「われこゝにあり 我をつかはしたまへ」
― エホバの証人の1967年度年鑑から
韓国
伝道者最高数: 6,005
人口: 28,647,176
比率: 4,771人に1人
韓国のエホバの証人は,京城で開催された「神の自由の子たち」地域大会を心ゆくまでたのしみました。神がご自分の民に与える自由は,もっとも貴重なものであり,注意深く忠実を保つ者からうばい去ることのできないことを,出席者全員は悟りました。韓国におけるプログラムは,世界各地のものと同じでした。すべての兄弟たちは,この大会で,残された時を最大限に用いることの緊急さを感じて,励まされました。多くの大会出席者は,大いなるバビロンを含む古い事物の制度から離れ,エホバの組織につき従うよう,うながされました。朝鮮戦争後の1951年にわざが再組織されて以来,神の国の音信を学ぼうとする人は増加してきました。しかし,真理を聞き,神に献身した者を失わないようにすることが問題でした。次に支部のしもべから送られた,興味深いいくつかの経験をおしらせしましょう。
韓国は発展の途上にある国であり,経済開発の進歩を遂げています。物質主義の誘惑はかつてなかったほど大きく,また,多くの青年や親は高等教育を,御国の関心事よりも重要視しています。不信者の家族の反対はいまだに大きな問題となっています。クリスチャンの中立の問題でつまずく者もいます。他の者は良いわざをするための忍耐に欠けています。個々の事情はともあれ,1966奉仕年度中,組織に交わるようになった人,6人に対して献身した人の中で5人が不活発になりました。それで弱い人々が忍耐するよう,個人的な援助をさしのべる必要があり,監督や補佐のしもべは,そのために努力しなければなりません。韓国ではもっと多くの開拓者が必要です。それで,親が子供を励まし,開拓者精神を培わせることによって,このわざを拡大できます。浦項の一姉妹は,高等学校を卒業するとさっそく開拓奉仕を始めました。最近開かれた大会で,姉妹はその理由を述べました。彼女は,開拓者精神に燃えている両親に育てられたのです。彼女の父親は監督であり,高等学校の専任教師であるにもかかわらず,何年間も正規開拓奉仕を続けています。彼女の家では子供たち全部が開拓者になろうと考えていると述べました。韓国の学生が望む高い教育,すなわち外国留学の機会もこの姉妹にはありましたが開拓者としての生涯を選びました。また別の姉妹は開拓者になりたいと思いましたが両親が反対しました。というのは,弟や妹たちを養育するには姉妹の経済的な援助が必要でした。それから5年間,姉妹は,全時間奉仕をしても家族を助けることができるのを知ってもらうため,とびとびに休暇開拓をしました。遂に反対を克服した姉妹は,現在よろこびの中に開拓奉仕にたずさわっています。
特別開拓者が働くには遠すぎたり,小さすぎたりする村に多くの韓国人は住んでいます。新しい群れができ,会衆に成長してゆくのは,おもに大きな区域に住む伝道者が自分の故郷に戻るか,短期間の訪問で御国の音信を地方の村々に伝えるためです。一兄弟は,戸数80の自分の故郷に帰り,すべての家で証言しました。いつでもそうですが,先祖崇拝に関心のある人々の間にさっそく問題が起こり,村の老人たちは猛烈に反対しました。興味を持った者の中には,伝道者の弟がいました。両親は反対し,仏教徒の母親は,むすこの伝道のじゃまをしようとして,兄弟が伝道したすべての人をたずねました。のちに巡回のしもべは興味を持った人々を訪問し,公開講演を行ないました。出席した一人の老人は,終わりに,立ち上って「わたしたちは死者の道を歩むよりも生命の道を歩むべきです」と述べました。真理に関心を持った人々は,全部の老人ががん固に反対していると思っていたので,尊敬されていた81歳のこの老人の発言に励まされました。集会が終わり,伝道者の父親はむすこをいましめようと入って来ましたが,老人は帰宅するように父親を説得し,また,若い兄弟には,父親を悪く思わず,キリストのように耐えることだとさとしました。年よりでも,神の言葉を聞いて感化されます。
残された時が少なくなって行くので,この世の仕事とエホバへの奉仕との正しい平衡を保つことはこれまで以上に重要なことです。韓国では,午前8時から午後5時までの仕事にたずさわる人はごくまれです。生活のため,ほとんどの人は,日曜日も休まず12時間から16時間働きます。原州の監督は大工でした。大工はいつ呼ばれても仕事に出なければなりません。彼は仕事のためひんぱんに出かけなければならないので,野外奉仕や集会に出席する神権的な計画が妨害されることに気づきました。それでこれまでのようなやり方はやめて,御国の事柄を第一にしました。仕事を犠牲にしても,神権的な計画を曲げない決意をしたのです。その決意をみた顧客たちは,彼に都合のよい時間に仕事を頼みにくるようになったので,彼の生計にはなんの支障もきたしませんでした。
