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聖書のハルマゲドンとはなにかものみの塔 1964 | 4月15日
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久しく荒ゐたるイスラエルの山々にいたらん是は国々より導きいだされて皆やすらかに住ふなり。汝その諸の軍隊およびおほくの民をひきゐて上り暴風のごとく至り雲のごとく地をおほはん」。―エゼキエル 38:8,9。
したがって,サタンの影響下にある世の政治支配者たちは,神のメシヤの国を攻撃することによって自分たちがそれを認めずそれに服しないことを示しえないため,彼らの触れうる御国の領域の唯一の部分,すなわち,場所,「地」,つまりこの地上にいる神の油そそがれた証者である霊的イスラエルという聖なる土地に向かってその怒りをぶちまけてくるでしょう。アベルの時以来エホバの証者は,人々や諸国家の憎しみの対象となっていますが,この攻撃は彼らがいままでに経験してきた迫害以上のものです。それは彼らを滅ぼすための最後の総攻撃です。この攻撃が行なわれる時,証者たちがみな,地球上のある特定の場所にいるということはありません。また「ハルマゲドン」という名称が地図にのることもありません。ハルマゲドンは,文字通りにメギドの近辺 ― 現在はイスラエル共和国の領土にはいっている ― を指すのではありません。それは最後の戦いの行なわれる場所を象徴的に指しています。地上にいるエホバのすべて証者の経験しうる範囲内においてです。
エゼキエルの預言が,神の悪らつな敵の滅亡をどのように描写しているかに注意してください。「我汝を……イスラエルの山々にいたらしめ……汝と汝の諸の軍勢および汝とともなる民はイスラエルの山々にたふれん。われ汝をもろもろの類のあらき鳥と野の獣にあたへて食しむべし」。―エゼキエル 39:2-4。
この描写と使徒ヨハネの見たハルマゲドンのまぼろしとは驚くほど類似しています。「我また一人の御使の太陽のなかに立てるを見たり。大声に呼はりて,中空を飛ぶ凡ての鳥に言ふ『いざ神の大なる宴席に集ひきたりて,王たちの肉,将校の肉,強き者の肉……すべての自主および奴隷,小なるもの大なる者の肉を食へ』。……すべての鳥その肉を食ひて飽きたり」。―黙示 19:17-21。
戦いに加わるもの
死体となりはてて食肉鳥の餌じきになる者がだれであるかに気づきましたか。それは,「王たち」「将校」「強き者」「自主およびどれい,小なるもの大なる者」です。このことからわかるとおり,ハルマゲドンで滅びる者は,王たち,地の支配者たち,および彼らを支持する者だけです。
ですから地上に住む人のうち,「全能の神の大いなる日の戦闘」で滅びる者のうちに数えられたくない人は,注意しなければなりません。神の御国ではなく,人間の国に信頼をおくように教える宣伝に従うのは,「悪魔の霊感した表現に」導かれることを意味します。この世の事柄のために活躍するよう励ます人間の指導者のすすめに従って,世の一部となり,それによってこの世の友であることを示す人は,実際にはキリストを遠ざけて神の敵となります。イエスは明確な言葉でご自分の弟子につき,「彼らも世のものではない」といわれました。弟子のヤコブも霊感のもとに,「世を友とするのは,神への敵対である」と書いています。―黙示 16:13,14。ヨハネ 17:14。ヤコブ 4:4,新口。
そのようにエホバ神とその御国に敵対する人々に,生き残る希望はありません。神は,むかしアンモン,モアブ,セイル山の軍隊が神の民を攻めたときと同様に,諸国民に同志討ちをさせて,彼ら自身の武器で大殺りくを行なわせることができるばかりでなく,あらゆる自然力を意のままに使うことができます。神はこれらの自然力をもご自身の敵に向けて解き放たれます。神より任命された刑執行者イエス・キリストは,「この組織制度の神」サタン悪魔の支配下にある目に見える全政治組織が,その軍事的支持者および民間の支持者もろとも,この地上から完全に滅ぼし去られるまで天のみ使いの軍勢と共に戦闘を続行されます。―歴代志下 20:1-30。士師 5:19-21。ヨブ 38:22,23。コリント後 4:4。
