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霊的な危険に対する恐れからの自由ものみの塔 1975 | 3月1日
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したからです。イギリスの歴史家アーノルド・トインビーは,1972年11月21日というつい最近に,次のように語りました。
「第二次世界大戦終結以来,国家主義は地方主権独立国家の数を倍にし,その平均的大きさを半分にした。……人類の戦略上および衛生上の諸問題は世界的であり,緊迫した問題である。それらは地方国家の政府によって解決できるものではない。その解決には,圧到的権力を与えられた世界的権威の確立が要求される。人類の生存は政治的一致にかかっているが,それにもかかわらず,人類は現在ますます分裂して行く傾向にある。われわれは気でも狂ったのだろうか」。
27 国家主義はどのように「難儀を引き起こす疫病」のようですか。
27 この国家主義の波を高めているのは,イエス・キリストが「この世の支配者」と呼んだ悪魔サタンです。彼はそれによって,「あなたはわたしの避難所,わたしのとりで,わたしの信頼する,わたしの神です」とエホバに向かって言う人々を滅ぼすことを望んでいます。(詩 91:2,新)国家主義というこの政治的「疫病」は多くの,そして大きな「難儀」を引き起こしてきました。1920年に国際連盟が設立されたにもかかわらず,イタリアのムッソリーニ,ロシアのスターリン,ドイツのヒトラー,日本の帝国主義的精神を持つ政党といった極めて国家主義的な独裁者が出ました。国家主義は第二次世界大戦の推進力となりました。国家主義は,熱狂的な愛国主義,国家の象徴や表象に対する宗教儀式と言えるほどの熱烈な行為,重税を伴う軍備,国際的競争,エホバの宇宙主権とメシアの王国に従うことよりも国家主権に固執する精神などをあおりたてました。
28 この「疫病」は特にだれに大きな苦しみを負わせましたか。しかし彼らはどんな問題に関して妥協しませんでしたか。
28 こうした事柄すべてが一般人類に難儀をもたらしたことは言うまでもありませんが,エホバのクリスチャン証人に対しては,特別の苦しみを負わせる結果となりました。しかし全能者は,彼らが国家主義という「疫病」に感染して,クリスチャンの霊性に致命的影響を与えるその影響力の犠牲とならないようにしてくださいました。彼らは,666という数字を帯びる政治上の「野獣」や,その政治上の「像」,すなわち国際連盟の後継者である国際連合の崇拝におびき寄せられることも,また強制されてそれらを崇拝することもしませんでした。(啓示 13章; 15:2-4; 20:4)彼らはエホバに専心の献身を保ち,エホバの宇宙主権を支持する点で妥協しませんでした。
29 第二次世界大戦が行なわれていたにもかかわらず,これらの人々は1939年にどんなことに賛成しましたか。彼らの霊性にはどんな影響がありましたか。
29 1939年,第二次世界大戦が激しくなっていたにもかかわらず,彼らはこの世の政治および軍事的紛争に対し,全世界で一致して,クリスチャンの絶対中立の立場を取ることに賛成しました。(「ものみの塔」誌,1939年11月1日号〔英文〕の「中立」という記事をご覧ください)彼らは忠実であったがために苦しみ,一部の人々は死にましたが,エホバ神は彼らを,「至高者のもとなる秘められた所」で,また「まさに全能者の影のもと」で霊的に安全に守られました。
(次号につづく)
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増員された,エホバの証人の統治体ものみの塔 1975 | 3月1日
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増員された,エホバの証人の統治体
1974年11月28日,ブルックリンのベテル家族は,下記の兄弟たちがエホバの証人の統治体の成員とされたことを知り,大いに喜びました。今やそれらの兄弟たちは,既に統治体の成員として奉仕している人たちと共に奉仕することになりました。新しい成員は次のとおりです。日本の支部の監督W・ロイド・バリー; ものみの塔農場の事務所で働いているジョン・C・ブース; 国際聖書研究者協会の会計秘書である,英国ロンドンのエーワルト・C・チティー; ブルックリンの印刷工場の植字部門で働いているニューヨーク,ブルックリンのチャールズ・J・フェケル; 巡回監督として奉仕しているアメリカのセオドル・ジャラズ; ブルックリン・ベテルの事務所で働いているカール・F・クレイン; 王国宣教学校の教官として奉仕してきたアルバート・D・シュローダー; ブルックリン・ベテルの印刷工場で働いているダニエル・シドリク。これらの兄弟たちは全員,やがてブルックリンのベテル・ホームで生活し,水曜日,午前8時に開かれるエホバの証人の統治体の定期会合に出席します。それとともに,名字のアルファベット順にしたがって毎週交替でベテルの食卓の座長席に着きます。
