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「新しい天と新しい地」を待ち望む世の苦難からの人間の救いは近い!
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両腕は,次のメディア-ペルシャ世界強国を象徴しました。銅の腹と両ももはマゲドニア-ギリシャ世界強国を象徴しました。鉄の脚はローマ世界強国および同強国から派生した英米二重世界強国を象徴しました。一部は鉄,一部は粘土でできている足は,一部は急進的(社会主義的,共産主義的)で,一部は帝国主義的な性格を持つようになった現代の,もしくは最後の政治上の諸強国を象徴しました。エルサレムが荒廃した西暦前607年に異邦人の時が始まって以来,25世紀余の間,その一連の世界強国は地上の他の統治機関を支配してきました。―ダニエル 2:39-43。
67,68 世界強国のその像は歴史上のどんな時期に至るまで立ち続けますか。次いで,それはどうなりますか。
67 この王の預言的な夢によれば,世界強国のその「像」は歴史的な成就の点で,わたしたちがたまたま今日生きている「事物の体制の終結」の時代にもなお立ち続けています。(マタイ 24:3; 28:20; 13:39,49)その「事物の体制の終結」の時は「エホバの日の臨在」によって重大な最高潮に達し,その際に象徴的な「天」や「諸要素」や「地とその中の業」は火によるように滅ぼされます。それこそ「不敬虔な人びとの裁きと滅びとの日」です。(ペテロ第二 3:7-12)ですから,王の夢の動きと活動を表わすあの部分は不気味です。ダニエルは次のように述べて,それを王に思い起こさせました。
68 『汝見ていたまひしに遂に一つの石人手によらずしてきられて出で その像の鉄と泥土とのあしを撃ちてこれを砕けり かゝりしかばその鉄と泥土と銅と銀と金とは皆ともに砕けて夏のうちばのぬかのごとくになり 風に吹きはらはれて止まるところなかりき しかしてその像を撃ちたる石は大いなる山となりて全地にみてり』― ダニエル 2:34,35。
69 それは人間の支配権すべてにとって何を意味していますか。
69 預言的な夢のこの劇的な部分の成就はわたしたちの直前に迫っています。それによれば,国際連合である第八世界強国を含め,人類史上の政治上の世界諸強国のこん跡もしくは名残りは,再興できないように必ず強制的に消散させられます。従属的な王国や人間の支配権もすべて同様に地から取り除かれてしまいます。
70,71 エホバはどんな代理機関を用いてそのような世界的な滅びをもたらされますか。
70 それは神の言葉であって,人間の言葉ではありません。これは霊的なイスラエルの油そそがれた残りの者の業でもなければ,エホバの崇拝者である仲間の「大群衆」の業でもありません。全能の神エホバがそのような世界的な滅びをもたらす際にお用いになる代理機関は,ネブカデネザルの夢の中では人手によらずに山から切り出された「石」として表わされています。従って,その「石」は創造者である主権者なる主エホバによって造り出される何ものかを表わしているに違いありません。神はダニエルに霊感を与え,その「石」が象徴するものを説明させてこう言わせました。
71 「そして,それらの王たちの日に天の神は,決して滅びに至らされることのない王国を建てられます。そして,その王国はほかの[後継者としての]どんな民にも渡されることはありません。それはこれらの王国をすべて打ち砕いて終わらせ,それ自体は定めなき時まで立つでしょう。あなたは,山から一つの石が手によらずに切り出され,それが鉄と銅と,かたどられた粘土と,銀と金とを打ち砕いたのをご覧になったからです」― ダニエル 2:44,45,新。
72,73 (イ)その「石」が手を加えられずにそこから切り出された「山」とは何ですか。(ロ)「石」そのものは何を表わしていますか。それと関連して今どんなことが起きていますか。
72 その「石」は天の神が建てる一つの王国を表わしていますから,その「山」は王国の権能や権威の源,すなわち永遠の王であられるエホバ神の宇宙主権を表わしているに違いありません。こうして,その石のような王国は神の宇宙主権に従属する代理機関となります。それは主イエス・キリストとなったその独り子の手中にある,メシアによる王国です。(ダニエル 7:13,14)この王国こそ,それに関してイエス・キリストが「事物の体制の終結」にかかわる預言の中で次のように予告されたものなのです。「王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう。それから終わりが来るのです」。(マタイ 24:14)その同じ預言の中でイエス・キリストはその王国にいるご自分のことを心に描いてこう言われました。
73 「人の子がその栄光のうちに到来し,またすべてのみ使いが彼とともに到来すると,そのとき彼は自分の栄光の座にすわります。そして,すべての国の民が彼の前に集められ(ます)」― マタイ 25:31,32。
74 そのメシアの王国はエホバによりどんな任務をゆだねられていますか。
74 皆さん,主権者なる主エホバのみ子のメシアの王国を歓呼して迎えてください! それこそ,「今ある天と地」を送り出し,神の栄光と人類の中の従順な人びとすべての限りない祝福のために,約束された「新しい天と新しい地」を招来する務めをゆだねられた天の政府なのです。
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「新しい天と新しい地」を創造する世の苦難からの人間の救いは近い!
