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魂を得るに至る信仰を行いにあらわすものみの塔 1963 | 10月15日
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伝道するつもりで始めましたが,あまり聞かない人ばかりなので,ある日すっかりがっかりしてしまい,まだ二,三軒残っていましたが,『ここにもどうせ「羊」はいないだろう』と考えました。しかしそのまま地図のカードを区域の僕に返すのはどうしても良心が許さず,ともかく行ってみるべきだと思いました。自分の良心が良い導きになったと言えます。というのは,その残された区域の中で『失われた羊』を一人見つけたからです。その人は他の土地から私たちの区域に移って来てそのまま不活発になっていた伝道者でした。その人はまず第一に『神を真とすべし』の本を復習することを望み,早速勉強を取りきめました。間もなくこの人は会衆とまじわるようになり,再び活発な伝道者になりました。残った二,三軒を勇気を出して伝道したことを非常に喜んでいます」。
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読者よりの質問ものみの塔 1963 | 10月15日
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読者よりの質問
● 「新世訳」はなぜ,東の方から子供のイエスを見にきた男たちを占星家としていますか。(マタイ 2:1)ストロングのギリシャ語辞典によると,この言葉は「マゴス」で,『魔術師,すなわち東洋の科学者,暗に魔法使』を意味していますが。―アメリカの一読者より
「マゴス」はマギ族の人あるいはマギ僧を意味するので,多くの聖書,たとえば「ニューベリー・スタディ・バイブル」や「アメリカ標準訳」などは,マタイ伝 2章1節の欄外や脚注で「マギ僧族」と説明しています。一方,いくつかの訳は,「マギ僧族」という語を本文に使っています。その例として,「ウエイマウス訳」「カトリック・コンフラタニティ」などがあります。では,マギ僧族とはどんな人たちだったのでしょうか。そしてどんなことで世に知られていたでしょうか。
多くの辞書は,マギ僧族のことを,古代メデアとペルシャの僧侶階級であったと述べています。「インペリアル聖書辞典」は,マギ僧族の背景について,かなりの資料を提供しています。
「ヘロドトスによると,マギ僧族はメデア人の一種族であった。彼らは夢を解き明かすと主張し,また聖なる儀式を司ることを正式に任かされていた。はやく言えば,学問のある祭司階級で,書物を解する能力,星を観察する技術,将来の出来事を予見する超自然の力をもっていると考えられていたので,非常に強い権勢をもつようになり,重大な事柄が彼らの意見を問わずに行なわれることは決してなかった。これと同様なことを行なった者がバビロニヤ人のなかにいたのか,あるいはメデア人がそこに帰化したのか不明であるが,マギ僧族の名前をもち,ペルシャ人のあいだにおけると同じほどの地位をもつ一階級がバビロンにもいたことは疑問の余地がない。それどころか,彼らはそこでいかにも太平に暮していたようにみえたので,ギリシャ人やローマ人の間では,カルデヤ人という語は,マギ僧という語とほとんど同義語になっていた。そして聖書は,バビロニヤ人が,その種の秘法に関する学問を重要視し,またそれらを超自然の術と考えていたことに言及している。マギ僧族はそれで有名であった。たしかに,後の研究は,発達しきったマギ教の中心地を,メデヤとペルシャよりもむしろバビロンとする傾向がある。『メデヤの僧侶はもともとマギ僧族とは呼ばれていなかった。……しかし,カルデヤ人からこのマギ僧族という名を受け,それが彼ら僧侶階級の名になった。したがってわれわれは,ヘロドトスが,マギ僧族はメデア人であったと言っていることを,以上のように説明しなければならない』」。
「マゴス」にはたしかに「東洋の科学者」という意味もあります。しかしマギ僧族がそれで名をなしていたという科学はどんな科学だったでしょうか。今日理解されているような科学でしたか。そうではありません。それはむしろ魔術と占星術を混合したようなものでした。預言者イザヤは,バビロンとそのマギ僧族について,「あなたが若い時から勤め行なったあなたの魔法と,多くの魔術とをもって立ちむかってみよ,あるいは成功するかもしれない,あるいは敵を恐れさせるかもしれない。あなたの多くの計りごとによってうみ疲れた,かの天を分かつ者,星を見る者,新月によって,あなたに臨む事を告げる者を立ちあがらせて,あなたを救わせてみよ」と述べています。―イザヤ 47:12,13,新口。
それで,昔のマタイ伝の読者は,マタイ伝 2章1節の「マゴス」という言葉を,占星家を指すものと正しく解釈しました。ジャスチン,オリゲン,ターツリアンなどがそうです。たとえばターツリアンは次のように書いています。「われわれは,魔術と占星術の相互関係を知っている。それで,星を占う者が最初に……彼[イエス]に『贈物』を贈った」。(ザ・アンテーナイシン・ファーザース,第3巻,65頁)「マギ僧族」という名前は,「東洋の占星家の総称として」通るようになりました。―「ザ・ニュー・ファンク・アンド・ワグノールス・エンサイクロペディア」,第22巻,8076頁。
ですから,マタイ伝 2章1節の「マギ僧たち」すなわち「博士たち」が占星家であったことはまず間違いありません。彼らは空の光,つまり動く星のように見えたものによって導かれたではありませんか。(マタイ 2:2)これは,そのマギ僧たちが占星家であったことを示す強い状況証拠です。チャールス・B・ウイリアムスの「新約聖書」は,マタイ伝 2章1節が「占星家」となっていて,「すなわち,地上の出来事に関連する星を研究する者」という脚注がついています。それで,「新世訳」ばかりでなく,ほかに3つの現代英語に訳された聖書,すなわち「アメリカ訳」「新英訳聖書」,J・B・フィリップによる「現代英語の新約聖書」のマタイ伝 2章1節もみな「占星家」となっています。
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