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世界展望目ざめよ! 1979 | 12月8日
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世界展望
『史上最大の地震』
◆ 中華人民共和国の当局者は最近,1976年に同国で発生し,大災害を引き起こした唐山<タンシャン>地震の詳細を明かした。米国人専門家の訪中団の聞いたところによると,同市にあった2階建て以上の建物916棟の四分の三以上が倒壊するか,多大の被害を受けた。マグニチュード7.8を記録したその地震で,鉄道線路480㌔,幹線道路にかかる橋梁231本,アースダム40個が損壊した。死者の数は75万人に上ったものとみられる。米国人訪中団の団長は,唐山地震を,「人類史上最悪の災害をもたらした地震」と呼んだ。
『最大規模の研究』
◆ 元米国々務長官のロバート・S・マクナマラは,最近,工業国における軍事費の増大を,全世界の安全にとって有益であるどころか脅威であると批判した。現在は世界銀行の総裁であるマクナマラ氏は,シカゴ大学の聴衆を前に次のように語った。「兵器の研究と開発に費やされる公費は今や年間300億㌦(約6兆円)になんなんとしており,世界中の50万人の科学者や技術者の頭脳がそのために動員されている。この研究はかつて行なわれたどんな活動よりも大規模なものである。しかもそこに注ぎ込まれる公の研究費は,エネルギー,健康,教育,食糧の各問題に用いられる金額の総計を上回っている。平均すると税金6㌦のうち1㌦は軍事費に回される勘定になり,この割合で税金が使われるとすれば,普通の納税者で,一生のうちに3,4年分の収入を軍備競争のためにふいにすることになる」。
“官製”強盗
◆ 松山市の農協に,警察が恒例の防犯訓練を行なうことを通告する電話がかかってきた。声の主は,従業員に200万円を準備しておくよう依頼し,さらにもう一度電話してきて,犯人の役を演じる人物の身なりを,凶器の肉切り包丁に至るまで詳しく伝えた。東京からの報道によると,声の主は支店長に,「職員各自が自分の役目を了解しておくよう見守ってください」と告げたとのことである。権威者の命令にはいつでも従うという習慣にたがわず,農協側は,凶器を持った男が入って来たときには金を用意していた。“強盗”はおびえる客を静めて,それが訓練にすぎないと告げた。後ほど,支店長が警察に電話して,「訓練」はどうだったかと尋ねたところ,「訓練だって?」という言葉が返って来た。その日に訓練は行なわれていなかったのである。しかし,二人の従業員が手順通り自動車のナンバープレートの番号をまじめに覚えていたため,23歳のその強盗は後に警察に逮捕された。
ヨーロッパの労働者
◆ スイスの人々は他のどんなヨーロッパ人よりも長時間働いている。彼らは年に平均2,000時間以上を仕事に費やし,休暇は年間18日とごくわずかしか取らない。労働時間の点でスイスに次ぐのは,スウェーデン,デンマーク,ベルギー,フランスである。西ドイツの労働者は年間平均1,784時間を仕事につぎこみ,27日の休暇を取る。
「理解し難い不調和」
◆ 米国ウィスコンシン州のフォン・デュ・ラック市にあるカトリック系大学マリアンカレッジでは,軍事教練の課程を取り入れる決定を下した。理事会が全員一致で軍事教練を可決したあと,人道主義研究学部と社会学部の学部教授団は,「我々は,キリスト教の人道主義的伝統にのっとって教育を行なうと主張する組織と軍事教練課程を結びつけることには,理解しがたい不調和の存在することを確信するものである」という文面の手紙を理事会に提出した。
生産力が煙と化す
◆ 米国コネティカット州,ジムスベリーにあるコンサルタント会社,ロバート・E・ノーラン社は,最近,たばこを吸う会社員が一日30分相当の生産力を煙と化していることを公表した。労働者の時間の価値を一時間4㌦(約800円)と見積れば,毎年煙と化す生産力は500㌦(約10万円)に達する。パイプを使う人は,「手入れの仕方も火のつけ方も格式張っている」ので,生産力を奪うことによって900㌦(約18万円)の負担を雇用者にかけることになる。
10代の浪費家
◆ 1978年のランド青少年調査によると,米国で十代の若者の使ったお金は,322億㌦(約6兆4,400億円)という驚異的な額になった。市場調査を業務とする会社の一代表者は,十代の若者がお金を浪費し,実際には不用な物を衝動買いするのは,親のまねをしているのではないか,と述べている。
女生徒の間で蔓延する性病
◆ パプア・ニューギニアの教育庁関係者の報告によると,東部ハイランドのある学校では,3人の女生徒のうち一人が性病にかかっているという。この研究結果は教育関係の当局者に衝撃を与えたが,そのうちの一人は,「この数字にはがく然とさせられた。犠牲者の多くが7年生と8年生であることに至っては何をか言わんやだ」と述べている。性病患者の中には,わずか12歳の少女もいた。
世界一活況を呈する空港
