-
争いで分裂したこの世界のどこに一致を見いだせますかものみの塔 1984 | 6月15日
-
-
争いで分裂したこの世界のどこに一致を見いだせますか
「わたしは彼らを,囲いの中の羊の群れのように……一つにならせる」― ミカ 2:12。
1,2 人類を一致させる点でわたしたちは,世の指導者たちを当てにできないのはなぜですか。
幾千年もの間,人類は悲惨なまでに分裂してきました。政治的,経済的,社会的相違のために人類は,争い合い戦い合う派に分かたれてきたのです。現代の20世紀にはこの点に関する最悪の結果が見られます。例えば,第二次世界大戦だけでも推定5,500万の人命が奪われ,広島と長崎が原爆で破壊されるに及んで事態は極点に達しました。
2 ここ数十年の間に新たに幾十もの紛争が生じ,さらに幾百万もの人命が奪われてきました。今,対立し合う政治体制が保有する核兵器は,地上の生命の存在そのものを脅かしています。その上,英国のガーディアン紙の述べるとおり,戦争の準備が,大小さまざまな国家により,「物質面でも精神面でも強力に推し進められている」のです。ですから確かに,人類を一致させる点で世界の指導者たちを当てにするわけにはゆきません。
世の宗教の記録
3,4 世の宗教に人々を一致させる力があるかどうかについて,歴史は何を告げていますか。
3 それでは,人々を一つに結び合わせる点でこの世の諸宗教を当てにしますか。世の諸宗教の記録は多少なりとも強い信頼の気持ちを起こさせるようなものですか。歴史は否と答えます。シカゴ・トリビューン紙の社説はこう述べました。「主要な宗教はみな平和や兄弟関係や憐れみを説くが,歴史上最も残忍で最も偏狭な抑圧の幾つかが神の名によって行なわれてきた」。新聞の編集を担当しているC・L・サルズバーガーも同様の点を次のように述べました。「取り上げるのは不愉快なことかもしれないが,他の理由 ― 帝国主義・人種的優越感・軍国主義 ― に加えて,宗教が人間の生活に絶えずより重大な脅威をもたらすものとして発展してきたことを認識すべきではあるまいか」。
4 そうです,歴史は宗教によって引き起こされた争い,あるいは宗教が是認した争いによる血で汚れています。まさに今世紀にもわたしたちは,国家主義を推し進めて行なった世界大戦や他の戦争に際して,カトリック教徒がカトリック教徒を,プロテスタント信者がプロテスタント信者を,回教徒が回教徒を,ユダヤ教徒がユダヤ教徒を殺すという,神を辱める行為を目撃しました。確かに歴史の諸事実は,世の宗教が人類を一致させる勢力になるどころか,分裂を深刻化させる原因となってきたことをはっきりと示しています。
5 この世の分裂した諸宗教はどこに源を発していますか。
5 この世の諸宗教の混乱し,分裂した状態は,そのような宗教が神の後ろ盾を得ていないことを明確に示しています。このことは,宗教はすべて神を代表していると唱えているのだから良いものに違いないと考えている人々にとって驚くべき事柄かもしれません。しかし,神ご自身の霊感によるみ言葉ははっきりと,『神は無秩序の神ではなく,平和の神です』と述べています。(コリント第一 14:33)「敵意,闘争……口論,分裂,分派」を生じさせているのは,神の活動力である聖霊ではなく,汚れた霊つまり動機づけとなる力です。(ガラテア 5:19,20)ヤコブ 3章14,15節はこの悪い霊と結びついた知恵を,「この事物の体制の神」である悪魔サタンから出ている「悪霊的なもの」としています。―コリント第二 4:4。
分裂した家
6 この世には,イエスが示されたどんた原則が当てはまりますか。
6 人類の分裂した状態を考えると,「内部で分裂している王国はすべて荒廃に帰し,また内部で分裂している都市や家はすべて立ち行かないでしょう」というイエスの言葉が思い出されます。(マタイ 12:25)そのような理由で,この分裂した世界は必ず倒壊します。実際,諸国の人々でさえ,「団結すれば栄え,分裂すれば倒れる」ということわざに同意します。
7 大惨事を回避するために,ある人々はどんな必要があるとみていますか。
