元首”による全体主義的独裁政権が誕生しました。隣国ポルトガルでは,それより前の1934年に独裁政権の確立を見ました。アメリカ合衆国には平時徴兵制が採用され,狂信的な愛国者たちが広範な影響力を持つようになりました。こうして象徴的な「水」は,神のメシアによる王国,つまり「男の子」を生み出した神の「女」を「おぼれさせ」ようという一つの主要な目的をもって,へびなる龍の口から波状を成して注ぎ出たのです。

      58 (イ)それらの「水」は,悪魔が地に投げ落とされたために生じた「災い」の一部でした。なぜですか。(ロ)それらの「水」に対し,多くの人はどんな反応を示しましたか。

      58 それら野心的で暴力を好む人たちの波が,神のメシアによる王国を支持するものでなかったことは言うまでもありません。その源は,神の主要な敵つまり,象徴的なへびなる龍,悪魔サタン以外の何ものでもありません。ですから,それら人間から成る「水」は,天から放逐され,この地球の近辺に下ってきた悪魔が,少しの時間しか残されていないのを知り,非常に怒っているがゆえにもたらされる,「災い」の一部だったのです。地上の国民の多くはそれら象徴的な「水」が災いであることに気づき,それに抵抗しました。当然予期されることですが,それは第二次世界大戦を到来させました。その結果,神の「女」をおぼれさせるため全地を「水」で覆おうとしたへびなる龍の努力は,失敗に帰しました。使徒ヨハネが叙述的象徴の下に前もって見たのは,実はそのことだったのです。すなわち,「地が女の救助にまわり,地は口を開いて,龍が自分の口から吐き出した川をのみ込んだ」― 啓示 12:16。

      59 「地」はどのように神の「女」の救助にまわりましたか。「地」および「地」の取った行動の目的は何でしたか。

      59 「地」は,自分の権利と自由,立憲的また伝統的統治形態,自分のはぐくみ育てた文化を保存しようとする,人類社会のより安定した民主的,保守的な部分を象徴していました。言うまでもなく,この地は神の「女」を助けることに直接関心があったわけではありません。それは,「地」が彼女の「男の子」つまり,神のメシアによる王国を支持しなかったのと変わりありません。「地」は抵抗を試みました。そしてそれは,自分の地的関心事を保護するため,「水」の突進に逆らう結果となりました。「地」のこの行動は実際には,全体主義的また官憲主義的な「北の王」と民主主義的な「南の王」との間に,熱い戦争および冷たい戦争を生じさせました。「終わりの時」におけるこの両者の動きは,ダニエル書 11章27節から12章4節に予告されています。いずれにせよ,安定した「地」が講じた手段の多く,そして攻撃的な「水」の敗北は,神の「女」を益することになり,こうして「地」は,「女」がおぼれないようその救助にまわったのです。

      60 「女」を「おぼれさせ」ようとした「龍」の努力が屈辱的な失敗に終わったことを示しなさい。

      60 まだ地上にいた「女」の胤の油そそがれた残りの者たちは,以前よりも強くなって第二次世界大戦から出て来ました。これは,へびなる龍を悔しがらせました。彼らはどのように強くなりましたか。それは,第二次世界大戦の終結した1945年,神のメシアによる王国の地的臣民である,幾万人もの「大群衆」が彼らに加わったことによります。これらの者たちは特に西暦1935年以降,迫害を経験しなければならないにもかかわらず,油そそがれた残りの者たちと行動を共にしてきました。「エホバの証人の1946年の年鑑」(英文,218ページ)は,世界が分裂状態にあるにもかかわらず,次のように報告することができました。「報告の示すところによると,1945年のある月には14万1,606人の伝道者が野外奉仕に携わりました。これと比較して,全奉仕年度の月平均は12万7,478人でした」。戦前の1938年には,そのような王国伝道者は4万7,143人しかいませんでした。ですから「龍」は,聖なる天から永久に追放されたことに加え,この点においてもざ折させられたのです。こうしたことすべては,へびなる龍である悪魔サタンと悪霊の使いたちに,どんな影響を与えましたか。ヨハネはこう述べています。

      61,62 (イ)悪魔は大敗を喫した後,次に何をしましたか。なぜですか。(ロ)今日,主に何が,地上にいる「彼女の胤のうちの残っている者たち」を顕著な存在としていますか。神のおきてと政治支配者のそれとが相いれない場合,彼らはどんな立場を取りますか。

      61 「それで龍は女に向かって憤り,彼女の胤のうちの残っている者たち,すなわち,神のおきてを守り,イエスについての証しの業を持つ者たちと戦うために出て行った」― 啓示 12:17,新。新英。

