-
奉仕の僕たち ― エホバの民にとって祝福ものみの塔 1985 | 9月15日
-
-
奉仕の僕たち ― エホバの民にとって祝福
「その人たちがふさわしいかどうかまず試し,とがめのない者であるなら,奉仕者として仕えさせなさい」― テモテ第一 3:10。
1 会衆の幸福と一致を確かなものにするのに役立っているのはだれですか。
エホバは「幸福な神」であり,ご自分の僕たちが幸福であることを望まれます。(テモテ第一 1:11)その目的にかなうよう,神はご自分の民に対する祝福として長老と奉仕の僕を備えてくださいました。責任の重いこれらの男子は有益な目的に貢献しており,クリスチャン会衆の幸福,一致,円滑な働きを確かなものにするのに役立っています。エホバの証人は,神の神権組織の中で,任命を受けたこれらの人たちが行なう愛ある有用な奉仕を深く感謝しています。
2 長老と奉仕の僕はどんな態度を持つべきですか。しかし,何を決して見失うべきではありませんか。
2 しかし,長老と奉仕の僕は会衆に大きく貢献してはいても,自分自身の重要性を誇示してはなりません。イエス・キリストが追随者に対して謙遜であるよう諭された事実を思い起こさなければなりません。イエスはかつて追随者にこう言われました。「だれでもこの幼子のように謙遜になる者が,天の王国において最も偉大な者なのです」。(マタイ 18:4)そして弟子ヤコブは,「エホバのみ前にあって謙遜になりなさい。そうすれば,あなた方を高めてくださるでしょう」と書きました。(ヤコブ 4:10。ローマ 12:3)しかし,謙遜な態度を持つと言っても,これらの男子に対して,長老また奉仕の僕としての働きの重要性を軽視することが求められるわけではありません。謙遜であり,同時に奉仕の活動において率先することができます。それらの男子は自分たちの活動が貢献している有益な目的を見失ってはならず,むしろエホバとクリスチャンの兄弟たちに対する責務を絶えず思い起こし,自らの務めを果たす点で可能な最善の事柄を行なわなければなりません。
3 エホバの証人の間の一致した活動は何に例えることができますか。献身した男子は,どのようにそうした一致と王国の関心事の促進を推進できますか。
3 今日のエホバの証人の間の一致した活動は,人体の一致に例えることができます。実際,使徒パウロはキリストの霊的な体を,多くの肢体で成る人体になぞらえています。しかし,体のすべての肢体は互いの益のために共に働きます。(コリント第一 12:12-31)ですから,任命された長老と奉仕の僕はエホバの民にとって確かに祝福です。これらの男子は,今日のクリスチャン会衆の一致した働きを促進するからです。(コロサイ 2:18,19と比較してください。)『監督の職をとらえようと努める』ことにより,エホバの組織上の取り決めを支持することに励む会衆内の献身した男子の成員は,クリスチャンの一致や,王国の関心事の促進に大きく貢献しています。(テモテ第一 3:1)しかし,そもそもクリスチャンの男子はどのようにして奉仕の僕となるための資格を得るのでしょうか。
『ふさわしいかどうかまず試される』
4 (イ)奉仕の僕となる見込みのある人が『ふさわしいかどうかまず試される』べきなのはなぜですか。(ロ)それらの男子は進んでどんなことを行なうべきですか。
4 使徒パウロは,男子が奉仕の僕として任命される前に求められる事柄を,同労者であったテモテに告げました。その中でパウロは特に,「その人たちがふさわしいかどうかまず試し,とがめのない者であるなら,奉仕者として仕えさせなさい」と書きました。(テモテ第一 3:10)そのようにすれば,資格のない男子,つまり基本となる聖書的な特定の要求にかなっていない人々を任命してしまうことを防げます。さらに,奉仕の僕となる見込みのある人々の動機を見定める時間が与えられることになります。もちろん,これらの男子は名声を得たいという欲求を動機としていてはなりません。それは謙遜さの欠如を示すことになるからです。むしろ,兄弟であれば,神に対するクリスチャンの献身が無条件かつ包括的なものであることを認識し,神の組織内でエホバがふさわしいとご覧になるどんな立場においても進んで仕えるようでなければなりません。確かに,奉仕の僕になる見込みのある人々は,「ここにわたしがおります! わたしを遣わしてください」と述べた忠実なイザヤのように,進んで仕えなければなりません。―イザヤ 6:8。