7 いたましい倒壊を避けようとして,一部の著名な人々は人間の考え方の思い切った変化が必要であると唱えています。核科学者,ハロルド・ユーリーは,「地上の全域に適用される法律を制定し得る世界政府を最終的に建てない限り,世界の諸問題に対する建設的な解決策は存在しない」と述べました。同様に,アルバート・アインシュタインも,「世界法を持つ一つの体制のもとにすべての人を一緒にする以外に,原子力時代の諸国家間の平和を維持する道はあり得ないと主張して」います。アインシュタインは,「我々は国家的境界という恐るべき障害を克服しなければならない」と勧めました。そうです,多くの人は世界政府が必要であることを認めています。
8 この分裂した世は倒壊を免れることができますか。
8 しかし,この世の諸国家が自国の主権を譲り渡すなどということは考えられるでしょうか。譲り渡すとしても,だれにでしょうか。国際連合機構に譲り渡すことは決してありません。諸国家は多くの場合,国連の決定に服するよりは,戦争を始めます。そのようなわけで,政治・商業・社会・宗教の諸体制が分裂しているこの世は,倒壊へと向かっています。―ゼパニヤ 3:8。ヨハネ第一 2:15-17。
真に一致している人々
9 人類が一つに結ばれることについてどれほどの見込みがありますか。
9 それでは,このことは世界の一致が不可能だということを意味するのですか。決してそうではありません! それどころか,世界の一致は単に可能というだけではなく,必ず実現します。事実,世界の一致の基礎は既に据えられているのです! アインシュタインが語ったことを行なっている,つまり『国家主義の障害を克服している』人々が既にいるのです。真に一致している人々が世界中に既に存在しているのです。あらゆる国々の中にいる幾百万もの人々が第一に忠誠を示す優れた世界政府が既に存在しているのです。
10 真の政府はどんな特色を備えていなければなりませんか。
10 そのような見方はこじつけだ,と考える人は多いことでしょう。そのような人々は,『その話は現実の法律と現実の国民を持つ現実の政府に関することなのですか。そのすべてがどこで起きていると言うのですか。だれが関係しているのですか』と尋ねるかもしれません。では,政府は何によって構成されていますか。幾つかあります。(1)政府には現実の生きた指導者たちがいなければなりません。(2)政府が統治を行なう場も現実のものでなければなりません。(3)その国家には秩序を維持する現実の法律がなければなりません。(4)現実の臣民,つまり人々がいなければなりません。例えば,アメリカ合衆国には,ワシントン特別区を自らの統治の座とする最高行政官(大統領)がいます。法律を制定する立法府(議会)があります。国の法律を施行する司法府(裁判所)があります。そして,臣民である2億3,000万余りの人々がいます。このすべては現実の事柄ではないと主張するような人がだれかいるでしょうか。
11 世俗の新聞も,真に一致した民が確かに存在することをどのように認めましたか。
11 それと同様に現実的なのは,今日,真に一致した人々が存在することです! どこにいるのですか。それらの人々はどの政府に仕えていますか。それらの人々が全く一致しているとどうして言えますか。ブラジルの新聞,オ・テンポ紙はこの特異な人々に注目してこう書きました。「地球上のあらゆる場所にそれぞれ布教を行なう際立った宗教があるが,今日,地上にはエホバの証人の神権組織に見られるのと同じ愛や一致を示す宗教団体はただの一つも存在しない」。
12 ベルギーの一新聞が表明したどんな見解は,エホバの証人が現実のものと認める事柄と一致しますか。
12 ベルギーのラ・ヌベル・ガゼット紙は,「25年間核戦争を回避するために米専門家の見いだした唯一の解決法は,エホバの証人の方法!」と題する見出しを掲げました。その記事は,「人間が生活様式を徹底的に改めて……世界政府を支持すること」が唯一の解決策だと述べました。この見解は「エホバの証人の支持している提案」と全く同じものだ,と同紙は結論づけました。それは一体どんな「提案」ですか。それはイエスがご自分の教えの中心的な主題とされたものです。すなわち,全地のための神の新しい政府,つまりキリストを支配者とする神の天の王国です。その政府こそ,人類の分裂した状況を含め,そのあらゆる病弊を矯正する神の解決策,唯一の解決策です。イエスは「あなたのみ国が来ますように。あなたのみ旨が,天でなされているように,地上でもなされますように」と述べて,その政府を祈り求めるよう人々に教えられました。(マタイ 6:10,カトリックのエルサレム聖書)そして,この同じ翻訳聖書によるダニエル 2章44節の訳し方によれば,神のその政府は間もなく,「以前のすべての王国を……粉砕して,それ自体は永久に存続する」のです。