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17章
「新しい天と新しい地」を創造する
1 (イ)わたしたちは今日,古代バビロンの皇帝ネブカデネザルの見た夢になぜ関心を抱いていますか。(ロ)その夢の詳細を同皇帝に思い起こさせた際,ダニエルは一つの特異な「石」とそれが何を成し遂げるかについて何と述べましたか。
わたしたちは今日,二千五百年余の昔にバビロニア世界強国の堂々たる支配者が預言的な夢の中で見た事柄の成就を見ているのです! 神から送られたその夢は,深刻さを増してゆく世の苦難をかかえた現代に起きている事柄を理解する助けとなります。皇帝ネブカデネザルが思い出せないほどにすっかり忘れてしまったその夢は,全能の神の助けを得てそれを同皇帝に思い起こさせ,大いに悩まされた皇帝にその解き明かしをするよう預言者ダニエルに啓示されましたが,このことをわたしたちは何と感謝できるのでしょう。バビロニア帝国から今日の英米二重世界強国に至るまでの世界史の政治上の一連の超強国を表わしたその夢の「像」に関する記述の最高潮に際し,ダニエルは続けてこう述べています。
『汝見ていたまひしに遂に一つの石人手によらずしてきられて出でその像の鉄と泥土との脚を撃ちてこれを砕けり かゝりしかばその鉄と泥土と銅と銀と金とは皆ともに砕けて夏のうち場のぬかのごとくになり風に吹きはらはれて止まるところなかりき しかしてその像を撃ちたる石は大いなる山となりて全地にみてり』― ダニエル 2:34,35。
2 その「石」は何を象徴していましたか。
2 この問題はほかに説明のしようがありません。その「石」は宇宙の主権者なる主であられるエホバ神の油そそがれたみ子の手中にあるメシアによる王国を象徴しました。
3 このメシアによる王国とダビデ王との関係,またその王国がどのように霊的な様相を呈したかについて説明しなさい。
3 メシアによるこの王国は,エホバがイスラエル国民の王として油をそそがれるようにさせたダビデの地的な王国にその根源を有していました。ダビデの政府の所在地は最後にはエルサレムもしくはシオンとなりました。エホバ神はダビデの家系を通して存続し,永遠の王国となるメシアによる王国のための契約をダビデと結ばれました。やがてこの王国は,ダビデの永久相続者が地上に到来するに及んで霊的な王国の様相を呈しました。それは神の天のみ子がイエスとしてダビデの王統に奇跡的に生まれたからです。こうした生来の関係を帯びることによって,彼はダビデの王座につく資格のある生来の後継者となりました。(マタイ 1:1から2:6)このことと調和して,イエスが三十歳で水のバプテスマを受けた直後,エホバ神は聖霊で彼に油をそそぎ,イスラエルつまり「ヤコブの家」の未来の王にしました。神はまた,彼をご自分の霊的な子として生み出し,そのような者として認めました。―マタイ 3:13-17。ルカ 1:32,33; 3:21-23。使徒 10:38。
4 ダビデの永久相続者はどのようにして霊の領域で王となりましたか。
4 イエス・キリストは神の王国,「天の王国」を宣べ伝えたために殉教の死を遂げました。彼は肉において完全な人間の犠牲として死にましたが,使徒ペテロが述べるように,「キリスト(は)罪に関して一度かぎり死にました。義なるかたが不義の者たちのためにです。それはあなたがたを神に導くためでした。彼は肉において死に渡され,霊において生かされたのです」。(ペテロ第一 3:18)従って,イスラエルつまり「ヤコブの家」は天的な王を,目に見えない霊の王,すなわち復活させられて天にいる不滅のイエス・キリストを戴くことになりました。(ローマ 1:3,4)それで,復活させられたイエス・キリストはダビデの永久相続者または王なる相続者ですし,その王国は永遠の王国です。このメシアの王国こそ,人手の助けなしにエホバの宇宙主権という「山」から切り出されるものなのです。
5 (イ)象徴的な「石」が山から切り出されたのはいつですか。(ロ)その「石」が切り出され,象徴的な「像」めがけて放たれた時,地上のこの邪悪な事物の体制にとってどんな時期が始まりましたか。