5 (イ)テモテ第一 3章8節には奉仕の僕に対するどんな要求が記されていますか。(ロ)「まじめ」であるとはどんなことを意味していますか。(ハ)奉仕の僕は「二枚舌を使ったり」せずと述べたパウロは何を言わんとしていましたか。
5 「同様に,奉仕の僕たちもまじめで,二枚舌を使ったりせず,大酒にふけらず,不正な利得に貪欲でなく」と,パウロは説明しました。(テモテ第一 3:8)奉仕の僕の中に比較的若い人がいるとしても,彼らは若者ではなく,「まじめ」でなければなりません。重要な事柄をまじめに考えることを学んでいなければなりません。(箴言 22:15と比較してください。)信頼の置ける良心的な人で,責任を軽く見るような傾向のある人であってはなりません。まさに,頼りになり,自分の務めをまじめに考える人であるべきです。結局のところ,エホバへの神聖な奉仕以上にまじめに考えるべき事柄があるでしょうか。それは,自分たちにとっても他の人にとっても,生死にかかわる問題なのです。(テモテ第一 4:16と比較してください。)加えて,奉仕の僕は『二枚舌を使っては』ならないと述べたパウロが言わんとしていたのは,奉仕の僕は正直な,真実を語る人であり,うわさ話をせず,偽善的でなく,ねじくれていてはならないということでした。―箴言 3:32。
6 奉仕の僕はどのような幾つかの点で平衡を保っていることをはっきり示していなければなりませんか。
6 奉仕の僕となる資格のある男子には,個人的な生活における正しい平衡が絶対に必要です。奉仕の僕は「大酒にふけらず」,「不正な利得に貪欲」であってはならないと述べたパウロは,酩酊・貪欲・不正を避けるべきであると言おうとしていたに違いありません。これらのクリスチャンの男子は,自分たちが快楽や物質的な物に過度に関心を抱いているという印象を与えることさえ慎まなければなりません。生活の中で霊的な事柄を第一にするよう絶えず努力すべきです。そうすれば,仲間の人間の前で,さらに重要なこととして神の目の前で「清い良心」を保つ助けが得られます。―テモテ第一 3:8,9。
7 (イ)奉仕の僕の責任が若い人たちのために意図されたものではないとなぜ言えますか。(ロ)奉仕の僕が独身であるという事実は当人について何を明らかにするかもしれませんか。
7 奉仕の僕たちが担うことになる重い責任は,若い人のために意図されたものではありません。これらの男子は聖書の中で,結婚して家族をもうけることのできる年齢の人として言及されています。そのような状況にある奉仕の僕は,「子供と自分の家の者たちをりっぱに治めている」べきです。(テモテ第一 3:12)これは,若い人はまず結婚して家族を養うようにならなければ奉仕の僕の資格を得られないという意味でしょうか。決してそのようなことはありません。事実,十分な準備もなく,あるいはバプテスマを受けたふさわしいクリスチャンの伴侶が見つかる前にあわてて結婚することをいとう態度は,個人的な問題や,それよりはるかに重要な会衆内の責任を正しく顧みるために必要なある程度の円熟性を表わすものと言えるかもしれません。
8 テモテ第一 3章13節およびマタイ 24章14節と関連して,奉仕の僕にはどんな責任が課せられていますか。
8 パウロは,「りっぱに奉仕する人は自分のためにりっぱな立場を得,キリスト・イエスに関する信仰にあって少しもはばかることなく語れるようになるのです」と述べました。(テモテ第一 3:13)必要とされている『少しもはばかることなく語れる態度』を示す一つの方法は,「王国のこの良いたより」を宣べ伝える業に積極的に参加することです。(マタイ 24:14)それらの兄弟たちは,家から家に宣べ伝える業や他の形の宣教にあずかることに率先する面で,長老たちと同様,自分たちにも責任があるということを悟らなければなりません。(使徒 5:42; 20:20,21)サタンの邪悪な体制の終わりが急速に近づいているので,宣べ伝える活動はますます緊急性を帯びてきています。したがって奉仕の僕たちは野外宣教において優れた個人的な模範を示すことにより,王国を宣べ伝える業の緊急性を会衆の前でいつも示さなければなりません。
全時間宣教は助けになる
9 この時代の緊急性を考え,多くのクリスチャンはどんな奉仕を始めましたか。
9 多くのクリスチャンの男女は,この危機的な時代の緊急性を考え,全時間宣教に入りました。開拓者と呼ばれる大勢の人々は,宣べ伝える業に毎日平均2時間ないし5時間を費やしています。そうした開拓者の中には,外国の地で宣教者として働く人もいます。ものみの塔協会の本部や,世界各地の支部事務所で全時間奉仕する人もいます。その奉仕は,本人にとっても,本人が仕える人々にとっても喜びと満足の源です。しかも多くの場合,全時間奉仕の経験は,奉仕の僕として会衆に益を及ぼすような仕方で仕えるのに必要な資格を培う面で,人々を助けるものとなってきました。
