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    「あなたの王国が来ますように」
    • 12章

      「終わりの日」と王国

      1 (イ)ここでどんな重要な質問が生じますか。(ロ)聖書は(1)この地球,(2)地を破滅させる者にとって終わりの日となる時,について何と述べていますか。

      わたしたちは今「終わりの日」に住んでいるのでしょうか。「終わりの日」とは何を意味するのでしょうか。幸いなことに,地球そのものには「終わりの日」はありません。聖書は,「地……は定めのない時に至るまで,すなわち永久に揺るぐことがありません」と保証しているからです。エホバの最初の目的通り,人間と動物はこの地上に永久に存在します。(詩 104:5-24; 119:89,90。創世 1:27,28; 8:21,22)しかし,神のものである地を破滅させている邪悪な国や個人には確実に「終わりの日」があります。破滅をもたらす者たちに破滅が臨むのは王国が『来る』時です。―ペテロ第二 3:3-7。ヤコブ 5:1-4。啓示 11:15-18。

      2 パウロはこの「困難な時」に関してどんなことを明確に予告していましたか。

      2 わたしたちは今その「終わりの日」に住んでいると言えるでしょうか。どの訳の聖書でもかまいません,手近の聖書を取り上げ,使徒パウロが「終わりの日」を予告するために神の霊感を受けて記したテモテ第二 3章1-5節の言葉をお読みください。それから,今日の人間の世界の状態はこれに似てはいないだろうか,と自問してみてください。そこのところで使徒パウロは,「苦難の時代」がやって来ることを述べ,こう付け加えています。

      「人々は,自分を愛する者,金を愛する者,大言壮語する者,高慢な者,神をそしる者,親に逆らう者,恩を知らぬ者,神聖を汚す者,無情な者,融和しない者,そしる者,無節制な者,粗暴な者,善を好まない者,裏切り者,乱暴者,高言をする者,神よりも快楽を愛する者,信心深い様子をしながらその実を捨てる者となるであろう。こうした人々を避けなさい」― 口語訳聖書。

      3 パウロはユダヤ人の体制の「終わりの日」よりもはるかに重大な終わりの日に言及していたに違いありません。なぜそう言えますか。

      3 使徒はこのように書きましたが,ユダヤ人の事物の体制の「終わりの日」のことを述べていたのではありません。そうでないと言えるのは,パウロがこれを書いたのは西暦65年で,その時にはユダヤ人の事物の体制の「終わりの日」はすでに30年を経過しており,エルサレムの破滅までにわずか5年を残すのみとなっていたからです。またこの背教の状態は,クリスチャンと称する人々の間にはまだ見られなかったからです。ユダヤ人の体制のその「終わりの日」もひどいものでしたが,イエスが王国を建てるために再び来られる時,つまりサタンの世界的な事物の体制の「終わりの日」に起こる事は,それをはるかにしのぐものとなります。

      二重の成就

      4 どんなことから弟子たちはマタイ 24章3節にある質問をしましたか。

      4 イエスはたとえ話の中で「事物の体制の終結」について語っておられました。(マタイ 13:39,40,49)当然のことながらそれは弟子たちの関心をそそりました。ことに一般民衆は当時でもローマやユダヤ人宗教指導者の厳しい支配にひどく苦しんでいたからです。彼らは神の王国が救済をもたらすことを待ち望んでいました。ですから,イエスが殺される三日前,4人の弟子たちは,エルサレムを見下ろすオリーブ山の上で座っておられたイエスの所に来て,「わたしたちにお話しください。そうしたことはいつあるのでしょうか。そして,あなたの臨在と事物の体制の終結のしるしには何がありますか」と尋ねました。―マタイ 24:3。マルコ 13:3,4。

      5 それに答えてイエスが言われた言葉はどのように成就しますか。

      5 イエスの弟子たちは近い将来のことだけ考えていましたが,その時のイエスの答えは二重に適用されるものでした。まずユダヤ人の体制の「終わりの日」の期間に適用され,そしてずっと後の,人の住む地全体を包含するサタンの世界的な体制の「終わりの日」の期間に適用されます。

      6,7 (イ)マタイ 24章7-22節のイエスの言葉はどのように小規模に成就しましたか。(ロ)その冷厳な事実を思い出させるどんなものが今日まで残っていますか。

      6 マタイ 24章7-22節に記述されている,イエスが弟子たちに語られたことは,その弟子の中の幾人かが,西暦70年までの37年間に観察するさまざまな縮図的出来事の経過を描写したものでした。イエスの世代のユダヤ人にとってその期間は,戦争,食糧不足,地震などが起こり,クリスチャンたちは憎まれ,また多くのにせメシアが現われる多難な時となります。それでも「王国のこの良いたより」は証しとして全創造物の中で宣べ伝えられます。ついに,かの「嫌悪すべきもの」である異教徒のローマ軍が,実際にエルサレムの神殿の「聖なる所」に侵入しました。攻撃が一時途絶えた時,イエスの弟子たちは安全な山岳地帯へ逃げて,イエスの預言的命令に従うことができましたが,その後ローマ軍はティツス将軍に率いられて再び来襲しました。そしてエルサレムとその子らを打ち砕き,その神殿を破壊して,石の上に一つの石も残しませんでした。―ルカ 19:43,44; コロサイ 1:23も参照。

      7 イエスの語られた「しるし」の成就として,ユダヤ人はその積み重なる苦難に苦しめられ,西暦70年におけるエルサレムのすさまじい破滅でその苦しみは頂点に達しました。100万を超えるユダヤ人がその都市とともに滅び,生存者は捕虜として連れ去られました。ティツスの凱旋門は,イエスの預言の成就の動かしがたい証拠として今日に至るまでローマ市に立っています。それにしても,イエスの語られた「しるし」は,1世紀に住んでいた人々だけに対する警告として記録され,文書に保存されたのでしょうか。今日ではそれは“古い歴史”に過ぎないのでしょうか。そうではありません。

      全世界に適用する

      8 (イ)イエスの言葉の小規模な成就からわたしたちは今日どんな影響を受けますか。(ロ)これはどんなより大規模な事柄の預言的型となっていますか。

      8 ユダヤ人の事物の体制の「終わりの日」の間にイエスの言葉が小規模に成就したことによって,神の預言の力に対するわたしたちの信仰は強められるはずです。しかし,1世紀に起きたそれらの出来事は,はるかに大きな規模でサタンの世界的事物の体制に臨む事柄の顕著な預言的型となっています。そう確信できるのは,西暦70年における神のエルサレムに対する裁きの執行が空前絶後の大患難でなかったからです。マタイ 24章21,22節のイエスの言葉はまだ完全な成就を待っています。

      「その時,世のはじめから今に至るまで起きたことがなく,いいえ,二度と起きないような大患難があるからです。事実,その日が短くされないとすれば,肉なるものはだれも救われないでしょう。しかし,選ばれた者たちのゆえに,その日は短くされるのです」。

      9 イエスの言葉が世界的な清算の日を指していることはどうして分かりますか。

      9 マタイ 24章23節から25章46節まで続くイエスの預言の言葉も,世界的規模の「事物の体制の終結」があることを示唆しています。その苦難の期間の頂点において「人の子」が,神の任命によって即位した王としてサタンの世に裁きを執行する時,『地のすべての部族は悲嘆のあまり身を打ちたたくでしょう』。イエスの王権を退ける人間はすべてこれに含まれるでしょう。それはただ一国とその都市が受ける裁きではなく,世界的な清算の日なのです。―マタイ 24:30。

      10 (イ)イエスの預言の中で例証されているように,『自分のことをする』人たちの最後と『神の王国を第一に求める』人々の最後とはどのように異なりますか。(ロ)これはなぜ世界的な規模で生ずるに違いありませんか。