5 この王国の「石」はいつ切り出されて,地上の世界強国の象徴的な「像」めがけて放たれましたか。それは異邦人の時が終わった1914年10月4,5日ごろのことで,その時,王の擁立者なるエホバは復活させられたイエス・キリストを権能を付与された王として天で即位させました。(ルカ 21:24。詩 2:1-6。啓示 11:15; 12:5-10)その時,「エホバはあなたの力の杖をシオンから出して,こう言われる。『あなたの敵のただ中に行って従えなさい』」という詩篇 110篇2節(新)の預言的な言葉が即位したイエス・キリストに適用されました。それゆえに,地上のこの邪悪な事物の体制にとって「終わりの時」が始まりました。(ダニエル 12:4)従って,「事物の体制の終結」の期間中に起こるとイエス・キリストが予告した事柄は,1914年における異邦人の時の終わり以来起きてきました。―マタイ 24:3から25:33。
6 (イ)石がその像の『鉄と泥土との脚』を打つということにはどんな重大な意義がありますか。(ロ)この石は象徴的な「像」をいつ打ちますか。
6 王の夢の中で問題の石が人間の形をした像の『鉄と泥土との脚』を打つということには重大な意義があります。それは神のメシアによる王国が第七世界強国つまり英米二重世界強国の時代に,その最後の時に現実の世界強国の「像」を打つことを意味しています。これこそこの世の人間の支配権が鉄のような帝国主義的政府と粘土のような急進的政府の間で分割されている時代です。この二者は混じり合いません。その象徴的な「像」は大いなるバビロンが滅ぼされる時である,今や迫った「大患難」の始めに打たれるのではありません。むしろ,その後のハルマゲドンにおける「全能者なる神の大いなる日の戦争」の際に打たれるのです。(マタイ 24:21,22。啓示 7:14; 16:14,16; 17:1-18; 18:20から19:3)その時,もはや大いなるバビロンの宗教的影響のもとにない世の諸国家は一致結束してエホバ神の宇宙主権とそのメシアによる王国に公然と露骨に反対して立ち上がります。
7 ネブカデネザルの夢の中で,その「石」は霊の領域にいる支配者たちを打って砕くものとして示されていますか。
7 ネブカデネザルの預言的な夢は問題の「石」つまりメシアによる王国が『ペルシャの国の君』や『ギリシャの君』のような目に見えない霊の天にいる政治上の敵を打つことを示してはいません。(ダニエル 10:13,20)王国の「石」は地的な,目に見える,人間的なもの,すなわち帝国主義的・民主主義的・急進的・社会主義的あるいは共産主義的のいずれを問わずこの世の統治機関を打ちます。
8 同様に,啓示 17章と19章ではその王国の「石」はだれに,また何に対して戦うものとして示されていますか。
8 それで啓示 17章12-14節は王国のメシア的な「石」のことを,その時には大いなるバビロンによる支配を排除した第八世界強国である国際連合の軍備を整えた代表諸国と戦うものとして示し,「これらの者は子羊と戦うであろう。しかし子羊は,主の主,王の王であるので,彼らを征服する」と述べています。同様に,啓示 19章11-21節に述べられているハルマゲドンにおける「全能者なる神の大いなる日の戦争」の詳しい記述も,王国のメシア的な「石」が,目に見えない天の霊の勢力ではなく,人間の支配者たちやその軍隊や支持者たちを伴う地上の世界的な政治体制との戦いに突入する様を示しています。
9 この戦いすべては,人の住む地にどのように影響しますか。
9 この戦いは,人の住む地の経験する最悪の苦難の時をもたらすものとなります。このことを予告して,ダニエル書 12章1節はこう述べています。『その[終わりの]時 汝の民[ダニエルの民イスラエル]の人々のために立つところの大いなる君ミカエル起ちあがらん これ艱難の時なり 国ありてより このかたその時にいたるまでかゞる艱難ありし事なかるべし』。
10 (イ)「エホバの日」の最高潮に際してその象徴的な「像」はどうなりますか。(ロ)サタンとその悪霊たちが鎖で縛られて,底知れぬ所に入れられるのはいつですか。
10 その時こそ,『石……その鉄と泥土と銅と銀と金と(を砕けり)』と述べられているネブカデネザルの夢の最後
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