10,11 ここに引用されているある人の意見が示しているように,奉仕の僕になることを願う男子は,全時間奉仕からどのように益を受けるかもしれませんか。
10 ドイツのベルリンの一会衆で以前は奉仕の僕であり今は長老となっているある人は,何年か前の若い時に始めた開拓者の業についてこう述べています。「私はこの段階に進んだことを一度も後悔したことがありません。エホバは私を祝福してくださいました。私と神との関係は一層親密になりました」。そうです,この兄弟は他の幾千幾万もの人と同じく,全時間宣教が神との個人的な関係を深め,クリスチャンの円熟へと進歩する速度を速める助けとなることに気づいたのです。
11 長いあいだ開拓奉仕を続けてきたもう一人の人は,全時間奉仕がどのように助けとなったかをこう説明しています。「私は落ち着いて行動するようになり,軽率な判断を下していたのが,より平衡の取れた見方をするようになりました。以前よりも幸福になり,さまざまな種類の人と接する際にも一層順応性を示せるようになりました」。これらの特質は,奉仕の僕として仕えることを望む男子に必要とされる特質の一部ではないでしょうか。
12 (イ)全時間宣教に携わるためのどんな機会がありますか。(ロ)全時間宣教に携わるには,奉仕の僕が自分の務めを果たす際の助けとなるどんな能力が求められますか。
12 聖書的な責任から見て可能であるなら,クリスチャンの男子が全時間の宣教に携わることは『ふさわしいかどうかまず試される』ための優れた機会となります。そのような宣教を常時行なえる人もいれば,時々行なえる人もいます。若い人々は学校の休みの期間中にできるかもしれず,年長の人々は,休暇の時期,あるいは1年のうち他のふさわしい時にできるでしょう。無論,全時間奉仕に携わるには平衡と注意深い計画が求められます。これらの能力は,奉仕の僕にとって必要なものであり,自分の務めを果たす際の助けになるでしょう。それはどんな務めでしょうか。
奉仕の僕の務め
13 使徒 6章1-6節は,奉仕の僕に割り当てられる仕事の種類について何を示唆していますか。
13 使徒 6章1節から6節は奉仕の僕の任命には直接当てはまりませんが,そこに述べられている事柄は,概して奉仕の僕に割り当てられる仕事の種類や,務めの特色を示唆していると言えます。その時に選ばれた「確かな男子七人」は仲間の信者を教えることによってではなく,食物を分配することによって,使徒たちが「祈りとみ言葉の奉仕とに専念する」ことができるようその負担を軽くしました。奉仕の僕は今日も同様の務めを顧みることにより,長老たちが牧羊と「神の羊の群れ」を教えるための時間をより多く持てるようにしています。―ペテロ第一 5:2,3。
14 奉仕の僕にはどんなさまざまな務めが割り当てられるかもしれませんか。
14 奉仕の僕の務めに関し,「わたしたちの奉仕の務めを果たすための組織」と題する本はこう述べています。「一人の奉仕の僕は会衆の文書を取り扱うように割り当てられて,わたしたちすべてが個人的な使用や野外奉仕のために必要とする文書を入手しやすくしてくれるでしょう。別の奉仕の僕は会衆で必要とする雑誌を取り扱えるかもしれません。他の奉仕の僕たちは,会衆の会計や,区域の割り当ての記録を付ける務めを割り当てられ,あるいは,マイクロホンを扱ったり,音響設備を操作したり,演壇の世話をしたり,さらに他の面で長老たちを助けるために用いられることでしょう。王国会館を維持管理し,それをいつもきれいにしておくためにも多くの仕事がなされなければなりませんから,奉仕の僕たちにはしばしば,そのような責任を果たす面での援助も求められるでしょう。奉仕の僕たちはまた,案内者として奉仕し,新しい人たちを歓迎したり,会衆の集会における秩序の維持を助けたりする割り当ても受けるでしょう」― 57,58ページ。
15 (イ)奉仕の僕として効果的に仕えるには,実地の能力のほかに何が必要ですか。(ロ)奉仕の僕はさまざまな事柄の世話をするとはいえ,その主要な関心事は何であるべきですか。