      10 続くイエスの預言は,神の裁きが世界的規模のものであることを再び示唆し,「事物の体制の終結」をノアの日の大洪水直前の期間と次のように比較しています。

      「洪水まえのそれらの日,ノアが箱船に入る日まで,人びとは食べたり飲んだり,めとったり嫁いだりしていました。そして,洪水が来て彼らすべてを流し去るまで注意しませんでしたが,人の子の臨在の時もそのようになるのです」。

      神を恐れぬ人々の世全体がその時の洪水によってぬぐい去られたのと同じく,『自分のことをする』のを好んで王国を無視する人々も,キリストの「臨在」の最高潮となる激しい患難によって,この地球から除かれてしまいます。幸いにして,『神の王国とその義を第一に求める』多くの人々は生き残り,パラダイスの地で永遠の命を受け継ぎます。あなたもその一人になるでしょうか。―マタイ 6:33; 24:37-39; 25:31-46。

      11 すべての国の民が関係していることと,生き残る人がいることとは,ほかのどの預言から分かりますか。

      11 聖書の多くの預言は,来たるべき「大患難」が地上の「すべての国の民」に影響を及ぼすことを示しています。(詩 2:2-9。イザヤ 34:1,2。エレミヤ 25:31-33。エゼキエル 38:23。ヨエル 3:12-16。ミカ 5:15。ハバクク 3:1,12,13)しかし生き残る人々もいるのです!―イザヤ 26:20,21。ダニエル 12:1。ヨエル 2:31,32。

      天の栄光に包まれた王の臨在

      12 (イ)イエスの臨在の「しるし」が必要なのはなぜですか。(ロ)イエスが再び肉体で現われる必要がないのはなぜですか。

      12 イエスの臨在の「しるし」に関するイエスの偉大な預言には,「人の子がその栄光のうちに到来し,またすべてのみ使いが彼とともに到来すると,そのとき彼は自分の栄光の座にすわります」とあります。(マタイ 25:31)その栄光の輝きに,弱小な人間の目は耐え得ないので,王は人類の目に見えない様でいなければなりません。(出エジプト 33:17-20; ヘブライ 12:2と比較。)『臨在のしるし』が必要なのはそのためです。メシアは,再び来られる時には,肉体で地上に現われることも,「罪のささげ物」として用いられることもないので,そのために天の霊的な命を断念する必要はもはやありません。ご自身の人間の犠牲を「一度かぎり」ささげられたので,「二度め……は罪のことを離れ」,目に見えない天の王として来られるのです。―ヘブライ 7:26,27; 9:27,28; 10:8-10。ペテロ第一 3:18。

      13 ルカ 19章11-27節はイエスが戻ってこられる時と,諸国民の間でイエスがどのように迎えられるかについて何を示唆していますか。

      13 親しい弟子たちと一緒に過ごされた最後の晩に,イエスは彼らにこう言われました。『わたしはあなたがたのために場所を準備しに行こうとしているのです。そして,わたしが行ってあなたがたのために場所を準備したなら,わたしは再び来て,あなたがたをわたしのところに迎えます』。(ヨハネ 14:2,3)このことと一致して,ルカ 19章11-27節のイエスの例えは,『王権を確かに自分のものとして帰るため,遠くの土地に旅行に出たある高貴な生まれの人』としてイエスを描いています。これには相当の期間がかかります。ところが,「その市民は彼を憎み,そのあとから一団の大使を送って,『この人がわたしたちの王になることは望みません』と言わせました」。同様に今日でもクリスチャンと称しながら,自分たち自身の不完全な人間の支配を永続させるほうを好んで「王の王」を退ける人々がいます。(啓示 19:16)そういう人々は,イエスの例えの「市民」のように厳しい罰を受けるでしょう。

      「苦しみの劇痛のはじまり」

      14 異議を唱える人々があるにもかかわらず,どんな事柄は西暦1914年がキリストの戻られた年であることを裏付けていますか。

      14 諸国民が望まないこの強力な王は,この地に対していつ統治を開始するのでしょうか。すべての証拠は,それが西暦1914年に始まったことを示しています。しかし中には,『その年はキリストの平和な統治が始まった年というよりも,むしろ人類の苦難の時代が始まった年という印象の方が強いのではないか』と異議を唱える人もいるでしょう。肝心なところはまさにそこです! 聖書の預言によると,『世の王国がわたしたちの主とそのキリストの王国となる』時こそ,地の諸国民が『憤る』時だからです。(啓示 11:15,18)その時はまたエホバが,「あなたの敵のただ中で従わせなさい」と言って仲間の王をお遣わしになる時でもあります。(詩 110:1,2)しかしそれらの敵はすぐに滅ぼされるわけではありません。

      15 啓示 12章は王国の誕生をどのように適切に描写していますか。

      15 啓示 12章には息をのむような一つの幻が描写されており,使徒ヨハネはその幻の中で,神のメシア王国の誕生を象徴するものを見ました。メシア王国は一人の男の子のように,神の「女」,すなわちみ使いで成る神の天的組織から生まれます。そして「そのみ座のもとに連れ去られ」ます。王国はエホバとその主権に依存してその活動を行なわねばならないからです。―啓示 12:1-5。

      16,17 (イ)1914年以来地上に災いがあるのはなぜですか。(ロ)マタイとルカの中のイエスの言葉によるとこれらの苦しみはどのように始まりますか。

      16 次いで天に戦争があります。即位した王とそのみ使いたちは,サタンおよびその配下の悪霊の大軍と戦い,彼らをエホバの天からこの地球の近くに追い落とします。そのことは『地と海にとっては災い』です。『悪魔が,自分の時の短いことを知り,大きな怒りをいだいて下ったから』です。(啓示 12:7-12)その比較的に『短い時』の間に,王は,義に傾いている人間を救うために集め,またサタンの世の事物の体制に対する裁きの執行が近付いていることを警告します。―マタイ 24:31-41; 25:31-33。

      17 わたしたちは今日,マタイ 24,25章,マルコ 13章,ルカ 21章などに述べられている,イエスの語られた「しるし」が成就していることに気付いています。イエスが「苦しみの劇痛のはじまり」を次のような言葉で描写しておられる点に注目してください。

      「国民は国民に,王国は王国に敵対して立ち上がり(ます)。そして,大きな地震があり,そこからここへと疫病や食糧不足が起こります。また,恐ろしい光景や天からの大いなるしるしがあるでしょう」。(マタイ 24:3,7,8。ルカ 21:10,11)

      人類は,西暦1914年以来そのような「苦しみの劇痛」に悩まされるようになったでしょうか。

      18 1914年から,戦争はどのようにひどく恐ろしいものになりましたか。

      18 大戦(後ほど「第一次世界大戦」と呼ばれるようになった)が始まったのは1914年で,それに伴って疫病や飢きんも生じました。著述家たちは,戦場を覆う,凄惨をきわめた光景を描写するすべを知りませんでした。1914年から1918年にわたる大殺りくの際のざんごう戦で何百万もの兵士が死んだのです。「アイ・ディープ・イン・ヘル」という本にはポール・ナッシュがヨーロッパの戦場について語った次の言葉が引用されています。「来る月も来る月も,昼夜を問わぬ戦闘の場となっているこの国の惨状は,文や絵で伝えることはできない。この戦争の総大将は,魔性の者か悪魔の化身以外の者ではあり得ない。神のみ手はどこにも見られない。……砲弾は……人々を殺し,不具にし,発狂させてやむことがなく,まさに広大な墓場と化したこの国に飛来しては,哀れな死者をそこに投げ出すのである。その有様は実に言語に絶し,邪悪で,絶望的である」。