真の愛と一致を実証する
13 人々を一つに結ぶ世界政府に関して,1914年以来何が生じてきましたか。
13 聖書の預言を成就している種々の世界的な出来事は,神の天の政府が既に1914年に天で支配を開始したことを示しています。その時に神は,試験済みの王イエス・キリストを支配者として就任させました。(マタイ 24:3-14。テモテ第二 3:1-5。啓示 12:10)その政府には優れた法律と原則があり,あらゆる文書の中で最も神聖な文書である神の霊感によるみ言葉,聖書に記録されています。(テモテ第二 3:16,17)そして1914年以来,りっぱな羊飼いであるイエス・キリストは,神の新秩序の市民を集めてこられました。したがって,まさに今その新しい地的社会の基礎が据えられつつあるのです。そうです,このすべては非常に現実的なことなのです。それは単なる夢ではありません。―マタイ 25:31-46。ヨハネ 10:14-16。ペテロ第二 3:13。
14 エホバの証人は,分裂をもたらすどんな要素を克服してきましたか。
14 あらゆる国のエホバの証人は新秩序の市民として第一に神の天の王国政府に忠誠を示します。ですから,エホバの証人たちは,『わたしがあなた方を愛したとおりに互いを愛しなさい』というイエスのご命令を読む際,それを本当にその言葉の述べる通りの意味に解して,世界的な規模でその通りに行ないます。(ヨハネ 15:12)その結果,エホバの証人は人を束縛する狭量な国家主義を本当に打破しました。彼らは,人々の人種,部族あるいは国籍にかかわりなく全人類に対する真の愛を実証することができるのです。
15,16 国家主義が克服されていることを,他の人々はどのように認めてきましたか。
15 この点に関してですが,カトリック教会の一修道女はイタリアの教会の雑誌「アンダレ・アレ・ジェンティ」の中でエホバの証人について次のように書きました。「証人たちはいかなる暴力も拒否し,自分たちの信仰のゆえに課される多くの試練を甘んじて受ける点で称賛に値する。……もしも私たちのすべてがある朝,エホバの証人と全く同様に,どんな犠牲を払ってでも,あるいはどんな理由があっても,二度と武器を取らないという堅い決意を抱いて目を覚ましたなら,世界はどんなにか違った所となることだろう!」
16 イタリアの新聞,イル・コリエレ・ディ・トリエステ紙はこう述べました。「エホバの証人の確固たる一貫した態度は称賛に値する。他の諸宗教とは対照的に,一つの民として一致を保つことにより,紛争当事者のそれぞれの側に祝福が臨むよう同じキリストの名によって同じ神に祈るといったことや,政治と宗教を融合させて国家や政党の指導者たちの関心事に仕えるといったことから守られている」。
17 ヨハネ第一 3章10-12節とヨハネ 13章35節は,神の子供とサタンの子供をどのように区別していますか。
17 このことがヨハネ第一 3章10節から12節とどのように調和しているかに注意してみてください。こう記されています。「神の子供と悪魔の子供はこのことから明白です。すなわち,すべて義を行ないつづけない者は神から出ていません。自分の兄弟を愛さない者もそうです。互いに愛し合うこと,これが,あなた方が初めから聞いている音信なのです。カインのようであってはなりません。彼は邪悪な者から出て,自分の兄弟を打ち殺しました」。神の子供は仲間である兄弟を打ち殺すことはしません。そうするのはサタンの子供です。―ヨハネ 13:35。
18 以前は分裂していた人々もエホバの証人になると,どんなことが生じますか。