15 どのような兄弟であれ,実地の能力を持った人がそうした仕事を行なえるのでしょうか。そうではありません。1世紀のエルサレムで選ばれた「確かな男子」は,「霊と知恵に満ちた」,あるいは,「実地の経験を積み,しかも霊的な事柄に関心のある」人だったからです。(使徒 6:3,フィリップス訳)彼らが既にエホバの民の間で年長の男子であったとしても,彼らに割り当てられた仕事は,今で言えば奉仕の僕が行なうような仕事でした。ですから,現在の奉仕の僕が自分たちの務めを効果的に果たしたいのであれば,『実地の経験を積み,しかも霊的な事柄に関心を持って』いなければなりません。奉仕の僕は組織に関する細かな仕事を行ないますが,その主要な関心事は,霊的に益を与える仕方で人々に仕えることであるべきです。
16 会衆内に十分の数の長老がいない場合,奉仕の僕はどんな務めに割り当てられるかもしれませんか。
16 奉仕の僕は霊的な事柄に関心を持っているべきなので,普通は長老の行なう仕事に時々彼らを用いることができます。「わたしたちの奉仕の務めを果たすための組織」(58,59ページ)はこう説明しています。「会衆の書籍研究を司会するために十分な数の長老がいなければ,奉仕の僕たちのうち,より資格のある人々が研究司会者として用いられて,割り当てられた群れの世話をします。それらの奉仕の僕たちには,奉仕会や神権宣教学校のある部分を扱うことや,土地の会衆で公開講演をすることを割り当てることもできます。ある奉仕の僕たちにはさらに他の特権をも差し伸べることができますが,それは,特別の必要があり,それらの人たちがその割り当てのための要求にかなっている場合です。―ペテロ第一 4:10と比較」。
17 ステファノはどんな人でしたか。そのことは奉仕の僕に関してどんな質問を生じさせますか。
17 聖書時代の「確かな男子七人」の中に,「信仰と聖霊に満ちた人ステファノ」がいました。(使徒 6:5)忠実な殉教者としての死を遂げる前,ステファノはユダヤ人のサンヘドリンの前で感動的な証言を行ないました。その記述を読めば,ステファノが霊的な事柄に関心を持ち,神の聖霊の導きを受け入れる際立った証人であり,エホバの奉仕のために進んで命を投げ出す人であったことが確信できます。(使徒 6:8-7:60)あなたが奉仕の僕であるなら,自分に与えられた種々の責任と,真理を語る特権とをまじめに受け止めていたに違いないステファノと同じほど,会衆の務めと野外宣教をまじめに受け止めていますか。
どのように基準に達するのか
18 大勢の奉仕の僕の働きについては何と言えますか。彼らにはどんな保証の言葉が与えられますか。
18 大勢の奉仕の僕はクリスチャンの生活においてりっぱな模範を示し,会衆内の責任を非常によく顧み,野外宣教において十分に率先しています。その働きは仲間の崇拝者から大いに感謝され,エホバ神からの報いを受けずに終わることはありません。ヘブライ人のクリスチャンたちは次のように保証の言葉を与えられているからです。「神は不義な方ではないので,あなた方がこれまで聖なる者たちに仕え,今なお仕え続けているその働きと,こうしてみ名に示した愛とを忘れたりはされない(の)です」― ヘブライ6:10。
19 (イ)奉仕の僕各人はどんなことを自問できますか。(ロ)一部の奉仕の僕が経験した問題を検討することはなぜ有益ですか。
19 しかし,奉仕の僕各人はこのように自問できます。自分はどれほど聖書的な要求の基準に達しているだろうか。自分は会衆の一致に本当に貢献しているだろうか。割り当てられた務めをきちんと,勤勉に顧みているだろうか。野外宣教において良い模範となっているだろうか。一部の奉仕の僕たちは自分たちに要求されている基準に達する点で問題に直面しました。ですからその問題の幾つかを検討してみましょう。そのようにすることは,奉仕の僕各人が,『自分の業がどんなものかを吟味する』ための助けとなります。(ガラテア 6:4)それはまた,エホバの証人の間で有益な目的に貢献し,神の民にとって確かに一つの祝福となっているそれらの男子が行なう愛の労苦に対し,他の人たちが抱く認識を増し加えるものともなるはずです。
説明できますか
□ 奉仕の僕はどのような点でエホバの民にとって祝福ですか
□ 全時間宣教は,奉仕の僕になることを願っている兄弟たちにどのように役立つものとなりますか
□ 奉仕の僕が「実地の経験を積み,しかも霊的な事柄に関心のある」人であるべきなのはなぜですか
□ 忠実なステファノはどのように今日の奉仕の僕に対するりっぱな模範となっていますか
-
-
奉仕の僕たち ― りっぱな立場を保ちなさい!ものみの塔 1985 | 9月15日
-
-
奉仕の僕たち ― りっぱな立場を保ちなさい!