奉仕年度の終わりに,2週間の新しい御国宣教学校の最初のクラスが始まりました。このクラスは巡回のしもべや地域のしもべのグループであって,兄弟たちはこのとりきめに感謝し,また,すべての兄弟はベテルの家で学ぶことや増築された支部の新しい御国会館とか施設を使用することの便利さについて語っていました。新しい奉仕年度中,1カ月に1つのクラスが開かれるので,ベテルの家族は韓国の各地から来る兄弟たちとの交わりをたのしむでしょう。
台湾
伝道者最高数: 1,096
人口: 12,000,000
比率: 10,949人に1人
台湾においては,エホバの組織と交わる人々をはじめ,神の真理に接したことのない幾百万という人々の間でしなければならない仕事がたくさんあります。人口25万を越すというのに,いまだに伝道されていない市が幾つもあります。神の御国の福音を宣明するためにそういった町々に出かけて行った人はだれもいませんでした。エホバの祝福とご援助により,生命の道を学ぶ真理の音信が,このようなたくさんの町にまで行きわたるようエホバの証人は望んでいます。こういった町に協会から派遣された宣教者は,そこでのわざに感謝し,また,土地の兄弟が円熟してゆくすばらしい進歩を認めてよろこんでいます。また新しい人がエホバの民と交わるのはかれらにとってうれしいことです。つぎに支部のしもべから寄せられた幾つかの経験をおしらせしましょう。
台湾では,聖書の高い原則に一致した生活をするよう熱心な努力が払われた結果,ここ二,三年間に伝道者が減少しましたが,この減少は昨年は緩和されました。しかし台湾全島ではなお4パーセントの減少です。長い間,組織と交わっていても聖書の知識にきわめてとぼしく,また会衆内で読み書きのできる者があまりいない部族の兄弟たちの間で減少が見られました。会衆内のいろいろな教えは,アミ語や他の部族語に通訳できる兄弟にかかっていましたが,翻訳者は4年間の学校教育しかうけていないため,ほとんどの場合,思うような翻訳はできませんでした。昨奉仕年度の後半にアミ族の兄弟を教育する努力が払われ,ローマ字を使って書く新しい方法を約1000人の兄弟が学びました。これと同時に,アミ語の最初の聖書研究の手引きである「御国のこの良いたり」が備えられ,また御国奉仕や神権宣教学校の資料もローマ字を用いて印刷が始められました。現在この結果に勇気づけられ,兄弟たちがさらに読む技術を習得し,真理の正確な知識を得てひき続き良い結果が得られることが期待されています。
兄弟たちが新しい方法で書くことを学ぶ以前に一会衆を訪問した一人の巡回のしもべは,幾つかの会衆がこの方法によってどれほど益を得ているかを述べています。というのは,兄弟たちに奉仕会や学校の割りあてがなされ,準備ができているものと巡回のしもべは信じていましたが,集会が始まっても割りあてを準備している者が一人もいないばかりか,その資料を理解しているものが一人もいなかったのです。「私だけでなく,全員が落胆しました」と彼は述べました。「こんな状態で定期的に集会を開いている兄弟をどうやって援助しようかと私は途方にくれたのです。しかし兄弟が新しい書き方を学んだので援助の道は開かれました。御国奉仕やほかの出版物を集会でどのように用いるかを,しもべたちに教える課程を開きました」と彼は手紙にしたためています。次の訪問で,翻訳者をとおさずに研究の資料が準備された集会に参加できた彼のよろこびと驚きはどうだったでしょう!「より多くの兄弟たちが読めるように学ぶので,アミ族の兄弟が円熟することはうたがいありません」と彼は結んでいます。
「ものみの塔」誌やほかの出版物の中で教えられている聖書の真理が人の考え方を大きく変化させることは,新しい宣教者の述べる経験からわかります。姉妹は台湾で宣教を始めて2ヵ月目に,大学卒業直前の学生から予約を得ました。この学生は雑誌を熱心に読みました。また宣教者と家庭で聖書を学び,さらに集会にも出席しはじめたのです。宣教者は次のように述べています。「彼女は聖書から学ぶすべての事柄に驚いていました。血の神聖さについて学ぶと,彼女は毎日の生活にその原則を適用しようとしました。今彼女は,母親や兄が食べる血の入った料理を口にしません。彼女が死んだ父親を崇拝できないと母親に話すと,母親は『おまえに生命を与えたお父さんを忘れるということですか』と言って叱りました。『そうではありません。私が崇拝しなければならないのはエホバ神なので,死んだお父さんをおがむことはできません。でもエホバはお父さんを復活させてくれるでしょう』と彼女は答えました」。この女性や彼女のような立場をとるほかの人々は,エホバについて何も知らない幾百万という人々に,生命を与えるエホバの正義のご要求を教える奉仕者になることが期待されています。