18 ですから,イスラエルやレバノンでアラブ人,ユダヤ人,およびクリスチャンと称する人々がエホバの証人になると,それらの人たちは愛と一致の破れることのないきずなで結ばれます。北アイルランドではかつてのカトリック教徒とプロテスタント信者がそのように結ばれ,アメリカでは黒人と白人が同様に結ばれます。以前互いに憎み合ったり,戦い合ったりしたアフリカのさまざまな部族の成員もそのように結ばれます。英国のニュー・ソサエティー誌は,「エホバの証人は自分たちの新会員の間の部族差別を撤廃する速さの点で,恐らく他のどんな団体よりも成功を収めていると言えよう」と述べました。
一致の源
19 どんな二つの重要な点において,エホバの証人は際立っていますか。
19 エホバの証人はなぜそのような愛と一致を表わすことができるのでしょうか。それは証人たちの受けた世俗の教育,名声,富や賢さのためですか。そうではありません。彼らはごく普通の人々です。しかし,証人たちは二つの重要な点において際立った人々です。第一に,エホバの証人は聖書全巻を,霊感によって記された神のみ言葉として受け入れ,それにしたがって生活するために最善を尽くします。使徒パウロが述べた通りです。『神の言葉を受けた時,あなた方はそれを,人間の言葉としてではなく,事実どおり神の言葉として受け入れました。それはまたあなた方信じる者の中で働いています』。(テサロニケ第一 2:13)第二にエホバの証人は,「わたしたちは,自分たちの支配者として人間より神に従わねばなりません」と支配者たちに語った,イエスの使徒たちと同様の立場を取ります。―使徒 5:29。
20 エホバの証人の一致の真の源は何ですか。
20 聖書全巻を神の言葉として受け入れ,そのみ言葉に従って生き,あらゆる点で自分たちの支配者として神に従う人々には何が起きますか。使徒 5章32節によれば,神は「支配者としてのご自分に従う者たちに」ご自分の強力な聖霊,つまり活動力をお与えになります。これこそエホバの証人が他の人々にとって不可能な世界的な一致を成し遂げ,その一致を保つことを可能にしている力の源なのです。
21,22 (イ)では,イザヤ 2章2-4節の預言を成就しているのはだれですか。(ロ)エホバの証人は今どの預言の成就を経験していますか。
21 それでは,こうした証拠を考慮してみると,イザヤ 2章2節から4節の預言を成就しているのはだれでしょうか。わたしたちの生きている時代について述べているその預言は,エホバの真の崇拝が王国の支配のもとで確立されることと,多くの人が,「来なさい。エホバの山に……上ろう。神はご自分の道についてわたしたちに教え諭してくださる。わたしたちはその道筋を歩もう」と言うようになることを示しています。その預言はまた,「神は諸国民の中で必ず裁きを行ない,多くの民に関して事を正される。そして,彼らはその剣をすきの刃に,その槍を刈り込みばさみに打ち変えなければならなくなる。国民は国民に向かって剣を上げず,彼らはもはや戦いを学ばない」とも述べています。
22 では,神とそのみ言葉によって自分たちの中で『事が正される』ようにしてきたのはだれですか。『戦いをもはや学ばない』ようにという神のご命令にだれが実際に答え応じてきましたか。現代において,隣人を殺すよりもむしろ刑務所や強制収容所に入って合計幾千年にも上る時間を過ごしてきたのはだれですか。神の霊感によるみ言葉としての聖書に敬意を示し,支配者として神に従っているのはだれですか。争いで分裂したこの世では類例のない国際的な兄弟関係を実証しているのはだれですか。エホバの証人ですと答える以外にありません。そして今,幾百万を数える「ほかの羊」が,油そそがれた「小さな群れ」の残りの者たちの友として集められています。(ヨハネ 10:16。ルカ 12:32)これらの人々も,ホセアの時代に与えられた預言の成就から益を得ています。その預言は,エホバの僕たちが皆,王国の力を持つ一人の頭であるイエス・キリストのもとで『必ず集められて一つになる』ことを予告していました。(ホセア 1:11)彼らはまた,自分たちの一致のうちに,『わたしたちが一つであるように[ご自分の追随者たちも]一つになるように』と神に祈られた時のイエスのことばの成就を見ています。(ヨハネ 17:20-22)このようにして神は,「わたしは彼らを,囲いの中の羊の群れのように……一つにならせる」というずっと昔のご自分の約束を彼らに対して守ってこられたのです。―ミカ 2:12。
-
-
地に満ちる,神の一致した「強大な国民」ものみの塔 1984 | 6月15日