「りっぱに奉仕する人は自分のためにりっぱな立場を得,キリスト・イエスに関する信仰にあって少しもはばかることなく語れるようになるのです」― テモテ第一 3:13。
1 奉仕の僕としての任命を受けたあと,その男子は何を目標とすべきですか。会衆の他の人々は何をしなければなりませんか。
いま奉仕の僕となっている男子は,『ふさわしいかどうかまず試され』てきました。(テモテ第一 3:10)しかし,その任命そのものが目的というわけではありません。奉仕の僕たちの目標は,「りっぱに」自分の務めを果たすことにより,さらに「自分のためにりっぱな立場を得」ることです。(テモテ第一 3:13)一致したクリスチャン会衆の成員各人は,奉仕の僕たちがこの目標を達成できるよう支援しなければなりません。
2 会衆の成員は奉仕の僕が行なう事柄からどのような影響を受けますか。
2 キリストの霊的な体の成員は皆,共に働き互いを気遣うことから益を受ける,と使徒パウロは指摘しました。(コリント第一 12:12-31)同じように,奉仕の僕が神から与えられた仕事を「りっぱに」行なうなら,現代のクリスチャン会衆の各成員も益を受けます。しかし,奉仕の僕が自分の務めをきちんと果たせなくなるような問題に遭遇するなら,会衆の成員全体が困難を抱え込むことになるかもしれません。
3 (イ)エホバの民は一様にどんな共通の問題を抱えていますか。(ロ)近年行なわれた一調査は,何を例証する助けになりますか。
3 エホバの民は一様に同じ闘いをしています。それは,『血肉に対するものではなく,天の場所にある邪悪な霊の勢力に対する格闘です』。(エフェソス 6:12)そのほかにもエホバの僕たちすべては,自分自身の不完全さや罪深い傾向と闘っています。それでも,奉仕の僕は一つのグループとして,エホバの証人の他のグループよりもはっきりした形で特定の問題に直面します。この点を例証する助けになるのは,近年,西ヨーロッパのある国で,320余りの会衆の奉仕の僕1,360人を対象にして行なわれた調査です。
独身と結婚
4 結婚していない奉仕の僕は,独身の立場をどのようにみなすべきですか。ほかの人々はそのような兄弟たちにどんな励ましを与えることができますか。
4 調査の対象となった奉仕の僕のうち,今なお独身の人は10%をわずかに超えていました。それらの兄弟たちは,結婚している90%近くの人々に共通する特定の責任を免れているという自由を享受してます。しかし,独身の兄弟たちは,その自由を,過度のレクリエーションや社交的な交わりのような個人的な事柄を追い求めることだけに用いないよう気を付けなければなりません。また,結婚に対する自然な欲求が,生活の他のどんな事柄よりも優先されるようなことを許してもなりません。(マタイ 6:33)結婚している友人からの圧力に負け,やむなく軽率あるいは無分別な結婚をしてしまうようなことがあってもなりません。それに,互いに気遣いを示すクリスチャンは,仲間である結婚していない信者の独身の立場に敬意を払い,より大きなその自由を活用して,全時間宣教を始めることなどにより神権的な仕事に充てる時間を増やすよう励ますに違いありません。
5 結婚している奉仕の僕は,独身の奉仕の僕以上にどんな危険にさらされていますか。
5 前述の調査によれば,奉仕の僕の約62%は親の立場にあります。そのような兄弟たちにとって,心が「生活上の思い煩い」によって「押しひしがれ」てしまう危険性は,独身の兄弟の場合よりも高くなります。(ルカ 21:34-36)そのようなわけで,パウロは独身の立場を勧めてこう述べました。「わたしは,あなた方に思い煩いがないようにと願っているのです。結婚していない男子は,どうしたら主の是認を得られるかと,主の事柄に気を遣います。一方,結婚している男子は,どうしたら妻の是認を得られるかと,世の事柄に気を遣い,彼は分かたれるのです。……結婚して自分の童貞性を離れる人もりっぱに行動していますが,結婚しないで,それを離れない人は,さらにりっぱに行動していることになります」― コリント第一 7:32-38。
6 結婚している奉仕の僕は何をする必要がありますか。だれが有益な提案をすることができるかもしれませんか。