しかしハルマゲドンにはこの地上の偽りの宗教の破滅も含まれるのではありませんか。そうではないのです。黙示録 17章から19章を読めばわかるとおり,これはハルマゲドンの始まる直前の期間にすでにかたがついているでしょう。黙示録 17章に出てくる獣の「十の角」で象徴されている地の王たちは,淫婦のようなバビロン的宗教制度に敵対し,「この淫婦を憎み,みじめな者にし,裸にし,彼女の肉を食い,火で焼き尽すであろう」。(黙示 17:16,新口)このことは王たちが,神の御国の地上の代表者たちにハルマゲドンの戦いをいどむまえに生じます。その時からハルマゲドンまで王たちがすることといえば,国家の政府,政治組織,国際同盟の形で自分の存在を永続させようという利己的な目的のじゃまをする者に対し,手あたりしだいに悪魔的攻撃を加える以外にないでしょう。宗教的淫婦は処分してしまったので,こんどは神のメシヤの御国を攻撃するように誘導されます。彼らはメシヤの御国が,地を支配する正しい政府であることを認めません。エホバの証者の御国伝道は彼らの怒りの対象になります。この攻撃によって戦争,すなわち「全能の神の大いなる日の戦闘」,ハルマゲドンがはじまります。
サタンとその配下の悪鬼どもはどうなりますか。彼らはハルマゲドンの戦いで殺されますか。すなわち底のない穴にいれられますか。そうではありません。それは,ハルマゲドンの戦いが終ったのちにおこることです。その時御使いの中の御使いキリスト・イエスは,「底知れぬ所のかぎと大きな鎖とを手に持って,天から降りて」きます。そしてサタンとその悪鬼どもを捕え,無活動の状態に投げこみます。サタンと悪鬼どもは,はじめに偽宗教の破滅を目撃し,ついでハルマゲドンを始めから終りまで目撃します。そして自分たちの使っていた人間の手先どもがみな殺しにしようとしていた一見無防備に見えるエホバの崇拝者たちだけがこの地上に残されたのをみて,屈辱を感じ,くやしがるでしょう。―黙示 20:1-3。
正義を愛する人々はみな,これらエホバの崇拝者たちに加わわることを望みます。ハルマゲドンとは実際に何かを知り,この宇宙戦争で人々を神の敵の側につかせようとする「霊感の表現」を避けねばならぬ理由はここにあります。人間の近い将来にかんする間違った考えは災を招くのみです。ですから聖書のハルマゲドンについての預言の成就を待ち,生き残って「義の住む」新秩序のもとにはいるために,神のみこころに一致して働きましょう。―ペテロ後 3:13。
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もしイエスが帰って来たらものみの塔 1964 | 4月15日
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もしイエスが帰って来たら
◇ フィンランド,ラウタサリ市の教会昼食会の際,著作家エイラ・ペナネン氏は,右のような題で話をしたが,牧師の後援を得て刊行されている「バルチャ」誌の1962年5-6号によると,同氏は話の結びとして次のように語った。「今日の人々は,イエスをどのように迎えるだろうか。教会人はやや笑いながら彼を無視し,パリサイ的な人々は報道機関を用いて公然と彼を非難し,スクライブス(学者)は司教の会議を召集して彼に異端の刻印を押すことを求め,現代のサドカイ人は,彼を無教育なただ人と見なし,世俗の権威者は十字架以上にききめのある手だてで彼を黙らせるだろう。イエスが帰って来ぬようにと望む理由はたくさんあるようだ」。イエスが,今日のキリスト教国の霊的な無関心さ,物質追求,不道徳,戦争行為などを見て何と言うかを想像すれば,このような態度も別段不思議ではない。神の御国をしりぞけ,政治家と共に国際連合を称揚している宗教指導者を見れば,イエスは何と言うだろうか。
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