-
-
地に満ちる,神の一致した「強大な国民」
「小さな者が千となり,小なる者が強大な国民となる。わたし自ら,エホバが,その時に速やかにそれを行なう」― イザヤ 60:22。
1,2 (イ)世界の一致と秩序に何が生じていますか。(ロ)堕落した世のただ中にあって,エホバの僕たちには何が生じていますか。
見識のある人は,この世がますます不一致と無秩序の度を深めていることに同意します。ニューヨーク・タイムズ紙の一論説はこう言明しました。「政治的な暴力行為はかつてなかったほどに全世界に広まっている。……暴力行為があまりにも多いため,記録をとることに困難を来たすほどだ」。そして,「もはやだれも世界を管理しておらず,だれも秩序らしきものを保っていないというのが現状である」とも述べました。しかし,このような崩壊は,神の言葉がこの時代についてまさに予告していたことです。―テモテ第二 3:1-5,13。マタイ 24:3-13。
2 エホバの一致した僕たちにとって,無秩序が広がっていることは,一つの古い事物の体制の終わりが近づき,新しい事物の体制が姿を現わしつつあることの確かなしるしです。(ルカ 21:28)しかし,次第に多くの人が,堕落した神である悪魔サタンに倣うようになっている世のただ中にあって,エホバはご自分の民を清め,彼らを輝かしい新秩序へと導いておられます。エホバは彼らをご自分の清い崇拝に集めておられますが,その崇拝は他のすべての形態の崇拝よりも高く,山の上にあるかのように高められてきました。まことの神のこの一致した崇拝に心を向ける人々は,そのとき他の人々にこう言います。「来なさい。エホバの山に,ヤコブの神の家に上ろう。神はご自分の道についてわたしたちに教え諭してくださる。わたしたちはその道筋を歩もう」。(イザヤ 2:2,3)この一致した崇拝に連れて来られる人々は,『義の宿る新しい天と新しい地』を熱心に待ち望みます。―ペテロ第二 3:13。
「羊」を「やぎ」から分ける
3,4 (イ)1914年以来どんな出来事が生じてきましたか。(ロ)人々は生き残るためにどのように分けられていますか。
3 聖書預言に関する神の時間表によると,「新しい天」(キリストの支配による,天の神の王国)は,あの決定的な年である1914年に設立されました。その時以来,「新しい天」の14万4,000人から成る共同支配者たちを選択することは総体的に言って完了しました。(啓示 14:1-4)エホバは今,その王国の地上の臣民となる人々を呼び集めておられます。彼らは『大患難から出て来て』その生存者となり,王国の指導のもとで義の新秩序を建て始めます。―啓示 7:9,14。マタイ 24:21。
4 イエスは次のような言葉でこの集める業を予告されました。「人の子[キリスト]がその栄光のうちに[天の王国の力を持って]到来し,またすべてのみ使いが彼と共に到来すると,そのとき彼は自分の栄光の座に座ります。そして,すべての国の民が彼の前に集められ,彼は,羊飼いが羊をやぎから分けるように,人をひとりひとり分けます。そして彼は羊を自分の右に,やぎを自分の左に置くでしょう」。どんな結果になりますか。イエスはこう言われました。「それから王は自分の右にいる者たち[羊のような人々]にこう言います。『さあ,わたしの父に祝福された者たちよ,世の基が置かれて以来あなた方のために備えられている王国を受け継ぎなさい』……ついで彼は自分の左にいる者たち[やぎのような者たち]にこう言います。『のろわれた者たちよ,わたしから離れ,悪魔とその使いたちのために備えられた永遠の火[とこしえの滅び]に入りなさい』……そして,これらの者は去って永遠の切断に入り,義なる者たちは永遠の命に入ります」― マタイ 25:31-46。
5 エホバの憐れみは今どのように示されていますか。
5 それでもエホバは憐れみ深く,愛に富む神であられます。「ひとりも滅ぼされることなく,すべての者が悔い改めに至ることを望まれるので,あなた方に対して辛抱しておられるのです」。(ペテロ第二 3:9)したがって,この分裂した戦い合う世に神がその最後をもたらす前に,義の新秩序におけるとこしえの命の希望に関する音信を神の僕たちが伝えることは神のご意志です。したがって,神のみ子はこう言明されました。「そして,王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう。それから終わりが来るのです」― マタイ 24:14。