6 エホバの民は,“結婚は天で決められたもの”とは考えませんが,結婚に関連した問題を解決するには天的な知恵が必要であることを認めています。(詩編 19:7。箴言 3:5,6)したがって,結婚している奉仕の僕は可能な限り厳密に神の言葉の助言に従うことが必要です。家族の責任を果たすに当たって正しい平衡を保つよう努めるべきですが,かりそめにもそのことを言い訳にして,会衆内の神権的な務めを怠ってはなりません。なかんずく,考えぬかれた計画は欠かすことができません。年長で経験を積んだ夫婦は,求められた場合,年若い夫婦にこの点に関する有益な提案をすることができるかもしれません。
7 (イ)結婚している奉仕の僕の家族は,その兄弟の努力と霊的な進歩にどのような影響を及ぼすことがありますか。(ロ)結婚を考えている奉仕の僕は何を銘記していると良いでしょうか。
7 家族からの支援は,結婚している奉仕の僕にとって大きな助けです。言うまでもなく,家族の成員がその兄弟の時間や注意を過度に要求したり,物質的な面で余りにも多くを要求したりするなら,奉仕の僕の霊的な進歩は妨げられることになりかねません。しかし,「りっぱに奉仕する」兄弟の努力を家族全員が支援するなら,それは祝福です。(テモテ第一 3:13)ですから,結婚していない奉仕の僕にとって非常に肝要なのは,将来の配偶者に対する感情が高まってくる前に,その女性が自分の霊的な進歩を促してくれる人かどうかを見定めることです。
職業と物質主義
8 (イ)一部の奉仕の僕たちは世俗の職業に関して,どのような危険に直面する可能性がありますか。(ロ)どの聖句について黙想することは,物質主義と闘うための助けとなりますか。
8 調査の対象となった奉仕の僕のうち,10人中8人までが60歳未満でした。ですから,ほとんどの場合,彼らは自分と家族を養うために今も世俗の仕事をしています。10人中ほぼ5人は20歳以上40歳以下であり,世の人であればその年代に大抵は仕事や職業も決まり,出世して経済的に安定するため懸命な努力を重ねます。その年代の奉仕の僕であるなら,霊的に自分を弱くしかねない,この世的で物質主義的な態度を培ってしまう危険性を決して軽く見てはなりません。むしろ,「命を支える物と身を覆う物とがあれば,わたしたちはそれで満足するのです」というパウロの言葉を思い起こすのです。(テモテ第一 6:8)イエスも,わたしたちすべてが物質主義と闘うための助けとなる優れた助言をお与えになりました。マタイ 6章19節から34節を開いてご自分でその助言を読んでみてください。
9 マタイ 16章26節と調和して,とりわけ年若い奉仕の僕にとって知恵の道とはどのようなものですか。
9 とりわけ,年若い奉仕の僕である皆さんは,この世での出世を追い求めたり富を蓄えたりしていても,エホバを自分の計画の中から締め出している“成功”者に目を向けてみるとよいでしょう。(箴言 16:3; 19:21と比較してください。)間もなく「大患難」で命を絶たれてしまう,非聖書的で物質主義的な人々に倣うのは一体どれほど賢明なことでしょうか。(マタイ 24:21)エホバの僕の中に,そうした人々と入れ替わりたいと思う人などいるでしょうか。「というのは,全世界をかち得ても,それによって自分の魂を失うなら,その人にとって何の益になるでしょうか」と,イエスは言われました。(マタイ 16:26)確かに,知恵の道とは,極めて不安定で先の短い将来を,サタンの勢力のもとにある滅びゆくこの世と共に築くことではなく,安全な将来をエホバの組織と共に築くことです。―ヨハネ第一 5:19。
神の王国に対する忠誠
10 奉仕の僕を含め,増え続ける「若者の隊」は政治問題についてどんな立場を取りますか。