      19 統計を見ると1914年以来の地震の急増についてどんな事が分かりますか。

      19 「地震」も「しるし」の一部として含められています。1914年以来,地震は急に増えているでしょうか。この質問は不思議に聞こえるかもしれません。しかし統計を見るともっと驚かされるでしょう。ジェオ・マラゴリがイル・ピッコロ紙で述べたように,「確かな資料を見ても,大地震は1,059年間(西暦856年から1914年まで)に24しか記録されていない」のです。彼が示した数字によると,その期間に毎年平均1,800人が地震で死亡していますが,1915年以降には43の大地震があり,1年に平均2万5,300人が死亡しています。

      「天からの大いなるしるし」

      20,21 (イ)1914年以来どんな「恐ろしい光景」がはっきり見られるようになりましたか。なぜですか。(ロ)ルカ 21章25,26節のどんな成就をわたしたちは今日見ていますか。(ハ)「天からの大いなるしるし」はどのように次第に注目を浴びるようになりましたか。

      20 イエスは,「また,恐ろしい光景や天からの大いなるしるしがある」とも預言されました。(ルカ 21:11)第一次世界大戦における絶え間ない弾幕砲火は,ある新しいもの ― 全面戦争 ― を意味しました。そのとき初めて飛行船が,そしてさらに重要なこととして飛行機が,空中戦の時代を開きました。なるほど1914年から1918年までは始まりに過ぎませんでしたが,それはやがて,イエスが預言の中で次に述べておられる状態に発展して行きます。

      「また,太陽と月と星にしるしがあり,地上では,海のとどろきとその動揺のゆえに逃げ道を知らない諸国民の苦もんがあるでしょう。同時に人びとは,人の住む地に臨もうとする事がらへの恐れと予想から気を失います。天の諸勢力が揺り動かされるからです」― ルカ 21:25,26。

      21 人間のいわゆる宇宙征服の焦点は「太陽と月と星」です。そして大国は人工衛星を軍事上の跳躍台として利用する不気味な意図をもっているように見えます。しかし,それらの大国はすでに,目標を定めたならどこにでも,宇宙空間から大陸間弾道弾の雨を降らす技術を持っているのです。現在,対立する諸国家が蓄積している核兵器の量は,人類を幾度も全滅させるに足るものであり,今世紀末までには約35か国がこの大量殺りく兵器を保有するようになると推測されています。

      22 (イ)文字通りの「海」は1914年以来どのように新しい様相を帯びてきましたか。(ロ)識者たちは地球が直面する脅威についてどんな警告を発していますか。

      22 第一次世界大戦における潜水艦戦の導入によって新たな様相を帯び,アメリカをその戦争に巻き込んだ「海」は,今日ではもっと不気味なものを予感させます。海には原子力潜水艦が待機しています。地球上の都市で核ミサイルの射程内にないものは一つもありません。1980年8月30日付のニューヨーク・タイムズ紙によると,アメリカ国務省の専門家マーシャル・D・シュルマンは,核戦争の可能性は,「減少するよりもむしろ増大するだろう」と述べています。1980年3月2日付のニューヨーク・タイムズ紙には,600人以上の専門職の男女をスポンサーとする次のような内容の1ページの広告が掲載されました。「核戦争は,たとえ『局地的なもの』であっても,人類史上空前の規模の死と傷害と病気をもたらす結果になるだろう」。彼らはさらにこう付け加えています。「核による全面戦争は1時間で完全に終わり,北半球の生命をほとんど滅ぼしてしまうだろう」。1981年には,モスクワ駐在のアメリカ大使が,「世界は史上例を見ない危険な状態にあると思う」と述べています。それでも大量破壊のための軍備費はうなぎ登りに上昇を続けています。

      23 イエスの預言の成就として人類は歴史のどんな段階に達しているように見えますか。

      23 人類は,ノーベル賞受賞者のハロルド・C・ウレーが何年か前に予測していた段階に達しているようです。「我々は恐怖のうちに食べ,恐怖のうちに眠り,恐怖のうちに生き,そして恐怖のうちに死ぬであろう」と,彼は言いました。まさに「逃げ道を知らない諸国民の苦もんが」あります。「同時に人びとは,人の住む地に臨もうとする事がらへの恐れと予想から気を失います」。

      24 「逃げ道」を知っているのはだれですか。わたしたちはなぜ王国の到来を熱心に祈り求めるべきですか。

      24 幸いにも,良い目的のためにこの地球を創造された主権者なる主エホバは,確かに『逃げ道を知っておられ』,み子の王国を通してその道を備えられます。しかしその「逃げ道」を詳しく調べる前に,もう少しイエスの預言に注意を払い,「しるし」のおもなものである世界戦争,飢きん,疫病などに関するイエスの言葉が啓示の中の驚くべき預言とすばらしく一致している点に注目してみましょう。メシアによる神の王国 ― わたしたちがその到来を心から祈り求めている王国こそ解決策であることを忘れないようにしましょう。

  • 王国の騎手は乗り進む
    「あなたの王国が来ますように」
    • 13章

      王国の騎手は乗り進む

      1,2 (イ)次にわたしたちはだれに注意を向けますか。その方は右手に何を持っていますか。(ロ)ヨハネはなぜ泣くのをやめるように言われましたか。(ハ)ユダの「しし」とはだれですか。彼はなぜ封印を開くのにふさわしい者ですか。

      ヨハネへの啓示の5章に目を向けてみましょう。この章には,使徒ヨハネに与えられた,そして神の王国の『来る』ことと直接関係のある,霊感による一つの幻のことが記されています。この幻の焦点は主権者なる主エホバ,すなわち「み座にすわっておられるかた」です。エホバはその右手に『七つの封印で堅く封印された』巻き物を持っておられます。しかし使徒ヨハネは激しく泣きだします。なぜでしょうか。それは,全宇宙に,その巻き物を開いてそれに載せられている音信を知らせるのにふさわしい者が一人も見付からなかったからです。しかし,ごらんなさい! ふさわしい人がいるのです! それはほかでもない,「ユダ族の者であるしし」,ダビデの王国の相続者です。―啓示 5:1-5。

      2 彼は「勝利を得た」のでそれにふさわしい方です。完全な人間として地上におられた時,苦しみの杭の上での残酷な死に至るまで,み父に対して不動の忠節を示されました。「世の支配者」であるサタンは,彼の忠誠をくじくことができなかったのです。ですからイエスは,「わたしは世を征服した」と言うことができました。―ヨハネ 14:30; 16:33。

      3 わたしたちはなぜ啓示 5章9,10節の成就を喜びますか。

      3 世を征服した者たちはほかにもいます。この勇気ある「しし」キリスト・イエスは彼らをご自分の霊的「兄弟」とみなされます。(マタイ 25:40)彼らは天に復活することによってイエスの千年王国統治に参加し,イエスの贖いの犠牲の益を,地上の幾十億という人類に与えることにあずかります。ですから天では新しい歌を歌う声が聞こえます。彼らは,かつて罪のない子羊としてほふり場に引かれて行ったその方に対してこう言います。

      「あなたは巻き物を受け取ってその封印を開くにふさわしいかたです。あなたはほふられ,自分の血をもって,あらゆる部族と国語と民と国民の中から神のために人びとを買い取ったからです。そして,彼らをわたしたちの神に対して王国また祭司とし,彼らは地に対し王として支配するのです」。(啓示 5:9,10)

      その王と,忠誠を試みられそれを証明した仲間の王たちとが,虐げられた人類のために行動しようとしておられるとは,なんとありがたいことでしょう! しかしこれに関連して,まず戦争があるはずです。

      白い馬に乗る者

      4 (イ)「白い馬」,乗り手が持っている「弓」,乗り手が「冠」を受けたことはそれぞれ何を象徴していますか。(ロ)この乗り手はだれですか。彼はいつ王の権威を受けましたか。