6 エホバは王国を宣べ伝える業においてだれを用いておられますか。
6 終わりが到来する前に王国を宣べ伝えるこの仕事を行なうのはだれでしょうか。明らかに,神に仕えることを望まない人々をエホバは用いられません。王国を宣べ伝える業に神がお用いになる人々は,喜んで神に従う人々です。「わたしは彼らを,囲いの中の羊の群れのように……一つにならせる」という預言は,霊的イスラエルの残りの者の上に成就してきました。(ミカ 2:12)今,「ほかの羊」は彼らと共にその一致にあずかっています。(ヨハネ 10:16)これらの人々はすべて,国際的に一致したエホバの証人です。その中には,老人も若者も,男性も女性も含まれています。霊感による詩編は,「あなた方はヤハを賛美せよ!……若者たちよ,また,処女たちよ。年老いた者たちも少年たちも。彼らがエホバのみ名を賛美するように」,「良いたよりを告げる女は大群をなしている」と述べているからです。―詩編 68:11; 148:1,12,13。
一致のうちに宣べ伝える
7 (イ)エホバの証人はどんな一致を得ていますか(ロ)この一致が保たれることをなぜ確信できますか。
7 エホバ,イエス・キリスト,そして聖なるみ使いたちは,王国伝道者たちの地的な組織が一致のうちに神の音信をふれ告げるように物事を運んでいます。(マタイ 28:19,20。ヨハネ 14:26。啓示 14:6,7)それで,エホバの証人は神の霊感による言葉が述べる事柄を行ないます。彼らは,「ただ一つの思いと一つの目的を持って,完全に結ばれて」います。『彼らは同じ思いになり,口をそろえて,彼らの主イエス・キリストの神また父の栄光をたたえます』― コリント第一 1:10,今日の英語聖書。ローマ 15:6。
8 崇拝の一致を促進する面で重要なことは何ですか。
8 思い・目的・宣べ伝える業のこの一致を達成するため,エホバの証人は真理の神のみ言葉を定期的に研究します。これを個人的にも,毎年開かれる大会でも,さらに会衆の毎週の五つの集会でも行ないます。こうして彼らは,エホバの食卓から,一致をもたらす霊的な食物をいただくのです。(マタイ 24:45-47。ヘブライ 10:24,25)この聖書教育は彼らの一致した崇拝のかぎとみなされています。カトリック教徒の著述家,ウイリアム・ワーレンはU・S・カトリック誌の中でこう述べました。「[エホバの証人の]王国会館ではどこでも,カトリック教会のたいていの教区が丸一年かかって施している以上の成人教育を1か月で行なっている」。そうです,聖書教育は「一つの思い」,「一つの目的」を持つための,そして『口をそろえる』ためのかぎなのです。
9 エホバが王国の音信を宣べ伝えさせるために用いておられる人々をどのように見分けることができますか。
9 エホバがご自身の「王国の良いたより」を宣べ伝えさせるためにだれを用いておられるかについて何らかの疑念をお持ちであれば,こう自問してください。ある人が人々の家を訪ねてエホバとその王国について語るとしたら,その訪問者はだれですか。それがエホバの証人であることはよく知られています。他の宗教の人々はどれほど頻繁にエホバとその王国について話すためにお宅を訪問するでしょうか。このような人々は,どこかの場所で,こうした事柄についていったいどれほど頻繁に語るでしょうか。世の分裂した諸宗教の信者は,エホバとその王国については沈黙しています。そのような人々の中で,エホバがだれであるか,またその王国がこの地にとって何を意味するかを知っている人はほとんどいません。しかし,エホバとその王国は世界を揺るがすニュースです。ダニエル 2章44節が予告しているとおり,エホバの王国は間もなく『他のすべての政府を打ち砕いて終わらせ,それだけが永久に支配します』。
小さな始まりからの急速な成長
10 1914年以前,エホバの僕たちはどれほどの数でしたか。しかしわたしたちはそのとき成し遂げられた事柄をどのように見るべきですか。