10 エホバの任命されたメシアなる王について,預言的に次のように語られています。「あなたの軍勢の日に,あなたの民は進んで自らをささげます。神聖さの光輝のうちに,夜明けの胎から,あなたは露玉のような若者の隊を得ておられます」。(詩編 110:3)この預言は西暦1914年以来成就しており,増え続ける「若者の隊」に属する人々は,栄光を受けたイエス・キリストを王とする神の王国にまず忠誠を示すべきことを理解しています。それゆえに,奉仕の僕を含むこれら献身した人々は,政治上の「上位の権威」に相対的な服従を示す一方,利害が対立する場合には「自分たちの支配者として人間より神に従わねばなりません」。(ローマ 13:1。使徒 5:29)イエスが言われたとおり,その追随者は『世のものではない』のです。(ヨハネ 15:19; 18:36)彼らは諸国家の政治問題には中立を保ちます。そうしなければ自分たちが神の王国に対する反逆者となることを知っているからです。
11 クリスチャンの中立を保ったために苦しみに遭う兄弟たちは,どんなことを確信できますか。
11 奉仕の僕や他の人々がクリスチャンの中立を保ったため,職も,自由さえも失うとしたらどうですか。(イザヤ 2:2-4。ヨハネ 17:16)その場合にも彼らは,霊的な兄弟姉妹たちが霊的にも,また必要とあらば物質的にもできる限りの支援を与えてくれることを知っています。そうするのは,エホバの民が互いを優しく気遣うからです。―ヨハネ 13:34,35。コリント第一 12:24,25。
経験をより一層豊かにする必要性
12 『りっぱな立場を得ること』には何が含まれるでしょうか。
12 調査の対象となった奉仕の僕のほぼ3分の1は,エホバの証人になってから10年もたっていません。これらの男子は,当然,会衆内の経験を積んだ成員の助けと導きを受け入れてきました。しかし,『りっぱな立場を得ること』には,絶えず他の人から学び,絶えず経験を積むことが関係しています。常に個人的な目標を設け,それを達成すべく良心的に努力するという意味でもあります。それで,あなたが奉仕の僕として有益な目的に貢献したいと真剣に願っているか,その特権をとらえようと努めているのであれば,何らかの個人的な目標を設けていますか。例えば,ある期日までに聖書全巻を通読するとか,ある月に補助開拓を行なうことにしてはどうでしょうか。
13 テモテに与えられたどんな助言は,奉仕の僕になりたいと願っている,もしくはその資格ですでに奉仕している兄弟に益を与えますか。
13 年齢が若い人,あるいは経験の浅い人は,テモテ第一 4章12節から15節に述べられている事柄から益を得られます。これらの言葉は若い監督テモテに対して語られたものですが,その中で話すことと行状についてパウロが述べていることの多くは,奉仕の僕になりたいと願っている,もしくはその資格ですでに奉仕しているどんな兄弟にも益を与えます。同使徒はこう書きました。「あなたの若さをだれにも見下げられることのないようにしなさい。かえって,語ることにも,行状にも,愛にも,信仰にも,貞潔さにも,忠実な者たちの手本となりなさい。わたしが行くまでの間,公の朗読と説き勧めることと教えることにもっぱら励みなさい。あなたのうちにある賜物,すなわち,予言により,また年長者団があなたの上に手を置いた際に与えられた賜物を,おろそかにしてはなりません。これらのことをよく考えなさい。それに打ち込んで,あなたの進歩がすべての人に明らかになるようにしなさい」。「あなたの進歩がすべての人に明らかになるように」するため,あなたは特にどんな点で努力する必要がありますか。行なうべきことを祈りのうちに見定め,エホバの助けをいただいてそれを行なってください。
落胆に対処する
14,15 (イ)高齢や健康の衰えと闘わなければならない奉仕の僕にとって,どんな聖書的な励ましがありますか。(ロ)それらの男子はどのように会衆内の他の人を励ますことができますか。
14 大多数の奉仕の僕たちは,もはや若者に特有な問題と闘う必要はありません。彼らが直面する問題は高齢と健康の衰えであり,それらの問題によって落胆させられることがあります。それでも霊的な強さを保つ人々は,パウロが仲間の油そそがれたクリスチャンに宛てて書いた次の言葉から慰めを得ることができます。「わたしたちはあきらめません。むしろ,たとえわたしたちの外なる人は衰えてゆこうとも,わたしたちの内なる人は,日々新たにされてゆくのです。患難はつかの間で軽いものですが,いよいよ重みを増す永遠の栄光をわたしたちのために生み出すからです。同時にわたしたちは,見えるものではなく,見えないものに目を留めます。見えるものは一時的ですが,見えないものは永遠だからです」。(コリント第二 4:16-18)地的な希望を持つエホバの僕たちも,大きな励みとなる見込みを得ています。つまり,地上の楽園でのとこしえの命という見込みです。―ルカ 23:43。ヨハネ 17:3。