      4 「子羊」が巻き物を取り封印の一つを開いた時,「来なさい!」という雷のような声が天から聞こえます。そして何が見えるでしょうか。『ごらんなさい! 白い馬です』― 正義の戦争の象徴です。乗り手は1本の「弓」を持っています。その乗り手は遠くから,人間が作った大陸間弾道弾よりはるかに広範囲にわたり,敵を滅ぼすことができます。彼に「冠」が与えられますが,このことは,エホバが彼に諸国民を治める王としての権威をお与えになる現代の1914年という年を指し示しています。微弱な人間の主や王たちよりもずっと強力なこの「主の主,王の王」は,天の王国でイエスとともになる,「召され,選ばれた忠実な」,油そそがれたクリスチャンたちとともに,義の敵すべてに対して勝利を収めます。―啓示 6:1,2; 17:14。

      5 (イ)この乗り手は最初何を征服しましたか。(ロ)人類にとってはそれはどんな結果をもたらしましたか。しかしわたしたちはなぜマルコ 13章32-37節の警告に注意しなければなりませんか。

      5 この「白い馬」の乗り手は強力な征服者です。では出陣に当たって,この乗り手が「初めからのへび」であるサタンとその配下の悪霊の使いたちを天から追い出すこと以上にふさわしいことがあるでしょうか。彼はそれらをこの地に投げ落とします! 悪魔が今大きな怒りを抱いているのも不思議ではありません。すでに述べたように,悪魔はその怒りを人類に向け,『地と海に災いを』もたらします。悪魔は『自分の時が短いこと』を知っていますが,大変こうかつです。「終わりの日」はまだはるか遠い先のことだと,わたしたちに考えさせようとしています。わたしたちはだれも,そのような考えにだまされて眠りに陥ることがないようにしましょう。―啓示 12:9-12。マルコ 13:32-37。

      火のような色の馬

      6 (イ)啓示 6章3,4節によると次に何が登場しますか。(ロ)第一次世界大戦はそれ以前のすべての戦争とどのように異なっていましたか。

      6 「子羊」は第2の封印を開きます。すると「火のような色の馬」が飛び出します。「それに乗っている者には,人びとがむざんな殺し合いをするよう地から平和を取り去ることが許された。そして大きな剣が彼に与えられた」。(啓示 6:4)人類史上初めての世界戦争の登場です。平和は取り去られます。ただ二,三の国からではなく「地」から取り去られるのです。強大な陸海軍が大量殺りくの恐るべき兵器を用いて戦闘を交えるからです。それ以前の戦争は,たいてい少数の国の職業軍によって行なわれたものですが,第一次世界大戦は全面戦争です。徴集された人的資源を含め,多数の国の全資源が戦闘に投入されたのは歴史上初めてのことです。

      7-9 「むざんな殺し合い」について言うなら,1914年が史上最悪の流血期間の始まりであったことをどんな統計や報告が示していますか。

      7 預言には「むざんな殺し合い」とありますが,それはまさに「むざんな殺し合い」でした。ソンム川の戦闘では,危険な新兵器つまり機関銃が,イギリス軍とフランス軍の兵士を幾十万となくなぎ倒し,ある人の推測によると,それで死んだ人の数は戦死者全体の80%に上ったということです。ベルダンでは9か月間に,ロシアに進軍したナポレオンの軍よりも多くの兵士が戦死しました。ベルダンのある墓地のへいには,「屠殺場まで5キロ」と血で書かれた標識がありました。4年にわたる大戦中に全部で約900万人の兵士が殺されたのです。

      8 1914年は,「火のような色の馬」の乗り手が地から平和を取り除いた年だったでしょうか。その見方を支持する歴史家は少なくありません。例えば,それから50年近くたって,歴史雑誌,アメリカン・ヘリテイジの編集者は次のように書いています。「1914年の夏には国々に平和があり,将来も安らかなものに思われた。その時である,突如砲声がとどろき渡り,事態は一変してもはや元に戻らなかった……1914年は人間の歴史の上できわめて決定的な年の一つであった。……その年は,千年に1度か2度しか訪れないほどの意味深い転換点を迎えたのである。1914年から我々がどんな時代に入ったかを十分に理解するまでにはおそらく長い時間がかかるであろう。しかし少なくとも,この年に我々が何をもぎ取られたかは分かるようになるであろう」。確かに「火のような色の馬」の乗り手は地から平和をもぎ取りました。そしてその年は1914年でした。

      9 その騎手は引き続き殺りくの馬を進めて二つ目の世界戦争を通過します。この戦争では1,600万の兵隊が戦死しました。時代は1980年代に入りましたが,ハンガリーの一教授の計算によると,第二次世界大戦終結後の30年間に,さらに2,500万人の兵隊が戦死しています。第二次世界大戦が終わったあとの33年間に,世界のどこにも戦争がなかった日というのは26日しかなかったということです。

      10 この騎手はどのように「大きな剣」を用いましたか。

      10 預言によるとこの騎手は「大きな剣」を与えられました。この20世紀の戦争においては確かに,すさまじい破壊力を持つ武器が大量殺りくに大きな役割を果たしました。第一次世界大戦には,毒ガス,自動兵器,軍用タンク,飛行機,潜水艦などが初登場し,第二次世界大戦には,空中戦が諸都市を文字通りぬぐい去りました。犠牲者のほとんどは,罪のない女や子供や老人でした。イギリスのコベントリー市は一夜にして廃墟と化し,後にはドイツのドレスデンが連合軍の空爆を受け,13万5,000の命が消え去りました。次いで日本の広島では,原子爆弾による大量殺りくで少なくとも9万2,000人が,長崎では4万人が死にました。この場合もほとんどは民間人でした。もし今核戦争でもぼっ発するなら,その「大きな剣」が何をなすかは想像を絶するものがあります。

      「見よ,黒い馬がいた」

      11,12 (イ)「黒い馬」の乗り手は二人目の騎手の仲間であることをどのように示しましたか。(ロ)彼が今日まで馬を乗り進めて来たことはどんなことから分かりますか。

      11 「子羊」が第3の封印を開くと,「黒い馬」が飛び出します。「それに乗っている者は手に天びんを持って」います。(啓示 6:5)なんと,全面戦争という騎手には連れの騎手がいるのです。これは飢きんをもたらす騎手です。二つの世界大戦の間に多くの国は飢きん状態に悩まされました。「天びん」が表わしている食糧の配給は,交戦諸国の市民にとっては普通のことになりました。そして第一次世界大戦の後には史上最悪の飢きんが訪れました。ネーション誌の1919年6月7日号は,インドで3,200万人が「飢餓線上に」あると伝えています。ワールズワーク誌の1921年3月号は,北支だけで毎日1万5,000人が餓死しつつあると報じています。ニューヨーク・タイムズ紙が出していた,「カレント・ヒストリー・マガジン」の1921年10月号に掲載されたイギリスからの報道によると,ロシアでは「3,500万もの人々が飢きんと疫病の脅威にさらされている」ということでした。第二次世界大戦のあとにも同様の飢きん状態が生じ,ルック誌の1946年6月11日号は,「現在,世界の4分の1が飢餓に苦しんでいる」と報じています。

      12 たとえ全面戦争がなくても,現在の世界では農作物の不作がしばしば新聞に大きく取り上げられます。例えば1974年には,「3人目の騎手の影響下にあるインド」,1976年には,「深刻な食糧危機に見舞われる飢えた世界」,そして1979年には,「4億5,000万人が飢えている」といった見出しが新聞に出ました。世界人口が増加するにつれ,発展途上国や,戦争で荒廃した国の食糧事情は一層絶望的になります。ニュー・サイエンティスト誌の1975年5月号のアトラス・ワールド・プレス・レビューは次のように述べました。「世界は双頭の怪物と顔を突き合わせている。飢きんはその一面に過ぎない。もう一つは慢性的な栄養失調である。FAO[食糧農業機構]の推測によると,1970年に,発展途上国97か国のうち,食糧生産量もしくは輸入量が国民を養うのに必要な量を実質的に下回ったのは61か国である。栄養失調に苦しむ人は内輪に見積って4億6,000万人,大まかに見て10億人とFAOは計算している」。1980年代に入った今,事態はその時に比べてはるかに悪くなっています。