統治体は今や,すべて油そそがれた十八人の成員で構成されることになりました。他の十人の成員は次のとおりです。フレデリック・W・フランズ,レイモンド・V・フランズ,ジョージ・D・ギャンガス,レオ・K・グリーンリース,ジョン・O・グロー,ミルトン・G・ヘンシェル,ウィリアム・K・ジャクソン,ネイサン・H・ノア,グラント・スーター,リーマン・A・スィングル。
統治体の成員としての資格で,世界中のエホバの証人に仕えるのは確かにこれらの兄弟たちの喜びです。また,今日エホバを愛する人たちがいる霊的なパラダイスを享受しているエホバの証人のすべてにとって,霊的な事柄に関してそれらの兄弟たちが行なう討議は,引き続き非常に有益なものとなるでしょう。
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読者からの質問ものみの塔 1975 | 3月1日
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読者からの質問
● 「新世界訳」は,その翻訳者たちの氏名や学者としての身分を序文の中で明らかにしていないのはなぜですか。
多年の間,アメリカ,ペンシルバニア州のものみの塔聖書冊子協会は多くの異なった聖書の翻訳を印刷してきましたが,印刷するに際して当協会は翻訳者の希望を無視したりはしませんでした。例えば,1972年に当協会は「現代英語聖書」をその翻訳者の望む体裁と判型で出版しました。―表題紙を参照のこと。
1949年9月3日,新世界訳聖書翻訳委員会は,クリスチャン・ギリシャ語聖書の完成した翻訳を当協会に提出しました。その原稿は,同委員会がその後続行したヘブライ語聖書の翻訳とともに当協会の合法的な所有物件となりました。このことに関して,「神の目的とエホバの証人」と題する本の258ページでは次のように述べています。「同翻訳委員会が要請した唯一の事柄は,その死亡後も各人の名を匿名のままにしてもらいたいということであった」。当協会はこの合意事項を守り,翻訳者たちの希望を尊重してきました。
しかし,どうしてこうした約定が設けられたのでしょうか。それらの翻訳者は目立つことを求めませんでした。自分たちに注意を引こうとは思わなかったのです。『すべての事を神の栄光のためにする』精神を持っていた彼らは,読者が翻訳者のこの世的な「資格」にではなく,神のみことばに信仰の基礎を置くことを願いました。(コリント第一 10:31)他の翻訳委員会も同様の見解を取ってきました。参照欄の付いた新アメリカ標準聖書(1971年)の表紙には次のように記されています。「われわれは参考のため,あるいは推奨するためであれいかなる学者の氏名をも用いてはいない。神のことばはその真価によって効力を保持すべきものである,とわれわれは信ずるからである」。
「新世界訳」の真価は容易に検討できます。その大型版にはおびただしい数の脚注が付されています。その多くは,特定の訳し方を決定するに際してどの聖書写本が関係していたかを示しています。また,それらの脚注は包括的な序文とともに,翻訳委員会の用いた資料やその翻訳に関して,他のたいていの翻訳に見いだせる以上の情報を注意深い研究者たちに供するものとなっています。
さらに,1969年,当協会はやはり新世界訳聖書翻訳委員会の翻訳である「ギリシャ語聖書 王国行間逐語訳」を発行しました。この希英対照翻訳を読めば,聖書のその部分に関して同翻訳委員会がどれほどの努力を払ったかだれでも詳しく調べることができるでしょう。
なかには,聖書中のそれぞれの書自体でさえ筆者の名が付されていると論じる人がいるかもしれません。多くの場合,それは真実です。しかし,聖書には筆者が自分の名前を記していない書が幾つもあります。同様に,筆者が自分の個人的な資格や教育的背景についてほとんど述べていない点にも注目できます。神のみことばを翻訳するに際して,新世界訳聖書翻訳委員会は,委員個人個人の卒業した大学その他,受けた教育に関する委細は重要なことではないと考えました。とはいえ,その翻訳自体,それらの委員の資格を証明しています。同委員会の翻訳を詳しく調べれば,読者の注意は翻訳者にではなく,聖書の著者,エホバ神に向けられるはずです。
また,その翻訳の脚注の中で同委員会側が,ある箇所を別の仕方で訳せることをも認めている点から同委員会の謙虚さにも注目できます。この点を認識して,当協会は常に他の種々の聖書翻訳を用いることを認め,またそうすることを勧めてきました。a それで,エホバの証人は新世界訳翻訳委員会の翻訳に深く感謝する一方,特定の土地の言語で入手できる聖書があれば,どんなものでも用います。それが現代語による明解な新世界訳,あるいは他の翻訳かどうかにかかわらず,当協会は,神のみことばをともしびとして用いて生活の道を照らすよう,すべての人に勧めます。―詩 119:105。
● 近年激しい嵐や洪水が人命や資産に大きな被害を与えてきましたが,そのあるものはサタンの働きによると言えるでしょうか。―アメリカの一読者より。
聖書は,サタンの引き起こした破壊的な嵐の例を確かに一つ記録しています。それは,忠実なヨブの子供たちの命が奪われた場合です。(ヨブ 1:12,18,19)しかし,これを根拠にして,サタンが破壊的な嵐すべてに直接関係している,と結論する
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