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結婚せずに同棲する目ざめよ! 1981 | 4月22日
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思いやりのあることだと誠実に考える人々もいます。
しかし,結婚せずに同棲すれば,物事を成し遂げたという満足感や期待されていた幸せを必ず得られるでしょうか。一般に結婚よりも同棲の方が優れた生き方に寄与すると言えるでしょうか。次に掲げる一女性の経験を注意深く考慮してみましょう。この女性の経験は,こうした生き方を選ぶ人々の間では少しも珍しいものではありません。
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つらい経験から学ぶ目ざめよ! 1981 | 4月22日
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つらい経験から学ぶ
ここに掲げる経験を語ったオーストラリアのある母親は,一度結婚して失敗した後,別の生き方を試してみました
私は結婚の恩恵に浴すことなくほぼ3年間一人の男性と同棲しました。どんな結果になったと思われますか。正直言って,それは情緒的にも心理的にも私の人生の最悪の3年間でした。
私たちは,そうした関係に入った際,『同じ失敗はもう懲り懲り』とか,『一緒に暮らしてみなければ分からない』と言った,現在では月並になっているように思える考えを抱いていました。それで,うまくゆかなくなれば,裁判所で離婚調停をしてもらうよりも,容易にその関係を絶てると思ったのです。
不安感が問題となる
ところが,ほかならぬそうした考えが問題の原因となったのです。最初から不安感がわき起こりました。来年の今ごろ,あるいは来月でさえ相手が依然として自分と一緒にいるかどうか全く分からないのに,どうして安心していられるでしょうか。
内縁関係という言葉には,一時的な関係という響きが非常に強くあります。だれかほかの人がやって来て,この関係が同じほど容易にその人のものになってしまうのではないかという恐れが常にあります。つまり,ねたみというあの恐ろしい,破壊的な感情が常に根底にあって,今にも爆発しかねない状態にあるのです。
ほかの問題
確かにいつも緊張していました。相手を引き離すような言動をしてはいけないといつも注意しているので,気を休めるいとまがありません。また,言い争いをすると,必ずと言っていいほどどちらかが感情面で脅しを加え,『もう出て行く』と言って終わることになるので,恐れの気持ちがありました。
内縁という表現が私にとって一番大きな問題でした。その言葉を聞くと自分が安っぽく思えました。法的な理由で自分の立場を説明しなければならないことがかなりしばしばありましたが,その度に自尊心を傷付けられました。自分は決して不道徳な人間ではなく,移り気なタイプの女でもないことを必死になって説明したものです。しかし,言うまでもなく,相手が一人であるか数人であるかの違いはあっても,不道徳であることには変わりありません。そのために自分の良心がかなり痛みました。
心理面の障害もでてきました。それは抑うつ感,自分は無価値だという気持ち,果ては自殺を考えることなどに表われました。こうした関係を絶ってから5年を経た今でさえ,恥ずかしさや清くないという気持ちがこみ上げてきて頭の中からその記憶を永久に消し去ってしまいたいと思うほどです。しかし,それはできません。創造者が言われるとおり,『わたしたちは自分のまいているものを刈り取る』ことになるからです。その最後の結び付きの結果である男の子を見る度に,毎日のように思い起こさせられます。
この生きた形見があるだけではありません。この子が産まれた時に,子供のためを思って私は自分の姓をこの子の父親の姓に改めました。この子と最初の結婚の際に産まれた二人の子供を偏見から守ってやれると思ったからです。世間体は私が二度結婚したように見えます。しかし,その名前で呼ばれる度に,自分が不正直であることを身にしみて感じさせられるにすぎません。
過去を振り返ってみて
振り返ってみると,自分の名声を傷付ける以上のことをしてしまったのに気付きます。3人の子供たちを学校で他の子供たちにいじめられるような立場に置いてしまいました。それはすべて母親の品行が悪かったからであり,子供たちはもちろんそれを否定できません。子供たちもきっと恥ずかしい思いをしたに違いありません。
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結婚に代わるものの是非を考える目ざめよ! 1981 | 4月22日
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結婚に代わるものの是非を考える