      13 啓示 6章6節には現代のどんな状態や恐怖が予示されていますか。

      13 馬を進める3人目の騎手に,天からの声が叫びます。「小麦一リットルは一デナリ,大麦三リットルは一デナリ。オリーブ油とぶどう酒を損なうな」。(啓示 6:6)1デナリは1日の賃金を表わしますから,労働者はこの物価高に心から憤りを感じます。実際に今日,一般の人々の収入はインフレによって絶えず目減りしていないでしょうか。しかし「油」とか「ぶどう酒」などの品物はどうですか。利益を貪る者や富裕な人々は自分たちの豊かな生き方を守りたいと思います。しかし彼らはそれに成功するでしょうか。「黒い馬」が全地を縦横に駆けめぐっていますから,それはこれから分かるでしょう。

      『死を乗せた青ざめた馬』

      14 4番目の馬の乗り手とその連れは1914年以来の出来事とどのようにぴったり一致しますか。

      14 第4の封印が開かれると,「青ざめた馬」が出て来て他の馬と一緒に走り出します。乗り手は死です。ハデスがそのすぐあとに従います。別の馬に乗ってかどうかは記されていません。しかしそれらは身の毛もよだつような任務を帯びています。「地の四分の一に対する権威が彼らに与えられた。長い剣と食糧不足と死の災厄をもって,また地の野獣によってそれを殺すためである」。(啓示 6:7,8)あの決定的な年である1914年以来,死とハデスは確かに地の四隅に広がりました。

      15,16 (イ)この預言は1918年から1919年にかけてどのような驚くべき成就をみましたか。(ロ)この馬が1914年以来走り続けていることは何から分かりますか。

      15 「命取りの疫病」! 1918年から1919年にかけて世界的に流行した疫病,すなわちスペイン風邪を,人々はこのように呼びました。わずか数週間で,第一次世界大戦の戦死者の数の2倍に当たる犠牲者を出し,その合計は2,100万という実に驚くべき数に上りました。アメリカの場合,公式に発表された,スペイン風邪による死者の数は54万8,452人で,戦死したアメリカ兵の10倍以上でした。しかも犠牲者のほとんどは若くたくましい人々だったのです。インドでは1,200万人以上が死にました。モーリシャスとセントヘレナの二つの島のほかに,この疫病を免れた大陸や島はありませんでした。エスキモーの村や中央アフリカの村の中には全滅したものもありました。タヒチではわずか15日間に4,500人もの死者が出,その遺体はまきで火葬にされました。西サモアの場合は,人口3万8,000人のうち7,500人がその疫病で死にました。

      16 しかし,「青ざめた馬」の乗り手がもたらした致命的な病気はスペイン風邪だけではありませんでした。ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると,1915年には,ガリポリの戦闘で弾丸に当たって死んだ兵隊よりも,赤痢で死んだ兵隊の方が多かったということです。インドでは,1914年から1923年までに325万人がコレラで死んでいます。1915年にはロシアで「250万から300万」の死者が出ていますが,その死因は発疹チフスだったと言われています。乗り手が現代に馬を乗り入れるにつれて,心臓病,ガンが死因の1位を占めるようになり,梅毒が「伝染病の中で2位」になり,肝炎も「全世界で爆発的に増加」しました。

      救済は近付いている!

      17,18 (イ)一人の政治家は,第2,第3,第4の騎手の間につながりがあることを示すどんな言葉を述べましたか。(ロ)しかし世界の指導者たちはだれを無視していますか。(ハ)わたしたちは栄光に輝く王が行なうことをなぜ喜ぶことができますか。

      17 「火のような馬」と「黒い馬」と「青ざめた馬」は今まで60年以上肩を並べて走り続け,ハデスがそのすぐあとに従ってきました。確かにハデスは,何億にも上る多くの犠牲者を収穫しました。興味深いことに元アメリカ大統領,ハーバート・フーバーは,1941年に,この3人の騎士を結び付けて次のように述べています。「大きな戦争のあとには必ず飢きんと疫病がある……25年前の世界大戦は3億人に飢えをもたらした。……今回の戦争[第二次世界大戦]が終わって1年半になるが,食糧不足に悩む人は前回の戦争の3年後の場合よりも1億人近く増えている」。第三次世界大戦は人類にとってどんな災難を意味するでしょうか。

      18 世界の指導者たちは,「火のような色の馬」,「黒い馬」そして「青ざめた馬」の騎手たちがもたらす害には十分気付いています。しかし「白い馬」の乗り手は無視しているのです。この栄光に輝く王が行動を起こし,事態を一転させる喜びの日は近付いているのです。この王は戦争の代わりに平和をもたらします。飢きんに代えて食物を豊かに供給します。病気に代えて人類に完全な健康を回復します。ハデスさえ死人を出します。詩篇の中にも同様のくだりがあって,「白い馬」の騎手を次のように描写しています。

      「力ある者よ,あなたの剣を股に帯び,あなたの尊厳と光輝とを備えもて。その光輝に包まれ,成功を収めよ。真理と謙遜と義のために乗り進め。あなたの右手は,恐るべき事柄をあなたに教え諭す」。(詩 45:3,4)

      王国の騎手の勝利は近付いています!

      19 (イ)啓示 6章2-8節の成就しているのを見て,心をかき乱されるべきですか。(ロ)信仰を強く保つように励ますどんな例がありますか。

      19 ですから,次第に悪くなっていく今日の地上の状態に心を不当にかき乱されないようにしましょう。それよりもむしろ,信仰ゆえに1956年から1978年までの20年間,ある社会主義国で投獄されていた一人のエホバの証人と同じ見方を持ちたいものです。その人は一時期死刑の宣告を受けていました。腕には今でも拷問の跡があります。彼女はどのようにして信仰を堅く保ったでしょうか。それまでの熱心な聖書研究によって覚えていた多くの聖句を黙想したのです。その一つは啓示 6章2節だったと彼女は言っています。「白い馬」の乗り手である王なるイエス・キリストが1914年に天で即位されたことを彼女は確信していたので,キリストが「征服を完了する」まで耐え抜く決意をしていたのです。神の王国の『来る』ことを祈り求める他の人々もみな,王が完全に勝利を得るまで忠実を保てますように。

      [123ページの囲み記事]

      黒い馬は走り続ける

      「世界銀行の推定によると,全世界では約7億8,000万人が,極めて貧しい,『およそ人間の品位とはほど遠い』状態の中で生活している」― 1980年9月1日付,デトロイト・フリー・プレス紙

  • 王は統治する
    「あなたの王国が来ますように」
    • 14章

      王は統治する

      1,2 (イ)1914年という年には他の年よりどんな深い意味がありましたか。(ロ)「ものみの塔」誌は1914年という年を何十年も前もってどのように指摘してきましたか。

      西暦1914年が,諸国家や人類にかかわる事柄の重要な転換点となったことに疑問の余地はありません。しかしその年は,ほとんどの歴史家が理解しているよりもはるかに深い意味をもつ年でした。つまり,神の王国の『来る』ことと関係のある,胸を躍らすような出来事が起きた年だったのです。注意深い聖書研究者たちは,それより何十年も前から,大きな期待を抱いてその年の来るのを待っていました。彼らの期待はどんな根拠に基づいていたのでしょうか。