10 現代における王国をふれ告げる業は小さな規模で始まりました。1870年代から重要な年1914年に至るまで,王国宣明者の数は少数でした。しかしこれらの忠実な人々は来たるべき事柄のための基礎を据えたのです。その始まりは小さなものでしたが,そのことは『小さな事の日を侮る』ことのないようにという聖書の言葉を思い起こさせます。(ゼカリヤ 4:10)エホバの僕たちにとって,1914年以前の時期は「小さな事の日」でしたが,間もなくより大きな事が到来しようとしていました。
11,12 (イ)1914年後の時期に聖霊が活動していたことを示すどんな証拠がありますか。(ロ)30年以上前に,王国の業に関するどのような意見が聞かれましたか。それについて今はどう言うことができますか。
11 1914年における第一次世界大戦の始まりと同時に,この古い事物の体制は「終わりの日」に入りました。(テモテ第二 3:1)王国の支配もまた1914年に始まりました。(啓示 12:10-12)その時キリストは,「羊」を「やぎ」から分け始める権威を与えられました。そのために神の聖霊は,ご自分の忠実な僕たちの上に強力に働き始めたのです。(使徒 2:16-21と比較してください。)王国宣明者たちの隊伍は,1918年の約4,000名から,30年たった1948年の26万人余りにまで増加しました。そのころ,宗教史の教授であるC・S・ブレイデンはこう書きました。「エホバの証人は地上をその証言活動で文字通り満たしてしまった。……確かに,王国の良いたよりを広めるためにエホバの証人ほど熱意や粘り強さを表わしている宗教団体は世界中に一つもないだろう」。
12 しかしこれは30年以上も前の話です。今日では,1948年当時の10倍を上回るほど多くの王国宣明者たちが世界中にいます。その当時,エホバの証人が,ブレイデンの述べたように,王国をふれ告げる業で「地を満たして」しまったとすれば,現在の王国の業の規模については何と言うことができますか。しかも,わたしたちはこのことを確信を持って言うことができます。つまり,それをはるかに超える事柄が間近い将来に生ずるのです。
13 イザヤ 60章22節がいま成就していることを示すどんな事態の進展が全世界で見られますか。
13 200以上の国々からの報告は,王国宣明者たちの隊伍の増加を示しています。それに呼応して,ものみの塔の支部の施設の新築や増築がこれまで行なわれてきましたし,現在も行なわれています。新しい機械が入り,スピードの速い新しい印刷方式が採用され,大規模なコンピューター化が行なわれました。加えて世界中の増加しつつあるベテル家族には進んで働く働き人たちがいます。この急速な拡大のすべては,遠い昔,神の忠実で忍耐強い僕たちに関してなされた,「小さな者が千となり,小なる者が強大な国民となる。わたし自ら,エホバが,その時に速やかにそれを行なう」という,心を強める約束がまさにわたしたちの目の前で成就していることを物語るものです。(イザヤ 60:22)エホバの証人が,エホバとその王国に関する世界史上最大の証言を行なうように霊的に備えられ,組織的に整えられていることに疑問の余地はありません。
14 エホバの僕たちが「強大な国民」となる道をかなり進んでいるとなぜ言えますか。
14 今日,良いたよりの奉仕者である熱心なクリスチャンは250万人以上います。彼らは全世界の4万6,000余りの会衆に見られます。エホバの証人がキリストの死を記念するため,1983年3月29日に集まった時,676万7,707名の人が共に集まり,こうして神の王国に対する関心を示しました。世界の国々のうち,約3分の2の国の人口はこの数を下回ります。エホバの一致した僕たちは,約45億人という世界人口全体と比べると比較的少数ですが,確かに「強大な国民」となる道をかなり進んでいます。―マタイ 7:13,14。
15 羊のような人々を集めることに関し,過去数年間に何が生じてきましたか。
15 最近,羊のような人々を集める業は速度を速めてきました。義に心を傾ける人々は,いま崇拝のためのエホバの組織に群れをなして集まっています。そうすることによって彼らは,ハガイ 2章7節の神の約束の胸の躍るような成就にあずかっているのです。エホバはその聖句の中で,「わたしはあらゆる国民を激動させる。あらゆる国民のうちの望ましいものが必ず入って来る。わたしはこの家を栄光で満たす」と述べておられます。これら望ましい,謙遜な人々は,エホバの僕たちに対して,「わたしたちはあなた方と共に行きます。神があなた方と共におられることを聞いたからです」と言います。―ゼカリヤ 8:23。