15 ですから,健康の衰えのために,あるいは高齢のためにほかの人々ほど多くを行なえないそうした奉仕の僕たちにも,喜びに満ちた積極的な態度を保つべき十分の理由があります。そうした態度は,真理に対する認識と,永遠に続く事柄への強い信仰を反映するものです。そのようなりっぱな精神は謙遜な奉仕と相まって,会衆内のすべての人に大きな益と励ましを与えます。
16 長老に任命されないとしても,なぜ奉仕の僕は落胆すべきではありませんか。
16 あなたが奉仕の僕であるなら,教える能力と霊的な特質を改善することにより,「監督の職をとらえようと努め」続けてください。(テモテ第一 3:1)とはいえ,長老としてすぐに任命されないとしても,落胆してはなりません。奉仕の僕として自分の務めを「りっぱに」顧みている人は有益な目的に貢献しているのであり,会衆にとって真の財産であることを忘れてはなりません。どんな仕方であろうとエホバの組織内で奉仕することや,王国を宣べ伝える任務を果たすよう仲間の信者を助けることは大きな特権です。―マタイ 24:14; 28:19,20。
他の人々はどのように助けになれるか
17 奉仕の僕の妻や子供は,どのように奉仕の僕を助けることができますか。
17 奉仕の僕たちが有益な目的に貢献していることを考え,エホバの民は皆,彼らの努力を支援したいと願うべきです。例えば,妻と子供たちが生活必需品で満足し,その兄弟が世俗の仕事で余分の努力を払わなければ手に入らない数々のぜいたく品をせがんだりしないなら,『りっぱに奉仕し』続けることが容易になるでしょう。―テモテ第一 6:6-8。
18 (イ)長老はどのように奉仕の僕を助けることができますか。(ロ)長老と奉仕の僕がよく意思を通わせるのはなぜ肝要なことですか。
18 長老たちは何であれ必要な指示や助言を与えて奉仕の僕を助けることができます。改善がなされた場合には,誠実なほめ言葉を述べるべきです。例えば長老は野外奉仕に奉仕の僕を伴い,話の準備を助け,クリスチャンとしての自分の豊かな経験を分かち与えることができます。そのように関心を示したり意思を通わせたりすることがおろそかになる場合もあったようです。例えば,一人の奉仕の僕は野外奉仕報告の数字が低いことについて尋ねられ,巡回監督に,「なぜそのようなことをお聞きになるのですか。こういう低い数字は今に始まったものではありません。でも,そのことについて何かおっしゃたのは,兄弟が最初です」と言いました。建設的で愛ある助言を奉仕の僕に与え,彼らの持つさまざまな問題について忍耐強く援助を差し伸べる長老は,目ざましい結果を見るという喜びにあずかります。
19 会衆の成員各人は,奉仕の僕がりっぱな立場を保つのをどのように助けることができますか
19 実際,会衆の成員各人は,奉仕の僕がりっぱな立場を保つのを助けることができます。どのようにでしょうか。彼らに協力し,その働きに心からの感謝を示すことによってです。普通は人体の各部分すべてが共に働いて身体的な健康を保つのと同じように,会衆の成員全体は会衆が健全な霊的健康を確実に享受できるよう,協力しなければなりません。(コリント第一 12:24,25と比較してください。)有益な目的に貢献し,りっぱな立場を保って熱心に働く奉仕の僕たちにより,その点を目ざして多くの事柄が行なわれています。彼らも,エホバの忠節な証人たちすべても,とこしえの幸福を味わう将来を望み見,「幸福な神」の心を一致して歓ばせ続けることができますように。―テモテ第一 1:11。箴言 27:11。
説明してください
□ 奉仕の僕はどんな問題に直面することがありますか
□ 奉仕の僕を助けるためにその妻と子供は何を行なえますか
□ 奉仕の僕を援助するために長老は何を行なえますか
□ 奉仕の僕を助けるために会衆の成員各人は何を行なえますか
-