      2 1914年より34年前に,「シオンのものみの塔とキリストの臨在の告知者」という雑誌は,1879年12月号と1880年3月号の中で,聖書預言に関係した特筆すべき年として1914年を指摘しました。同誌の1880年6月号に掲載された一つの記事は,「異邦人の時(ルカ 21:24)」が終わりに近付いていることに注意を喚起しました。当時,その記事の筆者は,起ころうとしていた出来事の意味を十分には理解していませんでしたが,聖書に基づく年代計算によって,古代エルサレムの最初の破滅の時から始まる,神を信じない諸国民の「七つの時」すなわち2,520年にわたる政治支配は,「西暦1914年」に終わる予定になっていることを示しました。その筆者はこう述べています。「2,520年という長い期間と……野獣(人間の政府,ダニエル 7章)の支配下での[神の民の]つらい経験は,ダニエル書 4章の中で,ネブカデネザルの『七つの時』および獣たちの中で過ごすという彼のつらい経験とにより,はっきり表わされている」。では「七つの時」とは何でしょうか。

      夢の解き明かし

      3 ダニエル書 4章25節にはどんな基本的真理が述べられていますか。

      3 聖書のダニエル書の4章には,驚くべき預言的な夢が記されています。それは,「至高者が人間の王国の支配者であり,自分の望む者にそれをお与えになる」ということを例示するものです。(ダニエル 4:25)バビロンの王ネブカデネザルは夢を見,それを預言者ダニエルに話して解明を求めます。

      4-6 (イ)ネブカデネザルはどんな夢を見ましたか。(ロ)ダニエルはそれをどのように解明しましたか。(ハ)それはどのように成就しましたか。(ニ)元の状態に戻されたとき,ネブカデネザルはどんなことを認めましたか。

      4 ネブカデネザルは,地の果てからでも見える大木の幻を見ました。その木はすべてのものに食物と宿る所とを与えました。しかしひとりの「聖なる者」が天から,その木を切り倒して根株に鉄と銅のたがをかけることを命じました。その二つは当時では最も強い金属でした。木がそのように抑制された状態にある間に「七つの時」が経過することになっていました。

      5 この預言的な幻を解明するに当たってダニエルは,堂々としたその大木がネブカデネザルを表わすことを説明します。ネブカデネザルは『切り倒される』,つまり低められることになっていました。「七つの時」が過ぎ,その間ネブカデネザルは野の獣のようになっています。しかし「木」が完全に覆されなかったのと同じく,王も「七つの時」が過ぎると元の状態に戻されます。―ダニエル 4:19-27。

      6 その通りのことがネブカデネザルの身に起きました。彼は低められ,人里離れたところに住む動物のようになって,草を食みました。その「七つの時」は7年だったようです。その間ネブカデネザルは『獣たちの中で過ごすというつらい経験』をしました。髪の毛は長く伸びて鷲の羽のようになり,爪も伸びて鳥のかぎ爪のようになりました。しかしついに正気を取り戻し,王位に復しました。その時彼は,「天の王」を実際に支配権を行使する方として,またその「王国は代々にわたるもの」としてほめたたえました。―ダニエル 4:28-37。

      7-9 (イ)イエスはどの預言の中で異邦人の時の終わりに言及されましたか。(ロ)それでわたしたちはどんな質問に深い関心を抱くはずですか。

      7 それにしても,これらのことは西暦1914年という年とどんな関係があるのでしょうか。

      「諸国民の定められた時」

      8 イエス・キリストは,『事物の体制の終結の時のしるし』を説明した際にこう言われました。

      「エルサレムは,諸国民の定められた時が満ちるまで,諸国民に踏みにじられるのです」。(ルカ 21:24)

      イエスが言われた「諸国民」とはユダヤ人でない国民,すなわち「異邦人」のことでした。有名な欽定訳はここで「異邦人の時」という表現を用いています。それで多くの人は,『異邦人の時とは何だろう。イエスはどの期間のことを言ったのだろう。それはいつ始まっていつ終わるのだろう』と考えました。

      9 わたしたちはすでに,「しるし」に関するイエスの偉大な預言がわたしたちにとって今日重要な意味を持つことを学びました。それでこれらの疑問に対する答えを知ることも必要です。

      「エルサレム」は何を意味するか

      10-12 (イ)ある学者によると,西暦29年から70年に起きた出来事は何の予型でしたか。(ロ)しかしルカ 21章24節の「エルサレム」はどんなより広い意味を帯びていたと考えられますか。(ハ)わたしたちがこういう見方をするのに,ある有名な百科事典はどのように助けになりますか。(ニ)それで「エルサレム」は何を表わしますか。

      10 A・T・ロバートソン教授aは,イエスの預言に関する見解をこう述べています。イエスは「あの時代,つまり西暦70年に生じた神殿とエルサレムの破滅を,彼の再臨の象徴,また世の終わり,つまりその時代の終末の象徴としても用いている」。したがって次のような質問が生じるかもしれません。イエスはルカ 21章24節で,西暦70年にエルサレムに臨んだこと以外に,どんなより広い,より長期的な意味を「エルサレム」に与えたのだろうか。

      11 イエスはエルサレムを,イスラエルの首都,エホバから油をそそがれたダビデの家系の王たちが「エホバの王座」に座し,エホバに代わって統治する所,と考えておられました。またその神殿は全地の真の崇拝の中心でした。(歴代上 28:5; 29:23。歴代下 9:8)マクリントクとストロングの百科事典には次のように述べられています。「エルサレムは全イスラエルの王の居住地とされた。そして,しばしば『エホバの家』と呼ばれた神殿は同時にその神権国家の最高首長である王の王の住居でもあった。……確かにエルサレムは政治的には重要でなかった。他の国々の事柄を指図する強大な帝国の首都などではなかったが,ダビデがメシアの到来への信仰を表明したときに予告した明るい前途を持つ点では高いところに位置していた[詩 2:6; 110:2]」― 第4巻,838ページ。

      12 ダビデの家系の王たちが「エホバの王権の座」にすわったという事実は,その王国が実際に神のものであったという真理を強調しました。エルサレムを中心とするイスラエル王国は予型的神の王国でした。したがって「エルサレム」は神の王国を表わしました。

      13,14 ルカ 21章24節にある『踏みにじること』は,いつ,どのように始まりましたか。

      13 ここで,「エルサレムは,諸国民の定められた時が満ちるまで,諸国民に踏みにじられる」というイエスの言葉を思い出してください。(ルカ 21:24)この『踏みにじること』はいつ始まったでしょうか。ベツレヘムでイエスがお生まれになった時よりもずっと前に始まっていたことは明らかです。というのは,ダビデの家系の人間の王たちがエルサレムで統治しなくなってからすでに長い時がたっていたからです。ダビデ王朝は,攻めて来たネブカデネザル指揮下のバビロニア軍がゼデキヤ王を王位から退けたときに,終わりを告げました。

      14 聖書に記されている明確な歴史を見れば,民とゼデキヤ王が悪かったためにどんなことが起きたかがよく分かります。このように記されています。「エホバの激怒がその民に向かって起こり,いやし得ないまでになった。そこで,主はカルデヤ人[バビロニア人]の王を彼らのもとに攻め上らせたので,彼はその聖所の家で剣をもって彼らの若者たちを殺した。……すべての者を[神はネブカデネザルの]手に渡されたのである。そして,真の神の家のすべての大小の器具,エホバの家の財宝,王とその君たちの財宝など,そのすべてを彼はバビロンに携えて行った。さらに,彼は真の神の家を焼き,エルサレムの城壁を取り壊した」。(歴代下 36:11,12,16-20)『踏みにじられること』はこの時に始まりました。

      いつまで「踏みにじられる」か

      15-17 (イ)ダビデの王国に対する「法的権利」を失ったのはだれでしたか。どのようにそれを失いましたか。(ロ)だれが再びその権利を得ますか。どの位の期間それを所有しますか。(ハ)したがってどんな関連した質問が生じますか。(ニ)ダニエルがこの質問に答えるのはなぜ順当と言えますか。