16,17 エホバは,この不敬虔な事物の体制に終わりをもたらす前,どのようにご自分の民を用いられますか。
16 エホバのこの拡大する見える組織は,神がその組織を別の強力な方法で用いる時を迎えようとしています。つまり,この体制に対する最終的な裁きの音信を伝えるということです。これは,1日に1回,六日の間エリコの周りをすでに行進していたイスラエル人たちに,「七日目にはその都市の周りを七回行進し,祭司たちは角笛を吹く。……あなた方がその角笛の音を聞く時に,民全員は大きなときの声を上げるように。そうすれば,その都市の城壁は必ず崩れ落ちる」と指示された時のことになぞらえることができるでしょう。したがって最終日には,業の速度は7倍に速められました。それから角笛が鳴らされ,人々はときの声を上げ,「城壁は崩れ落ちていった」のです。―ヨシュア 6:2-5,20。
17 今日,エホバのほうを向くよう人々に勧めるための真理の「軟らかい」水が取り入れられています。しかし,その音信が「硬く」なる時がやがてやって来ます。それは,このサタンの体制全体の切迫した終わりを告げ知らせるものとなるでしょう。真理の軟らかい水は凍って,真理の硬い雹となります。これらの最終的な裁きの音信はあまりにも強烈であるため,「それぞれの重さが一タラントほどもある」,つまり巨大なサイズの「大きな雹」になぞらえられています。そのわけで啓示 16章21節は,『その災厄は非常に大きかった』と述べています。
「強大な国民」が地に満ちる
18 (イ)神の王国はどれほど現実的なものですか。(ロ)ダニエル 2章35節は,その王国が最終的に行なうことについて何を示していますか。
18 エホバの証人が第一に忠誠を誓う神の王国は確かに現実の政府です。その政府には天の支配者としてキリストと14万4,000人の仲間たちがいます。現実的な法律があり,「憲法」すなわち神の言葉があります。この現実の政府にはまた現実の臣民がおり,彼らは増しゆく国民を構成し,その幾百万という人々は一つの民として結ばれています。さらに,聖書は,メシアによる王国が世の政府すべての存在を打ち砕いた後に,『全地に満ちる』と予告しています。(ダニエル 2:35)これはどのように生じますか。
19,20 エホバの僕たちは,完全な意味においてどのように「強大な国民」となりますか。
19 ハルマゲドンを生き残った人々は,イエスがルカ 23章43節で語られた楽園の建設に取り掛かります。(啓示 16:14,16)それからやがて,『義者と不義者との復活があります』。(使徒 24:15)王国の力を持つキリストの千年統治の期間中,すべての人々には,王国支配の側に立つ機会が与えられるでしょう。義の支配を望まない人々は取り除かれます。(啓示 20:6,11-15)したがって,千年間の終わりの時点では,地上に生きる人すべてがエホバの献身的な崇拝者となります。そのとき,「水が海を覆っているように,地は必ずエホバについての知識で満ちる」というイザヤ 11章9節の言葉が完全な意味で成就すると言えるでしょう。
20 それは何と栄光に輝く時なのでしょう! 会うすべての人が,「一つの思い」,「一つの目的」を持ち,「口をそろえて」語るエホバの崇拝者たちなのです。幾十億というこのような一致した崇拝者たちは人間としての完全さに引き上げられ,地上の楽園に満ちます。そのとき彼らは確かに「強大な国民」,かつて地上に存在した最も強大な国民となるのです。そうです,人類の一致は単なる夢ではありません。それはまさに今,かなりの程度進んでいます。あなたはその一部となっていますか。
復習のための質問
□ 世界の無秩序が深刻化する中で,エホバの民には何が生じていますか
□ 現在どんな大規模な分ける業が行なわれていますか
□ エホバの僕たちの一致が保たれることを確信できるのはなぜですか
□ エホバの見える組織はどのように「強大な国民」へと発展していますか。それはこれからどうなりますか
-