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神の王国によって打ち砕かれる人間の政府ものみの塔 1978 | 9月15日
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機構や影響力や支配力を弱めさせる勢力として発展してきました。「その王国も分かたれたものとなります。……鉄が水気のある粘土と混ざり合っているのをご覧になったとおりです」と述べられています。それは「人の子らと混ざり合うことにな」るでしょう。ですからこの像の“粘土”は,人々が確立された権威に反対して立ち上がった結果進展してきた,労働者階級の要素を象徴するものでしょう。一般大衆は労働組合,デモ,ストライキなどの抗議運動によって,英米世界強国やその影響を受けた領域に見られる伝統的で資本主義的な統治形態を徐々に弱めようとしています。
他の国々における,外部の共産主義的な政府は多くの場合,英米世界強国の領土やその影響を受けている領域内のこの“粘土”を進展させる手段そして誘因になっているとはいえ,この像の中には共産主義的政府に相当する部分はありません。忘れてならないのは,その像は特にエホバの民に関連のある,またその像が破壊されてキリストによる神の王国がすべての地的な支配に取って代わる時までの,地上における世界強国の興亡の概略を示しているということです。バビロンの時代以降,世界に登場した強大な政府や王国は数え切れないほどあり,その中にはオリエントの古代の諸帝国,ヨーロッパ,アフリカ,そして南北アメリカの諸地域さえ含まれます。しかしこれらの国々は1914年の異邦人の時の終了時に至るまでエホバの民とかかわりを持つひときわ目立った世界強国とはならなかったので,この像の中でそれを象徴する部分はないのです。それとは対象的に,啓示 13章1節に出てくる『十本の角と七つの頭を持った野獣』の中にはすべての政治体制が含まれます。その野獣には,エジプトから英米世界強国にまで及ぶ七つの世界強国を表わす七つの頭があるだけでなく,他のあらゆる政治的存在を包含する胴体があります。この野獣は全体として,その始まりであるニムロデの時代にさかのぼる世界の全政治支配体制を象徴しているのです。
そういうわけで像の他の部分が有史以来続いてきた局地的な政府や帝国の象徴ではないのと同じように,“粘土”は英米の影響を受ける領域の範囲外にある共産主義的政府の象徴ではありません。しかしこの像が別の世界強国の発展の余地を残さずに終わりの時代を迎えたことや,“野獣”の頭数が八つではなく七つしかないことは,全政治組織が取り除かれる前に完全に支配を行なう,新しい世界強国は台頭しないということを示しています。“粘土”は一つの世界強国の台頭を意味するのではなく,弱体化させるある要因を指しているに過ぎません。
啓示 17章には確かに全体として「それ自身は八人めの王でもある」生き物として,「緋色の野獣」のことが描写されていますが,それは『七つの[世界強国]から出』ると説明されています。『七つの[世界強国]』が地に対する支配力を付与しないとすれば,八人めの王自身は何ら実質的な支配力を持つことにはなりません。実際,第七世界強国が唱道した結果,野獣の“像”が作られ,存在するようになったのです。(啓示 13:11-18と比べてください)人類の「海」から上ってくる「十本の角と七つの頭がある」野獣の「像」である「緋色の野獣」は,明らかに初めの国際連盟,そして後の国際連合のことです。それは世界的規模の組織であるという意味で“八番目の王”ですが,第七世界強国と入れ代わったり取って代わったりすることはありません。継続して興る世界強国を表わす像の中で,粘土の部分は新しく台頭する世界強国を示すのではないのですから,それは共産主義の国家圏を表わすのでもありません。
もちろん,山から切り出された“石”が像の足を打ち,それを倒して崩壊させる時,石は英米世界強国と今なお地上に残っているそれ以前の強国の残存勢力を粉砕するだけでなく,像の中で表わされている世界政府と提携した支配や,像の両足,足指の“粘土”を支持し,援助した人々をも粉々にするのです。これら人間製のあらゆる政府や急進的な集団は,地から取り除かれ,神の任命された王,イエス・キリストによって統治される王国の支配に道を譲らねばなりません。
