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  • 世界的なインフレが起きているのはなぜか
    目ざめよ! 1974 | 3月8日
    • 国民によって国家の金保有が消失してしまうのを防ぐ措置を講じました。

      それでも,同国の法律は,国内に流通する紙幣4㌦に対して実際の金1㌦分を保有することを政府に求めました。これは一種の抑制措置であり,政府が紙幣を発行しすぎて,紙幣の価値がその額面の四分の一に相当する金の値よりも下がってしまうことを防ぐものでした。

      最後の抑制策も除かれる

      しかし,1968年には,それも変更されました。政府は,通貨価値を支えるための,額面の四分の一の金に関する規定を廃止する法律を通過させました。その結果の一面について,米国経済研究協会は次のようにその見解を述べました。

      「連邦準備券[米国紙幣]に対する金保有要求が1968年初めに取り除かれたことによって,インフレ進行抑制策の最後のなごりが除かれ,わずかに残っていた米国通貨と金との結び付きも断たれた。

      「以来,ドルの交換価値は米国通貨管理者の指令下にコントロールされているが,それら管理者はもはや金による統制のもとにはいない」。

      こうした抑制措置が取り除かれたのちの経過を見ると,政府は「インフレ傾向を助長する不断の政治的圧力に終始屈し」ています。

      加えて,硬貨の中に含まれていた銀はすべて取り除かれました。したがって,米国の通貨制度全体が,実際の価値による裏付けから完全に切り断たれたことになります。

      こうしたことすべての結果として,政府の発行する通貨はすべて信用によって受け入れねばならないことになりました。しかし,「経済教育ブルテン」誌はこう述べます。

      「現在の米国の通貨信用制度は,ほごになった約束の上に立っている。

      「ここで約束と言うのは,今は流通しなくなった連邦準備券に記載されていたもの,つまり,その紙幣の『持参者の要求があれば…ドルを支払う』という約束である。そして,そこで言う『一ドル』とは,純金一オンスの35分の1と,法律によって定められていた。

      「ほごとなってしまった約束は,永続的な通貨信用制度の基幹としては適切なものではない」。

      かつて,米国紙幣には,その表面に,「持参者の要求があれば」その額面に相応する真の貨幣(金もしくは銀)と引き換えるとの誓約がありましたが,今ではそのかわりに,「この紙幣は公私のあらゆる債務に対する法定の監守者である」と記載されています。永年の間,真の通貨(金もしくは銀)の代わりにすぎないとされていた証書が,今ではそれが通貨であると宣言されています。しかし,危機の時に,人々は,紙きれと金のどちらを信頼するでしょうか。

      外国人も断わられる

      米国人は金とドル紙幣との交換をできなくなっても,外国人はまだ交換をできました。金は依然として,国際取引きにおける政府間の決済通貨とされていたからです。それは,西欧諸国がずっと以前に合意した取決めです。

      しかし,米国内における定常的なインフレのために,世界の人々は米国ドルに対する信頼を失うようになりました。そのため,多くの人がドル紙幣を金と交換するようになりました。こうして,米国の国庫からは徐々に金が流出してゆきました。どのような事態になったかを下に記します。

      年 米国の金保有高

      1950 約22,820,000,000ドル

      1960 約17,804,000,000

      1970 約11,072,000,000

      1971年までに,米国の金保有状態ははなはだしく悪化しました。その時,外国人は総計550億㌦に上るドル紙幣を保有していたのに対し,米国政府の金保有高はわずかに100億㌦ほどに低下しました。そして,ドル紙幣を保有する外国人は,米国の国庫にわずかに残る金に殺到して,恐荒状態が現出しかねない状勢になりました。

      1971年8月,米国は強硬な処置を取りました。“金の窓口”を閉鎖して,海外の債権者に対する金の支払いを一時停止したのです。海外取引きに伴うドル紙幣を金とだ換するという約束の履行を拒んだのです。他の国々は大きな衝撃を受けました。

      これは何を意味していましたか。ある観察者たちは,米国が国際取引きにおいては破産を宣言したのと同じことであるとしています。世界の通貨市場がここ数年の間いっそう不安定になっているのは,一つにはこうした理由によります。また,ヨーロッパ“自由”市場における金の相場が,ある時期に,一オンス35㌦から100ドル以上に急騰したのもこうした理由によります。

      通貨にはどういうことが起きるか

      起きた事がらを要約すると,西欧経済体制の基盤とされてきた米国は,多くの経済専門家がその通貨価値の低下とみなす,次のような段階を取ってきました。つまり,(1)同国市民に対し紙幣と金(もしくは銀)との交換を取りやめた,(2)同国市民が装身具類や古銭以外の形で金を所有することさえ禁じた,(3)国内に流通する貨幣に対する金による裏打ちをいっさい取りやめた,(4)外国人がドルを金に交換することを拒んだ,(5)所得以上の支出を続けて膨大な負債を積み上げ,それを覆うために紙幣の発行量を増やしてきた。

      資金を借り入れることによって経済に刺激を与えうることは確かです。月に十万円の所得のある人がさらに毎月十万円借り入れて生活を続けてゆくなら,もとよりその生活はしばらくの間は楽なものでしょう。国家についても同じことが言えます。所得を超えた支出を続けることによって一時的には経済を刺激することができるかもしれません。しかし,それは大きな負債と激しいインフレとを導きます。