◆ エアライン・エグゼキュティブ誌の行なった計算によると,シカゴのオーヘア国際空港が単一の空港としては,世界一活況を呈している。去年この国際空港は4,900万人以上の乗客をさばいた。伸び率の一番良いのはアトランタ空港で,昨年の乗客は約4,000万人だった。ロサンゼルス空港では約3,300万人,ロンドンのヒースロー空港では2,700万人の乗客が乗り降りしたと言われる。ニューヨーク近辺の三大飛行場,つまりラガールディア,ケネディ,ニューアークでは5,100万人近い乗客があった。世界の首都圏の中では,これは最高の数字である。
借金の急増
◆ 「米国の国家債務が倍加して1971年の4,000億㌦(約80兆円)になるのに,27年を要した」とUS・ニューズ・アンド・ワールドリポート誌に報ぜられている。しかしその三分の一にも満たない期間に,「8年たつかたたないうちに,それはさらに2倍に増え,4月9日には8,000億㌦(約160兆円)を超えた」。
ベニスの沈下は終わったか
◆ 多年にわたり,イタリアのベニス市は年平均0.5㌢というかなりの割で沈下し続けている。その原因は主に人間が造り出した。約2万本の井戸を掘って,幾つもの島からなるこの町を支えていた地下水を汲み出してしまったのである。しかし現在ベニスは,自然の力だけで,つまりごくわずかずつ沈下していると言われる。井戸の多くには覆いがかけられ,幾本かの水路が設けられてポー渓谷から水を運び入れている。人災としてのベニスの沈下が終焉したことは疑いない,と地質学者のパオロ・ガットは語っている。
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聖書理解の助け ― 神への接近目ざめよ! 1979 | 12月8日
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聖書理解の助け ― 神への接近
「知恵は主要なものである。知恵を得よ。自分の得るすべてのものをもって,悟りを得よ」― 箴 4:7,新。
神への接近。 古代オリエントの王宮では,定められたおきてや帝王の許可に従わなければ,だれも帝王の面前に接近することはできませんでした。大抵の場合,仲介者が,支配者との接見を望む請願者の代理を務め,請願者を紹介して,その信用証明書の真実性を保証しました。ペルシャの王アハシュエロスの王宮の奥の中庭に,召されないのに入ることは,死を意味しました。それでも,命をかけて王の面前に近づこうとした王妃エステルは,恵みを受けて許されました。(エステル 4:11,16; 5:1-3)ヨセフの兄弟たちの言動は,王の前で相手を怒らせないようにするため注意を払ったことを例証しています。というのは,ユダはヨセフに,「あなたはファラオと同様なお方でございます」と言ったからです。(創世 42:6; 43:15-26; 44:14,18,新)ですから,地上の支配者は不完全な人間にすぎないのに,その面前に近づくことは,多くの場合,至難なことで,まれな特権でした。
神の御前の神聖さ
パウロはアテネで,神は,「わたしたちひとりひとりから遠く離れておられるわけではありません」と述べましたし(使徒 17:27),神に近寄れることは,そのみ言葉,聖書の随所に示されてはいますが,神に近づく人もまた,明確な要求にかない,神からの許可あるいは是認を得なければなりません。「人の子」が「近づき」,「その方のすぐ前に連れて」来られた,「日を経た方」の荘厳な天の法廷に関するダニエルの幻は,宇宙の至高の支配者の御前と関連する尊厳と敬意と秩序を例証しています。(ダニエル 7:9,10,13,14,新。エレミヤ記 30章21節と比べなさい。)ヨブ記 1章6節や2章1節の記録によれば,神のみ使いである子らもまた,定められた時に神のすぐ御前に入るよう招かれますし,それらみ使いの中にサタンが現われたのは当然,至高者の許可があったからにすぎないことが分かります。
人間は,神の特質をある程度まで付与されて,創造者の像と様に造られ,惑星の地球とその上の被造物を世話する責任を得たので,その父なる神と意志の伝達を図る必要がありました。(創世 1:26,27)そのような意志の伝達が,創世記 1章28-30節,2章16,17節に述べられています。
アダムとエバは完全な被造物として,またそれゆえに有罪の観念複合,つまり罪の意識なしに,本来,自分たちと創造者との間のとりなし役の必要も感ずることなく,子供たちがその父親にするように,神に近づいて言葉を交わすことができました。(創世 1:31; 2:25)そのふたりは罪と反逆のゆえにこのような関係を失い,死の有罪宣告を招きました。(創世 3:16-24)その後,ふたりが神に近づこうとしたかどうかは述べられていません。
信仰と正しい業と犠牲によって近寄る
カインとアベルは捧げ物を根拠にして神に近づきましたが,この記録は,神に近寄るのに信仰と正しい業という必要条件があることを明らかにしています。ですから,カインは,『善いことをするようになる』までは,神に受け入れてもらえませんでした。(創世 4:5-9,新。ヨハネ第一 3:12。ヘブライ 11:4)後に,エノスの時代になって,「エホバの名を呼ぶ」こと
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