前の記事の中に語られていたような経験が生じることを大抵の人は認めます。しかし,問題や思い煩いに満ちた結婚が多いことも指摘されています。
確かにそのとおりです。地球上ほとんどすべての国で離婚が増加しているのはその証拠です。
しかし,それだからといって,結婚せずに同棲する方が,幸福に至るより優れた永続的な道であると言えますか。
どちらの方が強い絆か
拘束された関係よりも選択による関係の方が強いと言われます。しかし,どちらの方が本当に強い絆でしょうか。その日限りの約束で結ばれた関係を,対処したくないと思う事柄が起きる時まで続けることですか。それとも,予見できない状況が生じてもそれに順応する備えができており,可能な限り続いてゆく関係ですか。
問題の多くはどちらにも共通しています。どこに住むか,互いにどの程度主体性を行使すべきか,どんな性の営みを受け入れるか,子供をもうけるかなどは,結婚している人にも結婚せずに同棲している人にも共通する問題です。
しかし,結婚の誓いがないと,さらにほかの問題も加わります。例えば,大きな買い物をする場合にどんな物をだれのお金で買いますか。自分たちが結婚していないことを知って良いのはだれで,知ってはならないのはだれでしょうか。どちらかの友人を家庭に招く場合,どんな人を招き,互いにどのように紹介したらよいでしょうか。家族や,身近な親族にはどのように接したらよいでしょうか。これらは結婚の誓いがないと,一層困難になる問題の幾つかの例にすぎません。
誓いの価値
28歳の一教師は,同棲していた女性と後に結婚しましたが,次のように語っています。「2年ほどして,自分が宙ぶらりんの生活をしているのに気付くようになりました。同棲は何ら将来の方向付けを与えてくれません……家を買うかどうか,休暇にお金を浪費してしまうか,それとも子供が産まれた時のために貯金をしておくかなどを決めかねていました。今ではどちらも荷物をまとめて出て行く自由はなくなりましたが,その代わりに計画を立てることができるようになりました」。
34歳の一女流作家はこう述べています。「時代遅れなのかもしれませんが,結婚の誓いをした方が安心していられます。男性の方が突然離れて行って関係が終わることが非常に多かったので,今一緒に住んでいる J ―― も去って行ってしまうのではないかと心配で仕事もろくにできません。互いに公然と認め合っている安心感とどんなことがあっても離れずにいようとする間柄が好きです」。
確かに,結婚してその絆の下に全面的に身を置いたとしても,そのことで問題が和らげられるわけではありません。しかし,結婚の誓いがあればそうした問題を解消するよう努力し,うまくゆかないからといってすぐにあきらめてしまうことがあってはならないという責務を一層強く感じるのに役立ちます。結婚をする前は,同居していた女性との口論が絶えなかったという一人の夫はこう語っています。「結婚してからは,けんかをしないよう一層努力するようになっています。お互いが努力しています。互いに誓いを交わしその関係を保つ決意を抱いたのですから,そのことで争うのは理にかなったことではありません。以前は別れると言って脅すのが常でしたが,今ではそうしたことをしなくなったように思います」。
オハイオ州立大学(米国)のナンシー・クラットウォージー博士によると,結婚前に同棲を経験していない夫婦は「幸福を味わい,成功を収めることが多く,離婚する率が低い」とのことです。オーストラリアの211組のカップルを対象にした調査は,「同棲している者たちは……結婚することについて話し合うよりもその関係を終わらせることについて話し合う方がはるかに多い」という事実を明らかにしています。その報告によると,そうした関係を保とうとする決意が弱いと,「結婚している者たちの場合よりも相手を好みまた愛するという気持ちが薄らぎ,相手に対する性的な貞潔さも低下する」と言われています。
子供たちが関係している場合
子供たちの心身の福祉に一番よいのは,親の間にどんな関係がある場合でしょうか。愛情が注がれ,正しく扶養され,しつけが与えられる,安定した,二親のそろった結婚関係が最もよいに違いありません。
結婚せずに同棲する人の多くは,妊娠したら結婚するという約束を交わします。しかし,予想外の妊娠は結婚の良い土台になるでしょうか。妊娠しても相手が結婚しようとしない場合が非常に多く見られます。自分の子供に私生児のらく印を押すのは,本当に成熟した大人のすることでしょうか。
証拠の示すところによると,自分の親が結婚していないことを知っている子供たちは,片親の欠けた子供たち同様,成長してから一般に人を信用しなくなります。そうした子供たちは自らも永続する関係を結ぶことができなくなる可能性が強く,愛の価値を全く信じなくなることもあります。
愛ある父親や母親がいると,子供の成長や安定性に大きな違いが出てきます。英国の児童精神科医アーサー・グレアム
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