      15 預言者エゼキエルは,地上のエルサレムで統治するダビデの王統の最後の王ゼデキヤが王位から追われることを,次のように預言しました。

      「主権者なる主エホバの言われたことはこうである。『ターバンを取り除き,冠を取り外せ。これは同じではなくなる。……破滅,破滅,破滅,わたしはそれをなす。これに関しても,それは法的権利を持つ者が来るまで決してだれの者ともならないであろう。わたしは彼にこれを必ず与える』」― エゼキエル 21:26,27。

      16 ゼデキヤ王はその時にダビデの王国に対する「法的権利」を失いましたが,約束のメシアはその「権利」を再び得て,神の王国で「永久に」支配します。(ルカ 1:32,33)エルサレムを首都とする地上のイスラエル王国によって予表されたそのメシア王国が支配を開始するまでには,どのくらいの期間があったでしょうか。

      17 エホバ神はそれをご存じでした。ですから将来起こる他の多くの事柄を予告されたのと同じように,その時期をみ言葉の中に示唆することがおできになりました。「事物の体制の終結」に関する話の中で,イエスはダニエルの預言に何度か触れておられますが,その預言の中で,神は天と地に生じてくる多くの事柄を明確に予告しておられます。(マタイ 24:3,15,21,30とダニエル 9:27; 11:31; 12:1; 7:13とを比較。)それにダニエル書 9章24-27節にある「七十週」の預言は,メシアの最初の到来に関する正確な時間割を示していなかったでしょうか。では,同じ預言者がメシアの2度目の到来の時期を示すのは順当なことではありませんか。わたしたちに直接関係のあるこの預言的情報が記されているのはダニエル書の4章です。

      大規模な成就

      18 (イ)ネブカデネザルの狂気について一般の歴史が述べていないとすれば,その理由はどこにありますか。(ロ)神の言葉がここで述べていることに注意を払わねばならないのはなぜですか。

      18 ダニエルの預言の「七つの時」の最初の,そして予型的な適用についてはすでに調べ,ネブカデネザルが狂気になっていた文字通りの7年間に適用することを知りました。ネブカデネザルが7年間王座にいなかったことについて一般の歴史は詳しく述べていませんが,それは別に驚くべきことではありません。エジプトやアッシリア,バビロンなどの古代の記録は,支配者の体面を傷つけるような事柄が一切載せられていないことでよく知られています。それらが,神の霊感による言葉ほど信頼できない理由の一つはそこにあります。夢の幻が成就したことを確信させてくれるのは神の言葉です。預言の言葉はまたより広範な成就のあることを示唆していますが,それも同様に成就しました。ではそれはどのようにして成就したのでしょうか。

      19 この幻が,必然的に,異邦人の時の長さを知る助けになるのはなぜですか。

      19 注目すべき点は,その夢がバビロンの王,すなわち地上の予型的神の王国を覆して異邦人による世界支配を確立するための器として用いられた世界支配者に与えられたということです。また,その幻が与えられたのは,この記念碑的変化が生じた時,つまりエホバが主権を行使するのに用いた予型的王国が存在しなくなった時から何年も後のことではなかったようです。さらにダニエル書 4章は,『至高者が人間の王国の支配者であり,その望む者にそれを与える』という主題を繰り返し強調しています。(ダニエル 4:17,26,34,35)ですからわたしたちには,異邦人が地の支配を続ける期間に関する情報をこの幻に求める十分の理由があるわけです。

      20 わたしたちはどんな質問をしますか。そしてその答えをどこに求めることができますか。

      20 ダビデの家系の王が治める神の予型的王国が覆された時から数えて,神が再びダビデの王統と関係のある,そしてメシアを王とする王国を通してその主権を表明される時まで,どれほどの期間があるのでしょうか。ダニエル書 4章は,異邦人の時,つまり「諸国民の定められた時」の長さを測定する根拠となるものを提出しています。諸国民はこの期間に「エルサレム」すなわち神の王国を踏みにじるのです。―ルカ 21:24。

      21 ダニエル書 4章15-17節とヨブ記 14章7節はゼデキヤが王位から退けられた後の状態についてどんなことを示唆していますか。

      21 その踏みにじることは,ネブカデネザルがゼデキヤ王をエルサレムの王座から退けた年から始まります。その時以来,ユダの歴代の王によって象徴されたエホバの主権の行使は『切り倒された』ままでした。それは,ネブカデネザルの夢の,たがをかけられた木の切り株のように拘束されていました。野獣のような異邦人の諸強国は全地を支配しました。しかしその「木」には望みがありました。また『芽を出す』という望みです。それから,生きている人々は,『至高者が人間の王国の支配者であり,その望む者にそれを与えることを知る』のです。―ダニエル 4:15-17。ヨブ 14:7。イザヤ 11:1,2; 53:2と比較。

      22 王国の「木」は,いつ,どのように再び生い茂りますか。

      22 回復されたこの王国において,至高者はメシアによって支配します。それはメシアが完全な人間として初めて地上に現われ,ユダヤ人が彼を軽べつし,彼を退けて王と認めなかった時のことではありません。しかし木の切り株のたがは解かれ,王国の「木」は再び生い茂ります。それはこの「人間のうち最も身分の低い者」が,すべての国の民の天の王として栄光のうちに来る時です。その時,異邦人の時は終わり,世の王国は「わたしたちの主とそのキリストの王国」となります。―啓示 11:15。ダニエル 4:17,25。

      「七つの時」― どれほどの長さ?

      23 異邦人の時は今日にまで及んでいるに違いありません。なぜそう言えますか。

      23 ですから,異邦人の時に適用される「七つの時」が文字通りの7年よりずっと長いことは明白です。イエスが「事物の体制の終結」に関連して,この異邦人の時の終わりもしくは『成就』について語られたことを忘れないようにしましょう。(ルカ 21:7,24。マタイ 24:3)それで七つの時は,わたしたちの時代にまで及ぶものに違いありません。ではそれはどれほどの期間でしょうか。

      24 「七つの時」の長さについてはどのように説明できますか。

      24 啓示 12章の6節と14節を見ると,1,260日という期間が「一時と二時と半時」,すなわち1+2+1/2で合計三時半であることが分かります。したがって,「一時」は360日,すなわち各月を平均30日とする太陰暦の12か月です。「七つの時」は2,520日になります。「一年に対して一日,一年に対して一日」という聖書の預言的計算法は,七つの時が実際に暦年の2,520年という期間になることを示しています。(民数 14:34。エゼキエル 4:6)それゆえにこれが,「七つの時」― 異邦人の時 ― の持続期間となります。

      25 エレミヤ記 25章11節の「七十年」は,異邦人の時の始まりを測定するのにどのように関係してきますか。

      25 神の言葉を調べるなら,異邦人の時の始まった暦の上での日付を測定するのに助けになります。すでに述べたように,エホバは,バビロニア人がご自身の民を征服し,エルサレムとその神殿を破壊し,ゼデキヤを「エホバの王権の座」から除き,そしてユダヤ人をバビロンに捕らえ移すことを許されました。(歴代上 28:5)そのあと「第七の月に」起きた事件のために,その土地に残っていた少数のユダヤ人はエジプトへ逃げました。それでユダはその時完全に荒廃しました。(列王下 25:1-26。エレミヤ 39:1-10; 41:1-43:7)エホバの預言者エレミヤはその荒廃が70年間続くことを予告していました。(エレミヤ 25:8-11)それからエホバは『バビロンの王にその咎の責任を問い』,『ご自分の民をこの場所』,すなわち彼らの故国に『連れ戻されます』。―エレミヤ 25:12; 29:10。

