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「良いたより」を聞く山岳王国レソトものみの塔 1981 | 7月1日
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村民たちは目的地まで行くための助けとして2頭のロバを貸してくれました。ハテベシに着くと,毎晩すばらしい集会が開かれ,最後の公開講演には62名が出席しました。
次の訪問の際,その旅行する監督は,バッテリーで作動するスライドのプロジェクターや自分の毛布その他の装備を馬の背に載せて行きました。その短い滞在期間中に,多くの人々がやって来て聖書に関する質問をし,聖書研究をしたいと申し出ました。スライドが上映された時には,村にいたほとんどすべての人に相当する86名が出席しました。
このような山の中に散在する孤立した区域に行くには,大きな努力と犠牲が求められます。心の中に神と隣人に対する燃えるような愛を抱くこれらの人々は,他の人々に「良いたより」を伝えるために長い距離を歩いて行かねばなりません。母親は大抵,赤子を家に置いて来るのではなく,アフリカ式に子供をおぶって連れて来ます。時には愛のある父親が,母親の疲れているのに気付き,赤子を運んでやることもあります。これだけでも,区域の人々が家族に対するクリスチャンの父親の愛ある配慮を認識するのに役立ちます。
レソト南西部の国境に近いクシングでは,エホバの証人が普通とは違った方法で新しい会衆を設立することに成功しました。まず,ある教会の会員が文書を受け取り,その後に聖書研究をすることに同意して,山の中の孤立した土地に出掛けて行く証人たちの努力は報われました。その関心を持つ人はやがて「良いたより」を仲間の教会員に伝えるようになり,ある日その教会に属する人すべてが,研究を司会している証人の教える事柄を聞くためにやって来ました。最後にはその多くが音信を受け入れ,エホバに献身した僕になりました。今では300人分の席のある王国会館を持つ会衆がそこにあります。
しきたり
アフリカ諸国のご多分に漏れずレソトにも魔術や先祖崇拝に由来する伝統的なしきたりが数々あります。そのあるものは実に奇妙なものです。例えば,一人のエホバの証人は,初めての子供を出産して病院から帰って来る時に肩に毛布をかけてこなかったとして責められました。その地方の酋長は,そうしなければ雹が降ったり嵐になったりして穀物がだめになると言いました。
後日,この婦人の夫がおしめを干しているのを見られてしまいました。村長はそれを取り入れるようにと告げました。なぜでしょうか。午前11時から午後3時半までの間におしめを干すと,天気が悪くなる恐れがあると言うのです。
エホバの証人の中立の立場
数年前,レソトでは激しい政治的な暴動がありました。政府はそれを鎮圧しましたが,その後反対者グループを支持した人々を罰するために村々に兵士を派遣しました。政府軍がある村に近付くと,ある老夫婦は自分たちの財産どころか命までも危険にさらされていることを悟り,成人している息子たち二人と共に山の中へ逃れました。息子たち二人は反対者グループを支援していることがよく知られていたのです。しかし,その夫婦の娘はエホバの証人で,その人は自分の赤子と共に後に残りました。
まもなく政府軍が村に到着し,小屋を次々にくまなく捜査し始めました。しかし,そのエホバの証人と赤子のいる小屋にやって来た時,兵士たちにはその婦人がだれであるか分かりました。婦人がエホバの証人であり,政治に関しては中立であることを知っていたので,兵士たちは婦人をそのままにし,家にも手を付けずに立ち去りました。これはエホバの証人の中立の立場が本当に保護となった数多くの例の一つに過ぎません。―ヨハネ 15:19。
反対
伝統的な先祖崇拝や魔術が見られるだけでなく,レソトではキリスト教世界の数多くの宗派や教会が活動しています。その中でも特に顕著なのはローマ・カトリック教会です。カトリック系の学校では宗教的な祈りや儀式にかなり重きが置かれているため,エホバの証人の子弟はしばしば難しい事態に面します。ある地方では,かなりの数のこうした子供たちが偽りの崇拝に加わろうとしなかったために退学させられています。
しかし,レソトで信教の自由が認められていないわけではありません。少し前のことになりますが,モハレズ・ホエクの小さな村で,その地方の酋長が特別開拓者(全時間の働き人)をその地域から追放し,王国宣明者たちの小さなグループに集まり合ったり宣べ伝えたりすることをやめるよう命じました。しかし,郡の行政官がその問題を取り上げました。行政官は,エホバの証人の業や崇拝は国で法的に認められているので,その活動に介入することをやめるよう酋長に指示を与えました。
僧職者たちすべてが「良いたより」に反対しているわけではありません。旅行する一監督は,ある村で家から家の奉仕をしていて,英国教会と関係のある一僧職者の家へ行ったときのことについて伝えています。その監督が家に近付くと,「通り過ごして行かないでください。どうぞ中へお入りください」と言う声が聞こえてきました。これがきっかけとなって,長い時間,「良いたより」について楽しい話し合いが行なわれ,聖書文書が配布されました。その僧職者は,自分の教会にいた時には行状の思わしくなかった二人の婦人が,教会を離れてエホバの証人になった時にはかなり変化してよくなっていたことを認めました。その僧職者の友好的な態度は,その地域の大勢の人々が王国の音信に耳を傾ける道を開きました。
反対があり,良い道路や交通機関がなく,土地の迷信その他の数多くの妨げがあるにもかかわらず,王国を宣べ伝える業はこの山岳王国で繁栄しています。1942年にレソトで「良いたより」を広めていたのは二人のバソト族のエホバの証人だけでしたが,今では600人以上のエホバの証人がいます。そして,1980年のキリストの死の記念式には2,690人が出席しました。イザヤは,『小さい者が千となる』ことを預言していなかったでしょうか。(イザヤ 60:22,新)― 寄稿。
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神の言葉は確かに成就するものみの塔 1981 | 7月1日
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神の言葉は確かに成就する
エホバ神はアブラハムに次のように語られました。「イシマエルに関しても[わたしは]あなたの願いを聞き入れた。見よ,わたしは彼を祝福して生み殖えさせ,非常に多く殖えさせる。彼は必ず十二人の長を生み出し,わたしは彼を大いなる国民にならせる」。(創世 17:20,新)この時,アブラハムの息子イシマエルは13歳ぐらいでした。(創世 16:16; 17:1)結婚もしていないこの少年が12人の長の父になるなど,人間では予測のつかないことでした。しかし全知の神には不可能ではありませんでした。歴史的な二つの資料には,神からの啓示が実現した記録がとどめられています。列挙されているのは,ネバヨテ,ケダル,アデビエル,ミブサム,ミシマ,ドマ,マッサ,ハダデ,テマ,エトル,ネフシ,ケデマの12人の長です。(創世 25:13-15。歴代上 1:29-31)神の預言的な言葉が確かに成就することを,何と雄弁に物語る例なのでしょう。
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