      62 神の「女」を滅ぼすことができなかった,龍のような悪魔サタンは,実際には「女」に属する油そそがれた残りの者に腹いせをすることにより,彼女に対し高まる憤りをぶちまけることができます。というのは,彼らは,まだ地上にいる,「彼女の胤のうちの残っている者たち」であったからです。真のクリスチャンはだれも,次の重要な事実を見落としてはなりません。すなわち,今日,悪魔サタンの主要な対象となっているのは,地上で神の「女」を代表するこの油そそがれた残りの者たちである,ということです。彼らが顕著な存在であるのは,エホバのクリスチャン証人という名で通っているからだけでなく,特に,この「終わりの時」に,クリスチャンに対する『神のおきてを守っている』からです。「神のおきて」と政治的な「上にある権威」によるおきてとが相いれない場合でさえ,彼らは,西暦一世紀,エルサレムの最高法廷の前に出された,イエス・キリストの使徒たちと同じ立場を取ります。「わたしたちは,自分たちの支配者として人間より神に従わねばなりません」― 使徒 5:27-32。

      63 他のどんな重要な点に関しても,油そそがれた残りの者は顕著な存在となっていますか。

      63 油そそがれた残りの者は,「イエスについての証しの業」を持つという,神から与えられた特権によっても顕著な存在となっています。彼らは宗教的な迫害が厳しさを増して行くにもかかわらず,イエスについて,特に,1914年の異邦人の時の終わり以来,神のメシアなる王として支配しておられる,その「イエスについての証しの業」を推し進めています。

      64 サタンと悪霊たちが負け戦をしていることを示すどんな証拠がありますか。

      64 龍のような悪魔サタンと悪霊たちは,神の「女」の胤のうちの油そそがれた「残っている者たち」に対し,負け戦をしているのです。彼らは龍の世からどんな圧力を受けようとも,「神のおきて」を守り,「イエスについての証しの業」を拡大することをやめません。戦いをいどむ龍が引き続き敗北を被っていることを示す別の証拠は,油そそがれた残りの者と共に,神および統治しておられるキリストの側に立場を取る「大群衆」が,増加の一途をたどっているという注目すべき事実です。(啓示 7:9-17)1969年初期の野外奉仕報告によると,「イエスについての証しの業」に毎月定期的に参加し,活発な奉仕をしていた人は,200の国や島国に122万9,016人を数えました。その人たちの中には,1968奉仕年度中に水のバプテスマを受けた,8万2,842名の人びとが含まれています。

      65 エホバの証人および「龍」と悪霊たちの将来はどうなりますか。

      65 エホバ神が,地上にいるご自分の献身したしもべを祝福し,保護しておられることは極めて明白です。ですから,怒ったへびなる龍は,望むなら,油そそがれた残りの者と,献身した彼らの仲間の証人である増えゆく「大群衆」に対し,引き続き戦いをいどめばよいでしょう。龍は,彼らがハルマゲドンにおける「全能者なる神の大いなる日の戦争」で滅ぼされるのを見る代わりに,その者たちが生き残るのを見るのです。その後,つまりハルマゲドン後に,大いなる龍と悪霊が底知れぬ深みに投げ込まれるのを見るのは,実にそれら生き残った者たちにほかなりません。―啓示 20:1-3。

  • 「神の秘義」に対する地上の敵
    『その時,神の秘義は終了する』
    • 第22章

      「神の秘義」に対する地上の敵

      1,2 (イ)「神の秘義」がエデンの園で紹介されて以来,悪魔サタンはどんな立場を取って来ましたか。(ロ)それは,「神の秘義」が終了し,他の者たちに明らかにされるのを阻止しようとした支配分子をどこに置きますか。(ハ)ヨハネは幻の中で次に何を見ましたか。

      悪魔サタンは,「神の秘義」つまり,栄光を受けたイエス・キリストの管理する,神のメシアによる王国に対する大敵です。エデンの園で神の預言的な通告が彼に与えられ,それが創世記 3章15節に記録されて以来,「初めからのへび」は,この「神の秘義」が終了し,天と地のすべての者の注視する前で完全に明らかにされるのを阻止しようと試みてきました。そうであれば,この「神の秘義」の敵である地上の支配分子たちが,象徴的な「大いなる龍」,「初めからのへび」の側に付いていることに議論の余地はありません。彼らが,メシアに関する秘義の神からではなく,悪魔サタンから出ていることは間違いありません。使徒ヨハネは,「大いなる龍」

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