聖書の示すところによれば,諸国家すべてが自国の主権を固守してやまない以上,戦いを避けることはできないでしょう。啓示 17章12-14節にはこのことと平行して,終わりの時代に著名な世界支配者たち(野獣の“十本の角”で描かれている)が「一時[すなわち短い期間]のあいだ野獣とともに王としての権威を受けるのである。これらの者は一つの考えをいだき,それゆえに自分たちの力と権威を野獣[国際連盟およびその後継者である国際連合]に与える。これらの者は子羊[キリスト・イエス]と戦うであろう。しかし子羊は,主の主,王の王であるので,彼らを征服する」と述べられています。
世界強国の行進は何と不名誉な結末を招くのでしょう。その残忍で高圧的な支配は最期を迎え,地上の人間はもうその影響を受けることはありません。神の王国は正義と平和のうちに支配する世界的な規模の政府となるでしょう。それは王国の臣民である従順な人類に健康と永遠の生命をもたらすでしょう。このことはネブカデネザルに与えられた預言的な像の夢の最後のところで次のように生き生きと表現されています。「その時,鉄も型取った粘土も銅も銀も金も皆共に砕けて,夏の脱穀場から出たもみがらのようになり,風がそれを運び去って,その跡形も見られぬまでになりました。そして,その像を打った石[キリスト・イエスの手中にある神の王国を表わす]のほうは大きな山となって,全地に満ちました」― ダニエル 2:35,新。
聖書預言の示すところによると,この幸福な時は間近に迫っています。現在,あらゆる国の人々に対して,人間の政府に信頼するよりもむしろエホバの主権の側に立つようにとの招待が差し伸べられています。(詩 146:3)エホバの証人は皆さんが神の政府についてより多くのことを学ぶよう,喜んでご援助したいと思っています。
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感謝の念のあつい医師ものみの塔 1978 | 9月15日
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感謝の念のあつい医師
M医師を訪ねた際,私たちは自分がエホバの証人であり,同医師に手渡したいものを持ってきたと説明しました。その医師はとても温厚な人で,「一度入ったら,宅診料15㌦ですよ」と冗談を言いながら,すぐに私たちを招き入れてくれました。私たちは「エホバの証人と血の問題」と題する小冊子を手渡し,エホバの証人の考え方や私たちが血を受け入れない理由を理解していただくために,すべての医師,看護婦,弁護士に一部ずつ差し上げている,と説明しました。
その医師は,自分は韓国でM.A.S.H.部隊に配属されて,大勢の人に輸血を施したことがあるが,自分の体にどんな処置がなされるかについて各人は自分自身で決定できるはずだと考える,と語りました。この医師は,「人の全体」を扱うという点にも同意しました。人に無理やり輸血をすることは精神障害を引き起こしかねないからです。
ヨハネ 17章3節を話し合った後,私は「ものみの塔」と「目ざめよ!」両誌の予約を勧め,聖書について,またこれらの問題から人類を救出する神の方法についてよりよく知るためにこの二冊の雑誌は役立つでしょう,と説明しました。医師は,両方の雑誌を予約し,「良い投資だと思いますよ」と語りました。
この医師は,なぜ自分がエホバの証人に対して好感を抱いているか話してくれました。ある時,この医師はペンシルバニア・ターンパイクで立ち往生したことがありましたが,その時,一台の車が助けに来てくれました。その車に乗っていた人々は,医師の車をガソリンスタンドまで引いて行くのを手伝っただけでなく,車の修理が終わって,医師が先へ出発できるのを見届けるまでそこにとどまりました。立ち去る前に,その人たちは医師に「ものみの塔」と「目ざめよ!」両誌を渡しました。こうして,医師はその人たちがエホバの証人であることを知ったのです。医師は,その人たちが援助の手を差し伸べるためにかなりの回り道をする点で,いかに際立って親切であったかを繰り返し話しました。―寄稿。
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