      また,個人にあてはまる経済上の法則はおおむね国家にもあてはまります。人は自分のまいたものを刈り取ることになります。無謀な支出に対しては,遅かれ早かれその決済をつけなければならない日が来ます。個人にしても国家にしても,自分の力を超えた支出を続けるなら,やがて破産は避けられません。その法則に例外はありません。

      一方,金,銀,その他の貴金属類を紙幣の裏打ちとしていつまでも用いることはできないようです。人口は増えますから,それに伴って流通する通貨の量も増えなければなりません。しかし,地球から掘り出すことのできる金の量には限りがあります。したがって,金(もしくは銀)によって裏打ちされていない紙幣に対して人々が信頼を失う一方で,それら貴金属類が,登場してくるすべての通貨を裏打ちしきれない,というジレンマが存在します。このジレンマこそ,今日の通貨の不安定性のもととなっています。

      それはどこに向かっているか

      いずれにしても,抑制力がしだいに少なくなり,大きな負債をかかえる国が多くなっています。そうしたところでは,負債の支払いのために紙幣が余分に発行される場合が少なくありません。ある経済学者の指摘したとおり,個人でそうしたことをする人がいれば紙幣偽造の罪を問われます。

      ある書物はなんの裏付けもなしに発行される通貨について,それは,「ギャングの地下室で印刷される紙幣と同じように無価値なまがいものであり,違っているのは,当局者はそうした権限を有しているのに比べ,ギャングはそれを有していないというだけのことである。しかし,痛ましいことに,経済に与えるその影響は全く同じである」と述べました。

      こうした点について,広く知られる経済学者ミルトン・フリードマンはニューズ・ウイーク誌にこう書いています。

      「たとえ断続的であろうとも,過去一世紀半以上の間,経済学者たちは二つの命題を理解してきた。第一は,通貨を十分に印刷発行することによってどれだけでも望むだけの[経済]活動を起こすことができるという点である。しかし第二は,その終局的な結果として通貨価値が低落するということである。

      「アメリカ社会は第一の命題は学び取った。第二の命題については,かつては知っていたはずであるが,今ではそれを忘れている。経験によってそれを再び学ぼうとしているかのようである』。

      これは,アレクサンダー・ハミルトン財団発行の「銀行業」という本の中で数年前に与えられた次の警告と同じものを含んでいます。

      「幾つかの政府は,金その他の正貨でだ換を行なう約束や意図を持たずに紙幣を発行し,それを,あらゆる債務の支払いに対する法定の監守者であると,ただ宣言してきた。

      「こうして政府の単なる命令のもとに通貨と宣言された紙片は法定不換紙幣と呼ばれる。……

      「法定不換紙幣の試みはすべて災いに終わっている。それを試みる政府はそれを余分に発行する誘惑に抗しきれないからである。その結果は,その通貨の価値が下がり,やがてすっかり価値を失ってしまうことである」。

      経済や政治の分野に見られるあらゆる証拠は,今日の事態もこれと同じ方向に進んでいることを示しています。多くの政府は,真に価値あるものの裏付けを持たない紙幣を発行しています。「[この種の通貨]の試みはすべて災いに終わって」おり,今の時代は例外になるとする根拠は存在しません。

  • インフレは生活を痛めつける
    目ざめよ! 1974 | 3月8日
    • インフレは生活を痛めつける

      収入の増加が物価の上昇に追いついてゆかない多くの人の生活はインフレによって痛めつけられています。次の例がそれをよく示しています。

      “高給取り”の夫を持つカナダ,トロントのある主婦は自分の3人の子どもについてこう言っています。「子どもたちは栄養は一応十分に取っていますが,牛肉がどんな味かをほとんど知らずに成長しています」。妻(秘書の仕事をしている)と3人の子どものいるブラジル,リオデジャネイロのあるタクシー運転手の家族は,ひとりの親類の人といっしょにアパートで生活しています。その理由を夫はこう説明します。「自分たちだけでアパートを借り,そのうえ食べていくことはできません」。ロンドンのある退職した郵便集配人は,自分たち夫婦は「貯金に手を出してやっと請求書の支払いをすませている」と言っています。この夫婦が短い休暇を過ごした時について,夫はこう語りました。「わたしたちは昼食を抜かしました。正規の食事は1日に1回だけでした」。

      「どうにもならないほどひどい」物価騰貴のため家族を養うには正規の仕事以外の仕事に就かざるをえない,とローマのある郵便局員は語っています。これまで週に15時間屋外の仕事に就かざるをえなかったロンドンのある主婦は,今では週に20時間働いており,夫はできるかぎり残業をしていると言っています。その婦人はさらにこう語っています。「でも,こうして得る余分のお金は家に持ってくる先から出ていってしまうのですから,楽になるなどとは言えません。ほんとうにひどいことですわ」。確かにインフレは人びとの生活を痛めつけています。物価の上昇を相殺するだけの収入の増加を計れない人びとの中から,インフレの犠牲者が出ています。

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