      26 (イ)ダニエルはどんな出来事の目撃証人でしたか。そしてどんなことを悟りましたか。(ロ)回復に関するダニエルの預言が成就した年と月をどのように知ることができますか。(ハ)正確に言うとその日付はいつですか。

      26 ダニエル自身,流刑の身となってバビロンに何年も住みました。バビロンがメディア-ペルシャに破れた夜,ダニエルは,同市に対する自分の預言や他の多くの預言が成就するのを目撃しました。(ダニエル 5:17,25-30。イザヤ 45:1,2)歴史家たちはバビロンの陥落を西暦前539年10月の初めとみています。その後間もなく,ダニエルはエレミヤの預言から,70年の捕囚とエルサレムの荒廃がほとんど終わったことを悟りました。(ダニエル 9:2)ダニエルの考えた通りでした! ペルシャ王クロスの第1年 ― ほとんどの歴史家は西暦前538年の春に始まったと算定している ― に,クロスはユダヤ人が彼らの故国に戻って前のようにそこに住み,エホバの神殿を再建することを許す勅令を出しました。(歴代下 36:20-23。エズラ 1:1-5)霊感による歴史的記録を見ると,ユダヤ人はクロスの勅令に従って直ちに行動したため,「第七の月が到来したとき,イスラエルの子らはそれぞれの都市にいた」ことが分かります。(エズラ 3:1)現代の暦では,それは西暦前537年の10月になります。したがってその日付は,予告されていた70年の荒廃が終了した時を示すものとなります。

      27 (イ)それで70年はいつ始まったに違いありませんか。その時どんな出来事がありましたか。(ロ)「七つの時」はどれほどの長さでしたか。それでいつ終わったに違いありませんか。(ハ)ちょうどその時に他のどんな偉大な預言が成就し始めましたか。(ニ)「ものみの塔」誌はどんな情報を100年以上支持してきましたか。

      27 わたしたちにとってこの歴史的資料は,「諸国民の定められた時」の始まりを知るのに重要です。ユダとエルサレムの70年の荒廃が終わったのは西暦前537年ですから,それが始まったのは西暦前607年ということになります。それはゼデキヤがエルサレムにあった「エホバの王権の座」にすわらなくなった年です。ですからそれは異邦人の時の始まった年でもありました。西暦前607年の10月から計算すると,2,520年の「七つの時」が終わるのは西暦1914年10月の初めになります。すでに見たように,「事物の体制の終結」に関するイエスの偉大な預言が成就し始めたのはその時でした。この結論は神の言葉,聖書の中にある信頼できる資料に基づくもので,「ものみの塔」誌は今まで100年以上にわたりこれを支持してきました。

      28,29 (イ)一般の記録のどんな点を考えると,神の言葉の中に詳細な事柄が保存されていることに感謝を覚えますか。(ロ)異邦人の時の終わった時として他の日付よりも1914年10月の方を取る強い理由があるのはなぜですか。

      28 エホバが,西暦前6世紀のユダヤ人やバビロニア人,メディア・ペルシャ人などに関する,必要とされる詳細な点の明確な描写を,霊感によるみ言葉の中に保存されたのは,ほんとうに感謝すべきことです。さもなければ,その時代の一般の記録は確かに不備ですから,当時起きた出来事の正確な時をつなぎ合わせることは困難になるでしょう。

      29 しかし中には,おもにそのような一般の記録を根拠にして,エルサレムは西暦前587年から586年にかけて滅ぼされ,ユダヤ人はネブカデネザルの即位した年にバビロニア人に支配されるようになったと計算する人もいます。彼らはその時を西暦前605年と算定します。b ですから西暦前605年が,エレミヤ記 25章11節の,「地は皆荒地となり,彼らは異邦人の中で七十年間仕えるであろう」という言葉の成就し始めた年であると考えています。(バグスター社のギリシャ語セプトゥアギンタ)もしそれが正しく,異邦人の時がその年から数えられるとすれば,預言的「七つの時」は,世界戦争の行なわれていた1916年に終わったことになります。しかしわたしたちは,先にも述べたように,神の霊感による言葉の中の情報を受け入れるべき理由の方がずっと強いと信じています。そしてそれは,異邦人の時の始まりが西暦前607年の10月,そして終わりは西暦1914年の10月であることを示しています。

      30 どんな出来事が組み合わさって,1914年からの期間が「終わりの時」であることを明らかにしていますか。

      30 西暦29年におけるイエスのメシアとしての到来,また1914年から始まる栄光に輝く天の王としてのイエスの「臨在」の時期をきわめて明瞭に示す預言を,神がみ言葉の中に記録しておかれたことを,わたしたちはほんとうにうれしく思います。「事物の体制の終結」の時が経過する間に,わたしたちの周囲では,イエスが用心していなさいと言われた状態がますます悪化して行きます。世界大戦,飢きん,疫病,地震,不法,愛の欠如,憎しみ,聖書を擁護する者たちに対する迫害 ― これらが組み合わさってわたしたちに「終わりの日」を教えてくれているのです。―テモテ第二 3:1。マタイ 24:3-12。マルコ 13:7-13。

      千年統治 ― いつ?

      31 (イ)イエスはわたしたちの時代に対してどんな助言を与えておられますか。なぜですか。(ロ)わたしたちはどんな質問をしたくなりますか。エホバの答えはどんなものですか。

      31 この恐るべき状態はどれほど続くのでしょうか。キリスト・イエスは戦士なる王として即位しておられますから,神の敵に裁きを執行されるのはそれほど先のことではないと信じるだけの理由があります。「その日または時刻についてはだれも知りません」から,憶測するのはむだなことです。しかし,「見張っていなさい」というイエスの助言には注意を払わなければなりません。(マルコ 13:32。マタイ 24:42)地上の状態が悪くなっていくのを見,一般の人々が王国の良いたよりにいかに無関心であるかを経験すると,神の預言者と同じように,自分たちの行なう伝道について,「エホバよいつまでですか」と尋ねたくなるかもしれません。これに対してエホバは次のように答えておられます。

      「都市が実際に崩壊して廃墟となり,住む人もなく,家々に地の人が絶え,土地も破壊されて荒廃(する)まで」。(イザヤ 6:10-12)

      エホバはご自分が定めた時に,まずキリスト教世界に対して,それからサタンの世の他の部分すべてに対して,この裁きを執行されます。そしてその後すぐにキリストの平和の千年統治が始まります。―啓示 20:1-3,6。

      「この世代」とはどの世代?

      32 マタイ 24章34節を考えるとどんな質問が生じますか。

      32 「しるし」に関する偉大な預言の中でイエスは,「あなたがたに真実に言いますが,これらのすべての事が起こるまで,この世代は決して過ぎ去りません」と断言しておられます。(マタイ 24:34)イエスは1世代がどれほどの長さかを明確に述べておられないので,わたしたちは「この世代」という言葉をどのように解釈すべきでしょうか。

      33 (イ)イエスの時代の「世代」とは何でしたか。(ロ)それに対応して,1914年から1918年の「世代」については何と言えますか。

      33 イエスの時代には,イエスの言葉を聞いた弟子たちの一部,またイエスと同時代の他の人々が,ユダヤ人の事物の体制の最後の「患難」の後まで生き残りました。彼らはイエスの時代の「世代」でした。この本を書いている現在,アメリカだけでも,1914年から1918年の「苦しみの劇痛のはじまり」をその当時すでに気付く年齢に達していた人たちがまだ1,000万人以上生きています。その人たちはこれからまだかなり生きることでしょう。しかしイエスは,「この世代」が過ぎ去らないうちに,「人の子」として到来し,サタンの事物の体制に裁きを執行することを約束しておられます。(マタイ 24:8,21,37-39)その『王国の来る』ことを予期して,わたしたちは常に目ざめていなければなりません。―ルカ 21:31-36。

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